第6話
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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
翌日、窓際に置かれたベッドで眠っていたタツミの目にカーテンからこぼれた太陽光が当たりタツミは目を覚ました。
タ「うーん・・・もう朝か・・・じゃあ起きるか・・・。」
今日は背中にクラウンが乗っていない事を確認しながらベッドから下り身支度を始める。しかし、地面ではクラウンとメリープがまだ眠っている為起こさないように静かに身支度をする。
タ「うーん・・意外とまだ6時か・・・じゃあちょっと先の状況だけでも確認がてら行ってきてみようかな。確かこの先に洞窟があったからそれが通行止めになってたら迂回路を考えないといけなくなるし・・・。」
タツミは1階に下りてみる。しかし、まだ朝早いからかポケモンセンター内には誰もおらずジョーイさんもどうやら休憩に行っているようでカウンターもがらんとしていた。
タ「まぁここの道路の通行量見れば今の時間の状況も分らないでも無いか・・・さてと、さっさと行って帰ってこよう。」
タツミはポケモンセンターから出てみる。大変空気が澄んでいて清々しい朝であった。しかし、やはりこの道路はあんまり使う人がいないのか通行人自体はおらず見える範囲には人影は全く無かった。
ポケモンセンターを出て暫く行くとつながりの洞窟の入り口へと辿り着くことが出来る。内部は大変入り組んでおり迷うと言う話だが次の町へと向かうにはここを通らないと辿り着くことが出来ないため内部には人は結構いるようだ。
タ「うーん・・まだ時間あるからもうちょっと先まで行ってみようかな・・・。しかし、やっぱり薄暗いなぁ・・。」
洞窟内は洞窟上部から太陽光が少し入ってきているらしく完全な暗闇という訳では無く、薄暗いといった感じであり懐中電灯が無ければ歩けないというわけでも無かった。
暫くは道なりに歩いて行くが暫く行くとT字路が現れた。片方は今まで通りの道が続きもう片方ははしごで下へと下りる道であった。タツミは少々悩んだが一旦下へと行ってみて何も無かったら戻ることにした。
タ「どこ行くんだろうなぁ・・・っと言うよりも結構暗くないか・・・?そうでも無いか・・?」
下へと下りてみると下りた場所は特段上階と変わらない風景だった。しかし、ちょっと目を凝らしてみるとなにやらキラキラと光る箇所があった。
タ「?何だろう・・?行ってみようかな。」
タツミはその光っている場所へと向かってみることにする。ある程度進むと分るのだがそのキラキラ光っている場所は上部がぽっかりと穴が開いており日の光が差し込んでいた。そして光が差し込んでいる場所にあったのは地底湖と思われる広い湖であった。
タ「うわぁ・・・広いなぁ・・・。・・・・ん?なんだあれ?」
この広い地底湖に何か動く物体があり、それに何人かの人間が取り囲んでいるようであった。タツミはその部分を凝視したが遠すぎて何がいるのか見えない状態だった。その為ちょっと近づいてみることにした。
「おい!早くしろ!見つかるだろ!!」
そう男は叫んだ。ここは地底湖の為声が周りの岩岩に反響し遠くまで響いてしまう為、タツミにもはっきりとその声が聞こえてきた。
タ「もしかして・・・襲われている・・・のか・・・?あのポケモン・・・・?」
タツミは少々不安になりながらもその声がしている方へと向かっていく。暫く歩き続けると丁度良く隠れられる岩場を発見できたのでそこから状況を確認する。
タ「あのポケモンは・・・たしかラプラスだったな・・・こんな所にいるなんて珍しい・・・ってなんか状況が可笑しいぞ・・・?」
確かにタツミの目の前には1匹のラプラスがいた。そしてそれを取り囲むように黒ずくめの男が3人何かの装置を前に話していた。
男2「あれ~おかしいなぁ・・・今日の朝作動させた時は別に問題なかったのに今は全く動かない・・・。」
男3「何やってんだよ!せっかく弱らせたのに捕まえられないのかよ!」
黒ずくめの男達はそう呟き手元の謎の機械を操作していたが、その機械は全く動く気配すらなく男達はどうやら苦戦しているようだった。ラプラスは相当弱っているのか岩場に首をもたれぐったりとしていた。
タ「何とかしてあのラプラスを助けられないか・・・・。警察に言った方が良いのかな・・・?」
男1「?誰だ!!そこにいるのは!」
タ「気づかれたか・・・・?」
男1「・・・・気のせいか・・・それよりも一旦外に止めている車に戻るぞ。そこでちょっと修理すれば良いだろ。」
男2「でもこのラプラスどうします?ここまで弱らせたのに離れたら逃げられちゃいますよ?」
男3「大丈夫だろ?もう息も虫の息だしここから泳いだりして逃げれるわけ無いだろ?それよりもこんな事している時間が無駄なんだから行くぞ。」
黒ずくめの男達はそう話すとその機械を持ち外へと続くはしごを上っていった。その瞬間を狙いタツミはラプラスに近づく。
タ「大丈夫?」
ラ『・・・・・。』
ラプラスは意識自体ははっきりしておりタツミの方を見たが、それだけでも体が小刻みに震えだしており相当怖がっているようだった。しかし、タツミはラプラスを優しく落ち着かせるため背中を撫でバックの中から治療箱を取りだした。
タ「怖がらなくても大丈夫だよ。それよりも・・・急いで治療しないと・・・。この状態じゃ辛いでしょ・・?」
ラ『・・・・平気だからもう帰って・・・。貴方もあの男達みたいに・・・・。』
タ「僕はそんなことしないよ。それよりも治療するよ。」
タツミは傷薬と包帯を持っていた。
ラ『あなた・・・私の声が分るの?』
タ「わかるよ。それよりもほら手を出して。」
タツミは優しく微笑みながら手を差し出すとラプラス側もタツミは悪い人じゃ無いと判断したのか傷だらけの腕をタツミに差し出してきた。
タ「うわ・・・結構酷いな・・・。こんな簡易的な治療箱で治るのかな・・・でもやってみるしか無い・・・!」
タ「よし、何とか治療できた!これで後は安静にしておいたら大丈夫だと思うよ。」
ラ『ありがとう・・・。本当ありがとう・・・・。』
ラプラスは今にも泣きそうな顔でそう何度もタツミにお礼をしていた。体中包帯で中々見るに堪えない状態だが、治療自体は済んだためタツミは残った包帯などをバックに戻しポケモンセンターへと戻る準備をしていた。
タ「これぐらいどおってことないよ、でもまたあの男達が帰ってきたら急いで水の中に潜るとかの防衛策は考えていた方が良いよ・・。気をつけてね・・・それじゃ。」
ラ『・・・・・・・大丈夫・・・。うん・・・!』
タツミはバックに全部をしまい終わると上階へと向かうはしごの方へと向かって歩き始めた・・・しかし歩き始めて暫くして後ろの方からタツミの服を何かが引っ張るような感じになりタツミは気になり後ろを振り返った。
タ「?」
タツミが振り返ると先程のラプラスが地面にも関わらずにタツミに付いてきていた。どうやら先程の何かが引っ張るような感覚はラプラスが口でタツミの服の裾を引っ張っていたからのようだ。
タ「どうしたの?まだ痛むの?」
そうタツミは心配し声を掛けたが、ラプラスは首を横に振りまっすぐとタツミの目を見つめこう言った。
ラ『あの・・・・その・・・・私を貴方と一緒に連れて行ってもらえませんか・・・?』
ラプラスは先程までの怯えたような目では無くまっすぐとタツミの目を一直線に見ていた。
タ「えっ?」
突然の申し出に驚くタツミだったが、それを見越してラプラスはこう続けた。
ラ『貴方は私を・・・命がけで助けてくれました・・・。今まで人にあまり会ってこなかった私にとって貴方が助けてくれた事はまるで暗闇の中で光る一筋の希望の光のように見えて・・・だから・・・・今度は私が貴方の力になりたいんです!もし宜しければ・・・お願いします。』
タ「分った。こんな僕でもよろしくね?」
ラ『はい!』
タ「うーん・・・なら名前を付けようかな~・・・ラプラスのままでも良いけどやっぱり名前付けた方が呼びやすいしわかりやすいからね・・・。」
ラ『・・・・・・。』
タツミが考えている間、ラプラスはその場から一歩も動かずタツミの顔をただじっと見つめていた。しかも何故か頬を染めていた。
タ「・・・・ウィングで良いかな・・?」
ラ『ウィング・・・いい名前ですね・・・ありがとうございます!』
タ「気に入って貰って良かったよ、良かった良かった。でもその体じゃ結構動くのきついと思うからボールの中に入ってて良いよ。」
タツミは1個のモンスターボールをラプラスの前に差し出すとラプラスはおでこをボールの丸い部分に押しつけボールの中へと入って行った。そしてその後数回揺れた後パチッと言う音がした為、タツミはラプラスをゲットした事になる。
タ「これからよろしくね・・・。」
そうタツミはボールに話し掛けるとそれに答えるかのようにボールが小刻みに揺れた。タツミはその後ボールをバックの中に戻すとはしごを上っていきポケモンセンターへと帰っていった。
・・・・・・・
ポケモンセンターへと到着したのは大体8時近くだったのだが、もうクラウンやメリープは起きていてタツミが部屋に入った瞬間クラウンがタツミへと飛びついてきた。
ク『タツミ!今までどこに行ってたんだ?』
タ「あっ、ちょっと先の事が気になったからつながりの洞窟に行ってたんだよ。あっ、そうだ。2人に紹介するね。」
そう言うとタツミはウィングが入ったボールを取り出し中からウィングを外へと出した。勿論部屋の広い所で出したので部屋の備品が落ちたり等はしていない。
ク『えっ・・・どどちらですか?』
タ「ラプラスのウィング。今日から新しく仲間になったからみんなよろしくね?」
ク『えっ?ちょ・・待って・・全然状況を飲み込め何だけど・・・説明して・・・。』
タ「うーん・・まぁ簡単に説明するとつながりの洞窟のしたには地底湖があってそこで謎の人物から攻撃されてたらしくて、それを助けたら付いてきたって感じかなぁ・・・。」
メ『えーーーすごいことじゃないですか!』
ク『ほ・・・ほぉ・・・。中々スリリングな感じで出会ったんだね・・・。』
タ「まぁそういう感じかな。それよりももう8時過ぎたらから朝食取ってから先に進もうか。結構長い感じの洞窟だったから明るい内に向こう側に出たいし早めにポケモンセンターで休みたいからね。」
このポケモンセンターは他の地域と比べると通行人が少ないという理由で食道は設置されていない。その為タツミ達は昨日町で買っておいた食料とポケモンフーズを朝食とした。
ちなみにウィングとメリープは初めて食べたポケモンフーズの味に驚きを隠せないのか目を丸くして食べ続けていた。
一通り朝食が終わると、周りを片付けウィングとメリープをボールへと戻す。部屋の方はメリープがどうやらちょっとは片付けていたようでタツミがやったのはシーツを整えたりした事くらいである。
タ「よし、じゃあクラウン行こうか。」
タツミはクラウンを肩へと乗せ1階のカウンターへと向かっていった。
1階ではジョーイさんがタツミの事を待っていたようで、タツミの姿を確認するとミニリュウが入ったボールを持ちタツミへと駆け寄ってきた。
ジョーイ「タツミ君、昨日は十分眠れた?はい、これがミニリュウが入ったボールよ。もう十分回復してあるみたいだから大丈夫とは思うけど・・・あんまり無茶はしないでね?」
タ「はい、分りました。色々とお世話になりました。それじゃあ僕達は先に進みます、ありがとうございました。」
ポケモンセンターを出て少し行った所に少々休憩出来るスペースを発見できたのでそこで一旦ミニリュウをボールから出してみることにした。
ミ『・・・・?』
ボールから出してみるとやはり最初は戸惑っているのが見て分るほどキョロキョロしていたが、タツミの方を見ると何かを察したように口を開いた。
ミ『貴方は・・・誰ですか?』
タ「・・・僕の名前はタツミ。一応こうやって旅をしている・・・まぁいわばトレーナーって所だよ。」
ミ『はぁ・・・タツミさんですか・・・。それで・・・僕今まで何していましたか?』
タ「この道を歩いていたら道の端っこの方で君が倒れ込んでいたんだよ。だからポケモンセンターに連れて行ってそしたらジョーイさんから連れて行ってもらえないかって頼まれて今こうやって話しているんだ。」
ミ『そうだったんですね・・・。」
タ「まぁ付いてきたいかどうかは君次第だから・・・だからついて来たくなかったら別に無理に付いてこなくても良いよ?」
ミ『僕には・・家族はいません・・・。なのでここら辺で仲間や友達もいません・・・なので・・・付いていきます。』
タ「うん。わかった。じゃあ、これからよろしくね。うーん、じゃあ名前付けないとなぁ・・・。」
『それなら僕にもつけてよ!!』
声がしたほうを見るとメリープがいた。何時ボールから出たのかは分らないがとにかくそうタツミに訴えかけてきた。その為タツミはまずはメリープの方から考えることにした。
タ「あっ・・・。ごめんごめん。じゃあ、メリープは・・・プレッサ・・・でいい?」
プ『全然!断然そっちのほうがいいし…。』
喜ぶプレッサをとりあえずボールへと戻してタツミはミニリュウの方を向き返り名前を考え出した。そして・・・
タ「・・・ミニリュウの名前は、レガっでいい?」
レ『分りました。これからよろしくお願いします、タツミさん。』
タ「なら、よかった・・・。」
レガが付いてくることが正式に決まったので一応ボールの中へと戻す。そしてつながりの洞窟へと入っていく・・朝来た時よりも日が昇ったので洞窟の中は幾分かは明るさが増し歩きやすくなっていた。
最初は順調に歩いていたタツミ達だったが、どうやら明るくなりトレーナー等が多く入ったようで所々にトレーナーと思われる人が歩いていた。そんな中タツミ達に1人の山男が話し掛けてくる。
山男「こんなところで人に会うなんて思ってもなかったな・・・。まぁ、いい!勝負だ!!いけ!イワーク!」
タ「いけ!ウィング!!水鉄砲だ!!」
ウィ『わかった!!!!』
ウィングはボールから出てきたと同時にイワークへ水鉄砲を放つ。イワークにとっては水は弱点の為一発であっさりと勝つ事が出来た。
山男「うお~!!意外に君は強いんだな!!全く歯が立たなかった!!」
山男はそうタツミに話し掛けるとイワークをボールの中へと戻し出口の方へと向かっていった。そんな中タツミ達は先へと歩を進める。
しかし、朝来た分岐地点よりも先の方へと進むと太陽光が所々入らないところが増え歩くのが少々困難になってきてしまった。普通のトレーナーならば懐中電灯を頼り先に進むのだが、タツミは懐中電灯を買い忘れてしまい真っ暗な中を進まなければいけなくなった。
そんな時にクラウンがタツミの前に降り立ち背中と頭の方から炎を出しタツミを呼び寄せた。どうやら炎を懐中電灯代わりにするらしい。
タ「クラウン考えたねぇ・・・これなら大分先に進みやすくなるよ、ありがとう。」
ク『これ位ならお安いご用だからね!それよりも早く先に進もう!』
タ「よし、じゃあ気を取り直して行きますか。」
その後の道の状態は入り口付近と比べると相当岩や石が多く歩きづらい環境が続いていた。また、太陽光が全く入らなくなっているので道としては真っ暗に近く唯一の明かりはクラウンの炎で、しかしそれも照らせる範囲だけである。
タ「大分暗くなってきたな・・・でもクラウンがいて本当助かったよ。」
ク『僕が進化していて良かったね、ヒノアラシのままだと後ろしか照らせてなかったから~・・痛!』
タ「どうした・・・・?うわ・・・血が酷いじゃ無いか・・・やっぱりこの道はクラウンにとってはかなり酷だったか・・。ちょっと治療しよう、ばい菌が入ったらいけないからね。」
そう言うとタツミは救急箱を取り出し、その中にあった除菌スプレーをクラウンの前足と後ろ足に掛ける。クラウンはかなりしむそうな顔をしていたが、タツミが大丈夫とずっと言っていたのでそれを信じて治療して貰っているようだ。
消毒スプレーをかけ終わると一旦綺麗なガーゼを取り出しそれを怪我した部分に貼り付けていく。そして歩く上でそれが取れないように紙テープで固定していき治療は完了した。
タ「これで良し!でも流石にこの道路状況で歩き続けさせるのは結構酷か・・・じゃあ僕の肩に乗って良いよ。」
ク『でもそうしたら結構見えなくなるし・・・それにタツミだって暑いと思うよ・・・?』
タ「また怪我したらそっちが大変だから・・・それに完全に見えなくなるって訳じゃ無いだろうし暑さはどうにかなる・・・っと思う。それよりも早く乗る!」
ク『う・・うん!分った。』
その後も今まで同じような状態の道を歩き続けていく。しかし、基本的に真っ暗な部分にはトレーナーはおらず通行人も分岐地点から先では出会っていないと言う位人通りは極端に少ない。また、クラウンが背中に移ったことにより前よりも後ろの方が主に照らされることになり前方視界は極端に悪くなっていた。
タ「うーん・・やっぱり暗いなぁ・・・でもクラウンは怪我しているし・・。」
ク『ごめん・・・僕がもうちょっと気をつけて歩いていたらこんな事にならなかったのに・・。』
タ「あっ・・・ごめんごめん。クラウンのせいじゃないよ。あっほらもう直ぐ出口が近いみたいだからもう少しだけ頑張ろう。そしたら次の町に到着することが出来ると思うから。」
タツミが指差した先には太陽光が差し込んでいる場所があり、どうやらヨシノ側出口へと到着することが出来たようである。
タツミは出口へと向かって歩いていたのだが、どうやら見えない部分にトレーナーが隠れていたらしく急にタツミに話し掛けてきた。
トレーナー「なぁ、俺と勝負していかないか?」
タ「えぇ・・・・もうすぐ出口なんですけど・・・まぁ仕方ないか・・・。じゃあやります。」
タツミとしてはクラウンも怪我しており急いで町の方まで行きたかったようなのだがトレーナー側としてはそんな事知ったこっちゃないという感じで勝負をいきなり仕掛けてきた。
トレーナー「いけ!エレキッド!」
タ「いけ!クラウン!!」
相手のポケモンは電気タイプのエレキッド。電気タイプには炎タイプが有効な為タツミは怪我をしているがクラウンを勝負に出すことにした。
エ『俺様の電気で、おめーをしびれさせてあげようか?』
ク『そんなことより、僕の炎で焼かれたい?』
クラウン達は互いに挑発と思われる言動を繰り返していたが、どうやらエレキッドの方はまだそれ程バトル歴が長くないらしくちょっと不安を感じているようだ。
トレーナー「エレキッド!10万ボルトだ!!」
タ「クラウン!!火の粉!!」
エレキッドは10万ボルトを放つがクラウンはそれを横へと回避し火の粉を放つ。しかし相手のエレキッドは素早さが高いらしくそのまま回避しクラウンへと接近する。
タ「クラウン!火炎車!」
トレーナー「エレキッドは雷パンチだ!!」
雷パンチを繰り出してきたエレキッドにクラウンは火炎車で応戦する。ここではクラウンの力が強かったようでそのままエレキッドは吹き飛ばされてしまい岩場へと激突してしまう。
トレーナー「エレキッド!!」
岩場へと激突したときに岩が砕かれ辺りには砂埃が舞い散った為視界は悪くトレーナーはエレキッドの安否を確認することは出来なかった。
ク『・・・・・・・・。』
砂埃が晴れた時、砕けた岩場の所にいたのは目を回したエレキッドだった。それを見た瞬間トレーナーは静かにボールへと戻し
トレーナー「すまなかったな・・・俺の負けだ。じゃあな、俺はポケモンセンターに向かうぜ・・・。」
タ「う・・うん。なんかごめんね・・・?」
トレーナーは明らかに出会った時よりもしょんぼりしておりタツミはどこか心苦しくなったという。
洞窟を抜けるとそこには町は無く草木も無いゴツゴツした山岳地帯のような場所へと出た。どうやらここから町まではまだちょっと歩かないといけないようであった。だが、ここの場所はやや周りと比べると気温が高いのか暑さもありタツミ達は早めに通過することにした。
タ「なんでこんなに暑いんかなぁ~・・・。なんかここら辺にあったかなぁ・・・?」
ク『タツミ・・気をつけて・・・なんか来そう・・・。』
クラウンがそう呟いたと同時にどこかから火炎放射が飛んできた。ギリギリの所でタツミは頭を下げた為難を逃れることが出来た。そしてタツミは火炎放射が飛んできた方を見てまた驚いた。
タ「なんでこんな所にリザードンなんているんでしょうかねぇ・・・?」
ク『えっ・・?何そのポケモン?』
タ「簡単に言うとこの地方にはいないポケモンだからなぁ・・・。ってうわ!!」
そのリザードンはタツミとクラウンの前に降り立ったと思ったら急にタツミとクラウンを抱きかかえ空へと飛び立った。ちなみにタツミとクラウンは抵抗したが結局は無駄な抵抗だったらしく最後はとりあえず大人しくしておくことにした。
タ「どこ行くんですかねぇ~。クラウン大丈夫かー?」
ク『何とか大丈夫だけど・・・何時までこの体勢が続くのかなぁ・・・。』
タ「あのー・・・どこ連れて行くつもりなんですかねぇ~。」
リザードン『いいから付いてきて。』
ク『付いてきてっていわれてもなんか無理矢理連れて行かれている感じなんだけど・・。』
暫く飛び続けて居るととあるでかい門の前へと着地した。そしてそこでタツミとクラウンはようやく解放されたが、その瞬間何故か扉が大きく開き始めた。
タ「もう・・また何かあるんですかねぇ・・・。」
扉が完全に開いた時タツミは瞬間的に目を瞑ったが暫くして目を開けてみるとそこには・・・
タ「あれ・・・?ここってもしかして・・・リザフィックバレーですか・・・・?」
ク『何それ?』
タ「うーん、僕もあんまり詳しくは知らないけど確かリザードン達が修行する場所じゃ無かったかなぁ・・・。でも何でここに連れてこられたのかなぁ~・・・ってさっきのリザードンもういないし・・・!」
???「ちょっと君達!そこで何やっているの!!!」
タツミとクラウンは?って感じで立ち尽くしていたが急にどこかからか女性の声が聞こえてきた。しかし視界には女性はおらずに数匹とリザードンがいるだけでとてもじゃないがこんな所に女性がいるはずは無いと思っていたタツミ達。
しかし、直ぐに視界にリザードン乗った女性が空から下りてきてタツミに詰め寄ってきた。
女性「あんた一体何か用なの?それにここら辺じゃ全く見かけない顔だしそれにリザードンを持っている気配も無い。あんた達一体何しに来たの?」
タ「いや~・・・なんか急に空からリザードンが来てから急にここに連れてこられただけなんですよね・・・。いや・・・本当の話ですよ。」
女性「なら・・またあの子の仕業か・・・あの子直ぐに人を連れてきたがるから・・・。まぁ良いわ、折角だしちょっとお茶していかない?あっ、私の名前はジーク、よろしくね?」
タ「あっ僕はタツミと言います。お茶ですか?・・・まぁ少しの時間なら・・・。」
中へと案内されて入ってみると基本的には門の外の地形や地質はそれ程変わっておらず唯一違うのはやはりリザードンが沢山いると言うことくらいだった。そんな中を女性に案内され一軒の家へと案内され、タツミにはお茶、クラウンにはポケモンフーズを出し話し始めた。
女性「ごめんなさいね・・・急に叫んだりして・・・最近物騒な話を聞くもんだからつい・・・。そういえばリザードンに連れてこられたでしょ?あの子何時もこうなのよ・・・。よく洞窟から出てくる人を選んではこっちまで勝手に連れてきたりするのよ。」
タ「でもなんでまた連れてきたりしているんでしょうかね・・?何か目的か何かあるんじゃ無いんでしょうか?」
女性「恐らくあれの事ね・・・・・。」
そう呟くとその女性は席を一旦外し外へと向かっていった。そして暫くして一匹のヒトカゲを連れてきた。しかしヒトカゲと言ってもどこか違う事をタツミは感じていた。
女性「この子はねぇ・・・卵から生まれたばかりだし・・・さらに珍しい色違いなのよ・・。ここには色違いのリザードンはいなくて・・だからよく仲間はずれになるの・・・それで口数もだんだんと減っていって・・・。それを見かねたさっきの子がこの子を本当に託せる人を探しているんじゃ無いかなって私は思っているの。あの子は面倒見が良いからね・・・。」
タ「なるほどですね・・・。」
女性「私もこのままじゃいけないとは思っているの、だから注意深く見守ってはいるんだけど・・中々ね・・・。」
タ「なるほど・・・。」
タツミと女性が話をしていると女性の膝元にいたヒトカゲがタツミの方を見て口を開いた。
ヒトカゲ『・・・君は誰・・・?』
タ「えっ・・?あー僕の名前はタツミ。君も大変だね・・・・。」
ヒトカゲ『うん・・・僕こんな感じに気も弱いし・・・色違いだから・・・よく虐められてて・・・。』
タ「うーん、まぁそれ程気にする事じゃ無いよ。僕も虐められてたけど・・こうやって生きているし・・。自分の意思をしっかりと持ってれば大丈夫じゃ無いかな・・・?」
女性「あなた・・・もしかして話せるの・・・?」
タ「うーん、その質問には答えない事にしておきます。それで・・・・」
その後2時間ほどそのヒトカゲと話したりクラウンと遊んだりしていたが流石にこれ以上お邪魔すると隣町まで着くのが遅くなるのでそろそろお暇する事にした。それを聞いたヒトカゲは少々泣きそうになっていたが・・・
タ「また会おうね。それまで頑張って強くなれよ・・・。自分を強く持って、大丈夫だからさ。」
ヒトカゲ『うん・・・・!また・・・絶対会えるよね・・・?』
タ「会えるよ、きっとね。」
ヒトカゲは一度はそう言ったのだがまだ何か言いたそうにしていたが、それが言葉として口から発せられることは無かった。またそれをタツミが気づく事も無かった。
タ「それじゃあ僕はこれでお暇します。お茶まで頂いてありがとうございました・・・・それじゃあまた。」
その後町まではそれ程掛らなかったが、時刻はもう18時を回ろうとしていた。ヒワダタウンへと到着するとタツミはまずポケモンセンターへと向かい今日の宿泊場所を確保した後、今後の事を仲間と共に話し合っていた。
タ「とりあえず今日と明日の昼まではここに居て明日の昼過ぎからコガネシティに向かおうかなと思うよ。」
ク『うん、まぁタツミに任せるよ。でも今日はもう疲れたよ・・今日も色々あったからね・・・。』
タ「まぁそうだよなぁ・・じゃあ今日はもう買った物食べてから寝るか。」
ク『うん。』
その後買ってきた物を夕食として食べた後、ちょっと早いがタツミ達は眠りに就いた。