うわぁい…まさか一ヶ月以上放置していたとは…
ごめんなさい。
「それで、一体どんな秘策があるの?リル」
アイリスが、自転車のそばを滑空しながら聞いた。
今、彼らはレイッツ地方目指して、自転車をとばしているところである(実際には三匹がカゴに乗って、もう一匹が飛んでいるという状態だが)。
「ふふん、それは後のお楽しみ。でも、ココまで来ておいて何だけど、他の人たちはどうやって連れて行こうかしら…」
「え、決めてなかったの?」
シューティーが当たり前のようにツッコむ。
「うう~ん、シンオウは陸で離れてるし、他の四匹はどこにいるかわからないし…まぁでも、私がいなくても何とかなるでしょう」
一体何の根拠があってものを言っているのかわからなすぎる。
サトシキラーは、そんな四匹の不安なんて知らないと言わんばかりに、爽快に走り続ける。
「…レイッツ地方かぁ…そこにしかいないポケモンとかいるのかな?」
「サトシってば相変わらずね」
しかし、陸でつながっていない地方に見たことのないポケモンが住んでいるというのはよくあることだ。それに、ポケモンになっても人間特有の好奇心までは捨てたくないものだ。
「あ、見てごらん!海だ!!」
デントが指さす方向には、確かに、真っ青な海が。
「よし、着いたな!」
真っ先にサトシが自転車のカゴから飛び降りる。
がしかし、まだ自転車は止まっていなかった。
つまり。
大きな音と共に、またしても彼はサトシキラーの餌食となったのだった…
「…今更だけど、気がついたよ。リル、お前狙ってんじゃないのか?!」
(本当に今更だな)
シューティーの冷たい視線。
リルは慌てて首を大きく横に振る。
「…そっか、そうだよな。悪いな」
「ううん、いいよ。でも、誰かが狙っているっていう仮定は、否定できないかも…なんてね」
さりげなくおっそろしい冗談をかますリルだった。
一方、こちらはそのレイッツ地方。
「…この手紙の通り、ここまで来たけど、まさか本当にここまでこれるとはね…」
イーブイが、その手紙を片手に、浜辺をうろうろしていた。
「でも、一人じゃないのはよかったわね。見知らぬ場所でひとりぼっちって言うのは、さすがに鬼畜だもの。望んでもいないのに」
「まぁ、複数人での旅に慣れるとそうなるな」
となりには、ルリリとウソハチもいる。なんだろう、この不思議だけど違和感はないコンビ。
「しかし、前のレピド地方の時といい、何でいちいち『10』がキーワードみたいになっているんだ?」
「区切りのイイ、一番小さい数だからかな?」
イーブイとウソハチの話は、おそらくルリリには理解できていないだろう。