ミイラ取りがミイラになるという有名な言葉

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そのまんま
あのルネシティに行ったはいいものの、僕の姉ちゃんはタイムスリップした可能性が高いという情報だけが得られたという何とも後味が悪い遠征から早くも1か月が過ぎようとしていた。僕は帰ってきた後に新聞社時代の同期や別の情報社に尋ねてみたが、タイムスリップした話はどこも実際には見た事もないという事だったがそりゃ当たり前だわな。神話では結構タイムスリップだとかタイムリープだとか時空乱流とか色々語り継がれたりはしているが、現実での話となると一気に嘘くさくなるのが常だ。

「あとはこの仕事を終わらせてっと。これさえ終わらせられればどうにか10日間の長期休暇に入る事が出来る。この連休ならばシンオウ地方の色々な所を回る事は出来るでしょ・・・でも問題はそこまでの交通手段よな。流石にここカイナシティからシンオウ地方は遠すぎるから飛行機で移動するしかないだろうしな。でもそうなるとちょっとあれだから今回はポケモン達は全員置いておいて、あっちでレンタカーを借りてから移動するという事にしようかなと思ってる。って何独り言言ってるんだか。変な人って思われるでしょ。」

この計画がボーマンダ達に知れ渡ると、一気に全員付いてくるムード全開になるからバレないようにしなくてはならない。飛行機のチケットはもう取っちゃったから後戻りする事は出来ない(金銭的な意味で)から決行するけど、一人で知らない土地に行くというのも中々怖い物はあるよね。まっ、一人の方が色々と行動しても意見の食い違いとか機嫌の良し悪しで喧嘩とかがないから一筋に悪いとは言えないけどね。

ボー『残念だったがなシンゴ、その計画はもう僕だけは知っているのだよ。勿論他のポケモンには他言してないし、僕とシンゴ以外は誰もその計画を知らないから無用の心配をする必要はないよ?』

「・・・・なんでその話知ってるの?もしかしてさっきの話聞いてたの?」

ボー『シンゴとは長い付き合いだからね~、シンゴが何しようとしているのか位は分かるよ。それに空を飛ぶじゃなくて飛行機で行くって事もね?飛行機本当は怖いくせに別に強がらなくても僕が連れて行ってあげたのにここからシンオウまでなら半日もあれば連れて行ってあげたのにね(超早口)』

「・・・・君みたいな勘のいいボーマンダは嫌いじゃないよ。・・・っていうのは置いといて、やっぱりボーマンダだけには隠し事できないですかぁ。じゃあ分かりました、シンオウに一緒に行きましょう。でも空を飛ぶじゃなくて飛行機ってのは変わらないからね?もうチケット取っちゃったから今からキャンセルするとキャンセル料取られちゃうからさ。それならば連れて行ってあげても良いけど?それが嫌なら事務所に残って残務処理でもしてて?」

ボー『しゃーないなぁ・・・じゃあ2時間程だけだからね?ボールの中はあまり好きじゃないんだよ。なんかこう変な感じがするから…。』





出発当日、他のポケモン達にはちょっと遠征行ってくるとだけ書いた書置きを置いてボーマンダが入ったボールを持ち車に乗り込む。1週間以上帰ってこないからある程度の荷物はスーツケースに入れて持ってきたけど、何故だろうか?いつもなんか忘れているような気がする・・・まっ、現地調達って事で済ませますか。なーんか嫌な予感もしないわけではないけども気を取り直してそれじゃあ行こう。まずはカナズミシティの空港へと向かってそこから飛行機でシンオウへ。

飛行機は凄い久しぶりだったのだけど特段トラブル等の遅延も無くシンオウに着いてしまう。空港に居る人の多さを考えるとやはり来る時期を間違ったのだろうかと思ったけど仕方ない事か。シンオウに着いたら一旦レンタカーを借りてコトブキシティへ行ってみるけど、それよりも凄い道も広いし直線的な道が多い気がする。

・・・空港からものの1時間程度走らせるとシンオウの中では1,2を争う位の都会であるコトブキシティへと辿り着く事が出来る。なるほどここがシンオウでも1,2を争う大都会ですか・・・広さもかなりあるのと都会のような高層ビルが立ち並んでいる事からカナズミシティと比べても見劣りしないのは凄いと思う。でもカントーのヤマブキシティには負けるとは思うけど。

「今回は観光に来た訳ではないからそこまで都会を回るという事はしなくても良いけど、まずはこちらの図書館から回ってみましょう。おっと、ここの図書館は閉館しているではないか。おかしいなぁネットの情報だと今日は開館日の筈なんだけどなぁ・・・ここで色々悩んでいても時間が過ぎるばっかりだから、じゃあ次の予定地でもあったミオシティへと行ってみる事にしようかな。ここから大体車で1時間も掛らない感じだからサクサクと行きましょう。」

なんかさっきからボーマンダが入ったボールがグラグラと揺れている気がするけどそれを僕は右から左へと受け流す。こんな所で出してたら辺りがざわ・・ざわ・・って事になりかねないからもうちょっと我慢してもらう事にして僕はレンタカーを走らせミオシティへと向かった。

ミオシティは町の中を運河が走っているどこか懐かしい感じがする町・・・シンオウ地方では観光の見どころな町の一つなのでそこそこ訪れる人も多く、色々な地方の人が行き交う町だったりもする。ミオシティ図書館はちょっと運河から離れた場所に建てられており、閲覧できる書籍の数もシンオウの中ではかなり多いらしく、最新のライトノベルからシンオウ昔話的な古書も色々揃えている話だったりする。これは少し期待が持てるかもしれないと思い僕達は二手に分かれてそれぞれ本を探り読んでいく。ボーマンダが居る事で図書館内では静かにざわ・・・ざわ・・・している気がするけど僕達は気にせずに本を読んでいく。

「おっ、この図書館ではポケモンと結婚した人がいるって書いてる書籍が数多くあるな。これこの前のキュウコンとあの男性の取材してる時に見つける事が出来たならばいい判断材料になったのになぁ~。見つける時期が惜しかった。っというのは置いといて、ボーマンダは何か見つかった?」

ボー『うーん・・・これと言ったものは見つからなかったけど一つ気になる本はあった。これこれ、この部分にタイムスリップした人の事とか書かれているよ?それにしてもやっぱりそのシンオウの伝説3神かセレビィに会えないとちょっと探すのは厳しいと思うよ???』

「そうか・・・じゃあ一旦外に出よう。ここに居るとどうもボーマンダに向けられる視線が凄く痛いというかなんというかね?」

この地方で伝説ポケモン関係の施設や建造物があるのはハクタイ・キッサキ・デンガン山山頂にあると言われている槍の柱・・・・槍の柱は行く事自体が結構なハードスケジュールになるようだから取り合えずは最後に行く事にして僕達は近場のハクタイシティから行ってみる事にした。





ハクタイシティに行ってみるとは言ったものの、大凡5時間程度掛けてやって参りましたここがハクタイシティ!ってもう辺りはすっかり暗くなって観光どころではなく、その伝説ポケモンをモチーフにしたというポケモン像も何が何だか分からない状態になっております。暗い中動くのは流石にどうかとはこの地方では思うので宿を取りたいと思ったが、残念な事にほぼほぼ満室。何故こんなにも満室ばかりなのかは知らないけど、満室ならば仕方がない。今日は車中泊だな・・・・ボーマンダは外で寝かせて・・・は危険すぎるから止めておこう。

適当なトイレ付の駐車場にレンタカーを止めると僕はシートを倒して横になる。これが何日も続くとなるとかなり体力的にも精神的にも辛くなるけど、今回の遠征は長くても数週間程度を見込んでいるからこれ位は我慢しないと・・・金銭的な面で。

「さてと・・・明日も朝早くから調査しないといけないから早く寝ないと・・・うーん・・・眠れない気もするな・・・でも寝ないと流石にオールで明日の探索をするのは辛すぎるものがある。さてどうするべきか。」

僕は貴重品が入っているショルダーバッグを持ち、車から出ると深呼吸をする。この辺りは静かな森の中を走る道路だから過ぎ去る車以外の音はしない。ましてやこんな夜に行動するポケモンも一部ポケモンだけだし、走っている車の数も多くはないから辺りには静寂と暗闇が広がっていた。もう少し標高が高くて開けていたならば町の夜景が見えたかもしれないけど、こんな国道沿いのパーキングにそこまで求めるのは流石に酷か。



ガサッ


そのような音がパーキングすぐ傍の草むらから聞こえてきた。こんな夜にこんな音は凄く心臓に悪いじゃないかと僕は不安に思いながらも近づいてみるけど暗くて何があるのかよく分からない。こんな夜に起こすのは流石に悪いとは思ったけど、ボーマンダをボールから出して、その音がした方向を見て貰ったけどそれでもやっぱり分からない。ボーマンダは結構気配とかを色々と感じ取るような事があるんだが、それでもないという事は僕の空耳か?それとも考えすぎ?それともただの風??

ボー『何かがあるとは思うけど、それが何なのかはちょっとよく分からない。にしてもこの駐車場暗すぎるなぁ・・・街灯とかの明かりがあれば少しは違うと思うけど。そういえばレンタカーの中に懐中電灯なかったっけ?トランクにあったような気がするけど??あれって発煙筒だった???』

「懐中電灯懐中電灯・・・・あー荷物の中に埋もれて何が何だかこっちも分からなくなってる。セダン車しか空いてなかったからセダンにしたけどトランクの中が荷物で凄い事になってる・・・取り合えずスマホの明かりを頼りに見てみるか。」

スマホの明かりでは少々乏しい気もするけど、車を動かしてヘッドライトを照らすのは流石に面倒臭いと僕は考えていた。そもそもエンジンを掛けてちょっと動かすなんて事でガソリンを減らしたくなかったし、エンジン掛けて車の向きを変えてとか色々やりたくは無かったから。

「うーん・・・よく見えないけど・・・緑色のポケモン???みたいなのが居るような気がする。ってこのポケモン怪我してるじゃないの???ボーマンダ!!車の中に確か救急箱みたいなのがあったと思うからそれを急いで持ってきて!!」

ボー『わわわわ分かった!!』

ボーマンダに救急箱を取りに行かせている間に僕はその緑色のポケモンをどうにか草むらから出そうと必死に手を突っ込んで外へと出そうとした。あとちょっとでそのポケモンに触れる!って所で急にそのポケモンが発色しだして僕はその光へと包まれてしまった。はっ?ちょっと待てこのポケモン自発光式メーターか何かか???電源入ると自動的に光るってやつ。ってこんな事悠長に考えている暇は無かったー!!すぐに急いでこの場から逃げないt




ボー『えーっと救急箱救急箱・・・ってどれよ!!なんでこんなにもトランクの中が散らかっているのよ!!!おいシンゴ!!救急箱ってどれ・・・ってあれ?シンゴ???シンゴー!!!!!どこ行ったー!!!!・・・・えっ???本当にどこ行ったんだ??そもそもなんかあの緑色のポケモンも居なくなってる・・・っという事はまさか!!嘘だろ!???おいちょっと待て!?これから僕どうすればいいんだよー!!!』

ボーマンダが見た先には先程までいた自分のトレーナーの姿ではなく、ただの暗闇と静寂が広がっているだけの光景だった。

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