訛りました。元から下手な文の書き方が、もっと下手になりました。ごめんなさい。33話目です、どうぞ。
激しい攻防が続く。
片方が攻撃を繰り出し、それをもう一方がかわす。そしてまた攻撃を繰り出してはそれをかわす。
それがずっと続いた。
体に慣れないアルトは、徐々に息が切れてくる。
心なしか、力も抜けてくるようでー。
アルトは淡い青色に光る骨を出現させると、それをダークライに向かって振り下ろす。
いとも簡単によけられたが、回避する方向を予測し、見事命中させた。
「…ぐうっ…!」
「…はあっ…はあっ…。クレセリアは…どこだ…っ!」
「きっと、今は悪夢に覆われている。別の空間で、お前と戦っている。」
「幻影…ってことか?」
「そうなる。お前をこの手で今すぐ葬りたいのだが、生憎時間が来てしまった。本当にこの世を救いたいと願うならば、時空の塔最上階にいる時の神ディアルガを越えて、闇の火口まで来い。もしも来れたら、この手で葬り去ってやる。」
ダークライはやがて闇に溶け込んでいき、姿は見えなくなった。
と同時に、辺りの闇も晴れ、右にはぐったりとなったクレセリアの姿が確認できた。
「クレセリア、大丈夫か?」
「ああ、アルト。すみません、こんな無様な姿で…。幻影とはいえ、アルトでしたので、やられてばっかりで…。」
「お疲れ様、クレセリア。」
クレセリアに向かって微笑むと、深呼吸の為に瞳を閉じた。
緊張が解けると、力がすうぅ…と抜けていく感覚があった。
そんなにも緊迫していたのか…。
そう思って、目を開けると。
「なんか、目線が、低い。」
恐る恐る手を見ると、その手は小さくなっており、リオルの手だった。
「ほんとに、力が抜けてたのか…。」
なんとなく、そんな気はしていた。
アルセウスが体内から抜け出たとして、多分またリオルとして生きていくんだろうなぁって、直感で感じてはいた。
だからショックは無い。
…無い。はず。
「とりあえずここから出ましょう。改めて、パルキアの悪夢の中に入らなくてはなりませんので。…とはいえ、ダークライがこの場からいなくなったので、最悪の事態は免れられそうです。」
「最悪の事態とは?」
「パルキアの夢の中で、パルキアに無双されることです。夢の中だと、帰ってくるのは一苦労なので。運が悪ければ、皆出られなくなります。ですが、その夢の種類が悪夢の場合の事態なので、それを引き起こしている元凶…つまりダークライが居なくなった為、その事態は免れられるということです。」
「ううん、よく分かりません。」
「すみません、噛み砕いて説明するのが苦手なものでして…。」
要約すると、まぁ、ダークライがここには居ないので、最悪の事態が免れるよーって話だそう。
軽い感じで受け止めてください。
その後、アルトとクレセリアは一度、ダークライの想像した悪夢の中から脱出し、パルキアの夢の中へ入った。
夢の中に入ることで、硬直して居たパルキアの状態が外部からの影響で始動。夢から脱出することができた。
クレセリアから事情を説明してもらい、パルキアとの誤解も解け、閉じ込められて居た空間から出してもらうことができた。
やっぱりパルキアはいい奴で、結局僕たちを捉えたのも、世界を救う為だったのだ。ダークライにそそのかされてしまったのだが、よく言えば素直であり、この世界を愛しているからなんだろう。
だからこそ、その運命を背負った僕は、この世界を愛しているもの達のために、救わなければならない。
それが、この世界のためにできる、最初で最後の、最大の恩返し。
「さて、アルト。私が出来るのはここまでです。ここからは、あなたと、そしてルナとがやることです。」
「ルナ、も?」
「はい。ルナは、この世界のどこかにある、世界の始まりの場所…。そことゆかりがある様で、この世界でアルト、あなたが最初にルナと出会ったのも仕組まれたものだった様です。」
「誰に?何のために?」
「それは、お伝えすることができません。しかし、あなたは今後、すべき事があります。それが、全て片付いたら、お伝え出来るかも、しれません。」
淡々と話したクレセリアだったが、この後を話すべきなのか、少し躊躇した後に、口を静かに開いた。
「しかし。それを伝えるのは私の役目ではありません。私の役目は、ここで終わり。これ以上アルトに近づくことは許されていません。たとえそれが、昔のパートナーであったとしてもー。」
クレセリアは優しく微笑むと、辺りに紫の美しいベールを展開する。
それはみるみるクレセリア。包む様に開き、幻想的な風景の中、クレセリアの姿が徐々に見えなくなっていく。
「お別れですアルト。とても、嬉しかった。あなたに会えて…!」
「クレセリア…。例え、この数時間だけでも…!きみと会えて、嬉しかった…!」
泣きそうになりそうな表情で、掠れた声で、呼びかける。
微笑むかのようなクレセリアの残像が、アルトには見えた気がした。
「クレセリア…っ!」
ーあなたはそんなに弱いニンゲンではないでしょう?ー
「僕は一人では何もできない、弱くて愚かだ。ルナは、この世界で心細かった僕を、助けてくれた…!でも、僕は…!弱くて、弱くて…。強くて優しいルナとは、大違いなんだ…!」
ーそう、でしょうか?私には、あなたも十分強いと映る…!ー
「…他人の評価だけじゃ、ダメなんだ…!僕が、僕が納得しなくては…っ!ルナの隣に居ていいのか、もう、分からなくなってくる…!弱くて愚かな、この僕が…!」
アルトの声は、掠れ、聞き取ることも難しくなってくる。
クレセリアへ呼びかけるよりも、自分の心へ、話しかけるように。
自分で噛みしめるように、声を発する。
ーもしあなたが、自分自身でか弱いと思うのなら…。強くなりなさい。ー
「強くなるったって、どうすればいいんだ…?僕は、一人では何にも出来ない…っ!そんな僕が、どうやって強くなるんだ…?」
ー強くたって、弱くたって、あなたは私たちを救ってくれた。それだけで本当はいいのですよー?ー
「…僕は…。弱くて、愚かだ…。」
ベールはもう跡形も無かった。
ただ、夜という闇が降り注いで居るだけ。アルトを包んで居るだけ。
アルトはふぅっと息を吐くと、その場に座り込んだ。
「クレセリア。僕は、強さなんて、分からない。」
「僕は、これが解決したら…。ルナから離れなきゃいけない…。」
ルナを傷つける可能性がある。
…いや。
確実に傷つけてしまうだろう。
でも。
それでも。
それでも、また、触れることが許されるならば……
満月は、空に高く登っている。
それは美しく、その光は、アルトを包み込む。
「ルナに会いたい。」
アルト:おお、次はルナ出れそうな雰囲気だな~
ルナ:ほんとっ!?やったあ!嬉しい~!
うに。:まぁ、次回は多分、ルナがメインかなぁ。アルト出ないかも。
アルト:なんですって?