127話 シェアリング

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:21分
「俺はゾロアークのワザ、イカサマを使う」
 ゾロアーク90/100の姿が一瞬でライコウの姿に変わっていく。表示名とHP以外は完全に向かいにいるライコウ&スイクンLEGENDのライコウを鏡で映したかのようだった。
「馬鹿な、変身しただと!?」
「イカサマの効果は相手のバトル場にいるポケモンのワザを一つ選択し、あらゆる条件を無視してそのワザを使用することが出来る。俺が選択するのは雷電の槍! 俺だけじゃない、姉さんや蜂谷の受けた痛みをそっくりそのままお前にも帰してやる。行けぇ! 雷電の槍!」
 分厚い雲がライコウ&スイクンLEGENDの真上に現れる。ライコウになったゾロアークが雄叫びを上げながら体から大量の電気を、一まとめにして雲に放出。すると雲の中で倍増された電気が雷の槍と化してライコウ&スイクンLEGEND0/160に降り注ぐ。
 決してゾロアークだけでは届かなかった。レシラムがHPを削ってくれたから。キュウコンのポケパワーでゾロアークを偶然引き当て、ここまでの展開を思いついたから。バクフーンのアフターバーナーでゾロアークにエネルギーをつけられ、イカサマを使えるほどまでエネルギーをためられたから。
「これが俺たちの力だ。これが俺の、俺たちの強さだ!」
「やってくれる……。だが雷電の槍にはもう一つ効果がある。ワザを使った自身にも反動として50ダメージを受けることになる」
 空から稲妻がライコウに化けたゾロアーク40/100に降り注ぐ。イカサマの効果が切れたことでゾロアークのイリュージョンが解け、元の姿に戻っていく。
「ライコウ&スイクンLEGENDが気絶したことで、その効果から俺はサイドを二枚引く」
 これで俺のサイドは残り三枚。再びエンテイのサイド枚数四枚を追い抜いた。
 今の俺のバトル場には炎エネルギーが二枚ついたゾロアーク40/100、ベンチにはヒノアラシ60/60、キュウコン90/90、レシラム130/130、バクフーングレート140/140。
 対するエンテイはバトル場に新たに現れた、雷エネルギーが二つついたエレキブル100/100のみで、ベンチに他のポケモンがいない。
 数では俺の方が有利だが、エースカードであるはずのライコウ&スイクンLEGENDが倒されたのに、怯んだ様相のないエンテイが気になる。
「我は手札のビリリダマ(40/40)をベンチに出し、手札の雷エネルギーをエレキブルにつける。そしてサポート、ベルを発動。手札が六枚になるようにカードをドローする。今の手札は一枚なので、五枚引く。そしてエレキブルで攻撃。サンダーシュート!」
 エレキブルが雄叫びを空にあげながら体中から四方八方に電撃を放つ。が、電撃は途中で進路を変えてゾロアーク40/100に向かって行く。
「サンダーシュートはエネルギーがついている相手のポケモン全員に50ダメージを与える。今エネルギーがついているポケモンはゾロアークのみだが十分!」
 直立した姿勢で電撃が直撃したゾロアーク0/100は、まるで風に吹かれた板のように、無抵抗に後ろに倒れて消えていく。
「ゾロアークが気絶したことでサイドを一枚引かせてもらう」
「……俺はキュウコンをバトル場に出す」
 だめだ、ライコウ&スイクンLEGENDを倒しても攻撃の手が緩まない。むしろエンテイの凄みが増している! しかも狙ってきたタイミングでビリリダマをベンチに出しやがった。本当に俺の嫌なことをしてくる。
 ゾロアークが気絶したことで俺の場にはエネルギーがついているポケモンがいない。手札にポケモンキャッチャーはあっても、次の番で40ダメージを超すワザで攻撃するにはエネルギーが足りない。
 何も考えずにただベンチにポケモンを出してるんじゃなくて、緻密に考えられている。そこまで考えて行動しているなら、次の番はビリリダマからマルマインに進化してくるのは読める。だったらここは欲張らず堅実に行くだけだ。
「俺はベンチのヒノアラシをマグマラシ(80/80)に進化させる。そして手札の炎エネルギーをレシラムにつけ、ベンチのバクフーンのポケパワー、アフターバーナー。トラッシュの炎エネルギーをバクフーンにつけ、さらにダメカンを一つ乗せる。そしてキュウコンの炙り出しだ」
 炙り出しの効果で手札の炎エネルギーを一枚トラッシュし、山札からカードを三枚引く。場だけじゃない、手札も有事のために蓄えておくんだ。
 この番はまだ攻撃には転じない。今はエネルギーを分散させて、たとえ次の番大きな攻撃が来ても被害が最小限になるようにするんだ。
「ほう、そうしてきたか。我はまずベンチにいるビリリダマをマルマイングレート(90/90)に進化させる」
「まあそりゃ、やっぱりか」
「手札からポケモン通信を使わせてもらう。我は手札のエレキブルを山札に戻すことで、ライコウ&スイクンLEGENDの下パーツを手札に加える」
「なっ……、そんな。倒したはずなのに!」
 思わずエンテイの声が間違いだと信じたかった。バトルテーブルのモニターで思わず確認したが、嘘じゃない。本当にもう一セットある……。まるで崖の上に這い上がった瞬間、再び突き落とされるようだ。
「そっちもバクフーンやレシラムは一枚だけではないだろう。それと同じこと! 手札から二組目のライコウ&スイクンLEGENDをベンチに出す」
 確かにライコウ&スイクンLEGEND160/160がもういないとはエンテイは一言も言っていない。
 でも、だからってこんなこと……! あまりにも厳しすぎる。
「手札からスタジアム、セキエイ高原を発動。このカードが存在する限り互いのLEGENDポケモンの最大HPが30上昇する」
 荒野があっという間に緑で包まれ風のそよぐ高原に変わっていく。その中で凛として佇むライコウ&スイクンLEGENDのHPバーが右に伸び、190/190へと変わっていく。
「これだけではない。進化させたばかりのマルマイングレートのポケパワー、エネエネダイナマイト!」
 光を集めたマルマインは、カッ、という音とともに閃光と爆炎をまき散らしていく。でもこんなエフェクトよりも、本当に怖いのはここからだ。
「このエネエネダイナマイトの効果でデッキの上から七枚を確認し、その中の雷エネルギー二枚と水エネルギー二枚をライコウ&スイクンLEGENDにつける。残りのカードは全てトラッシュする」
 七枚のうち残り三枚のエレキブル、ポケモンキャッチャー、ジャンクアームがトラッシュに送られる。さらにマルマインはこのポケパワーを使ったことで、気絶。だから俺はサイドを一枚引くことは出来る。
 サイドを一枚引いて俺の残りサイドは二枚になったが、マルマインによっていつでも攻撃体勢に入れたライコウ&スイクンLEGENDがすぐに俺が引いた分を挽回してくるから、素直に喜べない。
「さらに手札からポケモン入れ替えを発動。エレキブルをベンチに戻し、ライコウ&スイクンLEGENDをバトル場に出す。……前回の敗北からまだそれほどの時間が経っているわけでもないのに、ここまで追い詰められるとは。素直に感嘆するよ」
「そりゃどうも」
「だがしかし、どうあがいたところで結果は同じだ。手札からポケモンキャッチャーを発動。ベンチにいるレシラムをバトル場に引きずり出す。そしてバトルだ。雷電の槍!」
 ライコウが叫びながら前足を地面に叩き付けると、高原には似つかわない薄暗い空から、槍を模した大きな雷がバトル場に飛び出たレシラム0/130の頭に突き刺さり、閃光と共に衝撃波を巻き起こす。
「うおおおおおっ、くっ!」
 わずか一撃。しかしその一撃を受け、レシラムの白い体のところどころが焦げて煙を出している。硬直した体もやがてバランスを崩して横に倒れ、消えていく。強大すぎるワザの反動としてライコウ140/190も体勢を崩していた。このレシラムが気絶したことで、すぐにマルマインが気絶したことで得たサイドの差が再び0になる。
 エンテイはこうしてすぐにアドバンテージを埋めれる自信があるから、ここまで大胆なプレイングが出来るのだ。
「これでサイドを一枚引いて我が番は終わりだ」
 くっそ……! もしもポケモンキャッチャーを引かなければ。或いは、ポケモンキャッチャーでレシラムでなくバクフーンを選んでいれば二ターン後には追い詰めれたはずだった。
 そうは言っても終わったことでどう言ったところで戻る訳でもないし、ましてや負けたわけでもない。新しい道を探すんだ!
「俺はバクフーンを新たにバトル場に出し、俺のターン! 手札から炎エネルギーをバクフーンにつける。そしてベンチのマグマラシをバクフーングレート(140/140)に進化させる」
 視線を左手の手元に移す。今、俺の手札は九枚ある。ただし数はあってもほとんどが死に札(今現在の状況では役に立たないカード)で、この状況をどうしようもすることが出来ない。ならばここは強引にでも突っ切っていくしかない。
「手札からサポート、アララギ博士! 手札を八枚全てトラッシュして、山札から七枚カードを引く」
「……ほう」
「手札からレシラム(130/130)をベンチに出し、バクフーンのアフターバーナーを計二度発動。バトル場のバクフーン、レシラムにそれぞれトラッシュの炎エネルギーとダメカンを一つずつつける。そしてバクフーンで攻撃だ。ぶっ潰せ、フレアデストロイ!」
 バクフーン120/140は右の拳に炎を集め、二足歩行の状態でライコウ&スイクンLEGENDに跳びかかる。大きなテイクバックを取って振り下ろした拳はライコウ&スイクンLEGEND70/190に触れると共に、盛大な爆発音と共に黒煙を巻き起こす。
 そして黒煙からは逆再生でもするような綺麗な軌跡を描いてバクフーンが後ろに跳んで舞い戻る。
「フレアデストロイの威力は70だけど、追加効果が残っている。その効果で互いについているエネルギーを一つトラッシュする。バクフーンの炎、ライコウ&スイクンLEGENDの水エネルギーをトラッシュ!」
 互いのサイドの残りはどちらも二枚ではあるけど、そこには微妙なニュアンスの差がある。エンテイからすれば、俺のポケモンをあと二体倒さなくてはいけないが、俺からすればそのデメリット効果のおかげでライコウ&スイクンLEGENDを倒すだけでいいのだ。……だけ、っていう割にはしんどいけど。
 そして次の番、再び雷電の槍を使えばバクフーンは気絶するが、ライコウ&スイクンLEGENDのHPは20/190になる。そうすればベンチのレシラムでとどめを刺せる。
 もしくはオーロラゲインで攻撃をされれば、バクフーンのHPは20/140、向こうは120/190になる。だったら次の番にバクフーンをベンチに逃がし、レシラムと交代させて威力120の蒼い炎で攻撃してやればこっちの勝ちだ。
 もしもの保険もある。さっきの番、アララギ博士を使って手札を大量に入れ替えたお陰でポケモンキャッチャーが手札にある。次の番、ライコウ&スイクンLEGENDが引っ込んだところで強制的にバトル場に出し、攻撃することだって出来る。
「これ以上お前がどうやったって、ここからひっくり返すことは出来ない。今度こそこれで終わりだ!」
 思わず右の拳を握ってしまうが、エンテイは動じない。動じないどころじゃない、目の奥に激しい炎を燃やしているような威圧感がまだまだある。
「この程度で終わったなどと浅はかなことを思うなよ」
 エンテイの低く響く声が空気だけじゃなく俺の体の芯まで震える。もういいだろ。いい加減にしてくれ。これ以上何をやるって言うんだ。
「我はライコウ&スイクンLEGENDの水エネルギーをトラッシュし、エレキブルと入れ替える。そして手札からグッズカード、まんたんの薬を発動する。このカードの効果によってライコウ&スイクンLEGENDについている全てのエネルギーカードをトラッシュし、そのHPを全て回復する」
「なっ……! ここに来て全回復!?」
「そして手札の雷エネルギーをライコウ&スイクンLEGENDにつけ、エレキブルで攻撃。サンダーシュート! サンダーシュートはエネルギーをつけている相手のポケモン全員に50ダメージを与える」
 エレキブルが四方八方へ放った電撃が、途中で進路を曲げてバクフーン70/140とレシラム70/130に突き刺さる。個々への威力はそこまで大きくはないが、二匹分のダメージを合わせると100になる。そしてもう一つ懸念すべきことは、どちらもライコウ&スイクンLEGENDのオーロラゲインを一撃でも喰らうと気絶してしまうことだ。
 今までは雷電の槍を使わせてHPの回復を出来る限りさせまいとしてきたが、ここに来てロジックが崩されてしまった。でもまだ終わったわけじゃない。
「俺のターン! 手札からポケモンキャッチャーを発動。ライコウ&スイクンLEGENDをバトル場に出させる。そして手札の炎エネルギーをバトル場のバクフーンにつけ、バクフーンのポケパワー、フレアデストロイをレシラムを対象にして二度発動!」
 これでバクフーン70/140の炎エネルギーは三枚、レシラム50/130の炎エネルギーもまた三枚になった。どちらでも攻撃が出来る、攻撃が出来るようになったけど、どっちで攻撃をすればいいんだ?
『ダメージを与えることがいつも優先事項とは限らない』
 頭の中で風見の声が響き渡る。バトルテーブルに触れようとしていた右手が、その警告を感じとって動きを止めた。
 いつだったか、そんなに遠くない日のこと。蜂谷と恭介の対戦を横から見ていると、何も考えずただダメージだけ与えようと短絡的な攻撃をしていた蜂谷に、風見がそっとアドバイスしていた。
 蜂谷はそんなこと急に言われても分かんねえ、と不満をこぼしていたが、言いたいことは分からなくもない。
 今一瞬だけのヴィジョンばかり目にしていればやがて行き止まりに突き当たってしまう。そうならないように、遠方を確認しながら進め。ってところだろう。本当の優先すべき行動はなんなのか。それを考えるんだ。
 ここでライコウ&スイクンLEGENDにすべきことはダメージか? 違う。動きを食い止めることだ。
 思い返すように、後ろをチラリと振り返る。エンテイの作り出した炎の檻のせいで、マジックミラーのように向こうから俺は見えるが、俺から向こうが見えなくなっている。でも見えなくても確かに感じる。俺の記憶の、心の中で皆の表情や声、鼓動までもが手に取るようにわかる。
 俺は一人で戦っているわけではない。それはポケモン一体だけで戦わずに二体以上で戦っているとかそういうことだけじゃない。
 たくさんの人々が時には支え、時には対峙して。その経験を積み重ねたお陰で今、俺はこうしてここにいるんだ。近くにいることだけが共闘するということじゃない。
 PCCで山本と戦ったときもそうだった。あのときは近くに誰もいなくても、あのフライゴンLv.Xが俺を鼓舞してくれた。大切なのは距離じゃない。
 離れていても伝わる想いをしっかりと背負っていくことだ!
「俺はこのままバクフーンで攻撃、フレアデストロイ!」
 大きな一撃が狭いフィールド一帯に響きわたる。立ちこめる黒煙から抜け出したものの、じりりとライコウ&スイクンLEGENDのHPが120/190に減り行く。
「これだけじゃない。フレアデストロイの効果によって、互いにエネルギーを一つずつトラッシュする!」
 バクフーンの炎エネルギーと、ライコウ&スイクンLEGENDの雷エネルギーが体内から体表へ現れるが、落としてしまったガラス細工のように外側からひび割れて壊れていく。
 これでライコウ&スイクンLEGENDにはエネルギーが無くなった。逃げるにしろ戦うにしろ道は塞いでやったんだ、ダメージ以上のアドバンテージがある。
「小賢しい! 我が番だ。手札からサポートカードのチェレンを発動。その効果で、山札からカードを三枚引く。そしてグッズ、クラッシュハンマーを使う。コイントスを行い、オモテなら相手のエネルギーを一枚トラッシュする。……オモテ、バクフーンの炎エネルギーをトラッシュする」
 バクフーンの頭上に大きな赤いハンマーが現れ、バクフーンに振り下ろされる。その効果でバクフーンの炎エネルギーが一つトラッシュされ、残りのエネルギーは一つだけに。
「そしてライコウ&スイクンLEGENDに雷エネルギーをつけて我が番は終わりだ」
「今まで散々手間取らされたけど、これで本当に終わりだ! 俺は手札の炎エネルギーをバクフーンにつけ、バクフーンについている炎エネルギーを二枚トラッシュしてベンチに逃がし、レシラムをバトル場に出す。そしてレシラムで攻撃、蒼い炎!」
 バトル場に移動したレシラムが、尻尾を赤く染め上げる。そして深く吸い込んだ息から、直線状に高温ゆえ蒼く染まった炎がライコウ&スイクンLEGEND0/190を包み込む。
「サイドを二枚引いてこれで俺の勝ちだ!」
 強い炎の放射が終わり、体毛のあちこちを焦がしたライコウとスイクンが倒れて二匹が消えていく。それに遅れて全てのポケモンが消え、高原からもとの荒野へと戻る。
 エンテイが作り出していた炎の檻も、息を吹きかけられた蝋燭のようにふっと消えていく。
「翔!」
 背後から俺の名前を呼ぶたくさんの声が聞こえる。振り返ればまず最初に薫に飛びつかれ、バランスを崩して二人とも転び、薫を防ぎながらも尻餅をつく恰好になってしまった。
「よくやったな」
 薫と恭介だけでない。風見に拓哉(裏)、松野さんまで揃っている。実質一日ぶりぐらいなのに、こうして皆で会えたのが奇跡にすら感じてしまう。
 そんな折りにふと何かを思い出したように、俺に跨ってほとんど馬乗り状態になっていた薫が突然顔を真っ赤にすると、慌てて立ち上がって俺から離れ、背を向ける。
 その様子に訝しんでいると、風見がそっと右手を差し出してきた。薫のことはひとまず後にしてありがたく風見の手を握り返し、風見の引っ張る力に体重を預けて立ち上がる。
「一時はどうなるかと思ったが、無事でなりよりだ」
「風見のお陰だよ。お前が昔、ダメージを与えることが優先事項じゃないって言ってたのを思い出して冷静に戦えたんだ。……ってちょい待ち。いつから俺のこと観ていたんだよ」
「俺たちのことか? ゾロアークに進化させる少し前だな」
「結構前からいたんだな」
 再び出会えた喜びと安心、もっと早く会っていればとの不安が入り交じった小さな息を吐く。すると突然肩に体重がかかると思うと、蚊帳の外にされかけていた恭介が恨めしそうに肩を組んできた。
「ま、リベンジも果たせたしもう結果オーライどころか万事オーケイっしょ」
「そうかもな……。いや、そうじゃない。万事オーケイじゃあない」
 もう消え去ってしまったエンテイのいた場所を睨みつける。エンテイを倒したところで、蜂谷も姉さんも帰ってはこない。
 まだ何も解決していないし、終わってもいない。むしろようやく一歩踏み出せた程度というところだ。
「分かっている者もいるようだが、こんなところで安心されては困る」
 エンテイが先ほどまでいた場所から緑の光が拡散していく。眩んでしまった目でも、光の中に突如人影が現れたのは見える。少しずつ光が弱まり、徐々にそのシルエットの正体が浮かび上がっていく。
 さっきの声でおおよそ予想はついていたが、姿を見て確信した。有瀬悠介、俺たちがこの件に巻き込まれた根本的原因を持つ男だ。
「だがエンテイ、ライコウを撃破したことは素晴らしい。ここまで来たご褒美だ。君たちが知りたがっていることを少しだけ教えてあげよう」



翔「今回のキーカードはレシラム!
  力を蓄えて蒼い炎で一気にぶっ放せ!
  ダメージを詰めて最後は逆鱗でトドメだ」

レシラム HP130 炎 (BW1)
無無 げきりん  20+
 このポケモンにのっているダメカンの数×10ダメージを追加。
炎炎無 あおいほのお  120
 このポケモンについている炎エネルギーを2個選び、トラッシュする。
弱点 水×2 抵抗力 - にげる 2

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想