【TALE13】開戦の時

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

<SIDE ゾロアーク>

グランド軍に対抗する計画を立てた後、僕たちは実行の為オルフォートへ向かった。

ゾロアーク
「・・・グランド軍に味方する者なら、容赦なく殺しても良いだろう。
 だがそれでも、奴らの指一本も市民に触れさせてはならない。 解っているな?」
ライボルト
「ああ」

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雪が静かに降っていた街でさえ、一瞬で騒々しくなる。恐らく戦禍がやって来る合図だろう。

庶民ポケモン
「グランド軍だ・・・!」「今すぐ逃げろ・・・!」

テッカニンの兵士
「・・・これよりこの街は、我々グランド軍が・・・ ・・・ん?」
ゾロアーク
「・・・いや、既に僕たちの手に落ちている」
テッカニンの兵士
「おのれ貴様、我々に逆らうとでも・・・!」
ゾロアーク
「・・・勿論その通りだ。 見て判らないのか」

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<SIDE ピカチュウ>

ピンプク
「・・・アルファって呼んで欲しいの?」
ポリゴン2/アルファ
「・・・まあな」
ピンプク
「そうなんだ。 兎に角、今日からよろしくね」

アルファを連れて、メビウスへ戻ってからの事。それから、真っ先に彼の友達になったのはピンプクだ。

ピンプク
「・・・それじゃあ、二人で何する?」

アルファの事をピンプクに任せて、俺は他の皆のもとへ向かう。

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ミミロル
「・・・ねぇ、もしそのまま戦争が始まっちゃったら・・・?」

フライゴン
「・・・堂々とは言えないけど、もしかしたらもう、戦争は始まっているかもしれない。
 ・・・でも、安心して。 あなたたちの事は必ず、わたしたちの手で守って見せるわ」

ストライク
「ああ。 ・・・でも、どっちにしろ俺たち、戦わなきゃならねぇのかな」
タッツー
「それは・・・」

それから俺は、一人不安を抱えながら佇む。
俺もメビウスの一員である以上、冷酷に戦わねばならぬのだろうか。

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<SIDE ゾロアーク>

グランド軍と対峙する最中。目の前には、先ほどとはまた別のポケモンが迫る。

テッカニンの兵士
「・・・そうか、それなら。 ・・・コードネーム・マック」

ポリゴンZ/マック
「はい。 ・・・チャージビーム」

僕はコードネーム・マックの背後に回る。

ゾロアーク
「・・・詰めが甘い。 ローキック」
ポリゴンZ/マック
「くっ・・・!」
ゾロアーク
「・・・そのまま辻斬り!」

辻斬りが命中した瞬間、マックは己の動きを止め、地面へと儚く落ちていく。

テッカニンの兵士
「マック・・・!」

見下ろした雪は、真っ赤に染まりながらマックの身体を受け止めていた。

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@タイラントの国王官邸

グランド王国評議会議長・スターミーのもとに、貴族ポケモンの1匹・エアームドが現れる。
3年前の戦争の際には彼もまた、グランド王国軍に力を貸し、敵対勢力である武装ギルドとの激戦を戦い抜いた。その成果として与えられたのが、現在の彼の高い地位なのだった。

スターミー
「・・・協力ありがとう。 ほんの気持ちさ」

スターミー、机の上に金を置いて、エアームドに差し出す。

エアームド
「ええ。 ・・・わたしが、この国の秩序を創ってみせます」

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<SIDE ピカチュウ>

それからメビウスは、フリームスの南部へと移動する。

どうやらこの船は、美しい景観が広がる港の周辺を移動しているらしい。
だが、進行方向の左手を覗いても、そこには真っ白な空と鼠色に光る海しか見えない。

・・・それから、俺とユキメノコは艦橋で、ティーカップを片手に二人きりのまま佇む。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・紅茶、ありがとな」
ユキメノコ
「・・・ああ。
 ・・・しかし、状況を聞く限り、いつ戦争が始まってもおかしくない。 戦うなら心して戦うんだ」
ピカチュウ/廉太郎
「そうだな。 ・・・?」

ふと顔を上げると、黒い煙が近づいてくるのが見えた。

ピカチュウ/廉太郎
「おい、ユキメノコ! あれは一体・・・?」
ユキメノコ
「グランドの陸艦・・・。 まさか、本当に戦争が・・・!」

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メビウスはグランド軍の小型陸艦と対峙する。その後、あちらからもポケモンの影が現れた。

ニャルマー
「・・・わたしはグランド王国のニャルマー。 これよりこの街を占領する」

ニャルマーは、下僕と思しきポケモンたちを引き連れながら、町の中心部へ向かう。

ユキメノコ
「・・・待て、敵軍ども!」

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敵軍の連中を追い、辿り着いたフリームスの下町での事。
この一帯は街の中で、一般庶民のポケモンが暮らす数少ない地域なのだが・・・。

エアームド
「・・・周辺の住民の財産は残らず差し押さえろ。
 ・・・それから、歯向かう住民は、1匹も残さずに処刑するように。 解っているな?」

あいつ・・・。 戦争に乗じて庶民の財産まで・・・?

エアームド
「・・・あの反逆者を殺れ」
下僕のデルビル
「・・・イエス、マム!」

すぐ目の前でも、罪のないポケモンが、下僕たちの『噛み砕く』で無残に殺されている。
ぐずぐずとしている暇はない。

ドリュウズ
「・・・金でも銀でも、財産ならいくらでも墓に供えてやるぜ。 ・・・その腐り切った生命いのちを、対価にでも差し出してくれるならな」
下僕のデルビル
「むっ、こいつ・・・!」「生意気な・・・!」
ドリュウズ
「・・・兎に角楽に死ねると思うな。 ・・・ドリルライナー!」
下僕のデルビル
「糞っ、奴め・・・!」

ピカチュウ/廉太郎
「・・・瓦割り!」
下僕のデルビル
「ぐわぁっ・・・!」

エアームド
「くっ、邪魔者め・・・! 吠える!!」
ポリゴン/アンディ
「お兄ちゃん、危ない!」
ピカチュウ/廉太郎
「アンディ・・・!」

エアームドの吠える攻撃を、アンディが正面から受け止める。のだが・・・。

ポリゴン/アンディ
「・・・お兄ちゃん。 僕は平気だよ」
ピカチュウ/廉太郎
「・・・ああ」

アンディの無事を確認出来たところで、俺は反撃に出る。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・10万ボルト!!」
エアームド
「・・・くっ、一度撤退だ・・・!!」

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そして、エアームドとその取り巻きの連中が撤退してからの事。

ドリュウズ
「・・・うちのメビウスなら、怪我人もある程度搬送できる筈だ。 ・・・フライゴン、エルレイド、お願いできるか?」
フライゴン・エルレイド
「・・・ええ」

その後、俺とアンディ、そしてユキメノコの3匹はドリュウズさんのもとに召集される。

ドリュウズ
「・・・これより俺たちは、グランド軍を追いつつ奇襲を仕掛けていく。
 ・・・その際、罪のない住民には一切危害を加えない事だ。 いいな?」

俺たち3匹はドリュウズさんの戦闘開始のサインに、真剣な眼差しを返す。

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@メビウスの艦内

エルレイド
「艦長。 この周辺に、大規模な医療施設は?」
フライゴン
「・・・恐らく、グリーンランドの中心部に行かないとないわ」
エルレイド
「そうですか。 それならそちらに・・・」
フライゴン
「・・・勿論。 大至急で向かうわよ」

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@タイラント中心街の広場

住民ポケモン
「・・・メタグロス陛下、万歳!」
「・・・何が戦争しますだ、ふざけんじゃねぇ!」

万歳の声と野次が入り交じり、喧噪に変わる中での事。グランド王国の国王・メタグロスが、広場のステージの壇上へ立つ。

そして、彼は民衆にそう語り掛ける。

メタグロス
「・・・世界の秩序が、怒りや憎しみに左右される、そんな事では救える命も満足に救えない。
 我々が戦うのは、総てのポケモンにとって平等な秩序を創り、それを以てして救済を行う為なのです」

止まない喧噪の中で、彼の最後の呼びかけが、ポケモンたちの心を動かす。

メタグロス
「・・・さあ、運命を覆しましょう」

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@世界樹の遺跡

サーナイト
「この光は・・・?」

サーナイトの掌を、紫色の光が包む。

???
『・・・我を、 ・・・闇から救い出すのだ・・・!』

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<SIDE ピカチュウ>

???
『・・・我を、 ・・・闇から救い出すのだ・・・!』

掌から突然、紫の光が現れ、俺に助けを求める。俺を導こうともする。

ポリゴン/アンディ
「・・・レンお兄ちゃん、どうしたの・・・?」

・・・しかし、俺が戸惑いの表情を浮かべた瞬間、光は儚く消えていった。

ピカチュウ/廉太郎
「・・・何でもない。 俺は平気だ」

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【TO BE COUNTINUED】

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