43.リアリティーがありすぎるトレーナー

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読了時間目安:4分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「あの、すいません。今、いいですか?」
「え? あ、はい」
「今、時間とかって大丈夫な感じですか?」
「あ、バトル……ですか?」
「あ、バトル、はい。バトルお願いしたいんですけども」
「あー、えっとはい。一応この後、予定あるんで」
「あーすいません。今忙しい、ですかね?」
「あ、まあ一応、はい、一対一とかなら、大丈夫です」
「あ、本当ですか。ありがとうございます」
「はい」
「……え?」
「え?」
「あ、大丈夫ですか?」
「はい。大丈夫です、はい」
「えっと、じゃあ、どうします? このあたりでバトルで、いいですか?」
「あ、まあ、そうですね。このあたり……このあたりでいいですか?」
「このあたり……そうですね、このあたりで、いいですかね?」
「あ、いいですか?」
「……じゃあここで、やりましょう。お願いします!」
「あ、お願いします!」


「いやあ、昨日雨あれですね、すごかったですねー」
「すごかったですよね雨。昨日めっちゃ降ってましたもんね」
「途中なんか途中、雷も鳴っていたらしいですよ」
「え、マジですか。雷鳴ってたんですね雷も」
「あ、そこ濡れてますので、もうちょい右、移動した方がいいですよ」
「え、濡れ……あ、濡れてますね。ありがとうございます」
「あ、うん?」
「え? あ、大丈夫ですか?」
「あ、なんでもないです。キズぐすりの、ゴミみたいなのが落ちてたんで」
「あ、はい」
「えっと、じゃあ、やりますか?」
「あ、やりましょう。えっと、どうします? ポケモン出す順番とかって」
「あーまあ、じゃんけんで決めますか。じゃんけん、で」
「じゃんけんで、はい。えっと勝った方が、えっと、あれですか?」
「えっと、勝った方が、そうっすね、後からポケモン出せる、感じですね?」
「そうですよね。後から出した方が、有利なんで。あ、分かりました」
「あ、じゃあいきますか」
「はい」
「最初はグー、じゃんけんポン」
「最初はグー、じゃんけんポン」
「あ……すいませんタイミングがずれて」
「タイミングが、ははっ(笑)」
「もう一度、いきますか」
「はい」
「最初はグー、じゃんけんポン」
「最初はグー、じゃんけんポン」
「あ、えっとこれはあれですね。自分が後から、出す感じですね」
「そうですね勝った方が後に、なんで、はい。じゃあ自分から先、出します」
「はい」
「じゃあ、とりあえずあれですか。一旦、離れますか」
「そうですね、離れた方が、はい」


 数分後。

「あ、バトル、ありがとうございました」
「はい。ありがとうございます」
「え? あ、大丈夫ですか?」
「はい? あ、大丈夫です」
「はい。えっと、じゃあ、賞金とかって、大丈夫ですか?」
「あ、はい、賞金ですね」
「あ、すいません」
「えっと、今所持金が3500円なので、半分だと1750円なので、1800円でいいですか?」
「え?」
「え? あ、ん、いや、あれだと思ったんで」
「あ、いや別に、1700円でも、全然大丈夫です。はい」
「ん?」
「1700円で、はい、大丈夫です」
「大丈夫ですか?」
「はい」
「あ、じゃあ1700円。はい、こちらで」
「はい。1700円。はい。ありがとうございます」
「はい」


「……」
「……」
「……」
「……」
「昨日あれでしたね。雨、すごかったですね」
「あ、すごかったですね、雨」
「今日夜また、降るらしいですよ」
「あ、そうなんですね。じゃあ自分、そろそろいきますね」
「あ、はい。すいません、こんな、急いでるときに」
「いえいえ、とんでもない。ありがとうございました」
「ありがとうございました。お気をつけて!」
「はい?」
「あ、お気をつけて」
「あ、はい。じゃあ、はい」
「ありがとうございました」


 数分後。

「あいつバトル負けてから機嫌悪くなったな」

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