機械仕掛けの心

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毎日ハロウィン企画:10日目のお話
 ある日のこと。ぽつぽつと雨が降る中出かけていたロトムは、道端に壊れかけの機械で出来たテールナーを見つけました。大きすぎてゴミ捨て場には入らなかったのでしょう、乱雑に投げ置かれています。パーツは綺麗なままだったので、直せばまだ使えそうと思ったロトムは、持って帰ることにしました。

洋館に戻ったロトムは早速錆びた部品を取り替えて、油を注し、足りない部分は足すなどして、数日をかけて、電気を流せば動くところまで直しました。これで上手くいくだろうと電気を流しましたが、身体の一部が動いただけで、思った通りにいきません。それなら、入り込んじゃった方が早いやと、ロトムは機械のテールナーの中に潜り込んでみました。

ガチャガチャとあっちこっちを動かしていると、あることに気がつきました。この機械人形は、身体はどこも悪くない。壊れているのは心のほうなのだと。前の持ち主が酷いことをしたのでしょう、機械の心はボロボロになっていました。これは直すのに時間がかかりそう。ロトムは一度抜け出して、直し方を調べることにしました。たくさんのガラクタやメカは修理しましたが、心なんて直したことがありませんから、試行錯誤を繰り返すことになります。

身体を磨いて、お洋服も新しいものにして、ゆったり広いスペースで休ませたり、お茶会ごっこをしてみたり、窓から外を眺めたり、好きなアーティストの音楽を流してみたり。ロトムは自分が好きなことを一緒にやってみるのでした。

それから数日後。もう一度機械のテールナーに潜り込んでみると、心は優しく穏やかになっていました。これなら動かせそうです。宮廷魔術師という設定がなされた機械のテールナーは、しゃなりと優雅に枝を構え、魔法を繰り出す動きをします。といっても、ポケモンではないので出てくるのは子供が喜びそうなシャボン玉です。やったやった、動かせたとロトムは喜びました。これを自分好みに改造すれば、科学の力を使った、もっとすごい魔術師になるかもしれない。明日から拡張パーツを作らなきゃと意気込むのでした

一方で、機械人形はロトムに恋をしてしまいました。こんなに優しくしてくれた主人は初めてだったので、心がきゅんとときめいてしまったのです。ロトムが抜けて、自分の意思を示せることができるようになった機械のテールナーは、思いの丈を思い切り伝えようとして……。

身体が心に耐えきれず、バラバラに砕けちってしまいました。いきなりのことにロトムはびっくりして、機械人形が壊れてしまったことにがっかりしてしまいました。

きょうのおはなしは、これでおしまい

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