Crying heart

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作者:ドリームズ
読了時間目安:5分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

憎らしい…この世界が……憎らしい…

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「またなの?」
「仮病なんじゃないだろうな?」

何さ…アキの事、何も分かってないくせに…
私、イーブイのアキホ。後、一年後に受験を控えた高校二年生。
アキは、小さい頃からお腹周りが弱い。小学四年生頃までは、よく胃腸炎を起こして、ゲロゲロやっていたものだ。中学生になってからは、ましにはなってきていたが、やはり、体質は誤魔化せない物。たまに、起こしていたりする。そして、なかなか治らない。それは、小学五年生に起きた出来事が関係している。

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小学生の頃のアキは、大人しかった。でも、友達もちゃんといたので、問題はなかった。しかし、五年生になった時に、仲が良かった友達と離れた途端、アキはいじめられるようになった。初めは男子達に避けられるというものから始まった。それはまだ、耐えられたが、いじめは日に日にエスカレートしていった。アキを避ける者は、男子達だけから、一部の女子も加わった。他の奴らも、いじめられるのが怖いのか、アキを助けてくれる人はいなかった。その事を担任に言うと、収まるどころか、アキは「チクり!」と罵られ、さらにエスカレートしていった。
そしてアキは、四年生頃から患っている病気があった。それは、小児てんかんだ。てんかんとは、大脳にキズなどが付くことで起きる病気だ。痙攣を起こしたり、意識が無くなったりする。幸い、アキの発作は寝ている間に起きる物だったので、大変な事にはならなかった。けれど、発作が起こった翌朝は、強い頭痛が襲ってくる。その為、よく学校を休んでいた。しかし、アキをいじめていた奴らは、その事を「ずる休み!」と言って罵った。
そして、ある日言われたのだ。

「死ね。」

心が痛かった。アキは生きていちゃ、ダメなんだと思った。しかし、自殺はできなかった。勇気がなかったから。アキは小学校を卒業するまでいじめられ続けた。

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中学校は受験して、奴らとは離れた。てんかんのほうも、治る物だったので、中学校に入る前には治った。そのおかげで、アキは前よりも、明るくなった。笑顔で笑えるようになった。でも、トラウマは何年経っても消えない。アキは凄く気が弱くなった。胃腸炎のほうがなかなか治らないのは、気の持ちようだと思う。しかし、どうにもならないのである。すぐに、過去のトラウマから抜け出し、気を強く出来たら、苦労なんてしない。

「来年は受験なんだぞ?大丈夫なのか?」
「そんな心構えなんてしてたら、受からないわよ?」

そんなの分かってる。受験までに、治さないといけない事くらい。

「アキホは、何か不都合な事があるたびに、暗くなる傾向がある。それを直さないと限り、受からないと思うぞ。」

ッ!ダメだ。これ以上いると、爆発しそうだ。アキは、自分の部屋へ急いだ。

「おい!アキホ!」
「止めて!これ以上言うと、余計悪くなる…」

~~~~~~

アキは、部屋に着くと、ベッドの上に上がり、枕に手をかけた。そして、力いっぱい殴る。全てを吐き出すように。

「何が気を強くしろだ!何も知らないくせに!ふざけるな!そんなアドバイス聞いてないし!何がこれ以上言うと、余計悪くなるだ!アキの事何も分かってないくせに!」

ひとしきり殴ると、殴っていた枕に顔を埋めた

「そんなの、分かってる…気が弱いのを治さないといけないのも…こんなんじゃ、受験に受からないのも…ッ……分かってるッ…分かってるけど……ッ」

ああ、もう…死にたい…死んでしまいたい…
アキは、泣いた。誰も聞こえないように、静かに泣いた。

~~~~~~

どれくらい、経ったのだろうか。涙はすっかり、枯れ果てた。しかし、アキは一つの答えにたどり着いていた。それは、




アキを分かってくれる人なんて、誰一人としていないという事。




なら、期待なんてしない。そしたら、悲しくもならない。そして、それを恨みや妬みに変える。それが、アキの得意な事なんだ。
見つけた……一番得意な事…
枯れ果てたと思っていた物が、目から零れ落ちた。
トラウマって、なかなか消えない物ですよね。自分ではどうにかしたくても、出来ない事のほうが多い。だからこそ、周囲の気遣いがいるのだと、私は思います。

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