episode2 謎を追え!

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読了時間目安:7分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「まさか、歩く事になるとは…ナ」
「仕方無いだろ、テレポートポイントが無いんだから…」

ルト、シャル、ミリアンは歩いてアゲン村に到着した。
アゲン村はミラウェルから近かったものの、テレポートポイントが設置されていない村。のでルト達は歩いて向かうことになっていた。

「ここがアゲン村…なんというか、殺風景ですね?」

ミリアンは苦笑いしながら、村を見渡す。
…村と言うよりは集落に近く、あるものと言えば小さな家屋。家畜を育てている小屋、畑、木々…。みすぼらしい格好をした住人。
…まぁ、平和なのは良いことだ。それにしても、殺風景だ。

住人は200人いるかどうかというところ。だが名産の鶏肉は、全体陸でも有名なブランド物だった。

「さて、村長の元に向かうか」

ルト達は村の案内に従い、村長の家へと向かった。

………

「よく来てくださいました!私が村長を勤めさせて頂いているラングルドと申します」
「初めまして、ヴァンリル隊隊長のヴァンリルです。早速ですが…」

ニコニコと笑顔で話すグラエナ族の村長に、今回の依頼の詳細を訊ねる。
村長は、苦笑いをしながら話を始めた。

「いやね…私達はアンノウンが現れる度に、室内で隠れてるんですよ。見られると向かってくるのを知っていたので、隙間から覗く感じでアンノウンが帰るまで見張るんです」

更に続ける。

「ところが…アンノウンは何かを見付けて、村から離れた場所へと走っていくんですよ。私どもは『誰かが狙われた!?』…と思い、そのアンノウンを追いました。勿論隠れながらね。そしたら…」
「…アンノウンが消えていた、と?」
「はい。その通りです…忽然と。いつもアンノウンが向かう先は私の実家の方面でしてね…焦りますよ。でも、実家にいる娘は何も知らないと言っていまして…。気になりますよね」
「なるほど…」

ルトは話を聞きながら、いくつか案を考えた。

・その向かう先が、アンノウンが帰る定位置になっている?
・本当に誰かを見付けて、追いかけている?そうなると毎回その追われている人は逃げ切ったということになるが。
そして…『誰かが倒している』可能性。か。

ルト達は話を理解し、次の質問に入った。

「では次に。マテリアを所持している青年について…聞きたいですね。依頼主の方は?」
「ま、マテリアを所持したポケモンですか…いやぁ、私は分からないですね…ハハハ」
「…?では、依頼主の名前は?貴方では無いんですね」
「さ、さぁ…誰が言ったかまでは…」

村長は視線を踊らせながら、そう答えた。
シャルは勘繰り、身を乗り出して村長の目を見据えた。

「…あんた、なんか隠してんな?」
「ギクッ…そ、そんなことは…」
「…フーン。良いこと教えてやろうか、ラングルドさんよ。マテリアを無断で所持することは、ミラウェル内じゃあ禁忌もいーとこだ。ましてや、それを隠蔽しようなんざ…どうなっても知らないゾ?最低でも血を見ることに…」
「ヒッ!ご、ごめんなさい!本当は知ってるんですぅ!」

シャルの脅しに怯え、村長は話を始めた。
…ちなみに、シャルの話は8割ウソっぱちだ。血を見ることになんてならない。抵抗するならまだしも。
言いたい事は山ほどあるが…今は村長の話を聞くとする。

「…その依頼主は村の若者ですよ。私の実家の近くに住んでいる人でね…ミラウェルに依頼を出した後、私もそれを聞きました。そして…」
「…そして?」

ルトは促す。村長は怯えながら話を続ける。
…これじゃ取り立てみたいじゃないか。

「そして、そのマテリアを所持している青年は…多分、私の息子です」
「息子…何故、息子さんだと?」
「一昔前に、武器の職人さんがここを訪れた事があったんですよ。その時に、息子が職人と何やら話をしてましてね。後で聞いた話によると、その職人はマテリアを作っているそうでして。…多分、息子はマテリアを貰ったんじゃないかと」
「………マテリアの職人…」

ルトは話を聞き、長考する。
…マテリアを持つ青年と、武器の職人…。そして、消えるアンノウン…。
…なるほど、そういうことか。

「分かりました、もう十分です。最後に一つ。その息子さんの名前は?」
「あ、『ヴォルフ・ラングルド』です。年は19です。ま、まさか…息子を怪我させたりしませんよね!!?」
「…先程のシャルの話は、殆ど嘘ですよ。申し訳ない」
「嘘ぉ!?酷いじゃないですか!」

村長は空気が抜けたように、脱力していた。

………

「ったく、不必要に脅すなよシャル。可哀想だろ」
「ケッ、ハッキリしねーのが悪いんだよ」

ルトとシャルは悪態をつきながら話す。
ミリアンはその2人の数歩後ろで、なにやら考えていた。

「ん?どうしたミリアン」
「…ルトさん、今日の任務って…答えは一つですよね?アンノウンが消える理由と、マテリアを持つ青年。つまり…」

その続きを聞く前に、ルトとシャルは同時に答えた。

「マテリアを持った奴がアンノウンを殺してる、だろ」
「マテリア持ってる奴がアンノウンを度々殺してんだロ」

ミリアンは一瞬固まる。だが、すぐに笑って頷いた。

「…ですよね、やっぱり」

ミリアンも、同じ答えだった。

今3人が向かっているのは、村長の実家。つまり、マテリア所有者の現在地だ。
そこへ行く前に、アンノウンが消えたという場所についた。
家屋から少し離れた場所で、雑木林に囲まれた荒れ地だった。

「…やっぱり、な」

ルトは地面に何かを見つけたらしく、それを手に取った。

「…アンノウンコアのカケラだ。青年がアンノウンを倒してるという証拠だな」

その何か、はオレンジ色をした小さな石だ。アンノウンコアが無造作に砕かれ、その砕片の一つだろう。とルトは言う。

「…決まりだな。村長の家に向かおーー」
「…ちょーっと待ったぁぁぁ!!!」

ルト達が村長の家に行こうとした瞬間、その方向に一人のポケモンが姿を現す。
声からして、女のようだ。

ルト達は呆気に取られ、目を見開いて固まってしまう。

「お兄ちゃんを捕まえようってんでしょ!そうはさせないんだから!」
「あ…?つかま…は?」

ギャンギャン騒ぐグラエナ族の少女を見て、シャルは混乱する。

ルトはとりあえず深呼吸をし、少女を見て口を開く。

「えと…俺らはミラウェルの者だ。君は…?」

まず何者かを探ろうと、質問する。

「私の名はシルフィ!『シルフィ・ラングルド』!貴方たちミラウェルから、お兄ちゃんを守る妹よ!」

元気よく叫ばれたその名前に、ルト達はただただ立ち尽くしていた。


・マテリアは規格外の性能の武器なので、一般人が持つことは許されていない。ミラウェルが許可した者のみが持つことを許されている。

つまり、マテリアを持っていた商人は…?

次回をお楽しみに!

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