ページ1「少年と師と助けを求める少女」

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読了時間目安:3分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

ー少年は考え事をしていた。
何故自分がこの世界に呼ばれたのか。
何故自分が人間からミジュマルになったのか。
そして時々見る夢の正体は何なのか。
草原に寝転がり、空を眺めていても、流れる雲は何も教えてくれはしない。
答えなんてものは、どうあがいたとしても見つからないというのに。
???)「ここにいたか、パール。また考え事か。」
パールと呼ばれた少年はゆっくりと起き上がり、声の主のほうを向く。
パール)「なんですか、アイオライト師匠。今度は何の説教ですか。」
アイオライトと呼ばれたパールの師匠であるダイケンキが、パールの横に腰を下ろす。
アイオライト)「……まだ、あの力には目覚めんのか。」
パール)「そんな簡単に目覚めたら苦労しませんよ。僕は師匠とは違って生まれながらの天才ではないんで。」
アイオライト)「確かにな。だが、お前は私を超えるだけの潜在能力がある。近いうちに、きっと、剣も応えてくれる。」
パール)「あの剣が僕を認めてくれるだろうか……。」
アイオライト)「出来るさ。お前ならばな。」
アイオライトはそういうと、手に持っていた酒瓶を飲み干す。
パール)「師匠。そんなお酒ばかり飲んでると早死にしますよ。」
アイオライト)「何を言う。これは私にとって燃料のようなものだ。」
アイオライトがはっはっは、と豪快に笑い、やれやれ、とパールが呆れていたそんな時だった。
???)「あ、あの……!!すいません……!!助けてください……!!」
傷だらけのツタージャの少女が二匹に助けを求めてきた。
パール)「怪我してる……!!一体何があったんだ!!教えてくれ!!」
アイオライト)「待て、パール。まずは手当てが先だ。それに、お前がそんなに食い気味だとこの子も落ち着いて状況説明も出来んだろう。」
アイオライトは彼女を背負い、パールと共に道場へと急いだ。
道場につくとアイオライトは手際よく彼女の手当てをした。
そして、しばらく時間がたち、ようやく落ち着いた彼女が話し始めた。
ヒスイ)「私はヒスイって言います。私の住む村は小さくて貧しいながらも、みんな幸せに暮らしていました。……あの日までは……。」
彼女の脳裏には、とても恐ろしい光景が広がっていた。

[つづく]




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