Episode 1

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読了時間目安:19分
 リーセルとクレアがフォレストタウンの入口に差し掛かる。道の両脇に立てられた、二本の太くまっすぐのびた柱の間を抜けると、目の前の町は多くのポケモン達でにぎわっていた。奥に見える広場につながる道の両脇には、様々な店が立ち並んで活気に満ちあふれている。

「うわぁ……すごくにぎやかだね」
「最近この近くに新しいダンジョンが見つかったって話だから……ほとんどそのダンジョンに行く探検隊じゃないかしら」

 よく見ると、店で買い物しているほとんどのポケモン達はボールに羽が生えたような形のバッジを身につけている。探検隊であることを証明するそのバッジは、リーセルのあこがれでもあった。

「……僕たちも、これから探検隊になるんだよね……」
「まぁ、見習いからスタートだけどね。がんばろう、リーセル」
「う、うん」

 クレアの言葉にリーセルがうなずく。二匹はにぎわう町を眺めながら、奥へ奥へと進んでいく。やがて、フォレストタウンの象徴とも呼べるようなひときわ大きな樹の前にたどり着いた。樹の根元に取り付けられた外開きの大きな扉は開け放たれ、見上げてみると幹のところどころには窓のようなものがいくつも見える。

「すごいや……ここが僕たちが弟子入りするギルドなんだね」
「話には聞いてたけど……本当に樹の中にあるんだ……」

 しばらく見上げた後、リーセルとクレアは意を決してギルドの中へと入っていく。大きく空洞になった幹の内部は、明かりとりの為に開けられた窓から差し込む日の光で意外と明るかった。壁には大きな掲示板が二枚かかっていて、探検隊と思われるポケモン達が数匹、掲示板に張られている何枚もの紙に目を向けている。その奥に見つけた小さなカウンターに近づいた二匹は、そこに座っていたポケモンに声をかけた。

「あ、あのぉ……」
「はいはい、なんでしょうか?」

 リーセルの言葉に返事を返したのは、サルのような姿で頭に大きなふさと大きな耳を持っており、長い尾の先には球状の部位が三つくっついている水かけポケモンのヒヤップだ。常に笑顔を絶やさずに二匹を見つめるヒヤップの返事に、リーセルが続ける。

「僕達、このギルドに弟子入りしに来たんですけど……」
「あ~はいはい、聞いてますよぉ。数日前に弟子入りしたいってお手紙くれたリーセル君ですねぇ」
「は、はいっ」

 リーセルはちょっと緊張した様子を見せている。ヒヤップは、カウンターから出てくるとリーセルとクレアのそばに歩み寄った。

「それじゃあご案内しますねぇ。ついてきてくださぁい」

 奥の扉に向かって歩き出したヒヤップの後を追って、リーセルとクレアも歩き出す。扉に三匹がたどり着くと、ヒヤップが扉を押し開けた。「どうぞぉ」とヒヤップに促されたリーセルとクレアが扉をくぐると、目の前には洞窟が大きく口を開けている。どうやらこの洞窟がギルドメンバーの居住スペースになっているようだ。扉を閉めたヒヤップの後について洞窟の中を少し進むと、大きく開けた場所に出る。洞窟の中なのに明るい事に疑問を感じたリーセルとクレアだったが、その疑問は天井を見上げたことですぐに解決した。

「うわぁ……」
「きれい……」

 見上げた天井には巨大な水晶が埋まっているらしく、洞窟全体に太陽の光を届けていた。水晶の奥には太陽がぼんやりと透けて見えている。

「このホールはうちのギルドの自慢なんですよぉ。さぁ、親方のお部屋はこちらですよぉ」

 天井の水晶に見とれていたリーセルとクレアに、奥へと続く穴の前でヒヤップが手招きする。水晶の天井を持つホールを抜けて、さらに奥に進むと扉が見えてきた。その扉をヒヤップが数回叩く。

「親方様ぁ、この間の弟子入り希望の子たちが来ましたよぉ。入りますねぇ」

 ヒヤップが扉を開けると、中は少し広めの小部屋になっていた。その奥にいたのは、緑がかった黄色と灰色のがっしりとした体に赤い三本の爪を持つ腕と脚、顔の両側に伸びる大きな斧のような牙を持つあごオノポケモンのオノノクスだ。その見た目に、リーセルとクレアは威圧感を感じながらも部屋の中へと入っていく。

「は、初めましてっ。て、手紙を出したリーセルです」
「あ、アタシはクレアといいます。リーセルと一緒に探検隊になるために来ました」

 リーセルとクレアは体をこわばらせながら自分の名前をオノノクスへと伝える。二匹を見つめながら、オノノクスはゆっくりと口を開いた。

「リーセルにクレア、だね。私がこのギルドで親方をしているクラウスだ、君達を歓迎するよ」
「そんなに緊張しなくてもいいですよぉ。親方様はとっても優しい方ですからぁ」

 クラウスと名乗ったオノノクスの容姿に反する柔らかな話し方に、リーセルとクレアは少し胸をなでおろす。オノノクスは部屋の棚から箱を一つ手に取ると、リーセルとクレアの前に置いた。

「さぁ、これから探検隊となる君達へギルドからのプレゼントだ。開けてみなさい」

 リーセルが差し出された箱をそっと開けてみる。中には探検隊がダンジョンに行くときに持っていくトレジャーバッグ、周辺の地理が描かれた不思議な地図、そして探検隊の証でもある探検隊バッジが二つ入っていた。

「うわぁ! ありがとうございます!」
「ちょっと、リーセルはしゃぎすぎ」

 探検隊バッジを手にとって喜ぶリーセルにクレアが困惑気味に声をかける。そんなリーセルを見て、クラウスは笑みを浮かべていた。

「さて、君達はもう探検隊の名前は決めてあるのかな?」
「あ、はい。クレセルズって名前にします」

 クラウスの問いかけにクレアが答える。その答えに、クラウスは大きくうなずいた。

「クレセルズだね。リーセル、クレア、修行は大変かもしれないけど一日でも早く立派な探検隊になれるように頑張ってね」
「は、はい!」
「よろしくお願いします!」

 クラウスの言葉に、リーセルとクレアは頭を下げながら返事を返した。

――――――――――

「これが僕の探検隊バッジ……」
「もう、いつまで見てるのよ。それで何回目?」

 クラウスへの挨拶を終えたリーセルとクレアは、自分達が寝泊まりする小部屋を案内されたあと、他のギルドのメンバーが戻ってくるまでフォレストタウンをまわってみる事にした。その間、リーセルは町を眺めつつもたびたび身につけた探検隊バッジを手にとって見てはうっとりしている。クレアはそんなリーセルを見てあきれていた。

「だ、だって……」
「しっかりしてよね、リーダー。憧れていたのは分かるけど」

 そんな事を話しながら歩いていると、二匹は町の端に出てきていた。道の両脇に立つ二本の柱の先は急な下り坂になっている。

「あ、この先は町の外みたいね。戻ろう」
「う、うん……あっ!」

 クレアに言われて町の中へ引き返そうとしたリーセルが大きな声を上げる。クレアがその声に振り返ると、すでにリーセルは町の外に走り出していた。

「ちょっと! リーセルどこいくのよ!」
「まて~! 僕のバッジ~!」

 クレアの声が聞こえていないのか、リーセルは一気に坂を駆け下りていく。リーセルの声から判断するに、どうやら手を滑らせて探検隊バッジを坂の下へ落としてしまったようだ。クレアはため息をつきながらもリーセルの後を追って走り出す。クレアが坂の下にたどり着くと、リーセルはあたりの茂みを探っているところだった。

「たしかこの辺に飛び込んだはず……」
「ほんとにドジなんだから……ちゃんと体につけておかないから落としたりなんかするのよ」

 クレアもリーセルの探している茂みに頭を突っ込んでバッジを探す。ふと、急に足元に違和感を覚えた。

「えっ……」

 気がついた時にはすでに遅く、クレアの体はリーセルを巻き込みながら茂みの先に隠れていた段差の下へと落ちていた。段差は数メートルほどあったらしく、二匹は転がるように段差の下で折り重なる。

「いたたた……り、リーセル大丈夫?」
「う、うん……あ! 僕のバッジ!」

 頭を抱えながらリーセルが顔を上げると、視線の先には探検隊バッジが光っていた。リーセルは、慌てて起き上がるとバッジを拾い上げる。

「よかったぁ……見つかって……」
「次からは落とさないようにちゃんと身につけときなさいよね」
「うん」

 リーセルはバッジについた土を軽くはらうと、しっかりと身につける。クレアも体の土ぼこりを軽くはらって、自分達が滑り落ちてきた段差を見上げた。自分達の十数倍はあるであろうその段差は、リーセルとクレアにとっては崖ともいえる。

「う~ん、ここを登るのは無理そうね……他に上がれる場所がないか探して……」
「ね、ねぇクレア……あそこ、誰か倒れてるよ」

 クレアの言葉をさえぎるように、リーセルが軽く彼女の尻尾を引っ張りながら呼びかけた。クレアがその呼びかけに振りかえる。二匹の視線の先には、二つの生命体と思わしきものが倒れていた。リーセルとクレアは、お互いに顔を見合わせるとそっと近づいて様子を見る。片方は間違いなくポケモンのリーフィアだろうが、もう一方は格闘タイプのポケモンによく見られる姿をしているが、どのポケモンとも違う姿をしていたので二匹はそろって首をかしげた。

「なんだろう……新種のポケモン……かなぁ……」
「どうだろう……ナゲキとかに見えなくもないけど……肌の色が違うし……」

 リーセルとクレアはしばらくその見慣れない生き物の正体を考えてみる。やがて、リーセルが一つの結論に達したらしく、ぽつりとつぶやく。

「……もしかして……人間……かな」
「はぁ? 何言ってるのよリーセル。この世界に人間はいない、そうでしょ?」
「でも、人間じゃなかったらこの生き物は何?」
「それは……」

 そう聞かれてクレアが黙り込む。確かに、目の前で気を失って倒れている生き物はポケモンとは違う生き物……人間じゃないかとクレアも考えていたが、この世界にいるはずのない人間が目の前にいるということをどうしても受け入れられずにいた。そんなクレアを余所に、リーセルが目の前の生き物にさらに近づく。

「ちょ、ちょっとリーセル……」
「大丈夫だよ。それにもう僕たちは探検隊なんだから、誰かが倒れてるなら助けなきゃ」

 リーセルが人間と思われる生き物の右腕に両手を添えると、力を入れてその体を優しく揺り動かす。

「ねぇ……ねぇ、しっかりして。大丈夫?」

 リーセルの呼びかけに、その生き物がわずかに体を動かす。それを見て、リーセルは揺り動かすのをやめて少し距離をとった。

「う……うぅ……」

 ゆっくりと目をあけたその生き物とリーセルの視線が交わる。リーセルは心配そうにその顔を覗き込んでいた。

「ねぇ……大丈夫?」
「え……ツタージャがしゃべってる? ……夢でも見てるのか、俺」

 リーセルに話しかけられた事に驚いたようにその生き物がつぶやく。

「君、ここで倒れてたんだよ。……あ、僕はリーセルっていうんだ。君は?」
「お、俺の名前? 俺はサイクロンだけど……やっぱり聞き間違いじゃないみたいだな」

 名前をたずねられ、その生き物はサイクロンと名乗る。その後、ゆっくりと体を起こすとその場に座りなおしてリーセルと向き合った。

「ねぇ……サイクロンって、人間……だよね? 僕達、人間って見た事ないからさ」
「人間を見た事がないって? ……まぁ、確かに俺は人間だけど……この森ってそんなに未開の場所じゃなかったような……あ、フィリア!」

 サイクロンが突然何かを思い出したように周囲を見渡し、すぐに自分の横で気を失っているリーフィアに気がつくとほっとした表情を浮かべる。

「よかった……はぐれてはなかったみたいだな……」
「へぇ……その子フィリアって名前なんだ」
「ね、ねぇリーセル……」

 不意に、後ろからクレアに声をかけられてリーセルが振り向く。クレアはとても複雑な表情を浮かべながらサイクロンを見ていた。

「クレア、どうしたの?」
「どうしたのじゃないでしょ? 人間よ、人間! この世界にいないはずの……なんでそんなにあっさりと受け入れられるのよアンタは!」

 きょとんとした表情のリーセルに対し、クレアは目の前に人間がいる事をまだ受け入れられず小声でリーセルに詰め寄る。

「だって、現に目の前にいるじゃない」
「だーかーらー! 人間がこの世界に現れるって意味、分かってるの? リーセルだってあの神話、聞いてないわけじゃないでしょ?」
「だったらなおさら仲良くしなきゃ。僕たちとしゃべれるってことは、サイクロンは選ばれし人間ってことでしょ?」
「それは……で、でもまだそうと決まったわけじゃ……」

 元々人間にあってみたいと考えていたリーセルは、サイクロンがここにいる事を前向きにとらえている。いまだに困惑気味のクレアはややおされぎみになっていた。

「な、なぁ……話しこんでるところすまないが……ここってどこなんだ?」
「ほら、この人間……サイクロンだって、まだ自分がどこにいるのか分かってないじゃないの」
「選ばれし人間だからって、最初から自分の役目を分かってここに来てるとは限らないんじゃないの?」
「そ、そうかもしれないけど……」

 妙に説得力のある言葉を並べるリーセルに、クレアは終始押されっぱなしになっている。クレアが、ここまで生き生きとした表情のリーセルを見るのは、以前にアバゴーラの話を一緒に聞きに行ったとき以来だった。

「う……うぅん……」
「ん、フィリア? 気がついたのか」

 そんな最中、サイクロンの横で気を失っていたフィリアが意識を取り戻したらしく、ゆっくり立ち上がると体を軽く伸ばす。そして、サイクロンに気がつくとそばにすり寄った。サイクロンが、すり寄ってきたフィリアの頭を優しくなでる。

「ご主人様、おはようございます」
「あ、あぁ……やっぱりフィリアの言葉も分かるようになってるみたいだな」
「え? ご主人様、私の言葉が分かるようになったんですか?」

 サイクロンの言葉に、フィリアは目を丸くしている。それでも、どこかその表情はうれしそうだ。その後、リーセルとクレアに気がついたフィリアが二匹の方を見る。

「あなた達は?」
「僕はリーセルっていうんだ、よろしくねフィリア。……ほら、クレアも」
「え……う、うん。アタシはクレアよ」

 フィリアに聞かれて、リーセルが自分の名前を伝える。クレアも、リーセルに促されるままに名前を伝えた。

「とりあえず……せっかくしゃべれるんだし、いろいろと聞きたい事があるんだが……」
「うん、僕が知ってる範囲でよければ答えるよ。いいよね、クレア?」
「……しょうがないか、いいわよ。アタシも説明手伝うね」

 クレアはあきらめ半分でリーセルに答える。そして、サイクロンとフィリアにこの世界の事や、神話で伝わる話を説明し始めた。

――――――――――

「……というわけなんだ。一気に説明しちゃったけど大丈夫?」
「あ、あぁ……」

 しばらくして、説明を終えたリーセルがサイクロンにたずねる。サイクロンは若干困惑しているようだが、話は大体理解しているようだ。

「つまり、この世界に危機が迫っていて……俺はその危機を救うためにこの世界にやってきた選ばれし人間、かもしれないと……」
「僕達としゃべれるんだからまちがいないと思うよ」
「ほら、またそうやってすぐ決めつける……」

 クレアがリーセルの言動にあきれていると、遠くから二匹を呼ぶ声が聞こえてくる。どうやらギルドのメンバーがリーセルとクレアを探しに来たらしい。

「あ、いっけない! ギルドの事すっかり忘れてた!」
「ギルド? さっきの話に出てた探検隊の組織の事か」
「うん、そうだよ。僕達今日ギルドに弟子入りしたばっかりで……お~い!」
「あ、ばかっ、リーセル!」
「むぐぐっ」

 返事を返そうとして大声を出しかけたリーセルの口を、クレアが慌ててふさいだ。突然口をふさがれたリーセルは、クレアの前足の中でもがいている。

「……ぷはっ! ちょっと何するんだよ」
「何考えてるのよ、今ギルドのメンバーここに呼んじゃったらサイクロンの事知られちゃうでしょ!」
「え? なにか問題ある?」

 きょとんとして聞き返してきたリーセルに、クレアはがっくりと肩をおとす。

「あのね、リーセルはいいかもしれないけど他のポケモン達にとって人間っていうのは未知の存在なのよ。そこに突然サイクロン連れて行ってみなさいよ、パニックになるのは目に見えてるでしょ」
「……でも、それはいつ連れて行っても一緒な気が……」
「とにかくまずはクラウス親方に事情を説明するの! それまではサイクロンの事はアタシとリーセルだけの秘密、いいわね!」

 さっきとは立場が逆になったリーセルは、クレアの言葉にたじたじになっている。クレアは大きく息を吐くと、サイクロンの方を向いた。

「そういう事だから、アタシ達が呼びに来るまでどこかこの近くにでも隠れててくれる? 誰かに見つかったら大騒ぎになっちゃうから」
「あ、あぁ……分かったよ……」
「じゃあ、僕達行くから……また明日会おうね、サイクロン」

 そう言って、リーセルとクレアはその場を後にする。しばらくその二匹の背中を見送っていたサイクロンとフィリアだったが、二匹の姿が見えなくなると近くの茂みに向かうために立ちあがった。

――――――――――

 サイクロン達と分かれたリーセルとクレアは、登れそうな場所を探して段差の下を歩いていた。やがて、段差が小さくなっている場所を見つけると、リーセルが[つるのムチ]を段差の上に立っている樹の幹にしっかりとまきつける。そして、自分自身のつるを手繰りながら土の壁を登り切ると、今度はつるを段差の下にいるクレアに向けて下ろした。

「つかまって、クレア」
「うん」

 クレアがつるをしっかりとつかんだのを確認して、リーセルはつるを引っ張っていく。少し時間はかかったものの、なんとか引っ張り上げることに成功した。

「よいしょっと……」
「ありがとう、大丈夫?」
「うん。平気だよこれぐらい」

 クレアに言われてリーセルが笑い返していると、そこに駆け寄る一匹のポケモンがいる事に二匹は気がつく。駆け寄ってきたのは、モグラのような紺色の体におなかと背中には赤い模様を持ち、両腕の先端と頭には金属のような光沢を持つ鋭い部位と体の各所に赤い突起を持つ地底ポケモン、ドリュウズだ。

「お前ら、今日うちのギルドに弟子入りしたっていうクレセルズか?」
「あ、はいそうです」
「ごめんなさい、心配かけてしまって……」

 ドリュウズはギルドのメンバーの一匹らしく、リーセルとクレアは慌てて頭を下げる。ドリュウズは、二匹の頭を軽く叩いて大きく息を吐いた。

「とりあえず無事でよかったぜ。さ、ギルドに帰るぞ」
「は、はい……えぇっと……」
「あぁ、俺はバウムってんだ。これからよろしくな」

 バウムと名乗ったドリュウズに連れられて、リーセルとクレアはギルドに戻っていく。クラウスにサイクロンの事をどうやって伝えよう……そんな事を考えながら……。

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