第14話 “エンジェル・ソング”

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 凄まじい規模で空気が膨張し、雷鳴がリベンジャーとプラズマ・フリゲートを震わせた。
 ハイパーボイスを思わせるような衝撃に、ただでさえ不安定なリアクターを守ろうと、リベンジャーの機関士達は死力を尽くして自分の義務を遂行する。幸いにもそうした血の努力のおかげで、リベンジャーはまだ生きていた。

「何だ今のは!?」

 機関部の一角は、既に応援に駆けつけた幾人かのロケット団員達によって仮設ブリッジと化していた。一緒になってせわしなくインターフェースを叩くエドウィン艦長の要求に応えようと、一丸となってデータを確かめていく。
 映像を確かめればすぐ分かるところを、データ分析が得意な諜報部員達らしく数値で確かめたためだろう。団員の1人がすぐに報告する。

「衝撃数値から見て、プラズマ・フリゲートの砲台からの電磁砲が掠めたのではないかと」
「いいや違う……」

 先の映像を確認したルシウスは目を見開きながら、唾を呑んだ。

「ボルトロスだ、ただの雷だよ。それもターゲットはこっちじゃない、ミュウツーだった」
「そんなっ……生身のポケモンにあんな数値の攻撃は不可能です、身が持たない!」
「ポケモン能力覚醒装置を使ったんだろう。プラズマ団め、一体何を考えているんだ!」

 まるで3匹を使い捨てにするような行動だ。ルシウスはギュッと拳を握り、外の様子を映し出す映像を睨みつけた。
 兵にしろ、家族にしろ、道具にしろ、ポケモンは使い捨てではない。それは悪の組織としても同じ事だった。特に伝説級のポケモンは代えが利かない。

 エドウィン艦長は判断に迷っていた。

「砲台はまだ動かないのか」
「炎ポケモン達が氷結箇所に火炎放射を続けていますが、砲台の先端まで熱が届かず時間がかかります」

 この報告は彼を更に窮地へ立たせた。
 艦は抵抗もできず、乗組員は疲弊していくばかり。脱出しても生き残れる見込みも少ない。
 もう時間はあまり残されていなかった。そして少ない選択肢が、更に狭まれていく。

「ミュウツーとビクティニの生命反応が消失!」

 ルシウスが目の色を変えた。
 様々なセンサーをチェックして“彼”の位置を確かめようとしたが、もう海に落ちたのだろうか。影も形も無い。

「飛行ポケモンと水ポケモンを出せ! なんとかこっちに連れ戻すんだ」
「無理です、オーウェルさん。外に出た途端に凍り付いてしまいます」

 怒りが爆発しそうになった。インターフェースを叩き割りたい衝動を抑えて、深呼吸した。
 今は何かに怒りをぶちまける時ではない。いかに状況を覆すかだ。ルシウスはちらりとエドウィン艦長を見やった。

 エドウィン艦長は未だに迷っていた。僅かな時間で可能な限りの選択肢を考えた。
 かつてロケット団と少数で対峙した少年達ならどうするだろうか。策を持たずに正面突破で倒す力があるのなら、今の自分ほど思い悩まされはしなかっただろう。そんな過去の時代が羨ましいと同時に、少し恨めしい。

 自分が正義の主人公なら。
 颯爽とポケモンに乗って空へ飛び出し、敵をなぎ払い、ヒーローになれただろう。たった1人で戦うのなら、それも悪くない。
 この戦いは、そうはいかない。チームで戦い、艦を動かし、ポケモンに指示を出し、そして最小の犠牲で勝利を収めなければならない。

 最小の犠牲。
 エドウィン艦長は意を決したように、通信パネルを押した。

「機関部ブリッジより、第二研究棟。ポケモン転送装置の準備はできているか」

 訊ねながら、視線を肩のメロエッタへと送った。
 震えは止まっている。表情に色は無かった。

『できています』

 その返事に応えず、エドウィン艦長はゆっくりと腰から空のボールを取り、ボタンを押して大きくした。

「実行だ、メロエッタを送る」




 激しい閃光は、皮肉にも攻撃の主であるトルネロス達の視覚と聴覚を一時的に奪っていた。
 そのせいでミュウツーとビクティニを見失ったものの、すぐにその気配がこの一帯に無い事が分かった。海にでも落ちたのだろうか、それとも消し炭になったのだろうか。
 3匹は軽く旋回して、プラズマ・フリゲートから一定の距離を保つ。

「標的、消失しました」

 無機質な男性の声。プラズマ・フリゲートのメインセンサーを担当する黒ずくめのプラズマ団員が報告する。
 テスラは満足げに頷いて、小さな強敵に勝利した余韻に浸る。彼はそれが最も満たされる瞬間が、今ではない事を知っていた。

「次はリベンジャーを落とす。これでロケット団も思い知る事になる、いや……全世界が。我々に歯向かう事そのものが、無意味と悟るでしょう……Gメン以外は」

 高揚する感覚。男なら誰もが一度は抱く野望を、もうじき叶えられるのだ。
 この手で己の帝国を築き上げる事。普通の男なら家庭を、企業家なら会社を、だが彼は違う。国そのものを己のルールで創り上げる、途方もない欲望を胸に抱いて。
 テスラの静かな野心を煽るように、団員の1人が報告する。

「3匹が目標を捕捉しました」

 王となる者ならば、力を示さねば――。
 テスラはにんまりと笑ってその剣を振り下ろした。

「……攻撃」




 もはや烏合の集に防ぐ手立ては無い。唯一にして最高の的であるミュウツーが消えた事で、トルネロス達は思う存分にその大きな的へ攻撃をぶつける事ができた。
 空中に浮かぶ巨岩が動いた。リベンジャーの鉄塔のような主翼のひとつが直撃し、岩が砕け散った。主翼は見るも無残にひん曲がる。
 ランドロスだけでなく、トルネロスも動いていた。三日月状の閃光が走ったと思いきや、静かに鉄塔がズレた。切断面を顕にして、根元近くから先が海へと落ちていく。

「直撃です! 左舷主翼に被弾しました、補助翼で機体安定を試みていますが長くはもちません」

 エアスラッシュの一撃に衝撃は無かったが、混乱はより一層広まった。まるでチーズのように鉄塔を切った一撃が、もしも本体に命中すれば、墜落は必至だ。
 エドウィン艦長たちには一刻の猶予も無かった。

「転送先の座標をセットしろ、プラズマ・フリゲートの天辺に送れ!」
『完了しました、いつでも転送できます』

 肩にメロエッタは居ない。先ほど団員の1人に、メロエッタの入ったボールを持たせて研究棟へ送ったからだ。
 送るところを見届ける事はできない。だが君ならきっとやってくれる筈だ。
 人間の勝手でそうなった事は重々承知していた。しかしその事を誰もが知っていながらも、誰も咎めず、メロエッタすら受け入れている。

「頼むぞ、メロエッタ……今だ、転送!」

 祈るように呟いて、エドウィン艦長は命令を下した。
 問題は、それが成功するまでにこの艦を維持しておけるかどうかだ。エドウィン艦長はレーダーの3匹の動きを注視しながら、最善手のコースを導き出した。

「全速後退! 右舷に反転、機関部に一発も命中させるな!」
「了解!」

 最大出力で逃げても、所詮大型の飛行艇である。ポケモンの敏捷さには叶わない。この仕事は無駄かもしれない――それでも団員達は、唯一生き残れる道を懸命に走った。




 メロエッタの入ったモンスターボールは、プラズマ・フリゲートの最も高いブリッジの真上で実体化した。ボールにはさほど強いプロテクトも無かったので、容易に外に飛び出せた。
 少し、いやだいぶ寒い。しかし寒さで即凍死するほどではない。プラズマ・フリゲートを覆う冷気は、ルシウスが予想していた通り、表面だけは抑えられている。さすがに味方を凍らせては意味が無いと思ったのだろう。
 ともかく無事に自分の身体が無事な事を、ぺたぺたと触って確かめて、メロエッタは安堵した。

「ロメ……」

 一息ついた途端、稲光が目を覆った。思わずギュッと目を瞑り、轟く雷鳴に耳を塞いだ。まるで爆音のように身を貫き、過ぎていった。
 おそるおそる目を開けると、リベンジャーの補助翼がひん曲がっているのが遠目に見えた。バランスを失い、徐々に高度を下げていく。
 今は心配している時じゃない。メロエッタは自分にそう言い聞かせながら、不安の感情を押し殺す。
 歌に影響してはならない。鎮める歌は、特に心を清らかにしなくては。少しでも雑念が混ざれば3匹を止められない。

 遠くに聞こえる悲鳴や爆発音をあえて無視して、心穏やかに目を閉じ、深呼吸。
 メロエッタは、その広大なコンサート会場で、たった3匹の観客に向けて歌い始めた。




                        ――♪
                    ―♪
                ―♪          ――♪
     ―♪―♪    ―♪
 ――♪      ――♪




 歌声がどこまでも響いていく。
 冷気に包まれた空は、その歌声をより遠くへ送り届けてくれた。トルネロス、ボルトロス、ランドロスはもちろん、懸命に戦おうと己の役割を果たすロケット団員たち、プラズマ・フリゲートに乗るプラズマ団員たちでさえその歌を耳にする。
 誰もが言葉を失った。エドウィン艦長でさえメロエッタと共に一週間過ごした間、その歌を幾度か聴いたものの、これほど美しく純粋な旋律は初めてだった。
 何もかもが天使の羽に抱かれる心地よさが満ちる。暖かく、そして何より優しい。

 メロエッタは懸命に、しかし子守歌のように歌い続ける。
 3匹に満ちていた壮絶な怒りは、その歌声に抱かれて次第にその業火が鎮火していった。人間の科学技術によって外された理性、僅かに残っていたものが、覚醒して暴れたがっている身体を歌に集中させた。
 コンサートは邪魔してはならない。本能に刻まれた、ルールだった。

「ハァ、ハァ……聞こえるか?」

 今だ焦げた箇所から煙の立つ身体で、“彼”は凹んだ甲板の底から空を見上げた。大の字で仰向けに寝転がり、荒い息を深呼吸で治める。
 身体はもはやピクリとも動かない。否、動かさない。最低限生命維持に必要なサイコパワーだけを用いて、身体をほとんど死体に近い状態まで追いやっている。己の気配を文字通り消し、センサーに生命反応を出さない為に。
 無論、ビクティニもステルスモードで“彼”の腹の上に座っていた。

「クティー」
「あぁ、メロエッタの歌だ……3匹が止まっている」

 とても耳障りの良い天使の歌声の感想を述べたつもりだったのに、ビクティニは無粋な“彼”をジト目で睨んだ。
 “彼”にとって芸術的感性は無意味なのだろうか。

「これはチャンスだ」

 ビクティニのため息をよそに、“彼”は嬉々としていた。




 * * *




「博士、これは私としても非常に気に入らない展開だ」

 忌々しい耳障りな歌を聴かされて、テスラのイライラは増していた。
 今必要なのは天使の歌ではない。戦士の歌だ。そう思いながら、その矛先をモチヅキ博士へと向ける。

「既に3匹の理性は吹き飛んだ、お前のせいでな。だがメロエッタの歌は本能に直接作用する、聴覚を潰さない限りどうする事もできん」

 博士も焦りを顕にして、天使云々どころではなかった。
 3匹が無力化したという事は、ロケット団が直に迫ってくる事を意味している。テスラが早々に脱出命令を下す事を願ったが、当の彼は目尻にシワが寄っていた。

「そうですか……フフッ」

 逃げ出したい気持ちに駆られた。
 ロケット団ではなく、この男から。次にくる頼みごと――もとい脅迫に近い命令は、容易に予想できる。

「良いでしょう。3匹のパワーレベルをMAX100に上げてください」
「私にはできん!」

 モチヅキ博士は思わず叫んだ。

「このまま続けてこの戦いに勝てたとして、代償にトルネロス達は死ぬ! ポケモンを消耗品のように酷使する、結構な事だ、しかしその消耗品が無ければ我々は無力であるという事を忘れてもらっちゃ困る!」

 それはこの男も重々承知している筈なのだ。
 博士の頬に冷や汗が流れる。最も恐ろしい事が目の前で起こっている気がした。
 最強の武器を振り回して、それをわざと折ろうとする自殺的行為を何故進んでしたがるのか。それとも、この戦いにはただ自分達に“ちょっかい”を出してきたロケット団諜報部への報復以上に大事な意味があるのだろうか。
 あれこれ頭を巡るうち、それは別の形で決着がついた。ブリッジに入退室するドアの門番をしていたプラズマ団兵士がボールからナゲキとダゲキを繰り出し、2匹に博士の腕をがっちりと掴ませた。

「なっ何を!?」
「メーターを上げるだけなら、一般団員にもできる」

 テスラの視線の合図に応じて、拘束を命じた兵士が博士を押しのけ、コンソールのパネルに手を置いた。

「ダメだー!!」

 咄嗟に2匹の拘束を振りほどこうとするが、さすがに老いた科学者に何ができようか。それも相手は肉体派の格闘ポケモンだ。
 博士は今だ懸命にもがきながら、テスラに叫び続けた。

「手がつけられなくなるぞ、それで基地を1個ダメにしたのを忘れたのか!」
「私には今こそその力が要るのです。やりなさい」

 無情にも警告は聞き流され、命じられるがままに兵士はメーターを引き上げる。

「パワーレベル、100に上昇……ダメです、1匹しか反応しません」

 テスラはにんまりと笑った。

「十分です」




 歌は、血の幕引きによって終わった。
 メロエッタ自身も何が起きたのか理解できぬまま、意識が途切れる。ただ最後に見た光景は、今までずっと恐れていたものだった。自分の肉体から、おびただしい量の血液が外に噴出し、衝撃のままにプラズマ・フリゲートから叩き落された。
 風が舞う。そんな生易しいものではない。風の刃がプラズマ・フリゲートの天井を抉ってメロエッタごと吹き飛ばした。

 リベンジャーの機関部、仮設ブリッジから外の映像を見ていたエドウィン艦長は、呆然とするしかなかった。

「メロエッタにダメージ、瀕死の重傷です!」

 報告ですぐさま我に返り、しかしエドウィン艦長は頭を抱えた。

「歌を聴いていたんだ、動ける筈が無い!」
「覚醒装置でトルネロスの意識を完全に飛ばしたんだ、もう助からない……だがボルトロスとランドロスは奴らのコントロール下を離れている。プラズマ・フリゲートを包んでいた冷気フィールドが消えていくぞ」

 ルシウスが報告した内容、それだけが唯一の朗報だった。最小の犠牲を決して無駄になどするものか。艦長として、それを命じた者として、無駄にしてはならないのだ。
 待ちに待ったこの時を、チャンスを、エドウィン艦長は掴み取るようにマイクのスイッチを力強く叩いた。

「艦長より攻撃チームへ、出撃だ。第1から第4小隊はトルネロスを、第5小隊はメロエッタの救助へ向かえ!」




 歌は止まったが、むしろ空は賑やかになってきた。
 凹んだ甲板に穴が開いている。その穴から見える空を見上げながら、“彼”は(ビクティニのパワー供給によって)すっかり戻ったサイコパワーを探知に回し、周囲の状況を読み取った。
 1匹で納得している“彼”に、ビクティニは首を傾げる。

「クティク……?」

 どう? と訊ねるビクティニに、“彼”は怪訝そうな目で返した。
 おかしいな、こいつもエスパーなら多少は分かる筈だが、と思ったが、まあいいか、と通路に歩き出した。 

「ボルトロスとランドロスはもはや脅威ではなくなった。ロケット団め、テレポート妨害フィールドの中でどうやってメロエッタを……だが何にしろ、トルネロス1匹なら相手にするまでもない。ロケット団の連中で十分だろう。あとそうだな、メロエッタが瀕死の状態で海に落下中だ」
「クティ!」

 ゴン。
 ビクティニの頭突きがいつもより頭に響いた。華麗に無視したいところを、思わず足取りがふらついた。

「ッ……案ずるな、ロケット団の救助班がメロエッタを助ける。それで十分間に合う」

 納得いかない、と言わんばかりに膨れっ面を見せ付ける。振り返りもしない“彼”は、説得しても動かせない事をもう知っている。エネルギー供給を盾にして無理やり従わせる事はできるだろうが。
 膨らんだ可愛い頬っぺたを縮ませながら、ビクティニはやはり外の様子が気になるのか、しきりにキョロキョロしている。

「ティーニ?」

 人間との約束は良いの?
 “彼”は四つ角に直面しても、迷わず真っ直ぐ直進した。

「あぁ、構わん。どうせ人間は約束など反故にする、ならば俺の手で博士を見つけ出すまでだ」

 その声色はいつもより少し冷たく聞こえた。いつも冷たいのは間違いないのだが。

「ティニ、ティニティーニ。クティク?」

 それでもあの人達は紳士的だったし、特にメロエッタに一緒にいた人は良い人そうに見えたけどなあ?
 ほのめかすような口調でも、ビクティニは確信を持っていた。なにより、メロエッタがロケット団員に心を開いて懐いていたのが良い証拠ではないか。
 “彼”は小さくため息を吐いた。

「個人はな。だが、ロケット団や悪の組織は信用できまい。組織の戦いは、己が利のためだ。たとえ正義だろうと何だろうと、“組織”に属する人間は耳障りの良い言葉を並べ立て、腹の下では相手を出し抜く事を考えている」
「クティ!」

 そんな事ないよ!
 そう叫んで、ビクティニの脳裏にかつての主人の姿が浮かんだ。少し、叫んだ事を後悔した。

「人間の組織とはそういうものだ、あのルシウスという男が約束したとしても、ロケット団がそれを許さない。博士が奴らの手に渡れば、治療を盾に俺の服従を要求するだろう。あるいは、その前に博士を殺すか」
「ティニ……」

 それは、そうかもだけど。複雑な思いが駆け巡る。
 それじゃあポケモンは、人間に利用されているだけ? ううん違う。個人個人では人間はそれぞれポケモンと素晴らしい関係を結べている筈なんだ。リバティガーデン島に来ていた観光客たちだって、ポケモンとあんなに仲良くしていたんだから。
 でも組織は――。

 黙り込んだビクティニに、“彼”は何も言えなかった。言いたいことはあったのだが、口をつぐんだ。
 決して雰囲気に流されてそうした訳ではない。
 進んで開いた自動ドアの先に、さあ今から出撃しようとポケモン達を促すプラズマ団員達がぽかんと口を開けて自分に視線を注いできたからだ。広い部屋に、いくつもの丸いハッチが開かれ、外が見える。風が吹いて、沈黙の空間の空気を入れ替える。

「……クティ?」

 あれ?
 そう呟いた途端、そこは猛烈な怒号と熱気に包まれた。

「侵入者だ、迎え撃て!」

 人間達に呼応するようにポケモン達がけたたましく鳴き、慌しいサイレンが艦内に響いた。侵入者警報だ。

「妙だな、俺は道を間違えたらしい」
「クー……」

 帰りたい。
 ビクティニは深いため息と共に“彼”の肩に顔を埋めた。
(2013/9/12)
こちらの都合上、1日前倒しにしました。
いよいよ終盤です。

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