ようこそ非日常の世界へ・・・えっ?

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「・・・・吉井さーん?郵便でーす!留守ですかー?」

おっ・・・・?郵便局員が配達していると言う事は・・・・あー・・・やっぱりもう9時30分かぁ・・・昨日色々な所に確認とかの電話してたら深夜に突入してしまったしテレビの内容がおもしろくついつい夜更かししちゃったんだよなぁ~・・・寝ようと思って布団の中に入ってもカフェインの取り過ぎで絶賛深夜テンションでハイテンション!!その結果よく眠れなかったし・・・それよりも何だろう?書留か?それともゆうぱっくかな?対面なら多分書き留めかなんかだろう・・・判子はどこだったかな?

「はーい・・・お待たせしましたー・・・・はぁ!?!?!?!?!」

僕はまだ寝ぼけているのだろうか・・・何故目の前に郵便局のバイクヘルメットを被ったリザードンがいるんだ?それよりおかしいだろ・・・なんで帽子じゃ無くてメット被ってるねん・・・えぇ・・・ってそんな単純な事よりもなんでポケモンが配達してるの・・?えっ?コレって夢ですか?現実ですか?・・・残念な事に目の前にアコードが居ると言う事は夢じゃ無くて現実か・・・普通は人間が配達するもんじゃないの?なんで?えっ?ちょっと頭が追いつかない。ここは異世界か何かでしょうか?遂に異世界へと足を突っ込んでしまったのでしょうか?・・・・もうポケモンが居る時点で片足突っ込んだようなもんだけどね。

「やっぱり驚きますよね・・・・こんな姿で配達してるのって・・・でも何故か俺もポケモンになっちゃいましたし・・・それに働かないと食っていけませんから・・・驚かせて申し訳無いのですが、ご了承下さい。」

「きぃやぁぁぁぁぁぁ!!!喋ったぁぁぁぁ!!!!!リザードンが喋ったぁぁぁ!!!!」

「あぁぁぁ!!!だからそんなに驚かないで下さいって!本当元人間なんで喋れるだけかもしれませんから!!危害加えませんから!!大丈夫ですから!!」

いやいやいやいや・・・大丈夫ですからまるで済む話じゃないでしょ・・・それ・・・それよりもそんな尻尾に炎が灯ったポケモンなんてはがきとかの可燃物を運ぶ郵便配達したらマズいでしょこれ・・・っと言うよりも映画とかではリザードンじゃなくてカイリューが配ってなかったか?・・・ってそれよりもポケモンになった人間を働かせてるって事?郵便局は。ある意味度胸あるな・・・あの企業・・・

「ここに判子かフルネームでサインをお願いしたいのですが・・・。」

はいはいはい、判子押せば良いんでしょ?はい押したよ、なんか理解が追いつかないからもう帰って・・・酷く疲れた・・・・。

「ありがとうございましたー。」

そう言うと配達証を鞄の中に入れ、別の郵便物を手に持ち空へとそのリザードンは飛び立っていった。・・・えぇ・・・もうここの世界は以前までの日本では無いのだろうか・・・あんなポケモンがうじゃうじゃ居るようじゃとてもじゃないけど平常運転とは言い難いんですけど。

「どうかしたの?・・・そんな青い顔して・・・えっ?リザードンが郵便配ってたって?・・・嘘だぁ・・・。」

「いやいやホンマって。それにしてもここ数日でこの日本はどうなってるんだ・・?昨日の吉井家塀破壊事件と言い急にポケモンが身近に現れてきたぞ・・・?今日はちょっと周りがどうなっているのか車を走らせてみるか・・・。」

「そう・・・じゃあ私は家に居るね・・・車に乗るのも結構キツいし留守中にポケモンに家を荒らされても困るからね・・・。」

「それもそうだな・・・っと誰からだ?・・・はっ?旅行先からのお手紙・・・?んなもん書留で送ってくんな!!」

一旦朝ご飯食べてからちょっと2時間程度車を走らせてみるか・・・リザードンが郵便配達していると言うとなると・・・こりゃよく分からない事になってそうだな。


朝食を食べた後に軽く身支度をした後、アコードのエンジンを掛け軽く暖機運転をする。昨日のあの騒ぎの時は暖機運転なんてそんな事せずに急発進したからなぁ・・・車に良くないんだよな・・・ああいう感じで走らせると。ガソリンはおおよそ半分のちょっと上、帰りに満タン入れておいた方が良いだろうな・・・マフラー音がちょっと煩くて福岡の家じゃ近所迷惑かな?と思ったけど、隣家との感覚がそこそこ離れているここならば別に何も支障はなさそうなのにな・・・やっぱり都会は暮らしにくい。

「はい、気をつけてね・・・みんながみんな私みたいな穏やかなポケモンとは限らないから・・・・何かあったらすぐに逃げる事。良い?」

アキは僕の母ちゃんかよ・・・それ位分かってるよ。・・・・水温計も上がって来たな・・じゃあ出発するかな。僕は軽くアキに頷くと運転席に座りギアを入れる、そしてゆっくりとクラッチを繋ぐと道路へと繰り出した。

さて、まずは何処辺りから行ってみようか・・・水道町あたりに行ってみたらあらかた何か分かるかもしれないからまずは町の中心部に行ってみよう。


水道町交差点は何時もよりも車の数が少なかった。歩いている人も数人・・・しかし、ポケモンが特に何食わぬ顔で歩いているのを見るともうこの世の中はポケモンの世界に支配され始めているのでは無いかと感じる程だ。車の中で流していたテレビ番組では相変わらず避難情報だったり感染症対策センターの会見だったりと忙しなく進めていた。これは昨日とほぼ同じだ。

「こりゃ・・・何が何だか分からないぞ・・・・?それよりも大分話が分からなくなってきた・・・一体誰が何の為にこんな事をしているんだ?・・・仮に誰かがウイルスを撒き散らしたとしても全くその動機が分からない・・・うーん・・・?」

百貨店や繁華街に面したお店は軒並みシャッターを下ろしている所を見ると暫くは開ける予定は無いのだろう。熊本市役所の近くには警察車両が多く止まっているとなると県警本部と市役所が対策本部って感じかな・・・それにしても木とかに止まっているスバメとかの鳥ポケモンの多い事多い事・・・コレはもう乗っ取られていると言っても過言じゃないな。しかしそれ以外は特に何も変った事はなくごく普通の町並みだった。

「特に収穫は無しか・・・宇土の方に回ってから帰るとするか・・・・っとその帰りに何日か分の食料と水を買っておこう。それにガソリンも満タン入れておくことにしよう。・・・考えたら会社どうなったかなぁ・・・今日の昼過ぎに電話してみて確認しないと・・・課長に怒られちゃう~。」


「うわ~・・考える事はみんな同じかよ・・・」

家からそこそこ離れた大型ショッピングセンターには入りきれない位の車と人が押し寄せていた。併設されているガソスタにも長蛇の列が出来ていてコレは全て終るのに何時間かかるのか分からない位だ。

「しゃーない・・・もうちょっと少ない場所を探すか。どのみちもうあの店には商品なんて数える位しか無いだろうしな。」

しゃーない・・御船周りで帰るとするか。相変わらず九州道は死んだままか・・・コレだと暫く混乱は落ち着かないだろう・・・うーん・・・おっあのガソスタ空いてるな・・・でもやっぱりこの車にはV-POWERだけと決めてるからシ〇ルで入れよう。

「アカンなぁ・・・九州道が死んでるから全部こっちに回ってきてる。」

九州道が長時間通行止めなのを受けて配送のトラックや移動する車で国道443号は大渋滞が発生していた。それに平行する形で県道28号等の主要県道も渋滞を避けようとした車が軒並み押し寄せそちらもまた大渋滞が発生していた。

「付いてないなぁ~・・・コレなら九州中央道で一旦山都に抜けてから国道265号高森経由で帰った方が良いかな・・・距離もえげつない位増えるけどこの調子だともう全く動かないな・・・。」

仕方ない・・距離はかなり増えるが僕は九州中央道で山都町へと向かい高森に抜ける事にした。

途中山都町にあった商店ではそこまで人が居なかったのでそこで食料を調達した後に一気に山を越えてしまう。国道265号を通ってまで迂回する人はそう居なかったのでとても順調に走る事が出来たが、それでもトラックや警察車両などが多く行き交い普段は静かな国道がやや騒がしかった。そして途中の大津町内のガソスタでガソリンを補給した後一気に家まで帰り着いた。

「やれやれ・・普通だったらあそこから30分か40分で着けるのに3時間掛かったわ・・・もう14時か・・・やっぱり時間掛かったな・・・早い所車から荷物下ろしてゆっくりしよう・・・。」

・・・・ん?なんで玄関の扉がちょっと開いた状態になってるんだろう?アキが外に出てるのかな?・・・・?

「おーい、アキ?開けっ放しで外にいるなんて無用心にも程があるぞー?・・・?返事が無い・・・誰もいないようだ。」

僕は取り敢えず買った物を車に置きっ放しにし、家の中へと入ってみた。うーん・・・特に荒らされた形跡は無いけど・・・ん?なんでこんなにリビングだけがちょっと荒れてるんだろう・・・?出掛ける前までは特に散らかってなかったが・・・?リビングの窓が開いている・・・まさか!!!

「おい!!アキ!どこだ!?居るなら返事してくれ!!」

その問いかけに帰ってくる言葉は無かった。
夏終了のお知らせ(まだ早いかな?)

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