気高く命燃やせ

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:3分
「なっ、バシャーモ!?それならルージュラ、サイコキネシスだ!」

相手のルージュラが、超念力をバシャーモに向けて放つ。しかし、バシャーモはそれを正面で受けて、平然とした表情で立っていた。そしてこちらにチラッと振り向き、お互いにコクリと頷く。おそらく得意のブレイズキックを使っていいか?という合図だ。
シウバは膝を曲げた直後、驚異の瞬発力で相手に近づき、左に回転しながら左の回し蹴りをルージュラの胴体に決める。ルージュラは10mほど吹っ飛び、腹にシウバの足跡をつけたまま戦闘不能になった。

「な、何なんだよその強さ…。こうなったら、相性で有利なコイツで倒してやる!」

そう言って相手が出したポケモンは、みず・エスパータイプのゴルダック。確かに相性で見ると一番適しているポケモンだ。しかしそれでも、シウバの表情は変わらない。そう、エースはどんな相手でも真っ向勝負!

「タイプ相性なんか気にすんな!このまま一気に決めろシウバ!」

「あ、後が無いのは向こうも同じだ!お前の全力を叩き込めゴルダック!」

互いに切り札のポケモンを投入して、力の限り戦い抜く。そこにポケモンバトルの真髄があると、俺は推測している。
先手はシウバから始まり、得意の回し蹴りをゴルダックの腹に叩き込もうとする。しかし相手のゴルダックは、額の宝石を輝かせて、超念力によってシウバを指でクイッと弾き飛ばす。そしてそのまま地面に叩きつけられ、小さな地震でも起きたかのように地面が揺れる。

「フフ、さっきまでの勢いはどうした!?僕のゴルダックの超能力を甘く見るなよ!」

相手トレーナーの煽りを無視して、俺は仰向けになって倒れているシウバに近づく。幸いにも大きな傷は負ってないようだが、少し複雑な表情をしているように見える。

「シウバ…やっぱり手加減していたのか?」

まだ温まってない体に手を置き、俺は静かな声音で問いかける。天を見上げたまま、シウバはコクリと頷く。

「久しぶりのバトルだもんな、お前なりに勘を取り戻そうと頑張ってくれたのか。…大丈夫だ、お前はいつも通りに全力で戦ってくれればいい。いざとなったら俺が何とかする」

その言葉を聞いた瞬間、シウバの顔から笑みがこぼれた。それはまるで、ずっと没収されていた面白いゲームを、再び遊べるようになった時のような興奮の感情。置いていた手からも熱が戻ってくるのを感じた。

「そうだ、お前は何も悩む必要はない。
内に秘めた感情を爆発させろ!全身の血肉を熱く燃えたぎらせろ!
自分こそが最強なんだと証明させろ!」

「ウゥッ、シャアァァァァ!!」

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想