フウトとミライ

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今回はフウト視点です。なお実際、普段の状態でも二匹ともかわいいです。

フウト「僕はかわいくないから!」
ミライ「いやいや、そういうフウトもかわいいよ」

スタンプラリーの旅を続ける僕達だけど、その途中ふとした拍子にミライとぶつかってしまい......

「いたた......」
「ミライ大丈夫か......?」

いたた......とりあえずお互い起き上がるが、そのとき異変に気がつく。なぜか目の前にフォッコがいたから。戸惑っている僕をよそに、そのフォッコは不思議そうな表情でかわいく首を傾げながら質問してくる。

「フウトどうしたの? それよ......」
「えっと......ミライだよな......?」
「そうだけど......? ボクはミライだよ?」

確かに目の前にいるのはミライだよな......。ちょっと待った......ミライっていつの間にフォッコになったの? 実は本当はフォッコで、普段イーブイに化けてただけだったりして? いや、それはないなと自分の頭の中に浮かんだ考えを否定する。
 
それにフォッコに化ける能力はないだろう。キュウコンじゃないんだから。タブンネ。
 
それにしても誰かに似てるようなそんなことないような? そんな気がする。

「ミライ......お前フォッコになってるぞ」
「フウトどうしたの? ボクはイーブイだよ......? そりゃ、なれるものならフォッコになってみたいけど」

相変わらず戸惑い気味な僕に対し、ミライは再びフシギソウに僕を見つめながらそう答える。
フォッコになってみたいとかミライらしいな。というか自分の姿に気づいてないのか? どうやらそのようだった。

「今の自分見てみろよ」
「ところでフウトこそ何で色違いのイーブイになってるの?」

僕はそう言うけど、それに答えるより先にミライがこう質問してくる。なぜか目を輝かせて、かなりワクワクした様子で。表情にはあまりでないのだが。

えっどういうこと? 僕が色違いのイーブイに? 僕は疑問に思いながらも慌てて確認する。確かにフォッコとは明らかに違う真っ白な毛並み、もふもふ、そして長い耳。本当に色違いのイーブイになってる?

一方、僕に言われて自分の姿を確認したミライはというと嬉しそうにはしゃいでいる。思わず尻尾もブンブンと振っていた。

「すごいっ! すごいよ! ボクがフォッコになってる? というかこれって入れ替わってる?」

ちょっと待って。入れ替わってる......? 僕はミライの言葉に思わず疑問符を浮かべる。
というか確かにそうだとは思ってはいたけど、やっぱりすぐには信じられない。えっ不思議な体験いっぱいしてるじゃないかって? 確かにそうだけどさ。

「だって、フウトがボクになってるし、僕がフウトになってるでしょ」

確かに、よく見れば目の前に僕がいる。既視感の正体はこれだったのか。そして、なんかかっこいいフォッコだな......そう考えたことを思いだして、ものすごく恥ずかしくなってくる。

まあ、さっきのことは忘れよう。待てよ。でもそうすると今のミライがかっこよくないということになるのか......。うーん難しい。

「すごいよ! 入れ替わりなんてアニメか小説とかでしか起こらないよ!」

それにしてもミライは本当に嬉しそうだった。入れ替わってこんなに喜ぶポケモンも珍しいと思う。戸惑ったり驚いたりそういうのが典型的な反応だろう。
それじゃ僕はどうだって? 入れ替わってるのに平然としてるって? 
どうやら自分もこの小説の雰囲気にすっかり慣れてしまった? ようだ。

「フウトかわいいね!」

かわいいって僕は男の......いや今は女の子か......いやまあそこは気にしないでというかスルーしてね。おねがいっ☆。

とにかくミライの言葉に僕は思わず顔を赤らめる。べっ別に喜んでるわけじゃない! 恥ずかしいからなの! まあまんざらでもないけど、それに普段からたまにかわいいって言われることもあるし、まあかわいいは正義だし、人間から見れば僕らフォッコという種族はかわいい扱いされるけどさ。

というかさっき入れ替わりに平然としてるとか言ったけど、前言撤回。ちょっと恥ずかしいです。

「ありがとう......でも今の僕がかわいいということはミライもかわいいということだよ」
「あっ......そうか......でも今のフウトは確かにかわいいし......」
「だから、もっと自分に自信を持っていいんだぞ」
「そうかな......ありがとうっ」

ミライはそう言うと少し笑顔を見せる。目の前にいるのは自分なはずなのに、可愛く感じる。まあ要はミライがかわいいからだけど。

思わずこんなどこかで聞いたようなセリフを心の中で言いたくなる。

僕の見た目がこんなに可愛いわけがない!

その後はとりあえず旅を続けるのだが、ミライは嬉しさからか、なんだか少しテンションが高い。

ふとミライが突然僕に、こんなことを聞いてくる。

「ミライ大丈夫か?」

えっあの......その......ボクは大丈夫だよ......!

ちょっと待った......僕はミライじゃないんだけどな。思わず反射的にそう答えてしまった。僕は思わず苦笑い。
するとミライはしてやったりという感じで、少し笑顔を浮かべながら言う。

「フウトの真似してみたけど似てるかな?」

ああ、確かに似てたよ。そっくりだったよ。何しろ僕本人の体だしな。

「せっかく入れ替わったんだから思いっきり楽しもう!」
「ああ......そっそうだな!」

まあ、気持ちはわからないでもない。入れ替わりなんて普通は滅多にないはずだから?

「どうしようかな......何かアイディアは......どうしよう!」

ミライは少し考えるような素振りをみせる。なかなか思いつかず? 悩んでるようだけど。

「ふっふっふ......まずは口調を変えてみよう!」
「ちょっと待ったぁぁ! それかよ! というかこの小説そういうの多いな! というかネタがないのか......」

「ボクを演じてみてって言いたいところだけど、それじゃ普段のフウトとあんまり変わらないから......そうだ! 自分の名前を一人称にしてみて思いっきりかわいくしゃべってみて!」

なにそれ。超恥ずかしいんだけど......いくらミライの頼みとはいえ。

「遠慮しておきますよ」
「フウトお願い......ダメかな......?」

ミライ(見た目はフウト)は上目遣いで僕を見つめてくる。しかもやたらかわいい。う......断りにくいな......まったくもう! 仕方ないな......

「ミライおはよう~! って今は朝じゃないよね。フウトはね......ちょっと戸惑ってるにゃん!」
「ねえミライお姉ちゃん、次の町ついたらフウトはね、いっぱい観光したいの。いいかな......」

元々自分の声は高めだけど、ミライと入れ替わってるためさらにかわいい声で、しかも思いっきりかわいく言うと

「かっかわいい......かわいい......かわいい」

ミライはというとそう呟いて、湯気を出しながら倒れる。

「ミライ......大丈夫にゃん? って違う! しっかりしろ...!」


「ほへー」
「ミライ戻ってこーい!」



「復活! ところで猫のポーズはしなくても良かったんだけど。まあかわいくてよかったけど」
「あっ......」

僕はまたしても顔を赤らめる。穴があったら入りたい気分だ。まあミライが喜んでくれたからよかったけど。

そうして、しばらくは楽しんでいたが......ふと、ミライがなぜか申し訳なさそうにうつむく。

「どうしよう......急いで元に戻らないと......」
「大丈夫? どうしたんだ......?」
「だってフウトに迷惑かけてるような気がして......」
「別に気にするなよ。迷惑じゃないし......そもそもそんな急がなくてもそのうち戻るだろ」
「ありがとう......」


やがて僕達は次の町に到着した。ミライは町並みを見回すと感嘆の声をあげる。

「次の町に到着! ってなんかすごいよ......」

そこは、それなりに大きな町で、今までの町とはかなり雰囲気が違う。洋風の歴史ある建物も比較的多く、路面電車が走っている。

ミライが何か言いたいけど、なかなか言えないという雰囲気をただよわせながら僕の方をチラチラ見てる。別にチラーミィじゃなくて。

「観光したいんだろ? もちろんその予定さ」

もちろん観光を楽しみにしてるのはミライだけではなく僕も同じだ。

というわけで、その後は町並みを見て回ったり、ちょっと買い物したり。

「あの......ボク行きたいところがあるんだけど......」
「どうしたんだ? まあいいけど......」

そしてミライに案内されて向かった場所はというと、

「なんか意外だなぁ。お前もこういうのに興味あるんだな」
「ボクは別に興味ないよ?」
「どういうこと?」
「フウトにかわいい服を着させたいの!」

そうそこは服屋であった。ミライの発言にちょっと僕は寒気がする。

「ミライが着ればいいだろ......! 結構似合うと思うけどな」
「そう言われると嬉しいけど、普段のボクはあんまりそういうの着ないし興味もないから! それに普段のボクにかわいい服が似合うってことは、今のフウトにも似合うってことでしょ」

うう......否定できない......。

「僕は断る......! 確かに今の僕はミライの体だけどさ......悪いけど遠慮しておくよ」
「フウト......ダメかな......?」

ミライ(見た目はフウト)はやたらかわいい声でしかも上目遣いで見つめてくる。うう......断りにくい......それと僕の体でそんなことされると......違和感は全然ないけど、正直僕が恥ずかしくなってくる。

「わかりましたよ......あと僕の体でそんなかわいい声出さないでくれ」

「それじゃボクが服選ぶから!」

「......」

「うう......恥ずかしいよぉ......」
「フウトきゃわいい!!!」

とにもかくにも僕の都合により以下省略。だって恥ずかしいから......!

「なあ、そもそもポケモンは服必要なくないか?」
「確かに必要ではないけど、ポケモンだって服を着ることはあるよ」
「あとしばらくそれ着ててね。お願い♪」
「なんでだよ......まあいいか......よくないけど!」

その後はとりあえず観光を楽しむ。

「そこのお姉さん、ボクとお茶でも......」
「なにやってるんだか......同い年だろ」
「そうだった......てへぺろ」
「というか誰がお姉さんだ......」

「それじゃお嬢さん?」
「そういう問題じゃない......というか誰がお嬢さんだよ...」

「セニョリータ?」
「Why Spanish !?」

思わず心の中で僕をナンパしてどうするんだ! とツッコミを入れる。まあ、この後せっかくだしということで喫茶店には寄ることになったが。

正直これじゃ僕がミライの彼女みたいだな......ちょっと苦笑い。

まあ付き合ってるみたいに見えるんだろうな......そんなことを考えるとなぜか少しドキドキする。
そしてミライがいつも以上に“かわいく”みえた。

いろいろ観光も楽しんで時刻はいつの間にか夕方になっていた。僕達はというと、あるポケモンとの待ち合わせ場所へと向かう。

そして予定より少し遅れてやって来たのは......

「やっと追い付いたよ......」
「みんな久しぶりだね!」

続く......

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