ストーカーしてみた。

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大学生活が忙しくて更新スピード下落中です。申し訳ない。
で、話は変わりますが一つ聞きたいんですけどXYのポケモンって出してもいいんでしょうか?どこにもXYのポケモンを出してる人がいないのでふと疑問に思いました。誰か教えてくださいm(__)m
書いてもいいなら書くつもりです。
何となく春の陽気が感じられる今日この頃。
俺は暖かい風が吹く外で平たい水色の尻尾を揺らしながら歩くあいつを追いかけながら歩いていた。
理由?ただただ暇だから。あと、あいつの私生活が知りたいから。
と言うわけでバッサリ言えばストーキングしてます、はい。こそこそとあいつの後ろの物陰で身を隠しつつずっと追いかけてる。
そもそも俺の部屋に来るくせに俺があいつの後を付けてたり、部屋を出て行く後に続いて出かけようとすると決まって怒るんだもん。絶対に付いてくんなってさぁ。
だから一向にあいつの普段の生活が見えてこないし、こっちから近付くことも出来ない。
…で、考えた結果がこの状況。ちょっと周りの目が気になるけど…まぁ気にしない。
それにしても…さっきからずっと同じところをぐるぐる回ってるんだよなぁ。何がしたいのやら…。
そう、さっきからずっと同じ道を歩いているだけ。時折、きょろきょろと周りを見渡すようなことはするけどそれ以外はずっと同じ道を歩くだけ。う~ん、面白くない。
そのまましばらく追いかけても何もなさそうなので夕飯用の食材を買いにスーパーまで行こうかな…と思い初め、空に視線を泳がせた。あぁ…もうこんな時間か。そろそろ帰らないとあのラジオが始まってしまう。
そんなことを考えながら前を向くとそのわずかな間であいつはこちらを振り返り、屋根に飛び乗りとーん、とーんと屋根伝いにどこかに走り去っていってしまう。
あぁ…嵌められた。くっそ、やられた。最初から俺をまくのが狙いだったのか。つーか気づいてたのかよ…。やるならもっと早くやってくれよ…。
今までの苦労が水の泡。ついでに俺の時間も無駄にした。
追いかける?
無理無理。ポケモンに敵うわけが無い。第一、追いかけたとしてもそれこそ俺の体が危ない。
と、言うわけで帰るか。どーせ追いかけたって無駄なんだから。
とかなんとか考えながら歩いていると向こうからいつだか俺の部屋に来た黄色い電気鼠が歩いてくる。
そしてそのまま俺の横を会釈しながら歩いていった。
…………よし、路線変更。やること決定。ターゲット変更、ターゲット目の前を歩くピカチュウ。追跡再開せよ。
そんな中二臭いことを脳内で行い、俺はピカチュウの後をつけていく。
うはは、こいつ意外と顔が広いのな。いろんな人に可愛がられてるよ。……断じて可愛い女の子に撫でられていいな~とか思っているわけじゃない。断じて、これ大事だから二回言った。
そのまま、付いて行って気づいたことがある。
………あれ、この道って俺んちがある方角じゃない?もしかして俺んちに入ろうとしていらっしゃる?
それはまずい。実にまずい。部屋には誰もいないけど窓開けっ放しで下着やらゴミが散らばってたような気がするし…。
あと…ね、男なら誰しもするようなことを昨日してそのままのはず……。拭いてもいなかったような…。多分臭いが籠って…。
でもだからと言って今ピカチュウをダッシュで追い抜いてばれるのも気まずい。
嫌な汗をだらだらかきながらいるとずんずん目の前の俺の部屋に近づいていく。
イヤーーーー!!
「ってあれ?」
俺の家を素通りしてすたすたと歩いていく。ホッと一息。でも俺の家を素通りするならどこに行こうとしているのかますます気になる。
う~ん…そろそろ帰ろうかな?そろそろ始まるころだし…。
あの番組を見たいし…。でもここまで来て諦めるのもなぁ……。
「……なんじゃこりゃ…」
かなり前に来た空き地でなにやらポケモンたちがワイワイと騒いでいた。小さいのから怪獣と呼ばれるポケモンまでお世辞にも広いとは言えない敷地にぎっしりと詰まっていて何とも異様な光景でその視線の先には子どもが入れそうな土管が一つあり、そこにこっそりとピカチュウが入って行った。
これから何が起こるのかわからんがとにかく自分はここにいてはいけないような気がしてゆっくりと塀の陰に隠れるように下がる。
そこから部屋に回れ右をして帰ろうと思い後ろを向くと何やら茶色いものに足が引っ掛かり俺は前のめりに倒れる。
なんだと転んだ場所を見ると茶色い頭に赤く丸い鼻がついた生き物が三つもアスファルトから覗いている。それもとても驚いたような…いやなんとなくだけど。とにかく俺の足がぶつかったのはポケモンで、その肝心のポケモンが悲鳴とも取れる大きな鳴き声を発した。そのせいで俺の存在はポケモンたちに知られてしまいポケモンたちは一目散に走っていく。
ぽつんと残された俺とダグトリオがアスファルトに残していった、いくつかの穴。
仕方がないからポケモンたちがいた場所に俺自身が腰をおろしてみる。ここにあれだけのポケモンたちが集まるには何かしらの理由があり、それを俺が阻害したということになる。
罪悪感に押しつぶされそうになっているとごそごそと土管の中で物音がした。


さ~始まりました『空き地でラジオ~!!』
今回もまたいつものメンバーで張り切って参りましょう!
パーソナリティは私、グレイシーと…
「いっつも元気な鼠娘、ライがお送りいたしまーす!…ところでグレイシー?」
なんでしょう?
「今日は特別ゲストが来てくれていまーす!」
えっそんな話聞いてないんだけど…。っていうか私に何も言わないで勝手なことしないでよ!?
「まぁまぁ…そんな固いことは言わずにさ。グレイシーのことをもっと知りたいっていう人が来てくれているんだよ?それを断るのはパーソナリティとして失格だと思うなぁ~」
うっ…わ、わかったわよ。今日はいいわ。今日だけだからね!?今度こんなことしたら全力で叩きのめすからね?
「お~、怖い怖い。まぁ…そのゲストさんはこの場所に入ってこれないから私たちが外に行くしかないんだけどグレイシーは目隠ししてね?」
何でよ?
「まぁまぁ小さいことは気にしない、気にしない」
なにそのにやけ面…。すんごい嫌な予感がするんだけど…。
「………さぁさぁ、行った行った!」
何よ、今の間は!
ちょっ、押さないでよ!?
ちょちょちょっ、ちょっと待って!


「ごたいめーん!!」
「うお!」
ぽいっと土管から飛び出してきたのはいつも俺の部屋に来る水色のやつ。地面に落ちないようにしっかり受け止めてやる。
「ちょっとライ!いきなり何するのよ!!」
「ふっふぅ!!そんなことより自分の置かれた状況見てみなYO!」
どこから持ってきたのか電気鼠は黒いメガネをかけてラップ調の言葉で話す。………話す?
「えっ、っていうか…えぇ!?」
びくっと俺の腕の中で震えた水色の体。そぉっと俺のほうを見るグレイシア。俺の瞳とグレイシアの濃い藍色の瞳が見つめ合う。これから何かが始まるかのような静寂。そう…それはまるで……。
「あ……えっと…ぐ……ぐらぁ?」
「いやいや…今さら遅いだろう」
「あぅ…えっと…ば………ばかぁぁぁあぁあ!!」
「ガフゥ!?」
俺の顎に繰り出された体当たり。あぁ…脳みそが揺れる…。
背中に地面と思われる感触がして最後に後頭部が地面に打ち付けられる。俺は暗くなり始める空を歪む視界で捉え、今何が起こったかを整理のつかない脳みそで考える。
えっと…ピカチュウを追いかけてこの空き地の入り口でダグトリオに引っかかってすっ転んでポケモンたちが逃げて行ってそれからラジオが始まって…それで………。
ピカチュウとグレイシアが人の言葉を喋ったんだ…。
痛む後頭部と顎を抑えてゆっくり立ち上がる。ふらふらするけど立てないほどじゃない。
「いててて……」
回りを見るとピカチュウがいた。グレイシアもいたけど走って行く後ろ姿しか見えない。
「追いかけなよ」
黄色い姿の電気鼠が足元で言う。仕方なしに足を動かす。しかし、あいつの足の速さは俺が一番よく知ってる。走っても走っても差が縮まる気配がない。それに……。
「さぁ、楽しい展開になってきましたぁ!彼はグレイシーに追い付くことは出来るのでしょうか?実況は私、ライがお送りします!!」
「なにしてんの?」
走りながら尋ねる。端から見たらなんとも変な人である。
「何って…実況よ、実況。あんたとグレイシーの恋の行方を実況してるのよ配信はロトムがしてくれるから私は話すだけよ?」
それより無駄口してる暇はあるの?と、言われ前を向くと拳ほどもある礫が飛んでくる。
「ちょ、グレイシア!話を…聞けって!!」
「嫌よ、どうせ人の言葉を喋るポケモンなんか嫌いって言うんでしょ!? だったら私はあんたの前から姿を消すわ!だからもう付いてこないでよ!」
「別に嫌わないから俺の話を聞けってば!!」
かなり離れたところでそいつは目を真ん丸にして尻尾をへたりと地面に付け、それ本当?と口を動かす。
はぁはぁ……と肩で息をしながらとりあえず頷いておいた。
足元ではやることはやったわ。とでも言いたげな電気鼠。えっへんと胸を張る。……なんだか釈然としない。ふと前を見るとゆっくりゆっくり歩いてくる水色のやつ。何やら吹っ切れてすがすがしい…でも恥ずかしいという感情が見て取れる。
「えっと……話って?」
「あっ…そりゃえっと…」
言い渋っていると電気鼠がごすっと膝小僧にパンチを繰り出す。早く言えと言わんばかりに睨み付けて来る。
「えっと…これから俺の…」
「お、俺の…?」
「俺の…部屋に行こうか?」
ズルッと二匹そろって前のめりに転ぶ。そして、グレイシアが声を張り上げ俺に向かって言葉を言い放つ。
「そうじゃないでしょ!? ここは愛してるとか付き合ってくださいとか色々あるでしょ!?」
「んなっ、そんなこと言えるか!」
「言えなくても言うの!! ここはそう言う場面でしょ?」
「どういう場面だ!!」
しばらく言い合っていると横で電気鼠がくすくす笑ってた。それを皮切りにグレイシアがハッと我に返って赤面する。その表情が何とも可愛らしいこと…。頭を俺の手のひらでなでてやる。
「まぁ…何はともあれ今日の空き地でラジオは特別回グレイシーとその彼氏を追跡!をお送りしました。それではみなさん、ご一緒に? 空き地で~ラジオ~!!」
電気鼠はその掛け声をかけてもう私の出番は終わりと言って帰って行こうとする。
「…グレイシア?」
「うん、そうね」
俺は後ろから電気鼠の体を掴みあげる。持ち上げた瞬間電気鼠の体が強張った。目の前にグレイシアが回り込む。
「ねえ、ライ?もしかして今、実況してた?」
「えっと……テヘペロ?」
「天誅!!」
その日、とある場所のとある空き地で人の物ともポケモンの物とも言えない悲鳴が響き渡ったという。

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