変わらない日常

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 今日も爽やかな朝がやってきた。あなたは心地よい日差しを受けながら、う~んと背を伸ばす。そんなあなたの傍に、イーブイがトタタタとやや早足で歩いてきた。
「ぶいっ!」
 イーブイはあなたのかけがえのないパートナーで、いつか大きな冒険をすることを夢見ている。それを証明するかのように、イーブイは窓の外に見える大きな樹をチラチラと見ている。イーブイが見ている樹はこの町の外れにあり、上は高すぎてよく見えない。
 町の住人は樹があることを当たり前と感じるようになり気にしていないが、イーブイは上に何があるのか気になって仕方がないようだ。あなたも似たようなもので、樹の上に何があるのか気になって仕方がない。
 だが、不思議なことに町の者や外から来た者を含め誰も調べようとしなかった樹には、一体何が待ち受けているのかわからない。あなたは何があっても対処できるようにと、地道な準備を重ねてきた。
 そして、今日がその準備を活かす時……なのだが、どこか気分が乗らない。まるで樹に一度行ったことがあるような気がしてならないのだ。あなたは早く早くと急かすイーブイに謝りながら、代わりに今日は何をして過ごそうかと考える。
 その辺をイーブイとのんびり歩こうか。森に木の実を取りに行っておやつ用のタルトでも作ろうか。冒険に行けないとわかって拗ね始めたイーブイの機嫌を直すため、一日家で遊び倒すか……。
 あなたの頭に様々な案が浮かんでは消え、浮かんでは消える。その間を縫って時々白いダンジョンのような場所や巨大な葉の上に置かれた三色の石の光景が浮かぶが、行ったことも見たこともない光景にあなたはただ首を傾げる。
 ふとさっきまで小さく鳴き続けていたイーブイの声が聞こえないことに気が付き、声がしていたはずの場所へと視線を移すとイーブイも首を傾げている。視線がこちらに向いていないことから、あなたの真似をしているわけではなさそうだ。
 不思議なこともあるものだと思いながら、あなたはゆっくりと支度を始める。イーブイはまだ首を傾げているが、そのうち一緒にダイニングへと向かうだろう。
 いつもと変わらない日常が、また今日も始まりを告げる。

エンド1「変わらない日常」 終わり

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