臨時乗組員ミオ④

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ミオ(地球人少女)
シルヴィ(ツタージャ♂)
ワイルドジャンパー(リザードン♂)
レノード(地球人男性)
「おお、そなたこそ伝説に謳われし勇者シルヴィ!」神殿に仕えし老体は厳かに言った。「あなた様をお待ちしておりました。ささ、古の台座に立ってくだされ。その御身に抱きし新緑に輝く若葉の剣を解放し、天高く捧げるのです。さすれば伝説の神剣『ケーイレス』のオーラが、新たな力を授けるでしょう」

 第六スペース。
 信仰心に溢れるこの世界は、荘厳な大自然と古代の神殿が調和し、信心深い敬虔な信者たちを迎え入れる。と同時に、観光業も盛んに興っていた。そのひとつが、この『ケーイレスの儀式』である。
「つまりこれは、壮大な勇者ごっこですか」
 レノードがぽつりと言ってしまった。ミオはシルヴィの晴れ舞台に夢中になってシャッターを切っていたので、かわりにワイルドジャンパーが彼を小突いた。
「聞こえますよ」
「だって変でしょう。こんなのゲームでよくある展開だ、現実に起こるはずがない」
「そりゃ……」ワイルドジャンパーはチラリと神殿の奥を見やって、苦々しく。「俺もそう思いますが、あの子が……シルヴィが楽しければそれでいい」
「今はいいですよ。でもこの後どうなるか想像がつくでしょう。シルヴィは覚醒した……少なくとも覚醒したと思い込んでいる『リーフブレード』を試したい。ミオもバトルに乗り気です。さあ、いざ実践で試して、パワーアップは嘘だったと悟ったとき、一体どうやって慰めるつもりですか?」
 まあ、ねえ。でもさすがにシルヴィも本気で強くなれるなんて思ってないでしょ。と、ワイルドジャンパーが楽観的に構えていると……。
「すごいよ、内側から力が溢れてくるみたいだよ! やっぱりぼくって選ばれし勇者だったのかな、今ならミュウツーでもアルセウスでも倒せる気がするよ!」
 シルヴィがミオと一緒に有頂天になって戻ってきた。そしてミオが禁断のひと言を口にしてしまった瞬間。
「じゃあ早速バトルで試してみようよ!」
 ワイルドジャンパーは顔を手で覆った。
仕方ねえ…少しだけ本気を出すか…!

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