第53話

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください


レガ『うーん・・・。』

タ「どうしてもダメか?」

レガ『そうだね・・・。やっぱりちょっと怖い・・・。』

タ「そうか・・・。まぁゆっくり克服していこう。そりゃあ急に空飛べって言われたらかなり恐怖心湧くもんね。」

タツミとレガは外にいた。そして、どうもレガが翼を使って空へと舞い上がるのを怖がってしまいなかなか出来ないでいるようだ。

タ「うーん・・・スパイアとかも最初に空を飛んだ時は怖かったのかな・・・いや、むしろ嬉しがってたな。まぁ今日はこれくらいにしよう。」

レガ『うん。ごめんね、タツミ。』

タ「良いの良いの。自分も最初に始める時は怖いからね。誰だって最初は怖いものだよ、ちょっとずつ慣れていこう。」

レガ『うん!』


タツミとレガは部屋に戻り、空を飛べるスパイアとフィーロに聞いてみることにした。

タ「最初に空飛んだ時ってどんな感じだった?」

ス『どんな感じって言われても・・・・ただ、嬉しかったかな~僕の場合は初めて空を飛んだ時は気持ち良かったし何より行動範囲が広がった感じがして嬉しかったってのが最初の印象かなぁ。』

フ『僕は元々飛べたから特に難なく飛んでるけど、やっぱり空を飛んでいるときは気持ちいいよ。歩くのも良いけど飛ぶのもまた良い感じで、結局のところそれぞれに良いところと悪いところがあるって感じかな?』

タ「ふむふむ、やっぱりそれぞれの感じ方があるんだね。そういえば、スパイアとレガにはまだスカーフあげてなかったね。ちょっと待ってね・・・・・・・・・はい。2人とも。」

レガ『タツミ・・・。ありがとう!』

ス『ありがとう!つけてみても良い?』

タ「一人で付けれるか?・・・・ほら~、かして付けてあげるから・・・・レガも次につけてあげるよ。・・・よし!これでいいよ。」

ス『タツミありがとう!大事にするね!』

スパイアはかなり目を輝かせて嬉しそうにタツミに言った。

レガ『ありがとう・・・。』

タ「?レガ、なんか元気ないぞ?どうかしたか?」

レガ『いや、なんかちょっと引きずっちゃってね・・・。なんで飛べないのかな・・・。』

ス『飛べない奴も沢山いると僕は思うけどね。僕やフィーロは飛ぶことに何ら抵抗はないし普通に飛べるけど、やっぱり個人差あるし・・・。』

フ『そう落ち込まないで(´・ω・`)』

タ「2人の言う通り。これは僕の経験談だけど、考えてもなるようにしかならないんだよ。考えすぎるとなんでも物事は悪い方に傾いていっちゃうから。今は忘れよう。」

レガ『・・・・それもそうだね・・。うん!タツミ、ありがとう。スパイアとフィーロもありがとうね。元気出た!』

タ「それなら良かった。今日はもう遅いからみんなも寝よう。」

ク『タツミはまだ寝ないのか?』

タ「僕はまだやることあるからね。みんな先に寝ていいよ。明日こそはシオンにたどり着かないといけないんだからね。」

ク『うん、わかった!明日こそはタツミと歩こう。』

ス『クラウンが心配だから僕も・・・。』

フ『(#^^#)』

ル『本当なんだかんだ言って仲良いんだから。』

レガ『・・・・・・・。』

タ「・・・・・。」


その夜、タツミは設置されていたデスクライトのみで明日の予定を考えていた。ちなみにポケモン達はもう夢の中だ。

タ「うーん・・・明日はシオンに泊まるか・・・でも万が一まだポケモンタワーがあったら怖いしなぁ・・・。この次の町は・・・セキチクか・・・。ちょっと遠いなぁ。野宿かなぁ。」

どうやら明日の宿泊場所について頭を悩ませいているようだ。シオンタウンはポケモンタワーがある関係か心霊話が多くあまり旅人は寄りたがらない。しかし、周りを山に囲まれた町なのでどうしても隣町に
行くには山をどっち道超えないといけない。しかし、ラジオ塔が建設されたという話もあるため行って確かめない事には何とも言えない状況のようだ。

タ「まぁ行ってダメならセキチクに行こう。それでいこう。うん。」

タツミはガイドマップを閉じふとポケモン達の方に振り返った。

ク『zzzzzz・・・・。』

ス『zzzz・・・・。』

レガ『・・・・・・・・。』

フ『スピー・・・・・zzz。』

ル『zzz』

レ『zzzzzz・・・・。』


タ「みんな良く寝ているなぁ・・・。・・・・レガ起きてるだろ?」

レガ『・・・・・ばれてた・・・。』

タ「そりゃ翼がそんなに動いていたなら起きていると分かるのは容易いでしょ。」

レガ『うん・・・。やっぱり気になって・・・。』

タ「・・・はぁ・・・。じゃあ今からちょっと練習してみる?そうすれば気も少しは落ち着くでしょ?」

レガ『!・・・いいの?タツミ・・・。』

タ「いいよいいよ。気になって眠れないんじゃこっちも気がかりでぐっすり眠れないからね。行くよ。」

レガ『うん!』

タツミとレガは他のポケモン達を起こさないようにそーっと部屋から出た。


現在時刻は23時。通る人はまったくおらず静寂が周りを包んでいた。

タ「よし、人はやっぱりいないな。レガ、やるぞ。」

レガ『うん!』

早速レガは翼を広げて飛び立とうとするがやはり恐怖心が勝ってしまい、飛び上がる寸前でやめてしまう。

タ「ダメだよ、飛び上がらなきゃ。一回飛び上ったら大丈夫だって!もう一回!」

レガ『う・・・うん!』

もう一回飛び上がろうと翼を広げ助走を始めたのだが、残念ながらまた失敗してしまう。結局1時間くらい練習したが惜しいところまでは行くのだが最後には失敗してしまった。

タ「うーむ・・・。どうすれば克服できるかなぁ・・・。」




???『こうするんだよ。』

何者かに捕まったタツミはそのまま大空に連れていかれた。

タ「!?」

レガ『タツミ!・・・お前はあの時の!』

タ「ん?ショウか?良く見えんが尻尾の炎で分かるぞ。」

ショウ(?)『・・・・・・・。おい!お前、これからタツミ落ちるぞ。早く助けねーと大怪我で病院行きでっせー。』

タ「もう方言滅茶苦茶・・・。うわ!」

レガ『タツミ・・・!』

ショウと思われるリザードンはタツミを空高くから落とした。それを見ていたレガは・・・・

レガ『貴様ぁ!!後で絶対覚えておけよ!・・・・・タツミ――!!!』

勢いよく地面を蹴ったレガは翼を広げ大空へと飛び上がった。

タ「あれまぁ・・・・。このまま死ぬかねぇ・・。」

レガ『タツミ―――!』

タ「!?レガ!」


レガはタツミを空の上で捕まえ無事にタツミは地面に辿り着くことが出来た。

タ「た・・・助かったぁ・・・。それよりもショウは・・・?」

タツミは空を見上げたがショウと思わしき影は全く見当たらなかった。

レガ『あいつ・・・今度見かけたらぶん殴ってやる・・・。それよりもタツミ・・。』

タ「うん・・・。レガ・・・。」


タ&レガ「『飛べたー!!』」



ク『それで無事に飛べたという事でOK?』

タ「何とかそれでOK。だけれど生きた心地しなかったなぁ・・・。」

ス『にしてもあいつ最低だな・・・。下手すりゃタツミが死んでたかもしれないのに・・・。』

フ『(-_-メ)』

レガ『本当でもあいつは絶対許さないけどね。それよりも飛べて良かった・・・。』

タ「ははは、まぁもういいじゃない。さてと、そろそろ出発しようか。」

レガ『僕は今日は疲れたからクラウンとレガ、頼んだよ?』

ク『もちろん!あいつが現れたら今度はぶん殴っておくから。』

ス『本当・・・。』

タ「まぁまぁ、さて行こうか。」


ポケモンセンターが峠にあった為かその後はシオンまで下り勾配になる。時刻は7時30分。まだ日も完全に昇りきってないのでそれ程暑くなく、空気も清々しい。

タ「う~む、晴天で何より。さっさと先に進まないとなかなか前に進まないからね~。」

ク『シオンって結構人多いのか?』

タ「うーん・・・幽霊で有名だよ。」

ス『!?』

タ「あー・・・スパイア大丈夫だよ。幽霊って普通夜出るものでしょ?今はまだ朝だし大丈夫だよ。」

ス『それもそうだね・・・。いや~・・・幽霊は苦手で・・・。』

ク『まったくだらしないなぁ~。幽霊なんてただの幻覚じゃないの?』

タ「まぁ諸説あるけど、幽霊にも悪い霊と良い霊がいると思うよ。まぁ、誰かに会いたいから・・心配だからそこにいるんだろうけどね。そう思っておいた方がまだ見方変わるでしょ?」

ス『確かにそうだね・・・。誰かに会いたいか・・・。』

ク『うーん・・・。』


タツミ達は暫く何もない峠道を歩き続ける。昨日とは違いすれ違うトレーナーは少ない。

タ「本当何もないねぇ・・・。」

ク『確かに何もないねぇ・・・。』

ス『うん・・・。タツミ、シオンまで僕の背中のに乗る?』

タ「・・・・どういう事?良く分からなかった・・・。」

ス『僕の背中に乗って空飛んでシオンまで行く?』

タ「あー、そういう事ね。じゃあちょっとお言葉に甘えようかな。」

ク『でも、スパイアって人乗せて空飛ぶのって初めてだよね・・・?』

ス『うーん・・・まぁそうだけど・・。』

タ「ま、滅多にないだろうけど一応フィーロを並走させるかね。」



タツミはスパイアの背中に乗り大空を飛んでいる。また少しでもスパイアの精神的不安が軽くなるようにフィーロを並走させることにした。

フ『でもスパイア、結構安定して飛ぶね。とってもいい感じだよ♪』

ス『そう?そういわれると照れるなぁ・・。』

タ「確かに安定はしているね。それほど窮屈って感じでもないしこれなら空の旅も良いかもね。」

ス『タツミが喜んでくれてよかったよ♪』

暫く飛び続けると山に囲まれた一つの集落が見えてきた。どうやらあれがシオンタウンのようだ。

タ「あれがシオンタウンだよ。・・・・・っと人が多いね・・フィーロはここら辺でボールに戻っておいて。」

フ『うん。スパイア、ちゃんとタツミを送り届けるんだよ?』

ス『わかってる!』

タツミはフィーロをボールに戻してシオンタウンへと降り立った。

シオンタウンは元々はポケモンタワーがあった為、心霊スポットとして有名な町でよく心霊マニアが訪れていた。その為かポケモンタワー内ではポケモンの霊がよく目撃されていたのだ。
しかし、現在のシオンタウンはポケモンの墓だったポケモンタワーを移設し旧タワーは取り壊し、跡地にはカントー地方の主力のラジオ塔が建てられていた。その為以前のような暗さはなく
ビジネスマンや観光客など色々と歩いており活気にあふれていた。しかし、心霊マニアの中では長くあったポケモンタワーの跡地に建てられているため心霊話がそのうち出てくるのではないかと
噂されている。ちなみにポケモンタワー内にあった墓石は遺族の了承を得て近くの建物へと移設されている。

タ「へぇ・・・やっぱり雰囲気が変わってるね。ラジオ塔のお蔭かな?」

ス『これならば幽霊はいなさそうだね。良かった。』

タ「まずはポケモンセンターへと行こうか。」

タツミ達はまずポケモンセンターへと出向くことにした。


シオンタウンのポケモンセンターは以前は唯一幽霊話を聞かない場所と言うことで有名だったようだが現在は通り過ぎるトレーナーや観光客の休憩所として多くの人で賑わっていた。

タ「へぇ・・・結構人多いね。これならば怖さも半減されるね。」

ス『本当・・・・。』

タ「う~ん・・・特にめぼしいものはなさそうだからちょっと町を観光してみようか。」

ス『うん!』

ポケモンセンターは特に何も変わったものもなかったので、タツミ達は町の観光をしてみることにした。しかし、周りを山に囲まれている中に町があるのであまり目ぼしい観光地はないのが現状だ。

タ「・・・・・・。」

ス『・・・・・・・。』

タ「特に何もないね・・・。次の町のセキチクシティに向けて出発する?」

ス『それもそうだね・・・。そうしようか。』

シオンタウンまで来たのはいいが、特に良い観光地もなくただ町があるだけで何もないので先に進むことにした。

ココから先は暫くは海上区域を通行することになる。所々に島があるのでそこを経由しながら先に進むのだが長い事橋の上を通ることになる。途中の島は小さいものばかりで無人島が多いので
橋の上から降りることは出来るが、管理用通路を通ることになるため一般人は立ち入りが禁止されている。また、並走して自動車道が通っているので自動車での走行も可能。

タ「へぇ・・・橋上区域ねぇ・・・。結構距離あるな。よし行くか。」

ス『うん!』

タ「スパイア大丈夫か?結構長い時間歩いたり飛んだりしているけど・・・・。」

ス『大丈夫大丈夫!まだ元気だからいけるよ!』

タ「そっか・・・ならきつくなったらすぐ言うんだよ?」

タツミ達はセキチクシティへ向けて歩き出した。

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