第11話 懐かしの親友

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 月曜日筆者が逆上せて倒れたため、投稿が1日遅れました。すいません。
 カキョウタウン。
 町中に水路が張り巡らされ、移動は車よりゴンドラ(小型の手漕ぎ船)の方が速いという位の充実様である。そんな訳で非常にのんびりとした小さな町であった。尚且つ、フェルータの生まれ故郷だ。
 だが、最近コロナ団の魔の手が少しずつ掛かりつつあるとも言い、フェルータは複雑な気持ちでカキョウタウンのゲートの前で立っていた。が、そんなところで棒立ちしていたら、カキョウタウンの知り合いに見つからない訳が無く...

「おー!フェルータじゃないか!」
 フェルータが後ろを振り向くと、昔住んでいた家の二軒先に住んでいた、ひとつ年上の幼なじみがそこにいた。名はブナン。陽気な好青年である。
「久しぶり。そっちはどう?」
 フェルータもしばらく振りの再会に、思わず笑みがこぼれる。
「いつも通り。そうだ、フェルータ。そう言えばお前ポケモン貰ったって聞いたぞ。俺にも見せてくれよ!」
 ブナンは満面の笑みでフェルータに聞く。
「わかったわかった...」
 フェルータはブナンの勢いの良さに些か狼狽しながら、2つのボールを投げる。
「左は博士から預かった、僕の親友のラティアス。右は旅の道中で卵から孵った、ナックラーのエアロスター。」
 フェルータは自慢気に話す。
「成る程...ってラティアス!?あの伝説ポケモンの!?」
 ブナンは驚きを隠せない。あの内気なフェルータが、伝説のポケモンと仲良くなるなんて...
「まあいいや。フェルータ、俺だってポケモン貰ったんだぞ!見てみろよ!」
 ブナンもボールを投げる。中からはヒノアラシが。
「まあたぶんフェルータには勝てないだろうけどね。昔からそうだったなぁ...」
 昔からブナンはフェルータに対して、頭脳を使う戦いでは全くと言って良いほど勝てなかった。テレビゲームをやっても全敗。双六やっても全敗。勿論オセロも。将棋も。反面、ブナンは体力のみを使う種目は強かった。運動会の徒競走では負けたことはない。いや、むしろ完勝だったと言える。ブナンがスタート直後に転倒したにも関わらず、たった半周でブナンはフェルータを抜いたのだ。
 全て懐かしき思い出である。



 その後、フェルータとブナンはカキョウの町をぶらぶら散策した。懐かしの公園、久しぶりにカキョウ漁港で魚の丸焼きをかじったりもした。
 日暮れ時、さっきまでちらほら見えた観光客はいつの間にかおらず、道にいる人の数もまばらとなっていた。
「そうだ!フェルータ、俺ん家に泊まってかない!?今日は両親が出張で帰って来ないし。」
 ブナンが目をキラキラと輝かせて誘う。
「いいね。それではお言葉に甘えて。」
と平静を装って返すフェルータだったが、内心ものすごくワクワクしていた。
(やった!ブナンの家に泊まれる!)
 さらに、
(ついでに食費も浮くぞ!ラッキー!)
などと言う不純な思いも抱いていた。


 ブナンの家にフェルータも泊まることで即決した二人は、仲良くべらべら喋りながらブナンの家に向かっていた。すると、
「オーッホッホッホッ...!ねぇ、そこのクソガキたち。やっと人の居ない所に来たね。私はコロナ団幹部のミズハ。大人しくボールを起きなさい!」
 フェルータはミズハを睨み付ける。
「誰がお前たちに従うか!頼んだよ!ラティアス!」
 ミズハも高笑いしながら、
「私に勝てるとでもお思いで?行くのよ!ハリテヤマ!」
 ドシン!と四股を踏むハリテヤマ。

「ラティアス、サイコキネシス!」
「そんな手お見通し。ハリテヤマ、バレットパンチでラティアスの脇に!」
 急に動いたハリテヤマに、ラティアスは対応しきれず、サイコキネシスを外してしまった。
「ハリテヤマ!はたきおとすよ!」
 そのままラティアスの頭を叩く。持ち物は持っていなかったため、辛うじて耐えることができた。
ーー痛いよ...
 目を潤ませるラティアス。

「オイオイ...大丈夫かよフェルータ...!」
 ブナンが焦りなから呟く。それを聞いたフェルータ、
「大丈夫。切り返してみせる!」
と。
 相変わらず高笑いするミズハ。
「勝てるって証拠も無いのにそんなこと言わないで~♪もうあなたのラティちゃん息絶え絶えよ♪あとハリテヤマのバレットパンチで一撃じゃ無いの~!」

「勿論。それも承知の上だ。」

 フェルータの表情が変わる。ミズハもブナンも(因みにラティアスも)背筋に寒気が走った。
「な、ならやってみなさいよ!ハリテヤマ!バレットパンチ!」
 ハリテヤマはまた鉄の拳をラティアスに飛ばす。
「ラティアス、思念の頭突き!!」
 ラティアスは、その鉄の拳を念力を込めた頭突きで綺麗に相殺する。
「そのままサイコキネシス!」
 今度の目標物は、バレットパンチを弾かれてよろけている巨体だ。余裕で当てられる。
 ハリテヤマは大きく吹き飛び、気絶する。
「やったねラティアス!」
ーーうん!
 二人はハイタッチする。がしかし。
「ヒノアラシ!ひのこ!」
 急にブナンが叫ぶ。
 ヒノアラシがひのこを物陰に向けて撃つと、そこから気絶したパラスが出てくる。
「不意討ちで眠らせる等...卑怯なことしてくるな。」
 ブナンがミズハを睨み付ける。
「え?私知らないわよ?」
 と開き直る(?)ミズハ。

「姐さん!」
 その物陰からはコロナ団の下っ端が飛び出してきた。
「あんた...バッカじゃないの?こっちに来なさい!!」
 ミズハに引きずられ、退場して行った...

「良かった~、ありがとな!フェルータ!」
 ブナンがニコッと笑う。
「いやいや、僕のせいで危ない目に会わせてごめん。」
 フェルータは謝る。
「良いんだよ。さあ、俺ん家まであと少しだ!走ろうぜ!」
 フェルータとブナンは、夕暮れ時の港町を駆けて行った...

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