番外編1 ~報告:海岸の街・シーサイド~

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読了時間目安:12分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

本編には関わらない、設定資料的な章です。
 本文書は、『ピースワールド』と呼ばれる島に存在する海岸の街、『シーサイド』について記した物である。
 本文書は非公開であり、十分に秘匿された環境にて保管すること。




○概要

 この街は、その名の通り海岸に位置する文明組織体である。大陸から隔絶された島である、『ピースワールド』における重要な輸送拠点でもあり、同島においては最も発展しているようだ。

 住民の種族傾向としては、人類の時代草原や森に生息していたポケモンがほとんどを占め、次いで両生型が多い。

 温厚な性格の者が多く、輸送拠点であることも相まって社交的な場合がほとんど。ただしいわゆる平和ボケ的な傾向が見られ、島内での事件には敏感な一方島の外で起こった事件は(間接的にシーサイドに関わることであっても)ほとんど話題に上がらないようだ。



○著名な施設


・救助隊協会第一支部

 大陸に広く分布し、世界の事実上の支配権を握る救助隊協会、その支部である。
 第一と名の付く通り救助隊協会が組織した最初の支部であり、それ故に歴史も深い。ここが最初なのは、この島が大陸からある程度離れた場所に存在し、本部からのサポートが難しいという事情のためだ。

 救助隊協会は、救助隊と呼ばれるポケモンたちのグループを登録し、それらのサポートを行う機能を持つが、第一支部も概ね同一である。

 シーサイドの平和ボケの傾向はこの支部にも浸透しており、上層部では汚職等の行為に何の危機感もなく手を出してしまうが、その一方で所属する救助隊たちは熱意の高い者が多い。


・留置場

 救助隊の活動等で捕らえられた犯罪者を一時的に拘束しておく場所。
 それ以上の事は無いが、救助隊協会第一支部の傘下組織であるのは特筆すべき点だ。後述するヴァーサなどはその性質を利用した。


・図書館

 人類技術の再現がふんだんに利用された施設。この街の住民は人類技術に強い興味と期待を寄せているようだ。
 なお、蔵書している本の5分の1は人類の著書の再現とされる。


・ハピナスレストラン

 シーサイドにおいて、おそらく最も有名な飲食店。モダンで暗めな良い雰囲気と評される内装。
 未確認情報だが、店主は元精神科医、あるいは心理カウンセラーだと言う。


・バトルアリーナ(シーサイド)

 材木と布によって構成された、古式のバトル施設。後述するバトル大会『インフォメーションカップXXX』の舞台であり、シーサイド最初期から存在する建築物でもある。
 爆破事件の標的となった。





○人物


(一般人)

・救助隊キセキ

 ミズゴロウの『シズ』、イーブイの『ユカ』の2匹からなる救助隊。特にシズは、記憶喪失という極めて特殊な状態にあるようだ。同じく救助隊であるチラーミィの『チーク』、コリンクの『スズキ』などと友好関係を持つ。


・チーク

 チラーミィ、男性。ソロ救助隊、『グランプリホワイト』として活動しており、同時に救助隊キセキの保護者にある人物。
 正義感が強く、秩序の元の平和を(本人も自覚しない程度に)うっすらと信じている。


・スズキ

 コリンク、男性。デリバードのフラッペと共に、2匹チームの『救助隊Rescue』として活動している。
 善人達を救うためなら悪人は死んでも構わないという価値観であり、後述する『伝説の情報屋暗殺事件』でそれを実践することに。

 このシーサイドに住む前は、大陸の武闘派組織『自警団』に所属していた。そこで『死神』という異名を得るほど暴れたようだが、ある事件をきっかけに救助隊に鞍替えしたようだ。
 なお、自警団に所属する以前の経緯は全くの不明。


・フラッペ

 デリバード、男性。
 前述の通り『救助隊Rescue』の片割れで、外科専門の腕の良い医者でもある。
 たかさが極めて小さく、それを指摘するとかなり怒る。しかし基本はとても真面目な性格。

 スズキとは、ここに移り住む前からの関係だとか。


・元気3匹衆

 シーサイドで暮らす子供達のグループ。ピチュー(♂)の『レイ』、キャタピー(♂)の『フライト』、ムチュール(♀)の『ルージュ』の3匹で構成されている。
 好奇心旺盛で、面白いと思った物にはすぐ飛びつくが、ルージュだけはストッパー役。
 よく事件に巻き込まれることで有名。


・バタフリー

 フライトの母親。不思議のダンジョンにあまり関係の無い戦闘用の道具をコレクションしており、それを取引することによって生計を立てている。
 本人に戦闘能力は無く、道具の入手に腕っ節が必要となる場合は救助隊に依頼することが多い。


・カクレオンさん

 カクレオン商店の店主。男性。
 ユカと仲が良く、彼女とは昔からの関係である様子。過去に大きな過ちを犯しているようだが、詳細は不明。





(犯罪者・要注意人物)

・レイを攫ったヒトカゲ(仮称)

 シズとユカが出会った直後、レイを攫う事件を起こした人物。レイ自体は救出されたが、彼はそれきり行方をくらませている。


・スターチ

 ニャオニクス、女性。
 後述する『大規模天候操作事件』の犯人であり、金銭に対し強い執着を見せるのが特徴。
 エスパーによる精神操作に非常に長けており、他者の心を読み取ったり、対象の自覚せぬうちに行動のコントロールが可能など、非常に厄介。

 救助隊キセキらの活躍によって捕らえられたが、直後不自然に釈放され、その後失踪した。


・ミコラーシュ

 ニャスパー、男性。スターチの息子であり、少年。
 母親の失踪の原因が、彼女を捕らえた救助隊キセキにあると考え、強い憎しみを向けている。バトル大会『インフォメーションカップXXX』にて救助隊キセキを破ろうとするも、シズに敗北した。

 母親の能力の一部を受け継いでおり、相手の思考を読むことが出来る。

 なお、彼の名前は、人類の時代に生み出された娯楽作品の登場人物からとったものである。この世界では良くある話だ。
 ……もっとも、名前の元ネタが狂気の研究者なのは少し笑えない話ではあるが。おそらく両親は知らずに名付けたのだろう。


・ヴァーサ

 オンバーン、男性。
 極めて陽気かつ無責任で、高頻度で周囲に迷惑をかけている。しかしその性格からは想像も付かないほど高い救助隊ランクを保有しており、第一支部においては最上位クラス。よって高い権力の持ち主である。

 その正体は巨大宗教組織『再生教団』の構成員、もしくは協力者であり、後述する『伝説の情報屋暗殺事件』などの計画に大きく関与した。スターチの不可解な釈放も彼の手引きによる。


・ジャズ

 リオル、男性。
 再生教団の物資部と呼ばれる部隊に所属しており。後述する『伝説の情報屋暗殺作戦』のために、武器などをシーサイドに持ち込んだ。なお、当該作戦自体には参加していない。

 再生教団の理念が抱える矛盾に疑問を覚えている様子だが、一方で忠実でもある。


・伝説の情報屋

 インテレオン、男性。
 大陸において最も有力かつ有名な情報屋であり、犯罪者、公的組織問わず様々な情報を売りさばいている。『インフォメーションカップXXX』の主催者。
 極めて好奇心旺盛であり、そのために再生教団の秘密に触れて暗殺されてしまった。


・コジョフー隊長(仮称)

 再生教団の隠密作戦を担当する部隊、その隊長。男性。
 『伝説の情報屋暗殺事件』に、部下と共に参加した。

 部下思いだったが、目的のために一般市民を平気で犠牲にしたり、目撃者である元気3匹衆の始末を試みたことでスズキと敵対。彼との交戦によって部下共々殺害された。


・伝説の情報屋に擬態したメタモン(仮称)

 再生教団の作戦に参加したメタモン。再生教団の理念に対し一際信仰の深い人物で、伝説の情報屋暗殺の実行犯。
 当該人物の殺害後に『へんしん』し、現場から離脱しようと試みたが、スズキによって殺害された。





○直近の事件


・大規模天候操作事件

 その名の通り、ポケモンの技による大規模な天候操作が行われた事件。強烈な日照りにより、環境の急激な変化、およびそれに伴うポケモンの犠牲が懸念された。
 犯人はスターチ。その手口は至極単純で、犯人の高度な精神操作能力によって多数のポケモンを操り、技『にほんばれ』を使用させた。

 操られたポケモンたちは日照りの天候操作を強化する『あついいわ』を持たされていたが、その供給源はフライトの母親であるバタフリーであり、さらに元をたどれば彼女の依頼を受けた救助隊キセキである。両者とも、知らずの内に犯行の準備を手伝わされていた模様。

 救助隊たちの活躍によって天候操作は即座に沈静化、さらに救助隊キセキの活躍によって、不可解な点を残しながらもスターチは捕らえられた。

 「アンタ(シズ)は『ヤツ』と同質だってことよ!」
 「私は(シズの)礎にされかけている、か」


・伝説の情報屋暗殺事件/インフォメーションカップXXX

 『お好きな情報何でも1つ』を優勝賞品として掲げるバトル大会、およびそれによって発生した事件。

 巨大宗教組織『再生教団』がヴァーサを通し伝説の情報屋が当該大会を開くよう誘導、会場の爆破を通して警備を混乱させ、伝説の情報屋を暗殺した。
 この事件には不可解な点が多く、伝説の情報屋を殺すことのみを目的とした作戦にしては、あまりに回りくどいことなどが挙げられる。

 事件は、事態の解決に動いたスズキにより犯人のほとんどが殺害される事によって終結。正当防衛の域を超えたとされたために、スズキも逮捕された。

 なお、大会そのものは会場爆破があったにもかかわらず最後まで進行し、優勝者のシズが自身の過去に通じる情報として『プレーン』なる人物の情報を手にしたが、これは再生教団による策略であった可能性がある。





○周辺のダンジョン


・森林ダンジョン(仮称)

 救助隊キセキ、チークの住居の付近で新たに発見されたダンジョン。
 危険度は低い。出現する敵ポケモンはポッポなどの小型が中心。
 レイがとあるヒトカゲに攫われた事件の舞台である。


・炎の洞窟

 内部で炎が吹き出す特殊環境型ダンジョン。気温が高く、いわ、ほのおタイプの敵ポケモンが多く出現する。
 危険度は経験を積んだ救助隊なら容易に突破できる程度。

 日照りの天候操作を強化する『あついいわ』が大量に見つかる産地として有名であり、時折稼ごうとした非救助隊のポケモンが行動不能に陥ることも。

 救助隊キセキがバタフリーの依頼を受け、『あついいわ』収集のために探索した。


・輝き野山

 危険度が極めて低く、一般にさえ観光名所、散歩ルートとして浸透しているダンジョン。出現する敵ポケモンはケムッソやポッポなどで、他ダンジョンのそれとは違いあまり好戦的ではない。
 虹色に輝く石ころやプリズムのように光を分解する樹液など、幻想的な光景が楽しめるうえ、それらはアクセサリー等の材料としても有名。

 救助隊キセキは大規模天候操作事件の調査で訪れることがあったが、その時はなぜか出現しないはずのモンスターハウスに襲われる事に。


・水晶海域

 地上、および海中にも入り口が存在するダンジョン。内部は青い外壁の、淡水が大量に流れる洞窟であり、水色に発光する水晶によって照らされているのが特徴。
 危険度は中程度で、手慣れた救助隊なら安定して踏破可能。

 雨天の天候操作を強化する『しめったいわ』が大量に見つかる産地でもあるが、このダンジョンそのものの知名度が低く、一般にはあまり浸透していない。

 ある犯罪者を捕らえようとした救助隊キセキやスズキが迷い込み、脱出を目指して行動したことがある。
 その際、このダンジョン内部に奇妙な拠点を発見。そこでシズを写した盗撮写真が見つかったが、詳細は分かっていない。

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