第85話 2人目の

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「全く困ったもんだ、はあ」
「あえっ? お婆ちゃんはだ、誰ですか?」

 ポケモンセンターに戻った二人はソファに座り、肩を落として落胆していた。マイはイブキに勝ったと言うのにバッジを渡されずにもう一度再戦することになり面倒くさそうなオーラが出ていた。
 そんな二人に聞こえるくらいのため息をついたお婆ちゃんがまた登場。このフスベシティにはお婆ちゃん人口率が高いのか?

「ほほう、若いのにしっかりしておる! 気に入ったぞ! お主、あれじゃろ。イブキに勝ったのにバッジを貰えなかったと見た!」
「すっげー! ババア何者だ!?」
「ババアとはなんじゃ! まあよい、ワシはドラゴン一族の長老タツ!」

 イブキ同様長い白髪をポニーテールにして巫女さんの格好をしたババア否お婆ちゃんはタツと名乗った。
 敬語が使えるマイには頭を撫で、ババア呼びしたゴールドにチョップを喰らわす元気タツ婆。

「ドラゴン一族ってことは……もしかして!」
「うぬ、そうじゃ!」

 頭にエクスクラメーションマークを立て、左手の人差し指を伸ばしてズバリマイは言う。

「口から炎を出したり、空を飛んだりできるマジック一族!?」
「ちがーう! 違うわい! ドラゴン一族というのはなぁって聞いておるのか!?」

 マイの思わぬ発言にタツ婆とゴールドはその場にずっこける。態勢を立て直しながらタツ婆は説明をしようとするがこくりと船を漕ぎ出したマイに喝を入れる。

「あー、こいつ今日色々ありすぎて頭パンク寸前なんスよ。まー俺が聞くっすから!」
「お前がぁー? うーん、まあいいか!」

 氷の抜け道を抜けたりジム戦をしたりとイベントが盛りだくさんだったためマイはゴールドの肩を借り、疲れ果てたのかそのまま寝てしまった。
 タツ婆はゴールドをじっくり見た後、癖なのかため息をついて説明をするのであった。

「タツ婆さんよォ、ドラゴン一族ってドラゴンを自由に扱えるとかってそう言うのだろ? それくらい知ってるぜ」
「おお、なんだ知っておったか。なら話は早い。イブキもなドラゴン一族なんじゃよ」
「まじかよ! ってまあ、そうなるか……」
「まあまあここからが重要なんじゃが。奴は幼い頃より実力が高かった。現に一族でもトップクラス。しかし、その幼い頃から故、どうも天狗になっている」

 ゴールドは、まあそうだよなぁ、と頭の中で頷く。お婆ちゃんという生き物は話を遮られるのが嫌いなのだ。

「だからその幼子に負けたことが悔しかったのだろう。イブキも油断していたに違いない。しばらくはジムバトルも引き受けないぞ」
「あー二週間後って約束したよ。まーたしばらくこの街に世話になるこった」

 組んでいた脚を逆にしてゴールドは肩を重そうにする。
 タツ婆は二週間か……と何かを考えていて顔を下に向けている。

「マイー本格的に寝るなら戻れよー」
「ヴー」

 眉を眉間に寄せて苦しそうに返事をするが起きる気配はない。ゴールドはタツ婆に部屋に戻ることを伝えるとマイを抱き抱えるゴールドにワンテンポ遅れて立つ。

「そのマイはポケモンリーグを目指すのか?」
「ん? ああ、そうだぜ」
「そうか。ワシはフスベジムの民家に住んでいる、困ったことがあったら来てもいいからな。ではな」
「おー、またな。タツ婆さん」

◆◆◆

 ぐっすり寝ているマイは朝まで起きることはなく、ゴールドに起こされると急いでお風呂場に向かった。

「あと十四日間でもっともっと強くなるにはどうしたらいいかなぁ?」
「そうだなぁ、またポケモン修行に限るな! この辺はレベルが高いポケモンが多いし十分な強さになるんじゃねーのか?」

 朝ごはんを食べながらマイはゴールドに問う。その答えに納得した顔。

「そうすればコウちゃんとアヤノにも勝てるようになるのかな」
「おー、俺がついてら。大丈夫だ!」
「うんっそうだね! ゴールドがいるなら大丈夫だよ!」

 キラキラとして、汚れのない大きなどんぐり眼で真っ正面から見つめられると流石のゴールドも視線が泳いで身体も引く。
 ポケモンセンターから出るとゴールドは戦略を立て始める。

「イブキはきっとカイリュー対策で来る。カイリューは何タイプの攻撃が弱い?」
「えっと同じドラゴンタイプと氷タイプ! だったかな?」
「合ってる合ってる。で、ドラゴンタイプの技はどうしようもねぇけど、氷タイプの技ならすぐそこの、氷の抜け道でちったぁ耐性できるわけよ」

 こういうことに関しては頭の回転が早いゴールドは次々と修行内容を言ってくる。マイが寝ているあいだに考えてくれたのだろう。
 手始めにカイリューとキュウコンの経験値を貯めるため、氷の抜け道に向かう。

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