そうか、そういう奴もいるって事だな。

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おぉぉぉぉぃ!何人ん家の塀を勝手に豪快に壊しとるねん!!何ストレス発散みたいに豪快に壊しとるねん!!こちとら壊されるような事した覚え一切無いぞ!!それよりもお前は一体どこのどいつやねん!僕の知り合いや同級生にはそんな大柄でゴツゴツした奴は居なかったぞ!!それよりも壊した塀どうしてくれるねん!弁償ちゃんとせえよ!!

・・・・そんな事思っても相手には伝わらないか・・・あぁ!!アコードが危ない!!ああー!!さっきの内にやっぱりガレージに入れておくべきだった!!このままだとマズい!!急いで助けに行かなければ!!でもあいつコワイ!めっちゃコワイ!何されるか分からない!!でもこのままだと本当に車を壊される!!それだけはヤバい!避けなければ!!

「鍵は持ったな・・・そして・・・あいつが壊している塀から車までは大体15メートルは離れている・・こっちからは大体5メートル・・・全力で走ればどうにかなるか・・・。」

それに今は塀を壊すことに夢中になっているからな・・あのデカい奴・・・あいつがああやっている内に車の中に乗り込めれば何とかなる・・・・!!めっちゃコワイですけどねー。じゃあ1,2,3で行こう・・・

「1・・・2・・・3・・・行くぞ!!」

僕は勢いよくドアを開け放ち車へと全速力でダッシュ!そしたらあいつも塀を壊すのをやめて何故かこっちに向かって走ってきた!!!!んなの聞いてないよー!!このままだと明らかに体格差でやられる・・・!!しかし放っておくと車も家もやられかねない!!うおー!!!もうこうなったらどうにでもなれだー!!

あのデカい奴との距離が大体10メートルとなった所でいきなり後ろから滝のように水が降ってきた!!何コレ!!誰かがホースで勢いよく水を出してくれているのか!!・・・おお!!でもコレであいつがひるんだぞ!しかもあいつに水は確か効果抜群だったはず!!

「誰かは分からないけどありがとー!!めっちゃ助かったわ!!!」

よし車に辿り着いたぞ!!急いでキーを差し込みエンジンを始動!!そしてギアを1速に入れて勢いよくクラッチを繋いだ!!うぉ!!急発進してしまったじゃないか!!しかも目の前には壁!!!ヤバい!!!

キュルルルルル!!!!!

タイヤのスキール音を響かせながら車は曲がっていく。その瞬間、僕は見てしまった・・・2階の窓から水鉄砲のようなハイドロポンプのような先程助けられた滝のような水の出所を・・・

「・・・・アキ・・・・だったのか・・・・確かにルギアはハイドロポンプを使えたと思うが・・・技も使えるのかよ・・・っと!その前に車を安全な場所に避難させなければ!!」

あいつらはどうも先程の水鉄砲に怖じ気づいたのかいつの間にか逃げていったな・・クソッ・・・塀の修理費を請求してやろうと思ってたのにやられた・・・コレではただの壊し逃げじゃないかよ・・・どうするんだよ・・・あの壊した張本人のボスゴドラ・・・覚えとけよ・・・それに横で見てたポケモン共もな・・・この恨みは一生忘れねぇ・・・

僕は車を家の玄関ピッタシに付けエンジンを切る。ここなら何かあってもすぐに逃げられるし車もひとまずは無事だろうか。それよりもさっきアキはハッ!とした顔ですぐに部屋の中に引っ込んでしまったけど大丈夫だろうか・・・。


「アキ・・・大丈夫か・・・?いや~さっきは本当助かったよ、ありがとう。」

「・・・・私が・・・・あんな技・・・・出せるようになるなんて・・・もう・・・・人間じゃ無くなってきているのかしら・・・・・」

アキは毛布を被り布団の中で丸くなって震えていた。そりゃあ人間では出来ない事が不慮の事態とは言え出たとなるとショックも大きいよな・・・どこかの漫画でもそんな感じの描画あったし・・・

「大丈夫だよ?・・・・っと言ってもやっぱり怖いか・・・・。」

取り敢えず今はそっとしておいてあげよう・・・落ち着くまで僕は1階で情報収集と色々な作業をしておこう。


「それで、うちのアキはショックを受けていると言う事ですか・・・・そうですか・・・・。」

「ええ、やっぱりちょっと今回技が出た事はやはり本人にとっても人間では無くなる前兆では無いかとか記憶を失う前兆では無いかとかで不安だと思うんです。だから今はそっとしておいてあげませんか?」

「・・・・分かったわ・・・私はちょっと家に帰ってから主人と話してきてみます。今なら・・・まだ明るいし大丈夫でしょうから・・・。」

「いやいやそれは危険ですよ!お義母さん!大抵のパターンではここで出発すると消息不明になりますって!幾らタクシーで帰ると言っても危険すぎますよ!!こんな状況では何があるか本当に保証できません!!」

「私の主人は消防署の署長です。その署長の妻を何十年もしてきた私にもそれ位は分かります・・・ですが、今は一刻も早く主人の下へと戻らねばと思うのです・・・トオルさんの言う事も十分に分かりますが、コレは私が決めた事ですので・・・ですが、アキの事・・・よろしくお願いしますね・・・。」

「・・・・そこまで言われるのでしたら・・・分かりました。タクシーが捕まるかは分かりませんが電話してみます。」

片っ端から電話をしてみてようやく1軒のタクシー会社が配車してくれる事となった。時刻はもうすぐ15時・・・早いな・・・もう昼過ぎだったのか・・・あれから考えすぎててすっかり昼飯を食べる事すら忘れていたな・・・。

「あの子は・・・ああやって何時も強がっていますが本当はいつも誰かに助けを求めているんです・・・キツい時や辛い時はすぐに言いなさいとは何度も言ってきましたがいっつも大丈夫と言って強がって・・・だからお願いします。」

「知ってます。もう幼稚園からの付き合いですから・・・そんなずっと一緒に居てくれた幼なじみを見捨てたりしません。なので・・・お義母さんも気をつけて・・・。」

そうこうしている内に駐車場に1台のコンフォートが入ってきた。先程呼んだタクシーのようだな・・・近くのそこそこ大きな会社のタクシーを呼んだがそれが功を奏したのか・・・

「それでは失礼します。」

・・・・・・・大丈夫だろうか・・・今の外は本当に何があるか分からないのに・・・でも意外と暴走バイクの音は聞こえてくるな・・・それなら大通りに出てしまう方が少しは安全なのだろうか・・・?取り敢えず家に入っておこう。


あっという間に時間は過ぎていき、もう時刻は18時を過ぎようとしていた。ニュースでは相変わらずポケモン出現のニュースとそれに対する避難に関する情報が相変わらず流れていた。高速道路もやられたか・・・コレなら遠くに逃げるという事も出来なくなったな・・・それよりもアキは大丈夫だろうか・・・

部屋は相変わらず暗かった。しかし、外からの月明かりに照らされるようにアキの体は白く光っていた。そんな中僕は電気を付ける、するとあっちも気付いたようにこちらを振り返った。・・・こうやってみるとやっぱりポケモンの姿だけど・・・アキだよな・・・

「大丈夫か?」

「少しは・・・・。」

僕はアキが座っているベッドの横に腰掛けるとそっとアキの手を握る、大きいな・・・やっぱり人間の頃とは比べものにならないな・・・

「なぁ・・・見当違いなら申し訳ないけど、記憶がなくなる事とか僕に危害を加えるようになるんじゃないかって思ってるんじゃ無いか?・・・だからさっきの奴らを見てハッとした表情をしたし、技であいつらを追い払った自分が怖くなったから震えていたんじゃ無いのか?」

「・・・・正解・・・やっぱりトオルには適わないなぁ・・・すぐに私が考えている事がバレちゃう・・・。そう・・・この姿になってまだ2日しか経ってないけど最近そう思うようになって怖くなってる。特にさっきのポケモンみたいに我を忘れて周りの物を壊したり・・・大切な人を傷つけようとしたりしたらどうしようって・・・。」

やっぱりそうだったか・・・刺激が強すぎたんだな・・・

「アキ、ちょっとこっち見てご覧?」

アキがこちらを見た瞬間に僕はそっと首元にネックレスと水色と白色の縞々スカーフを付けてあげた。人間用だからちょっと小さかったかな?と思ったけど丁度良かったみたいで一安心。いやコレ付けた瞬間ブチィ!!って切れたらそれこそもうなんとも言えない雰囲気になったよ!本当良かった良かった。

「コレは・・・?」

「元々はプレゼントするつもりで買ってたんだけど・・・ちょっと渡すタイミングが分からなくなって取っておいた物。今渡す物じゃ無いかもしれないけど、こう付けておいたらアキだなってすぐに分かるでしょ?」

「なにそれ・・・w」

「まぁそういう事よね~僕の言動が不自然なのは昔から。だからコレを付けていたら自分を見失わないっていう大丈夫だっていうお守りみたいな感じで付けていてくれたら幸いかな?」

「お守り・・・・。」

「そそ、・・・あれ?嫌だった?嫌だったり窮屈だったりするなら別に外してもいいk

「いや大丈夫!!それよりも・・・ありがとう・・・・。」ぐぅ~

「うほっ、良い腹の音。・・・・すいませんでした・・・・さぁご飯食べよう?朝から何も食べてないからもうお腹空いたでしょ?って言っても何も作れないので出来合いですけどね・・・・本当料理が出来ないって大変な事だなー(棒)」

「うん・・・お腹空いた・・・。」

・・・・なんだこのドラマのラブシーンみたいなのは!!ああ!!!こんな事やってる場合じゃ無いのに!!急いで色んな所に連絡とかしないといけないのに!!・・・まっ、たまにはこういう時間があっても良いよねって話よ。

さてと、明日はちょっとどこかに買い物に行っておかないとちょっと籠城には心許ない感じがしてきたし早い所夕食食べて寝ましょう。

・・・それよりも会社から一切連絡無いんだけど一体どうなったのやら・・・無断欠勤扱いだけにはなりませんように・・・


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