旅立ち

作者:空風 灰戸

あらすじ

旅に出たくても出られない少年の友人は旅立ってしまった。しかし、彼はあまり悔しくなかった。幼馴染の彼女が残っていたから――。

本文冒頭

「おれ旅に出ることにしたから」

 僕と彼女は彼の宣言を突然聞かされた。

 卒業間近になった頃だった。僕らは進学する事も決まり、これまで通り一緒に――と思っていた矢先の宣言に唖然としてしまった。

「冗談だろ?」

 僕はそう言うのが精一杯だった。

「冗談じゃない。入学前に旅立つことになった」

 言葉が続かなかった。カンが旅立つということの驚きはそうだが、一番驚いたのは、彼が旅立ってしまうことだった。イッシュ地方では、十歳

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