(・・・うう)
どこかの町の、知る人ぞ知るような細い道。
そこに、一人の少女が倒れていた。髪が長く、体のいたるところに火傷があった。
(ここは一体…そうだ、ポケモンは…)
腰の方へ眼をやる。自分が住んでいた地方からパチリスと、イッシュ地方でゲットしたリグレーをモンスターボールに入れて腰につけていたのだ。しかし、そこには何もない。
(しまった。あいつらにとられたか。)
あいつらは私たちの敵。あいつらは世界征服に邪魔…。
今に始まったことじゃない。数年前も邪魔してきた。まったく、なんて奴らだ、むかつく。
(まあ、いいか。)
今回の作戦は完璧だ。奴らが邪魔しに来ようとも、最後に勝つのは私たち。
「何をしても無駄…たとえあいつでもね。さてと、そろそろ準備するか。」
少女は立ち上がり、体型を変えるためにはずしていた関節を元に戻す。顔に手をやり、変装をはぐ。
そこにいたのは、少女ではなく、一人の女性だった。
「いつかみたいにはいかないから。」
女性の顔に笑みが浮かぶ。
見る人には美しく見えるだろう。しかし、その口は空に浮かぶ三日月のように吊り上って、悪魔を想像させた。
女性はそのまま足を進める。ひとまず、アジトに戻るためだ。
いつかみたいにはいかない
今度はこっちがぶっ潰す
成功するのは私たち
「見てなさいよ。ポケモンレンジャー。」