3話目 トレジャー祭り

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「今日はトレジャー祭りだぁぁぁっっ!!」

「…うるさいっ」

叫ぶルナにツッコミを入れるアルト。
それはさておき、今日はトレジャー祭りだ。
トレジャー祭りとは、トレジャータウンという、下町で行われている、いわゆる誕生祭だ。10周年記念で、今年は盛大にやるのだ。

「して、トレジャーまつりって、具体的に何をやるんだ?」

「うーん、いつもなら売店が沢山出るんだけどねぇ…。今年は盛大にって聞くからね、何をするのかは分からないんだよね…」

「ふーん、そうなのか。」

アルトとルナは、ギルドの前の階段を下りながら、祭りについて話している。ルナの声が高いため、楽しみなのが伝わってくる。

「あ、あれだね!行こ行こ!アルトーッ!」

ルナがアルトの手をグイグイと引っ張る。
アルトが微笑しながら、祭りへと向かっていく。

「っとうちゃーく!何から見よっか、アルトーッ」

「そう、だな。…あのきのみとか、食いたい。」

「おー!じゃあ買ってくるねぇー」

ルナがアルトの指した店に向かって駆け出した。
アルトは周りをキョロキョロしながら、店を眺めている。
果物を売っていたり、仮面を売っていたり…。綿のような物を売っていたりする。食べる綿って不思議なものだな…なんて思いながら。

ードンッー

「ぅわぁっ!」

「おうっ」

キョロキョロしていたアルトに、何者かがぶつかって、アルトがよろける。
相手を見ると、自分より図体が大きい。

「ごめんな…って、おおっ、ポケモンの種類はリオルか!懐かしいな、俺にもリオル時代があったなぁ…」

「あ、あなたは?僕はアルトです。」

「ん、俺か?俺はな、ルカリオっつーんだ。名前はラン。」

ランがアルトの手をがしっと掴む。
体が大きいため、力が強い。


「アレだな。仲間だ仲間。仲良くしよーぜっ」

にししっと笑うと、その次にアルトの頭に手をのせ、撫でた。

「あ、んでよ、アルト。ルナっていう、オレンジの小さなヒヨコを見てないか?」

「ル、ルナですか?ルナなら」

「アールトーッ!買ってきたよーっ…って、あれっ!ラン兄ぃ!」

アルトの横に居るランに目が行ったようで、きのみを運びながら、凄く速く走って来る。

「おーっ!ルナ久しぶりだなっ!相変わらずチビだなーっ!」

「ラン兄、一言多い。大きくなったなーっとか言ってよーっ!」

「いやホントにチビなんだから。嘘はつかない主義だからな、俺は」

ランははははっ!と笑うと、二人の頭をポンポンと叩いた。

「じゃあなお前ら。元気にしてろよー」

そう言うと、ランは祭りから去っていった。






「アルト、ちょっとついてきてもらってもいいかな?」

空が美しいグラデーションになり、そろそろ帰ろうかと思っていた時に、ルナがそう声をかけてきた。

「い、いいけど。」

「じゃあ、行こ?」

ルナは祭りの賑やかさから少し離れた、崖へとやって来た。

「ここね。サメハダ岩って言うんだ。確か…っと、ここ。階段があるんだ。」

ルナは茂みをどけると、階段が現れ、そこから下っていく。
下った先には十分暮らせるスペースがあった。

「ここでね、アルトと出会う前に住んで居たんだ。本当はもう一人居たんだけど。結構前に旅に出ちゃって。アルトと出会えて良かったよ。」

悲しみの表情と懐かしむ遠い目で、太陽の沈んだ地平線を見つめる。それはどことなく儚い。

「そういえばアルトと出会う前日、凄い嵐だったよね。大丈夫だった?」

「いや、その前日までの記憶が無いんだ。嵐だったことも知らなかった。…そうだったんだな。」

「うん。……っと、ギルドの皆が待ってるね。付き合わせて、ゴメン。」

サメハダ岩の階段を上ると、空は藍色一色になっていた。
トレジャータウン未だにごったがえし、静かになることを知らない。
ポケモンの波を掻き分けて、ギルドの前の階段にたどり着き、ギルドへと入っていった。





その二人を見つめる、一つの影。




「帰ってきたよー。ルナ」






おまけ↓
挿絵画像


ランの探検隊デス
遂にルカリオ参上!
あ、こんな展開欲しいです!とか、こんなポケモン出してください!ってリクありましたら、受け付けマス~♪

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