第61話 ラプラスで大波で大ピンチ!?

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「アルファ、出てきて!」
「きゅー」

 海に向かってモンスターボールを投げると光と一緒にラプラスが海に浮かんでいた。
 相変わらず歌うように返事をするラプラスにマイはこの間のバトルでトラウマになったような事はないと判断できたので一安心。

「今日はおっきな波乗りの練習をするよ!」
「おっきな波乗り? なんだそりゃ」

 海に出るという事で二人とも水着姿になっていて、ゴールドは派手な柄をした海水パンツを着用し、マイは淡いピンク色をベースにヒラヒラとレースのついたのビキニタイプの水着の上にパーカーを羽織っている。水着はポケモンセンターで買ったようだ。

「この前の波乗り、結構小さいと思うの! テレビで見た波乗りはもっともっと大きかった!」
「流石現代っ子テレビっ子」
「アルファ、あっちの方向を向いて波がどんな風になって浜辺に来るのか覚えて!」

 波乗りの大きさが不足だったのかマイがゴールドに手を使って大きさを表す。そして、ラプラスに水平線を眺めさせて波が大きくうねる様子を覚えさせている。イメージが大事なんだと言いたいようだ。
 ラプラスはジッと水平線を眺めて波がどのようにして大きさを増しながら浜辺に迫ってくるのかを見ていた。

「どー? わかる……って難しいよね? わたしだったらわかんないもん、ごめんね」
「きゅー! きゅー!」
「どうやらやる気みたいだぜ、お前の作戦悪くないみてーだな」

 ラプラスが浜辺に戻るとマイも近寄って頭を撫でると頭をマイの顔に寄せてスリスリと頬ずりをしてきた。
 ゴールドがラプラスの気持ちを察知するとラプラスは頷いてマイの指示を待つ。

「よーしっアルファ! 波乗り!」
「キュー!」

 数日前のラプラスとは思えない。海を味方につけているのもあるが、波がラプラスの真下からゆっくりと顔を出すと、それとは裏腹に大きな音を立てて波を揺らし始める。

「おお! こいつはすげーや!」

 すると揺れた反動で浜辺に波が押し上がりどんどん上昇して行く。遂にはポケモンセンターの入り口までも届いてしまった!

「ずぶ濡れになっちゃったよ。でも、すごいや! さすがゴールドの子だね!」
「それ語弊を生むぞ」
「ごへい?」
「なんでもねえ。しかし、やるな! アルファ! 流石勇者だな、頼りになるぜ!」

 二人から褒められて頬が若干赤くなったような気がする。ラプラスは昔から人間を助けながら生きてきたらしく、今のアルファにもその血が流れているのだろう、嬉しそうにしていた。

「そこのラプラスガール! 暇なら相手をしてくれないか!」
「ゲッ! 変な奴に絡まれたな。マイ無視し「ヒマ! バトルしましょう!」オイオイ」

 マイのラプラスに興味を持ったらしい海パン野郎が声を掛けてきた。ゴールドはマイを庇うように前に出たがマイがその腕を下げて、左腕から真っ直ぐ上に向かって挙手。バトルを引き受けてしまった。
 見るからに相手をしない方がいい相手の格好、ゴールドと同じような格好なのにどうしてかこう……顔の偏差値によって見方が変わるのだろうか。

「ありがとうラプラスガール! もちろん、そのラプラスでバトルをしてくれるんだよね!」
「はい! アルファ、行けるよね!」
「アルファか、カッコいい名前だな! あ、そうそう僕の名前はミト! よろしく!」
「マイです、お願いします!」

 指ぱっちんして喜ぶミトにゴールドは、タカがバトルにどうしてそこまで? と思うが答えはすぐにわかった。

「出てこい! 僕のラプラス!」
「ミトさんもラプラス!? でもアルファとは全然違うや、なんでだろう」

 なんとミトまでラプラスを出してきたのだ。しかし、マイのラプラスとは体格がまるで別。

「あっちのラプラスは大人って感じだな。ちょいと厳しいかもな今回は……ってその顔は楽しんでるなマイ」

 経験の差と実力を見た目で判断させ、相手のバトル意欲を削ぐ。

「ずばり、勝負はこうだ、波乗り対決!」
「波乗り対決だと?」
「そう! お互いの出した波乗りに僕達も波乗りするんだ、あのオレンジ色のウキ見えるだろ、あれを一周回り早く陸についた者が勝ち!」
「えええー! なにそれ聞いたことないよ!」

 ミトがラプラスの背に乗りながら海を指差して宣言するとゴールドが眉間にシワを寄せながら疑問を投げかける。
 面白いくらいの会話のキャッチボールにマイが付いていけずにいた。
ルールは自分のラプラスの出した波乗りに、自分のラプラスに乗って、ウキを回って浜辺まで無事にたどり着くこと。波乗り対決というよりはレースに近い。

「さあ、マイ! ラプラスに乗るんだ!」
「ゴールドも来てよー!」
「だーめだ。バトルだろ、頑張ってこい。何かあったらすぐ助けるさ」

 すでにミトはラプラスに乗って泳いでいた。マイが不安そうにゴールドに助けを求めるがまるで駄目。ラプラスの甲羅に乗ると慎重にラプラスが泳ぎだした。レースだが命が大切だ。

「よし! 波乗りで一気にウキまで近づくぞ!」
「わたしもその手で行こう、アルファ頑張って! 波乗り!」

 一斉に放つ波乗りの技が海を大きく変化させる。波乗りの大きさは圧倒的にミトの勝ちだ、しかしこのビッグウェーブに乗らなければレース短縮の意味はない。

「アルファ、だいじょうぶ! まだ勝ち目はあるよ!」

 マイもうまい具合に甲羅のデコボコに足をかけて立ち上がり、ミト目掛けて突き進む。すると突然、ミトがラプラスから消えた。

「うおおお!? なっなんだ!」
「ドククラゲの大群!」
「足を掴まれた! どうして急に襲ってくるんだ!?」

 海から顔を出しはしたがすぐに海の中へミトが消える。海を見ればウジャウジャと数え切れないほどのドククラゲがマイ達を囲んでいた。

「ん? なにやってんだマイ達? それにしても波乗りが二つ重なるだけでこんなにデッケー波が出来るんだな」

 ゴールドは二人を眺めて退屈そうにしていた。

「そうか! 波乗りで海の中がごちゃ混ぜになってドククラゲ達が混乱しちゃったんだ! どうしよう、他のみんなはゴールドが持ってるし! アルファ、ミトさんを助けなきゃ!」

 ドククラゲの脚に絡まれているミトは海の中で苦しそうにもがいている。早く助けないと死んでしまう!

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