リザ『?なんでシンゴの奴帰ってくるなりあんな不機嫌そうに黙ったままなんだ?僕達がボールに戻された時になんかあった?マグマラシなんか知らないか??マグマラシは唯一ボールから出てたから何かしら事情知ってそうだけど?』
マグ『いや~・・・僕は特に何も知らないですねぇ~・・・それに僕達は逃げるのに精いっぱいだったし、そういう事ならシンゴに直接聞いてみたらどうかな?リザードが聞きにくいんだったらブイゼルとかルクシオに代わりに聞いてもらうって手もありだと思うけどどうかな??』
ブ『いや僕はあまり・・・こういう難しい話をするのは苦手でして・・・。』
ルク『僕が代わりに聞いても良いけど、ちょっとこういう重い感じの雰囲気は苦手で・・・。』
・・・・さっきから後ろの方では僕がなんでずっと黙っているのか色々と話しているようだが、全部丸聞こえなのが何とも言えないところだ。別に黙っている訳でもないのだけど、姉ちゃんと思われるというか恐らく姉ちゃん本人とあんなに至近距離で対応してしまったからバレてないかどうかで僕の気持ちは全然落ち着きを取り戻すことが出来ない。バレたら真面目に色々な所で色んな歯車が狂いそうな気がする・・・というよりももう狂っているような気がするのは僕の考えすぎだろうか?あっ、マグマラシがこっち来た。
マグ『あの・・・シンゴ・・・今日の事でちょっと色々とお話が・・・あっ!話したくないのでしたら無理にとは言いません!!ただ・・・ちょっと・・・この空気はかなり僕達苦手というかなんというか・・・だから出来れば何時ものシンゴに戻って頂けたら・・・。』
「・・・ごめんね。マグマラシ達に余計な心配かけてしまって・・・単刀直入に話すからもうちょっとみんなこっちに来て来て。いい?みんな集合した?じゃあ言うけど、今日あのトドゼルガに襲われたのはみんなもご存じの通り・・・襲われた事じゃなくてその時に助けてもらった人がちょっとヤバめの人であってですね・・・もう勘づいているかもしれないけど、あの人が僕の姉ちゃん。つまりは長年行方知らずだった姉ちゃん張本人。あのゴウカザルとかも姉ちゃんの数少ない手持ちポケモンの内の1体。」
リザ『そうか・・・じゃああれがシンゴの姉ちゃんか・・・長年行方知れずだったのにも関わらずにでもなんであの組織に??なんか変な事吹き込まれたりとかしたんじゃないのか??僕の考えすぎかな?』
「多分何も変な事は吹き込まれていないと思う。お陰で助かったし・・・でもやっぱり気にはなる。でも流石にこの時代に再会となると少々色々な面でヤバい事になりそうな予感がするし、それにあっちだってあれでこっちだってこれで今会うのは危険すぎる気がするのよね。」
マグ『だからと言ってこのままずっと遠くで見ておくだけってのもなんかこちらとしても歯がゆい感じがするじゃないですか?ちゃんと白黒はっきりと付けていた方が良いかと僕は思いますよ?勿論シンゴの言う通りに今は会うべきではないと思いますけど、何れその時が来たならば面と向かって会って話すべきではないでしょうか?』
「そうやね、マグマラシの言う通り。何れははっきりと話そうと思うけど今はその時期じゃないという事よ。ちょっと頭痛くなってきたからこの話はご飯の後にしよう?もうみんなお腹すいたでしょ?朝からずっとあんな感じで動きっぱなしだったし・・・。」
ル『そうだね・・・思い返してみるとずっと動きっぱなしだったもんね。じゃあご飯にしよう!』
ブ『もうお腹ペコペコー!!』
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あれから僕達は仕事をしながら色々とあの警備団の事について1か月に渡り色々な人や色々な所で取材をしながらその内部事情について調べてきた。その結果分かった事はあの団体には老若男女関係なくポケモンと共に接していける人が主に採用されてきたという事。団長と呼ばれるいわば一番上の人間は一人の男性という事。そして昨年辺りに急にあの女性・・・恐らく僕の姉ちゃんと思われるけどが現れて一気に団員ランク・・・いわば役職の事だろうけどが上がったという事が判明。そういう事から分かったのが、恐らくあの団体は現在でいう所の警察という立場であのまだ若い人達は警察官見習いみたいな位置づけなのだろうという事。分からんけど。
「っとまぁそんな感じで分かった事は分かったけど、だからと言ってなんだって話。でもやっぱり姉ちゃんだったとはなぁ・・・しっかし名字を変更していたのにはちょっと驚いたなぁ。名字を変える事で当の本人という事を隠すという意味合い?・・・でもこの時代には知り合いとかは絶対に居ないのに何故名字を変えたのだろうか。というよりも偶然にしてはちょっと出来すぎやしないかこの話?そんな右も左も分からない時代にいきなり飛ばされてこんなにもサクセスストーリーが続くなんてどこのラノベよ。もしかしたら何らかの意図があってセレビィは僕をこの時代に飛ばした・・・?暴走を止める為??」
マグ『そうだとしてもですね・・・じゃあ何故セレビィはこの時代にシンゴを連れてきたのかという新たな疑問が生まれてしまいますよ?一先ずは上記の事が分かったのでヨシとしませんか?なんというか・・・あの団体に深く関わるとちょっと厄介な事になりかねませんよ?』
リ『そうだな・・・シンゴももう随分と忙しそうにしてたし、来週いっぱいは休んでも良いんじゃないのか?仕事の後とか休憩中も色々と調べものしてたみたいだし少しは息抜きも必要と思うぞ?もしなんか追加で調べる事があるんだったらあとは僕達が調べておくから一先ず休め。』
「・・・そう?別に元の世界ではこれ位普通の事だったけどなぁ。じゃあお言葉に甘えて休ませてもらう事にするよ。幸い明日からの仕事はそこまで忙しくないって聞いてたし、少しは気を休ませるかなぁ。」
そう言うと僕は書斎に戻る。ポケモン達が果たしてこの後何をするかは分からないけど、一先ず僕は先に休む事にしたのだった。・・・・だった。
マグ『うーん・・・シンゴにはああ言って休んでもらう事にしたけど、やっぱり僕達としてももうちょっとだけ踏み込んだ結果が欲しいね。って言っても何すれば良いのか分からないからなんも手出しできないけど。』
ルク『じゃあもう一度あの原野で野生ポケモンに襲われてみる?そうしてもう一回助けてもらってそこで色々聞けばなんとでもなるんじゃ?えっ?親分ポケモンに限るって?・・・それは困ったな。』
リ『それにそうは言っても助けてくれるのがシンゴの姉ちゃんとは限らないだろ?もし万が一下っ端の足軽来たらどうするよ?それこそ災難ってもんだぞ?』
ブ『zzzzz・・・・あっ!シンゴ起きてたの!?僕すっかり寝に入ってた・・・。』
「僕の知らないところでそんな話されてたら全然休めるものも休めないね・・・じゃあもうちょっとだけ踏み込んでみる?もしかしたら何か進捗があるような気もするし、それかあれか?もう直球に行くか?」
マグ『うぉ・・・シンゴ起きてたのですか・・・そうですね、じゃあ直球で行きましょうか?決行は明日の朝。まだ町が眠りに就いている頃に一気に正面玄関をぶち破って』
リ『凄い事で突っ込もうとするねマグマラシは。言葉使いと行動が合ってないよ。』
「じゃあそれで。」
リ『おいおい。』
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「じゃあ決行しますか。これって法律に触れないよね?なんか色々な刑法に触れないよね??公務執行妨害とかならないよね??あっ、この時代にそういう難しい法律無いって事か・・・じゃあやろうかマグマラシ突進」
リ『いやいやいやあまりにも無謀且つ大胆すぎるでしょ。もうちょっと考えないと・・・ほらもっとこう穏やかに・・・うぉりゃ!!』
あっ!!マグマラシじゃなくてリザードが扉蹴破りやがった!!受付の人間か門番の人間めっちゃ驚いてこっち睨みつけてきたよ!?これ一気に形勢不利ってやつじゃないです!!?
門番「おいお前!!自分が何したのか分かってるのか・・ってポケモンの方が勝手にやったのか、じゃなくてポケモンがやったと言ってもお前の監督不行き届けと言うものがある!!覚悟しろよ!!行ってこいムクホークとウォーグル!!!」
受付「そっちがその気ならこっちもやってやろうじゃないの!!行きなさい!ビーダル!!」
おいおいおい想定外の強そうなポケモン達出してきましたけど!?こっちはマグマラシとリザードとルクシオで行くか・・・あっちが3体ならこっちも3体で行かないと色々とまずい事になるからこれは致し方ない。ってまさかのブイゼルがルクシオの代わりに出るって?まぁ良いか。じゃあみんな怪我しないようにお願いしまーす。
下っ端「あの3体のポケモンはどうでも良い!!あの男を捕まえる事に専念しろ!!!」
うわ・・・中から騒動を聞きつけた下っ端3,4人が飛び出してきやがった。早朝でまだ日も昇りきってない時間帯だから当直組位しかいないだろうと思ってたのにこれはちょっと予想外。しかもあの下っ端はポケモン達を相手にするんじゃなくてそのまま直行に僕を捕らえようとして来ているからまたたちが悪い!!これは万事休すっすね。
マグ『やばっ・・!ルクシオはシンゴを守って!これだとすぐにあいつらに囚われちゃうから!!僕達もすぐに合流して急いでここを離れよう!!火炎放射!!!』
リザ『そうだね・・・ちょっとなんか事情が変わった。こっちはムクホークを相手にするからブイゼルはウォーグルの方を頼んだよ!』
ブ『了解!!!喰らえアクアジェットー!!!』
「そんな技何時覚えたん!?って事は置いといて・・・ルクシオはスパークであいつらをちょっと痺れさせて!!」
ルク『OK!!でも痺れさせるだけだと絶対にまた向かってくるからそうは出来ないように・・・こわいかおで怯えさせておくね?』
「だから何時覚えたんだよそんな技・・・。」
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何とかかんとか逃げる事が出来て一安心。でもあいつらに顔見られたからこの村じゃもう過ごしていくのは厳しくなったな・・・さてとどうしますかねぇ~他にも村とかの集落はあるだろうからそこに行って考えるか。それとも見られてないという事前提・・・は無理もあるな。ポケモン達も見られちゃったし、これはこれで万事休す。
マグ『すいませんでした・・・僕の作戦ミスです・・・まさかあんなに当直組が居るとは思いもせずに対策が遅れました・・・。』
リザ『いやいやマグマラシの責任じゃないだろ。元はと言えば僕が扉をパッカーンしたばっかりにああなったんだから謝るとしたら僕の方だ。ごめん・・・それよりもなーんか引っ掛かるんだよな・・・そりゃあ扉の開け方は荒かったかもしれないけど、急に来庁した人間とポケモンをあんな多数で押さえつけようとするか?絶対に何か隠しているような気がするんだよ・・・もしかしたら僕達が探りを入れているって情報行ってるのかもしれないし、そもそもなんかなぁ。』
???「その答えを教えてやろうか?」
!!?!しまった!!もうこんな所までもバレてしまったのか・・・ってあれ?社長じゃないですか~嫌だなぁ、もうピンポン位してから入って来てくださいよ~。ん?なんで社長がリザード達が疑問を抱いているって言葉が分かったんだ??あれ?社長ってもしかしてポケモンの言葉分かるような特別な人????
社長「それはだな・・・ほら。君と同じ翻訳機を持っているからだよ。」
・・・はっ?その翻訳機はまだ開発されてから日が浅くてこんな大昔からあった訳ではない・・・なのに何故社長が持っているんだ?僕のはここにある・・・それでこの時代にはそんなのが売っている訳でもない・・・科学もあまり発展してないような時代だからな。
「・・・・何故社長がそれをお持ちなのですか?もしかして社長も未来から来た未来人だったりするんですか?それかタイムトラベラー・・・か未来から来た人間と接点を持ったか。」
社長「はっはっはっ中々面白い事を言うねシンゴ君は。でも君の思っている事は半分辺りで半分外れだ。私は未来人ではないし未来から来た訳でもない・・・ただ未来から来た人と少しばかり一緒に仕事をしただけだよ。その人は何時の間にか居なくなったけどね、居なくなる直前に記念にってこれと充電器をくれたんだ。・・・だからシンゴ君が未来から来たというのもすぐに分かったよ。同じものを持ってたからね。」
「そうだったのですか。だから働き口を探している時にあんなに心優しく迎えてくれたんですか・・それでその未来人というのは」
社長「それはまた時期が来たら話す事にして、さっきそこのリザードが言ってたあの団体が何か隠しているんじゃないかって疑問に答えてあげようじゃないか。」
あの後僕達は社長から色々と興味深いお話を伺う事が出来た。そこで分かったのが数年前にいきなり空の裂け目から女性が落ちて来てあの団体と関係がある人が一旦保護したという事、その女性が来てから団体の動きが活発になって村も賑やかになったという事、そしてその長が一度その女性を村から村人の意向を汲まずに追い出したという事。どれも濃い話だったけど、社長話が長いよ・・・もう2時間近くずっと話っぱなしよこの人・・・ほらブイゼルとかルクシオとかもう眠りの世界に入ってるじゃないの。
社長「・・・・・・っと言う訳さ。おっと!もうこんな時間か・・・やっぱり色々と端折って話してもこれ位の時間は掛かるよな・・・大丈夫さ、あいつらの部下だって馬鹿じゃねーからここまで追いかけて来ねーよ。来ても俺が追い返してやる。だからシンゴ君達は心配するな、今日はもう寝ろ?いいな?じゃあまた明日な。」
「社長、色々とありがとうございました。それじゃあまた明日。」
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それからまた僕達は仕事をしながら陰で細々と調べ物をする日々を送っていた。あの後は当然の如く警備が強化されてしまって迂闊に建物には近づけなくなってしまったので、遠くから望遠鏡を使っての待ち伏せ状態の事しか出来なくなってしまったのだったけど。あれ以来姉ちゃんには会えてないし、団体側も大きな動きはなく、僕は未だに元の時代に戻る術が見つかっていない。セレビィどこ行ったんや。
マグ『やっぱり今日も成果なしですか・・・やっぱりもうちょっと近くに寄った方が良いような気もしますけどね?・・・ん??あれ?シンゴそこに居ませんでしたか?高速移動でも覚えたのです?』
「えっ?僕は動かずにずっとここに居たよ?それにここにデジカメとかビデオカメラとか置いてるからそんな早く移動する事は出来ないでしょ?マグマラシの後ろには誰もいないから気のせいじゃないの?それとも疲れているとか?もう結構な日数こんな事やってるでしょ?だから。」
マグ『そんなもんでしょうか・・・??なんか人のようなポケモンのような影があった気がするんですけどね・・・気のせいでしょうかね???』
なんか急にマグマラシが怖い事を言い出したけど、僕は特に気にせずに張り込みを続けている。っというよりもこんな夜遅くにそんな事気にしだしたら怖すぎるから敢えて気にしないようにしているだけどね。えっ???それよりもなんか急にマグマラシが暗闇のどっかに向かって威嚇しだしたんですけど!?えっ?誰かそこに居るの???目を凝らしてみてみるけど全く見えないんですが・・・LEDで照らしてみるか・・・
マグ『やっぱり誰かいる・・・!!僕らに近づくんじゃない!!!それ以上近づくと燃やすぞ!!』
そう大声を上げるとマグマラシは紫色の火炎放射を真っ暗な闇の中に放った。えっ??マグマラシの火炎放射って紫だった??赤じゃなかった???っと思っていると急にマグマラシの体が白く光り出した・・・この状況で進化っすか!?
『ちっ・・・逃がしたか・・・もう二度と僕らに近づくんじゃないからな!!!!覚えてろ!!!シンゴ、もう大丈夫ですよ?あれ?どうしたんですか??そんな怖そうな顔でこっちを見て??えっ?僕ですか?・・・あれ?進化して・・・る?』
「(バクフーンってこんなんだったか?僕が知ってるバクフーンとは違うな・・・えっ?どういう事だ?しかもさっきの炎も紫色だったし、マグマラシの時と違って何か見えない何かに向かって炎を吐いていた・・・これはこっちも調べるべきか?)」
バク『あの~・・・シンゴ~・・・??本当どうしたのです??僕ですよ?あっ!さっきのあれですか?なんかちょっと見えちゃったんですよ・・・言葉は発さなかったんですが、何か黒い人間のような・・・でも人間では無くて全く顔も見えない・・・なんかよく分からない幽霊みたいなのが。』
「・・・・バクフーン・・・???」
バク『(あれ?なんか僕が思ってたのと反応が違うな・・・もしかして別の事で困惑してるのかな?あれれ???おかしいぞぉ???)あの・・・シンゴ・・・??』
「はっ!あ・・ああごめんごめん。いやちょっと僕が知ってるバクフーンとは違うというかなんというか・・・もしかしてこの時代のこの地方で進化するとそうなのかな??あっでも進化おめでとう!あぁ~でもちゃんとバクフーンだわ。」
僕はバクフーン触れてみる。向こうの時代でもバクフーンは家族に居ないから触るのは初めてだけどやっぱりモフモフだなぁ・・・見た目のまんま凄いモフモフだ・・・ところでなんだけどなんでバクフーンこんなに鼓動早いん???えっ?あっ、めっちゃ顔真っ赤になってるやん。
「今日のところは帰ろっか。進化した事を他のみんなにも早く知らせてあげないといけないし、それにバクフーンも色々あって今日は疲れただろうし。あれだったら帰ってバクフーンが好きな物でも作ってあげても良いし。」
バク『ですね!じゃあ帰りましょう!!帰ったら記念に僕の好きな物でも作ってもらいましょうか!』
僕の提案にバクフーンはニコッと笑ってそう呟くと、デジカメやビデオカメラをバックに直し家路についたのだった。
ヒスイバクフーンだって普通に生きてると思うんですよね。心臓も動いていて普通の食事もすると思ってる・・・そっちの方が良いと思いませんか?
魂ばっかり食べるとか心臓の鼓動がないとかだと、マグマラシからバクフーンになった時に死んだんじゃとなりそうですし・・・