No.46 † 穏やかな心に反応して †

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:10分
メゼスの営業許可証が無事に発行されたので、それを受け取ってからエルセアを出発した翌日
午後13時
街道沿いポケモンセンター・コミュニティエリア

私達は今、休憩目的で訪れたポケモンセンターで、少し遅めの昼食を採っていた。
すぐ隣では、私達のポケモンもご飯を食べている。

メゼスのポケモン = マホイップ・ヤバチャ・アマージョ・ビークイン


【 ヤバチャ 】
こうちゃポケモン / 高さ:0.1m / 重さ:0.2kg / ゴーストタイプ
残され、冷めきった紅茶に寂しがり屋な魂が宿り、ポケモンになったといわれている。
飲みこんだ相手の生気を吸う。
誰かに飲まれるのを待っているが、不味いのですぐに吐き出される。
住処にしているティーカップは、有名なアンティークの食器。
多くの贋作が出回っている。
体の渦巻が弱点。
かき混ぜられると形が崩れ、めまいを起こしてしまう。


【 アマージョ 】
フルーツポケモン / 高さ:1.2m / 重さ:21.4kg / 草タイプ
脚を活かした蹴りが得意。
すらりと伸びた脚と残忍な心をもち、恐れられている。
硬く尖ったつま先で蹴りをおみまいして、相手の体と心に消えない傷を残す。
相手を蹴り上げるたび高笑いして、倒した相手を足蹴にして高笑いで勝利をアピールする。
美脚のポケモンとして知られ、美容クリニックなどの広告のマスコットになっている。


【 ビークイン 】
はちのすポケモン / 高さ:1.2m / 重さ:38.5kg / 虫・飛行タイプ
胴体が子ども達の巣穴になっている。
ミツハニーの集めた蜜で、子ども達を育てる。
ピンチになると6つの巣穴から子ども達が飛び出し、反撃する。
様々なフェロモンを出して、胴体に居る子ども達を自在に操り、敵と戦う。
子ども達はビークインのため、命をかける。
群れにビークインは1匹だけ。
フェロモンを放つ量が多いビークインほど、多くのミツハニーを従えている。
巣に忍び込みんだ不届き者は、討ち取って自身の糧とする。


アーシェ:「確か、他にもクリームなポケモン、居なかったか?」
メゼス:「ペロリームちゃんですか?私も最初は仲間にするつもりだったのですが、マホイップちゃんとフェアリータイプが重複するので……」
アーシェ:「でも、バトルを専門にするわけじゃないのなら、候補に入れてやっても良いんじゃないか?」
メゼス:「確かに……そうですね。機会があれば、仲間に迎えてあげたいと思います。」
アーシェ:「うんうん。それにしても……」

私はもう一度、メゼスのポケモンの方へ視線を向ける。

アーシェ:「マホイップやヤバチャ、アマージョは何となく解るけど……ビークインは一体……?」

確かジャパニーズには『 ハチノコ 』なる食べ物があるそうだけど……ビークインは大人?だよな?
名前から考えて蜂の子ども……だよな?食べるのか!?ミツハニーを!?

メゼス:「ビークインちゃんは元々、ミツハニーちゃんだった頃に甘い蜜をいっぱい集めてもらっていたのですが……♀だったので、時期が来た時に」
アーシェ:「あっ、あぁ!なるほど。そういう……」

でも確か、ミツハニーって見分ける方法はあるけど、♂より♀の方が見つけにくいんだっけ?
頑張って探したのか、運が良かったのか……まぁ、どっちにせよ、メゼスの大切なポケモンであることには変わりないか。


***


休憩を終え、私達はノーマの時と同じように、以前教会があった森を訪れていた。

アーシェ:「ん~……」
メゼス:「どうされたのですか?アーシェさん。」
アーシェ:「いや、私のポケモン達のことを考えていてさ……格闘タイプが弱点のポケモンが増えてきたから、エスパータイプか飛行タイプのポケモンがそろそろ必要かな……って思って、探してた。」

シルヴァディはメモリのおかげでタイプを変更できるとしても、まだハガネールやアマルルガ、コマタナが居るし……
アマルルガとコマタナに至っては、4倍弱点だもんな。

メゼス:「なるほど、そうでしたか。」
アーシェ:「私が出会った異国の友人達のうち2人はサーナイトを持っていて、ちょっと羨ましいって思ったのもあるんだけどな。ただ……」
メゼス:「ただ?」
アーシェ:「私の偏見かもしれねぇけどさ、エスパータイプのポケモン達って、出会ったらすぐテレポートで逃げてしまうイメージが強くって……運よく見つけられても、すぐに逃げられる気がするんだよなぁ。」
メゼス:「あぁ……アーシェさんの言いたいことは、解る気がします。」

そらからしばらくの間、ポケモンを探して森の中を歩き回る。

メゼス:「ポッポやマメパトのような飛行タイプのポケモンは時々見かけますが、他は草タイプや虫タイプのポケモンばかりですね。森ですから、当然の事なのでしょうが……根本的なことを質問しますが、この森にエスパータイプのポケモンは棲息しているのですか?」
アーシェ:「うん。1匹は確実に棲息してるよ。そうだな……あいつの住処の近くなら……何か生態系が変わってたりするかな……」

うろ覚えの記憶を頼りながら、獣道を進んで行くと……1匹のポケモンが飛び出してきた。

以前対峙したスリーパーとは違う……この森で、初めて見るポケモンだった。

アーシェ:「あいつは……」


【 ミブリム 】
おだやかポケモン / 高さ:0.4m / 重さ:3.4kg / エスパータイプ
頭の突起で生物の気持ちを感じとる。
強い感情を感じとると、一目散に逃げ出してしまう。
人気のない場所が好き。
穏やかなものにしか心を開かない。


アーシェ:「何で……何で、ミブリムが私の前に?絶対にありえねぇ……そうか!メゼスに反応して出て来たんだな。」
メゼス:「どうして、そう思われるのです?」
アーシェ:「私って、日常でもバトルでも、すぐ感情的になって激情しちまうからさ……ミブリムから逃げられることはあっても、向こうから出て来てくれるなんて、ありえねぇんだよ。」
シャルロット:「ありえないとまで言い切りましたか……ですが、現在はバトルをしているわけでもなければ、感情的に怒ったり、不機嫌になるようなことは何も無いわけですし……平常時のアーシェさんの穏やかな感情を感じ取って出て来たのかもしれませんよ?」
アーシェ:「私に穏やかな感情……ねぇ……」

とりあえずダメで元々と思って荷物の中からオボンの実を取り出し、ミブリムの方へ差し出すと……トコトコと歩み寄って来たミブリムがオボンの実を受け取り、嬉しそうな笑みを浮かべてくれた。

アーシェ:「ふふっ、可愛いな。」
メゼス:「…………軽く周囲を見て来ましたが、この近くにいるミブリムちゃんは、その子だけのようですね。」
アーシェ:「そっか。なぁ、ミブリム……お前は何処から来たんだ?」

私の問いに対し、オボンの実を持ったミブリムが、キョトンと小首を可愛らしく傾ける。
以前に出会ったスリーパーといい、このミブリムといい……この森はエスパータイプのポケモンが迷い込んでくる特性があるのだろうか?

アーシェ:「まぁいいや……ん~……ミブリム。お前にお願いしてぇことがあるんだけど……いいかな?」

私の言葉を理解しているのか、ミブリムは小首をかしげたまま、私の方を見上げている。

アーシェ:「正直、私は感情的になりやすいからさ、お前を驚かせたり悲しませたり、気苦労をかけちまうかもしれねぇけど……私はお前と仲良くなりたいと本気で思ってる!だから……もし、お前さえ良ければ、私の仲間になってくれねぇかな?」

ほんの少し、静寂な時間が流れ……

私を静かに見つめていたミブリムがトコトコと歩き出し……オボンの実を取り出すために地面の上に置いていた私の荷物をゴソゴソと漁り出したかと思うと
そっと……的確にモンスターボールを1個取り出してみせた。

アーシェ:「ミブリム!?お前、それが何をする物なのか、理解できてんのか!?」

私の驚きが混じった問いに対し、モンスターボールを持ったミブリムが可愛らしく微笑む。

メゼス:「まさか……いくらエスパータイプのポケモンが賢いとはいえ、こんな光景を見ることができるなんて……ビックリです。」
アーシェ:「うん。私も正直、驚いてる。」
メゼス:「とはいえ、どうやらミブリムちゃんは、アーシェさんの気持ちをちゃんと汲み取ってくれたようですね。アーシェさん、次は貴女がミブリムちゃんの気持ちを汲み取ってあげる番ですよ。」
アーシェ:「あぁ……そうだな。」

私はミブリムが持っていたモンスターボールを、そっと受け取る。

アーシェ:「今日から私達は仲間であり、友達だ。これからよろしくな、ミブリム!」
ミブリム:「 (〃 ^ ∇ ^) 」

モンスターボールの開閉ボタンをそっと優しくミブリムの頭……額?に押し当てると私の手の内でボールが開き、ミブリムを瞬時に吸い込み
再び閉じてからしばらくの間カタカタと揺れ動いていたが、カチッと音を立てて動きを完全に停止した。

アーシェ:「ふふっ、ミブリム、ゲットだぜ!」
メゼス:「おめでとうございます、アーシェさん。」
アーシェ:「ありがとう、メゼス。」

この森を訪れる度、仲間が増えているような気がする……
まぁ、何にせよ新しい仲間が増えることは純粋に嬉しいな。

他のポケモン達同様、このミブリムも大事に育ててあげよう。

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想