第7話 ふかふかのほっこほっこ

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さて、何日ぶりですかね…これを更新するの…。この話、書いてて楽しいんですけどね。
なにぶんオチをつけるのが大変でそれを考えているうちに後回しになっているという感じです。
つーか何を言いたいかといいますと…遅くて申し訳ありません。←これが言いたかった。
バンッとけたたましい音を立てて玄関のドアに体当たりを繰り出す私。ぎしっと音を立てて金具がゆがむがそれでも玄関は開く気配がない。

「ちょっと、レン!! 開けなさいよ!!」

大きな声で呼びかけるが返事がない…ただのドアのようだ。
って、そんなことをふざけて言ってる場合じゃない。なんというか私の中の女の勘というものが何かを察知して急げ急げと脳内で赤いランプを灯しているのだ。
………体当たりをドアに繰り出している時点で女としての勘がどうのこうもないような気がするけどね。
ギシッと音を立ててドアが軋む。あと少し!

「おりゃぁぁああ!!」

とどめを刺すために大きな叫び声とともにドアにぶち当たる!

………けれども肩があたるか当たらないか…と言うところで私の体は止まった。

「ッ…!邪魔しないでよ!!」

私の手を後ろから掴んでいたのはコモさんの手だった。

「ねぇ、ゆか?ちょっと落ち着きなさい。私はここの大家よ?」
「だからいったいなんだって…」

はぁと大きくため息をつきながらコモさんは私の顔をグニグニといじる。

「大家は合鍵を持っているもんなのよ…ほら」

コモさんはそういうとお腹のポケットから鍵束を取出し一つを選んで鍵穴に差し込む。
私は顔が熱くなるのを感じた。
は…恥ずかしい!!
鍵が開いた瞬間に私は体を部屋の中に滑り込ませ、中にいるであろうレンを探す。すぐレンは見つかった。そんなに広くはないしさ。
テーブルの上に立ち、長くした照明の紐で輪っかを作っていた。

「チェストォォォオオ!!」
「おぶへぇっ!?」

私はそんなレンの背後から長い胴体に回し蹴りを繰り出す。うん、久しぶりに綺麗に決まった!
えっ、そんなに回し蹴りをする機会があるかって?……細かいことは気にしない方向で。
そして私はレンの背中に馬乗りになって呻くレンの体を抑える。

「い、いったい何をす…」
「レン!!」
「は、はいっ!」
「なんで勝手に死のうとしてんのよ!」
「えっ、いや…」
「いやもくそもない! 私はあんたが死んだら悲しいもん!」
「はぁ!? あのなぁ…俺は……」
「レンのお馬鹿ぁぁあぁあ!」
「えぇい、話を聞けぇい!!」

私の脳天目掛けて降り下ろされたその短い腕はズドンと鈍い音をたてて当たった。

「うえぇぇぇ…レンのおバカぁぁぁぁああ‼」
「いいから少し黙れ、俺は死のうとなんかしてないから!」
「はぁ?電球の紐を輪っかにしておいて死ぬ気がないなんてよくそんな嘘を言えたものね⁉」
「あぁ、これはお前が来て邪魔だろうから短くしようと思って…」
「ふん、そんなことだろうと…え?」

えっ、それ本当?
私は何が何だか分からなくなって頭の中をくるくると何かが回っているような気がした。

「そもそもこんなほっそい紐で俺の体を支えられると思ってんの?」

本当にドジだな、おい‼と罵られたことで私の中の何かがプチって切れた。

「そーだよ、私はドジで間抜けでブスで大酒呑みで料理一つも出来やしない、人として欠陥品なんだもん‼」
「いや、そこまで俺は言ってな…」
「欠陥品は欠陥品らしくスクラップにされるのがいいんだよね、そうなんだよね? だったら私が死んでやるぅぅうぅぅうう‼」
「だから、そこまで俺は言ってな…うぶぅ⁉」
「レン、私の頭を噛み砕けぇぇぇえぇえ‼」

何やってるんだろうなぁ…私って。
レンの大きな口に頭突っ込んで噛み砕け…だってさ。本当に馬鹿じゃん。
本当にレンが思いっきり口を閉じたらそれこそ本当に死んじゃうよ?
冷静な私が本体(私)に語り掛ける。

「ほら、ほら、レン。口閉じるだけでドジで間抜けでブスで大酒呑みで料理一つも出来やしない、人として欠陥品が死ぬんだよ?」

うるさい、もういいの…もう私は生きてる必要性が感じらんないもん。わかんないもん…。
冷静なもう一人の私に本体が言う。
生きてたって何もいいことないもん。
そういうと本体はレンの鼻先を押さえつけて上顎を下げさせようとする。

「だから、早く、この大きな口で、私の頭を噛み砕けってば!」

すると私の腰が力強く抱きしめられた。
私の頭は腰の動きについていったためレンの口からすっぽ抜ける。

「あったかい?」
「う?」

レンは私に向かってそう聞いた。あったかい?って…。確かにレンの体はあったかい。
それもなんかほっこりするような温かさ。天気のいい日に外に干した布団のような温かさ。
涙と涎でべとべとな私の顔を大きな舌でべろっと舐めるとにっこり笑うレン。
私の顔が火照って行くのがよく分かった。
それこそあんなに冷静だったもう一人の私が顔を真っ赤にして照れてしまうくらいに…。

「あぅ…ぅや、あ…あったかい……」
「よしっ」

レンからすれば私の体なんて一瞬で塵も残さず消すことだってできるのだ。それなのにどうしてこんなにも気持ちの良い温度を保てるのか?
なんて理性を取り戻すために論理的なことを考えてどうにかしようと試みるが一向にこのドキドキは収まらない。
あぁ…やっぱりこいつに恋をしてるんだなぁ…私。

「あったかい…」
「気持ちいいだろ、俺の肉」
「肉って…ムード台無し」
「はぁ?」

ちらっとレンの後ろを見てみるとコモさんが顔を真っ赤にしながら目をキラッキラさせて私たちのことを見ていた。

………………み・ら・れ・て・た!!!


「レン、ちょ、もう大丈夫だから離れて!」
「ん~、もうちょっといいだろ別に…」
「よくない、離せ~~!」

この短い手のどこにそんな力があるというのか?
一向に離れません。離れません。もう一度言います。離れません。
さて、この数秒後にレンがコモさんの姿を視界にとらえるのですが、別にそんなことは誰でもわかることですよね?
ですので私、ここで目標を掲げたいと思います。

私、もう少し筋肉をつけよう。つーか付けろ!


以上!
追伸
最近、猫を飼いだしました。

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