第23話 救出前夜

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ラルドはエディシティとヨジノギシティをつなぐ道を歩いていた

その道は回りに森林があり、エディシティに来る前の道のような場所だった

しかし、山道だったためラルドは相当疲れていた

「……」

ラルドはその間まったくしゃべらなかった。弱音もはかなかった

どうやら、ゴールドが連れて行かれどんな目にあっているかを考えれば弱音をはいている暇はないと思ったのだろう

そして、山頂

ここから階段になっている坂道を下れば、目的地ヨジノギタウンに到着する

「はあ、少し休憩してから行くか……」

ラルドは休憩するために山頂にある小屋の中に入った

「いらっしゃい」

その小屋の中には店員一人。客一人とあまりいなかった。そして何より、静かだった

店内を見渡してから近くのイスに座った。隣には、同年齢程度の少年がいた

「……」

その間、小屋の中は静けさを保っていた

なんとなく息苦しく感じたラルドは店員に聞いた

「すいません。ここから、ヨジノギタウンまではどれくらいかかりますか?」

「だいたい三十分程度でつきますよ」

「そうですか。ありがとうございました」

そういってラルドが小屋を出ようとしたときに店員が

「待ってください。いま、ヨジノギタウンでは事件が多発しているそうです。気をつけてください」

「わかりました。ご丁寧にありがとうございます」

ラルドは今度こそ小屋を出てヨジノギタウンに向かった

一方、そのころ連れ去られたゴールドはというと

「出せ! 俺を閉じ込めてなにしようっていうんだ!」

そう、ゴールドは薄暗い牢の中に閉じ込められていた

見張りはだいたい十人ほどおり、相当厳重に警備がされているようだ

ゴールドは叫ぶのをやめ、牢の中にある古びたベッドに飛び乗った

(いったい俺を閉じ込めてなにをしようって言うんだ? こんなところ、マグマラシがいたらすぐに抜け出せるのに…)

ゴールドはそんなことを考えながら牢のベッドに乗っていた

そう考えている時に誰かが牢の前にやってきた

「おい! こっちにきやがれ!」

鎧をきた男がゴールドのいる牢の鍵を開け、こっちにくるように命じた

「へいへい」

ゴールドは牢の中から出た。鎧の男に縄で縛られ太陽の光があたる場所に出てきた

そこはまるで城の中のような場所だった。いや、もしかしたら本当に城の中なのかもしれないとゴールドは思った。どっちにせよ、詳しいことはわからなかった

そしてしばらく歩くと、ある一室の中に入れられた

「ここは?」

ゴールドが小さな声で言った。すると鎧の男が

「ここで待っていろ!」

そう言うと鎧の男は外に出て行ってしまった。もちろん、カギをかけていった

「……なんだっていうんだ?」

その部屋はそんなに広くはなかったが、とてもきれいな部屋だった

ゴールドは近くにあったイスに座り、しばらく待っていた。そして、数分後。部屋の中に誰かが入ってきた

「君がゴールド君か……」

その入ってきた男は年寄りだった

「俺をこんなところに連れてきてどうするつもりだ?」

「お前、あのラルドとか言う男の連れだな?」

「そうだが。それがなんだっていうんだ?」

「そうか。おい! あれをもってこい!」

ゴールドの回答に納得したのか後ろにいた別の男になにかを持ってくるように頼んだ

そして、その男が持ってきたのはただの水だった

「こいつを飲むとよい。これからじっくりと話しをしていただく。その間にノドが乾くだろう。それにさっきまで水を飲んでいなかったからノドがかわいているだろうしな」

確かに昨日の夜に連れ去られ、いまはもう昼である。しかも、起きたのが朝だったので、ゴールドはノドが乾いていた

そう思っていたゴールドは渡された水を手に取り一気にのみほした

「ふっ……」

老人の男がつぶやいた

「うっ!」

ゴールドは持っていた水の入っていたビンを落とし苦しそうになった

「い、いったいなにを……」

ゴールドが小さな声で言う

「お前がのんだ水は我がダーク団が開発したポケモンをダークポケモンにするための薬を入れたもの。お前が人体にこの薬を入れるのはお前が一人目だ」

老人の男はそう説明したがゴールドは聞いていなかった

胸に激しい痛み。頭には強力な頭痛。そこらじゅうの体に異常が起こっていた

そして、水をのんでから三分後。ゴールドはその場に倒れてしまった

それを見た水を持ってきた男はゴールドの脈を確認した

「デスゴルド様。脈はあります」

「そうか。なら、さっきまで閉じ込めていた牢に入れておくんだ。結果を待つ」

「わかりました」

そう言うとデスゴルドといわれた老人はその部屋を後にした

そして、ゴールドは牢の中に再度閉じ込められるのだった……

場所はかわりヨジノギタウン。ラルドはついにヨジノギタウンに到着した

「ここがヨジノギタウンか……」

その町はまるで西部劇に出てきそうな町並みだった

この日はすでに日が暮れかけていたのでポケモンセンターを探して休むことにした

そして、ポケモンセンターを発見しジョーイさんからカギを受け取り振り分けられた部屋に入った

部屋に入るとラルドは荷物をおき一階フロントロビーに言った

「すいません。こいつをどっかで見ませんでしたか?」

フロントロビーにきたラルドはゴールドの写真を片手に聞き込みを始めた

ゴールドの写真は、ゴールドのリュックに入っていたトレーナーカードを使った

しかし、聞いた人全員に「知らない」と言われ、全然手がかりがつかめなかった

そして、ロビーにいる全員の人に聞き終わっても一向に手がかりがつかめず、部屋に戻ろうとしたときだった

ポケモンセンターに誰かが入ってきた音がした

ラルドはその人にも聞いてみようと思い入り口のほうを振り向いた

すると、そこにいたのはあのレッドだった

「あれ? レッドさんじゃないですか?」

ポケモンセンターに入ってきたばっかりのレッドにラルドが言った

「君はこないだの。ここでなにをしてるんだい?」

「こいつを見ませんでしたか?」

ラルドはレッドにゴールドの写真を見せた

「この子はこないだとなりにいた子だね。でも、残念ながら見てないな」

「そうですか。わかりました、ありがとうございます」

そういってラルドが二階に上がろうとした時にレッドが

「ちょっと待って! 君、こっちに来て」

二階に行こうとしたラルドを引き止めた

「ジョーイさん。ポケモンたちをよろしくお願いします」

「わかりました。お部屋はどうしますか?」

「彼と一緒の部屋にする」

「わかりました」

そう言うとレッドはラルドのところに走ってきた

「なんですか? レッドさん」

「いや、ちょっと君の部屋に泊めてもらうと思ってね」

「俺の部屋に? 空き部屋はないんですか?」

「詳しいことは君の部屋で。さあ、案内してくれないか」

「わかりました」

ラルドはレッドを自分の部屋に連れて行った

そして、二人とも部屋に入ると

「で、なんですか? 俺の部屋に泊まるのは?」

「さっきの少年のことで話しがあるんだ」

「ゴールドを見たんですか!?」

ラルドは声を張り上げた

「そんな大きな声じゃなくても聞こえるよ。彼はゴールドくんって言うんだね?」

「はい」

「ちなみに、君はなんていうんだい?」

「あれ、自己紹介しませんでしたっけ? 俺はラルドって言います」

「ラルドくんか。まあ、よろしく頼むよ。で、ゴールドくんのことだけど詳しく教えてくれるかな?」

「わかりました。ゴールドは昨晩エディシティのポケモンセンターでダーク団の男に連れて行かれたんです。それで、ヨジノギシティの方向に飛んで言ったのでこっちにいるだろうと思ってこっちの町に来ました」

「ダーク団にさらわれたのか……そして、こっちにきたならばゴールドくんはあそこにいるな……」

「あそこ?」

「ああ。この町の校外にダーク団のアジトがあるんだ。もちろん支部だけどね。たぶん、そこにいると思う」

「ダーク団のアジト……よしならば」

そう言うとラルドは自分のリュックを持った

「ちょっと待って。ラルドくんはどこに行こうって言うんだ?」

「もちろん、そのダーク団のアジトです。ゴールドを助けるために」

「待って。やつらのアジトの警備は厳重だ。侵入することはできない」

「やってみなければわからないでしょ」

ラルドが反発する

「いや、無理だ。僕がなんとか潜入しようとしたが警備が厳重だった。なにか作戦を考えなければ」

ラルドはレッドの目を見た。そのレッドの目はとっても真剣な目だった

それを見たラルドはリュックを置いた

「わかりました。でも、それじゃいったいどうすれば……」

「僕に考えはある。だが、コレにはラルドくんの手伝いが必要だ」

「俺の手伝い? ゴールドを助けられるならできる限りなんでもします!」

その言葉を聞いたレッドは

「わかった。じゃあ、まずは僕がこの部屋に宿泊することを認めてくれるね?」

「はい」

「よし、じゃあ、ジョーイさんにいってくるから少し待っていてくれ」

そう言うとレッドは部屋を出て行った

そして、この夜にレッドとラルドはゴールドを救出する作戦を実行する準備を進めるのだった

第23話終了第24話に続く・・・

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