51話 水の試練

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「ふぅ~、なんとか間に合ったな」
「危なかったねー」

ハルキ達が試練を行った場所から遊覧船に戻ってきたのは、ちょうど船が汽笛をならして出港する直前であった。

「何はともあれ無事に戻ってこれたわけだし、今は1つめの試練を突破できた事を喜ぼう」
「そうですね!」

ヒビキは首から下げたペンダントの中を開くと、いくつか存在する小さな窪みの中の1つに赤い宝石が填まっているのを確認し、微笑んだ。

「しっかし、この宝石手に入れたはいいけど何に使うんだ?」
「う~ん、そうだね...ヒビキ、何か試練が始まる前と変わった事とかある?」

ハルキの質問にヒビキは自分の体のあちこちを見回し、耳や尻尾を動かすなどして変化がないか確かめる素振りを少しした後、困り顔で「とくにないです」と答えた。
さすがにそんなにわかりやすい変化はないか。
手っ取り早い方法として、あの試練をしきっていた謎の声に質問すればわかりそうだが、答えてくれる保証はない。
最悪、宝石の効果は試練が終わってから確かめるでもいいだろう。

「とりあえず、次の島は特に何もないみたいだけど、どうしようかー?」
「そうだなー...次は西の小島と同じで試練はないみたいだしなー」
「どうしましょうか?」

ヒカリの言葉にアイトとヒビキは普通に応答してはいるが、2匹とも明らかに疲労の色が顔に浮かんでいた。
炎の試練は体力勝負って感じの試練だったし、試練に挑戦していたヒビキの疲労は当然だし、アイトもヒントを伝えるためにかなり集中して技を放っていた。
次の試練までに、少しでも万全な状態で挑めるよう、次の小島では、島をぐるっと回らずに船の近くでゆっくり過ごすのもいいかもしれない。

「あのさ、ちょっと提案なんだけど....」

ハルキは、先ほど思ったことをみんなに伝えた。
全員、ハルキの意見に賛成したので東の小島は観光するよりも、浜辺でゆっくり休むことにした。
方針が決まったところで、ちょうど船は東の小島に到着し、ハルキ達は他の観光ポケモンと一緒に船を降りて、浜辺の手頃な場所に腰を下ろす。
ちなみに、ヒカリは「私は少しその辺を見てくるねー。 すぐ戻るからー」と言って、他の観光ポケモンと一緒にどこかに行ってしまった。
まあ、そこまでヒカリは疲れるような事はしていないと思うし、好きにさせといても問題ないだろう。

「次はどんな試練なんですかね?」
「さあな。 でも、さすがにまた壁を砕くような内容は無いと思うぞ」
「それに、さっきの試練は炎の試練って言っていたし、試練のテーマによって内容も決まっているみたいな口ぶりだったから、同じ内容が連続して来ることは無いはずだよ」

炎の試練があったと言うことは、必然的にその反対の属性である水の試練もありそうだ。
炎は熱い心(ハート)で壁を砕けという内容でまさしく炎の試練らしい内容だったが、まさか水の試練でも同じ文句を使ってくるとは思えないし、そもそも同じ内容を行うのだったら、試練を行う島を分ける必要がない。

「ま、実際に受けてみればどんな内容かわかるだろ」
「そうですね! 考えていても仕方ないです」

アイトの言葉に答えた直後、ヒビキは1つ大きなあくびをした。

「まだ時間はあるし、少し寝てもいいぞ。 この後、連続で試練があるんだ。 体を休めるのもヒビキの役目だ」
「そうですか? それなら、そう...させてもらうですぅ....」

ヒビキは眠そうな声でアイトに答えるとすぐに、コテンと砂浜に体を投げ出し、そのまま静かな寝息をたて始めた。
炎の試練で連続して技を使った疲労感もあるだろうが、始まる前からずっと気を張りっぱなしで、精神的にも疲れていたのだろう。
ちょっとどころか、徹夜明けレベルの早さで寝てしまった。

「こっちの世界は向こうと違って、なんだか時間がゆっくり流れてるような気がするよな」
「....そうだね。 向こうでは、のんびりとした時間なんて滅多にとれなかったからね。 きっと、僕達が忘れちゃっていただけで、向こうの世界にもこういう時間は合ったんだと今は思うよ」
「....なあ、ハルキ。 その.....俺達の事なんだけどさ」
「ヒビキに話すかどうかでしょ? それは僕も考えてた」

穏やかな顔で眠るヒビキの顔を見ながら、二人は同じ事を思い出していた。
それは、ヒビキが熱を出して寝込んでいたときにチラッと見てしまった日記の内容。
実はハルキも少し読んでしまっていた。
ヒビキには悪いと思いながらも、唯一同じチームでハルキとアイトの最大の秘密を知らないヒビキには、自分達がどのように映っているのか気になってしまう。
そして、ヒビキの日記の内容はハルキ達が何か隠している事にすでに気づいていながらも、ハルキ達から言いだすまで、待っていてくれるといった事が書かれていたのだ。

「ヒビキはさ...バカみたいに素直で、小さな事でもすぐ嬉しそうに笑う純粋な奴だからさ.....上手く誤魔化せてるかなーとか思ってたけど、やっぱり誤魔化しきれてなかったんだな」
「むしろそんなヒビキだからこそ、気づいたんだと思うよ。 ....でも、僕達を微塵も疑わないで待っていてくれてる」
「...試練が終わって一段落したら、どこかで俺達の話をちゃんと伝えないか?」
「....うん。 僕もそうしようと思ってた」

ハルキとアイトが寝ているヒビキを優しく見守りながら、そう静かに決意した。

「おーい!ハルキー」

するとそんな和やかな雰囲気を崩すかのような大きな声で、ヒカリが手を振りながらこちらに走ってきているのに気づいた。
ヒビキを起こすといけないので、僕は慌てて立ち上がると、まだ距離のあるヒカリの元に走って向かった。

「しーっ。 今、ヒビキ疲れて寝てるんだよ」
「あっ、そうだったんだ。 ごめんね」

ヒカリは慌てて声を小さくした。
ハルキはチラリとアイトに視線を向けると、アイトは親指と人差し指で丸を作り、ヒビキは起きなかったことを声に出さずに伝えてくれたのを確認すると、再び視線をヒカリに戻し、なんでそんなに大きな声で名前を呼んでいたのか尋ねる事にした。

「それで? どうかしたの?」
「ああ! さっきねー、観光しているポケモンと仲良くなった時にこれもらったんだー」

ヒカリは鞄から小さなカメラを取り出して見せる。

「そんな高そうな物、貰っても大丈夫だったの?」
「新しいのに買い換えて持て余してたんだってぇー。 それに、ハルキが思っているほどこっちの世界のカメラは高くないよー!」
「えっ、そうなの?」
「うん! 安いのだと500Pぐらいで買えるよ!」
「うわっ、確かに安い!」

てっきり、結構な値段がすると思っていたのだが思わぬ安さにハルキはビックリした。
500Pと言えば、人間の世界で言うところの500円相当だ。
ほぼ使い捨てカメラのような値段でちゃんとしたカメラが買えると考えると破格の値段だろう。

「やっぱり、本とか作るときに必要な技術だったから発達するのがたぶん早かったんだろうねー」
「なるほど。 てっきり、ドーブルとか絵を描くのが得意そうなポケモンが本とかの挿し絵は描いているものだと思ってたよ」
「あはははー、そんな方法は昔だけだよ! それにその方法だけじゃ、いつまでたっても本は普及しないし、ドーブル達がいくらいても足りないよー」

笑って答えるヒカリの言うとおりだ。
レベルグの救助隊ギルドの資料室に合った本でも結構な数はあったし、町でも本は普通に売られているのを見かけた。
それだけ普及しているのだから、当然カメラの普及率が高いのも当たり前だろうし、きっと印刷技術も結構発展しているのだろう。
ポケモンの世界は僕達のいた世界と比べると、藁で眠ったり、果物が主食だったりと、少し野性的な暮らしなので、近代的な道具とは無縁かと思っていたけど、実際のところはそうでもないのかもしれない。

「だからさ! せっかくだし写真をとろうよー!」
「それはいいけど、今はヒビキが寝ているし後ででも...」
「この瞬間は今しかないんだよ! ハルキ! ヒビキが寝ていて、この穏やかな空気はきっと今だけなんだ! だからいいでしょ?」
「そ、そこまで言うなら...」

妙な気迫で目を輝かせながら食い下がるヒカリに押されて写真を撮ることに渋々同意したハルキは、ヒビキを起こさないように事情をアイトに小声で伝えると「まあ、いいんじゃね?」ということで、僕達は寝ているヒビキと一緒に写真を撮った。
後に、ヒビキが「なんで起こしてくれなかったです~!!」と自分の寝ている姿が写った写真を見ながら、恥ずかしそうに怒るのだが、それはまた別の話。

挿絵画像


――――――――――――――――――――

そんなこんなで東の小島を後にした僕達は、次の試練がある南東の小島の洞窟内に来ていた。
ヒビキは寝たことで多少、体力が回復したのか元気そうだ。
北の小島同様、地面に星の模様が描かれていたので、再びヒビキに乗ってもらい、扉を開けて僕達は試練が行われる空間へと足を踏み入れた。
入ったと同時に入り口が閉まるところまでは同じだったが、部屋のライトアップされる色が青色の光に変わっていて、内装も所々、微妙に変わっている気がした。

『待っていたぞ。 ペンダントに選ばれし者よ。 ここは水の試練。 静かな心で、どんな時でも冷静に本質を見極める力があるか試させてもらう』
「わかったです!」
『いい返事だ。 それでは水の試練、開始だ!』

声が言い切るのを合図に、どこからともなく、 赤色・青色・黄色の扉がそれぞれ現れた。

『赤い扉、青い扉、黄色い扉に出口がある。 この中から出口を選択して開けることがこの試練の内容だ。 そして、今回は試練に関する質問は禁止にする。 以上!』
「だとよ。 どうする?」
「どうしよっかぁー?」

ヒビキは3つの扉を見ながら、どれが正解なのか考える。
しかし、色以外の見た目はいたって普通の四角い扉。 見た目だけで判断するのは無理だとわかると、困り顔で僕達の方を見る。

「う~ん......む、難しいです」
「1人で考えなくても大丈夫だよ。 謎の声の言った通りなら、僕達が話し合うことは今回、禁止されてないから、堂々と協力して正解を探せって事だと思うよ」
「そうだな。 とりあえず気づいたことがあったら何でもいいから挙げていくか」
「赤! 青! 黄! 3つの扉です!」
「あ、ああ....それはもうわかってる。 ありがとな」

自信満々に言うヒビキに苦笑いをしながら答えるアイト。
だけど、確かにこの3つの扉は色以外に大きな違いは見受けられない。
だからといって、単純に水の試練だから青い扉なんて事もないだろう。

「色の扉とか言ってるけどさー、この空間自体が、さっきと違って青っぽい光で照らされているし、全体的に青みがかかって見えるから色は大した問題じゃないと思うよー」
「でもよ、色以外に手掛かり無くないか?」
「ですです」

ヒカリの意見にアイトが疑問を示し、ヒビキもアイト同様、それ以外の手掛かりは無いと同意する。

「そうかなー? 私は関係ないと思うんだけどなー」

ハルキはアイト達と話しているヒカリの視線が一瞬、こちらに向いたような気がした。
ヒカリは何かに気づいているのかな?
だとしたら、何で言わないんだ?
この試練は話し合いすることを禁止されてない。 言えない何てことはないはずだし、僕の考えすぎかな?
ハルキは気持ちを切り替えて、試練の内容を再び考える。
目の前にあるのは色以外に、違いがない3つの扉。 この中に出口に通じる扉があってそれを見つけることがこの試練の内容だ。
冷静に本質を見極める力があるのか確認するとも言っていた。
炎の試練と同じならどこかにヒントが隠されているはずだが、まったくわからない。
ハルキが考えている間、アイトとヒビキは扉を触ったりして、色以外の違いがないか探っているみたいだが、表情からして結果は良くないみたいだ。

「ったく、この扉に他の違いなんかあるのかよ.......強度か? 強度なのか?」
「ちょっ! 落ち着いてくださいアイト君! 壊したらダメですよ~!」
「あ、わりぃ。 そこ考えてなかったわ」
「も~う! 冷静に本質を見極める試練って事忘れちゃダメだからねー」
「わ、悪かったってー」

扉に向かって攻撃をしようとしたアイトをヒビキが慌てて止めにはいった。
どうやら壊れる可能性をすっかり考慮していなかたったようだ。
ヒビキとヒカリの非難の視線に、アイトは苦笑いを浮かべながら謝っていた。
まあ、さっき炎の試練でとんでもない強度の壁を見た後じゃ、壊れるという可能性が思考から抜けるのも仕方ないのかもしれない。
ただ、これはヒカリの言うとおり水の試練で本質を見極めるって事を忘れちゃ駄目だよね。

「ん? ....本質を..見極める? まてよ、もしかしたら..ぁあああ!」
「うわっ! な、なんだよ急に...」
「ビックリしましたよ。 どうしたんですか? ハルキ君?」

さっきから夢中で考えていたハルキが突然、大きな声を出したのでみんな驚いたようだ。
その結果、全員の視線を集める事になったが、どうせみんなに声をかけようと思っていたかし、むしろ好都合だ。

「わかった! わかったんだよ!」
「何がだよ?」
「答えだよ! 答え!」
「本当です!?」
「うん。 僕達が調べなきゃいけない扉はまだあるじゃないか!」
「それってこの3つの扉以外にか? そんな扉どこにあるんだよ?」
「あれだよ! あれ!」

ハルキは興奮ぎみに入り口を手で示した。

「はぁ? 確かにあそこは、俺達がここに入る時に通ってきたけど、あれを扉って言うのは無理がないか?」
「そうです。 扉と言うより門に近い感じがするです」
「......あー、そういうことねー」

ハルキの意見に納得のいかない2匹とは別に、ヒカリは少し考えると何かに気がついたような反応をした。

「ヒカリちゃん、ハルキ君の言っている意味わかったんです?」
「まーねー。 フッフッフッ~、本質を見抜く事が大事なんだよー」
「なんか腹立つ言い方だなー。 で、答えはなんなんだよ?」
「僕が言ってもいいんだけど...これはヒビキの試練だから、ヒビキが最後の答えを見つけた方がいいかもしれないね」
「わ、わたしがです?」
「そうだねー。 私とハルキがヒント教えるからそれで答えてよ! もちろん、アイトもね!」
「わかったです!」
「ま、それが妥当なところか」

ということで、アイトとヒビキに僕とヒカリがヒントを与えて答えてもらうことにした。 僕が種明かしをしてもいいんだけど、なるべく自力で答えに辿りつくのが試練の形式としても正しいだろう。

「ハルキ君は入り口を調べろって言ったです。 つまり、それが最初のヒントというわけですね」
「じゃ、調べにいくか」
「チッチッチィ~、あまいよアイト。 今、考えるべきなのは何でハルキが入り口を調べてと言ったかだよ」

入り口に向かおうとしたアイトを小バカにしたような態度でヒカリが人差し指をたてながら呼び止めた。
その態度にムッとした表情を浮かべながらも、アイトはその場に座り込んで腕を組んで考え始めた。
その隣では、ヒビキも座りながら顎に片方の手を当てながら考えている。

「くっそー、ヒカリは解けてるから余裕ってわけか。 絶対に解いてやる!」
「わたしだって、解いてみせるです!」

「..........でしょ?」
「うん。 僕もそう思ったんだ。 だから入り口を調べる必要があると判断したんだ」
「だよね! さすがハルキ!」

アイトとヒビキが考え込んでいる間にヒカリが耳打ちで、ハルキに推理の内容を伝えて、その結果がハルキと同じことに嬉しそうなヒカリとは対照的に、考えてはいるがやはり見当もつかない2匹は依然と難しそうな顔をしているので、ここでヒントを出すことにした。

「ヒントは答えをもうみんな知っているってことかな? 謎の声が何て言ったか思い出せばわかると思うよ」
「本質を見極めるんだよー」
「本質ったって、3つの扉に出口があるからそれを選べって話だろ? 全然ピンと来ないんだが...」
「....あっ! もしかして…」
「おっ、ヒビキもわかったみたいだね」
「マジか..」
「あんまり自信はないですけど…」
「ちょっと小声で教えてよー」

自信なさげの表情でヒビキがヒカリに耳打ちをすると、ヒカリは笑顔で「せいかーい!」と答えた。

「うわっ。 俺、全然わかんないんだけど…」
「じゃあ、もうひとつヒントを言うよ。 アイトが考えている間にヒカリとヒビキはあれ探してきてくれないかな? たぶん、入ってきた時と同じ感じであると思うから」
「わかったー」
「了解です!」

2匹揃って仲良く敬礼のポーズをとると、入り口に向かって走っていった。

「それで、ヒントってなんだよ」

2匹が走り去るのを見届けると、アイトが不機嫌そうにハルキに聞いてくる。
おそらく、自分だけが解けなくて取り残されているのが不満なのだろう。

「ヒント、というかほぼ答えに近いけどこの試練はただの言葉遊びに近いんだよ」
「言葉遊び?」
「わかりやすく言うと、ひっかけ問題とかの部類だね。 謎の声は『赤い扉、青い扉、黄色い扉に出口がある。 この中から出口を選択して開けることがこの試練の内容』って言っていたよね?」
「ああ、確かそんな感じだったな」
「この内容の時点で、赤・青・黄の扉以外にも選択肢があるんだよ。 しかも、ご丁寧にそれを選択して開けろって言ってる。 ここまで言えばわかるよね?」
「赤、青、黄の扉に出口があって、出口を選択して開けろ...出口を選択して....ぁああああっ! まさか!?」

どうやらアイトも答えにたどり着いたみたいだが、その表情はやはりと言うべきか釈然としていなかった。

「そう。 この試練は赤・青・黄の扉、それ・・に出口がある。 しかも、出口を選択しろと指定までしてるんだよ。 じゃあ、出口はどこかってなるけど、炎の試練をした僕達がどうやって出入りしたか考えたら答えはすぐに出る」
「うっわあー! 完全に小学生のなぞなぞレベルの問題じゃねぇか! やられたわ…」
「おーい! ハルキー! アイトー!」
「あったですよー!」

アイトが頭を抱えて叫んでると、ちょうど探していたものが見つかったようでヒカリとヒビキが大きな声で僕らを呼んだ。
僕が探して欲しいと頼んだもの――それは、入るときにヒビキが毎回乗る必要のある星形模様だ。試練の内容からして、きっと内側にもあると思い、探してもらったが予想は的中したようだ。

「ここです!」

ヒカリとヒビキの元に向かうと、入ってからすぐ真横の角の地面に、入る時と同じような星形模様があった。
さっそく、ヒビキがその上に乗ると地面の星形模様が青く輝き、入り口の扉が音をたてながら横にスライドして開き、出口が開いた。

『よく隠された真実を見抜いたな! どんな時でも冷静に本質を見極める事こそ水の試練で求められることだ。 クリアおめでとう! 突破した証にこれを受けとれ』

すると、炎の試練と同様にどこからともなく青い宝石がヒビキの目の前に現れ、
【ジュエルペンダント】の中に吸い込まれていった。

『その宝石の名前はサファイア。 ルビーと合わせて、君の助けになってくれるはずだ。 次は南西の島の試練だな。 楽しみに待っているぞ!』
「はい!」

ヒビキが姿すら見えないその声に元気に返事をして、僕達は出口へと向かって行った。
こういう言葉遊びって、簡単そうに見えて難しいですよね~

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