第十七話 迫る闇の支配

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

第十七話です。半分は出来上がっていましたが、投稿を忘れていました。すみません。
[第十七話 迫る闇の支配]

〜ワイワイタウン、調査団本部前〜

「そやっ!」

バシャーモがデンリュウに瓦礫ごと蹴飛ばされた。バシャーモは受け身も取れず、背中から地面に落下する。

「どうですか?降参します?」

ダメージが大きかったのか、バシャーモは体が動かず悔しそうにギリギリと歯を食いしばる。そこにジュカインを担いだツバサも合流した。

「ツバサ、ジュカインは?」

「気絶させた。これ以上動かれると面倒なんでな。」

ツバサの肩の上で目を回しているジュカインは、歩くツバサの振動でゆらゆらと揺れている。

「団員からの報告によると、攻めてきた敵は、昨日ハヤテたちを襲撃した3匹の他にはいないようです。」

「そうか。しかし何にせよ、奴らが俺たちを目当てに動いていることは間違いない。俺たちや調査団相手に3匹だけで攻めるのは、どうかしているとしか言えんが。」

「敵方に何か考えがあるのでしょう。とにかくこんなにも早く敵が攻めてくるとは……先手を打つつもりが、出鼻をくじかれましたね……。」

「ここは一旦、ハヤテと合流して作戦を練り直そう。」

縄でバシャーモを縛りながら、ツバサはそう言った。



「………………」

一方、中央広場では、気絶したラグラージを目の前に、ハヤテがじっと佇んでいる。

「おい…ハヤテさん…?」

ブイゼルが起き上がり、声を掛けようとしたが、

(あれは……もしかして……)

ハヤテの目に、キラリと光るものがあった。それはハヤテの頬を伝って、地面で弾け飛んだ。

(泣いてるのか……ハヤテさん……)

ハヤテは泣いていた。仲間を悪事に使役させられた悔しさと、その仲間を自らの手で倒さねばならないという悲しみが、ハヤテの目から涙を溢れさせていたのだ。

(無理もない…よな。やっぱ悔しかったんだよな……。仲間を操られて……。)

ハヤテはブイゼルに気づくと、無理に笑顔を浮かべ、頬の涙を拭った。

「済まないな……。少しみっともないところを見せてしまった。」

はははっ……とハヤテは笑うが、その声に元気は無かった。

(ハヤテさん……精神的にもかなりダメージが……俺が何とかしないと……でも、何をすれば…?)

ブイゼルはハヤテの顔を見つめる。だが、その顔から伝わってくる悲しみは大きく、とても見ていられない。

(くそっ!俺にもっと力があれば…!)

ブイゼルはこんな時に何もできない自分を、恨めしく思った。

その時、ポン……とブイゼルの背中に手が置かれた。

「ハヤテさん……」

「ブイゼル、私のために何かをしなければと苦心しているのだろう。だが、私はその気持ちだけで大丈夫だ。ありがとう。」

だからそんな顔するな、そうハヤテに言われ、ブイゼルは少し明るい表情になった。

その時、「おーい!」と呼ぶ声が聞こえた。振り向くと、ツバサとデンリュウが町を襲った2匹を抱えてやって来た。



暫くして、デンリュウの呼びかけで調査団員全員が、広場に集まった。

「それで、あんたの言う『闇』というのが、このラグラージが放ってたあのオーラだよな。『闇』について、詳しく教えてくれないか?」

ブイゼルが、攻撃を受け気を失っているデデンネを介抱しながらハヤテに聞いた。

「ああ、闇とはな……」

ハヤテは全員に、自分が分かっている範囲で『闇』について説明した。

「…というわけだ。つまり闇に対抗できるのは、現時点で波導が使える私だけということになる。」

その説明を聞くと、全員の顔色が一瞬で悪くなった。

「マジかよ……。それじゃあ敵はほぼ無敵じゃん!どうやって戦うんだよ!」

アーケンが焦った様子で翼をブンブンと振る。

「闇を持って、身体能力は上がっていますが、それ以外は普通のポケモンと変わりない。とにかく、作戦を練り直しましょう!」

デンリュウが皆にそう呼びかける。その時、ハヤテは何かを思い出した。

「そういえばブイゼル、今のトレジャータウンの様子が分かったんだったな。教えてくれないか?」

「ああ、実は今、トレジャータウンはヤバいことになってるぜ。」

ブイゼルが興奮気味に話す。、

「何でも、探検隊連盟がトレジャータウンの全てのポケモンたちをメンバーとした討伐隊を組織したらしい。」

「何だって…!?」

「更に、あんたの言う『闇』だが、どうやらトレジャータウンのポケモンは皆、そいつを纏っているそうだ。」

それはハヤテを愕然とさせるには十分すぎる情報だった。驚いたのはハヤテだけではない。同じトレジャータウンに暮らすツバサも、平和なトレジャータウンを知るデンリュウたちも、現状を知って言葉を失った。

「と、とにかく……」

デンリュウがあたふたと場の指揮を取ろうとしたその時、

ドオォォォン‼︎

耳をつんざくほどの轟音と、大きな揺れが彼らを襲った。

「何だ!大きな揺れが!」

突然のことに、皆が落ち着きを失う。

「落ち着け!慌てるな!全員……」

ツバサが皆を落ち着かせようと動くが、ある物が目に入った瞬間、一気に顔面蒼白になった。

「どうした?ツバサ……」

ツバサは声では応えず……代わりにある方向を指差した。

「向こうに何が…あっ…」

ハヤテもそれを見た途端、言葉を失った。驚きと突然の最悪の状況が、喋ろうとしても声を出させないのだ。

デンリュウも、それが放つ圧倒的な威圧感に動けなくなっていた。他の調査団員は驚きで腰を抜かす者、泣きながら逃げようとする者、恐怖で固まってしまった者など様々だが、まず間違いなく現れた目の前のポケモンに恐怖を感じている。

「何故…お前がここに……」

傷を負わせずハヤテの動きすら止めた巨大な存在。それは空間の支配者とも言われる伝説ポケモン……


空間ポケモン、パルキアだった……
いかがでしたでしょうか。これだけ広い町をたった3匹で襲撃させるとかいう、無謀な事させてます、当時の自分は。

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