冒険のしおり 1 ― 出会いの記録

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◇ 出会いの記録 ◆

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ツバキ
13歳
 まっすぐで単純、素直で好奇心が強い少女。なんにでも首を突っ込んでは巻き込まれる、ムードメーカー兼トラブルメーカー。

ユウト
13歳
 しっかり者で世話焼き気質、料理や掃除が得意な少年。慎重な性格で考え事が多く、思慮深い分行動するより先に悩んでしまいがち。

シロ/エーフィ♀
 おとなしい性格で物音に敏感、俊敏だが超能力のコントロールが苦手。仲間たちをいつも気遣い仲を取り持つお姉さん的存在。

クロ/ブラッキー♂
 気まぐれな性格で食べるのが大好き。行動時間は主に夜だが、食い意地ゆえに食事の時には必ず起きる。

クゥ/クチート♂
 負けん気が強くて意地っ張りな性格。闘うことに信念を持ち、「あざむきポケモン」としての生き方を嫌う。

ネネ/ネイティ♀
 ちょっと人見知りでさみしがりなネイティの雛。まだ子どもだが辛抱強く、強力な“壁”の技を扱う。

ハク/カイリュー♂
 怖がりでひかえめな性格、のんびりするのが好き。急激過ぎる進化をしたため、カイリューとしての力を発揮しきれていない。


【タビダタウン~ヤマアイ山道】

アマサキ・アサコ
36歳 シラナミ地方・タビダタウン出身
 シラナミ地方のポケモン図鑑を作っている研究者。おっとりしていてほがらかな性格。

アマサキ・アマノ
15歳 シラナミ地方・タビダタウン出身
 アマサキ博士の娘で、彼女の研究を手伝ってシラナミ各地を旅する少女。面倒見がよくしっかり者。


【ウミベシティ】

ガモウ・ホクト
24歳 シラナミ地方・ウミベシティ出身
 ウミベジムのジムリーダー。足が悪く車イスでの生活のため、強靭な体を持つ格闘ポケモンに憧れていた。

キノン/キノガッサ♂
 力強いフットワークが自慢の格闘戦士。その足のバネのように決してへこたれないガッツを持つ。

ヨーガ/アサナン♂
 超能力でホクトを支える実直なポケモン。人間の体の構造に通じていて、武術を巧みに再現する。


【ゴクトー島】

アズマ・アズミ
25歳 シラナミ地方・ゴクトー島出身
 ゴクトージムのジムリーダー。幼い子どもたちばかりのジムをひとり守り続けている。ホクトとは師を同じくする姉弟弟子。

クロガネ/ボスゴドラ♂
 アズミの一番の相棒で、鋼の技のみでなく格闘の技も身につけている。強面だが気さくな性格。

リオ/ルカリオ♀
 波動を操り人やポケモンの居場所や心情、体調を感知するのが得意。おっとりしているが勘は鋭い。

シロガネ/エアームド♀
 攻撃的な外見ながら性格は穏やか。優雅で気品ある仕草をする。

テツロウ
10歳 シラナミ地方・ゴクトー島出身
 アズミのことを慕っていて、一番弟子を自称する。本来はわんぱくな性格だが、兄貴分としてしっかりしようと努めている。

セキナ
8歳 シラナミ地方・ゴクトー島出身
 ゴクトージムで暮らす少女。人見知りで引っ込み思案な性格。

コウタ
7歳 シラナミ地方・ゴクトー島出身
 ゴクトージムで暮らす少年。いたずら好きなやんちゃ坊主。

コテツ/ココドラ♂
 小柄でのんきなココドラの子ども。ジムで三人の子どもたちにかわいがられている。


【ケットシティ】

ネコヤマ・タマゾウ
60歳 シラナミ地方・マルーノシティ出身
 ケットシティに住む老紳士。屋敷にたくさんのエネコやニャルマーを飼っていて、通称「ネコじいさん」と呼ばれている。

エリー/エネコ♀ ネル/エネコ♀ コリーナ/エネコ♀
ニール/ニャルマー♂ マール/ニャルマー♀ タマ/ニャース♂
ブル/ブニャット♂ トール/ブニャット♂ アンナ/ペルシアン♀
 ネコヤマの愛猫たち。それぞれ様々な過去を持ちながらも、現在はネコヤマの家でのびのびと暮らしている。

ニーナ/ニューラ♀
 常にネコヤマのそばに寄り添う秘書かSPのようなポケモン。デキる子だが、その分一番ネコヤマに甘えている。

エレン/エネコロロ♀
 色違いのエネコロロ。そのためネコヤマが特別扱いしすぎてしまったことがあり、気位の高い性格になった。


【ミタキタウン】

タツミ・リュウコ
21歳 シラナミ地方・ミタキタウン出身
 竜の棲み処の守護を受け継ぐ、現在のシラナミで最強のジムリーダー。自分にも他人にも厳格で、中途半端を好まない。

カプリ/ガブリアス♀
 好戦的で獰猛ながら、クレバーな知性も併せ持つリュウコの相棒。トレーナーと同様に鋭い刃のような雰囲気をもつ。

タイチ
14歳 シラナミ地方・ミタキタウン出身
 一人前のドラゴン使いを志し、ミタキジムで修行に励んでいる少年。自分に自信がなく、常に低姿勢なところがある。

ガブマル/ガバイト♂
 ミタキジムで訓練を受けるポケモンの一体。素直で人当たりのいい性格で、訓練を担当するタイチのことを信頼している。


【シラヒの森】

ヤマトヤ・アイハ
22歳 シラナミ地方・マルーノシティ出身
 マルーノシティと森の間で薬屋兼ポケモン診療所を営む女性。シラヒの森の護人を受け継ぎ、人とポケモンを護っている。

ミツバ/リーフィア♂
 心を落ち着かせる“くさぶえ”と空気を浄化する能力で、アイハの仕事を手伝うポケモン。落ち着いていて気品ある紳士。

フタバ/チェリンボ♀
 癒しの技で治療を手伝う、恥ずかしがりやな性格のポケモン。小さな玉を失ってトレーナーに捨てられた過去をもつ。

ヨツバ/フシギダネ♀
 アイハが引き取ったタマゴから孵ったポケモンの子ども。むじゃきな性格で診療所のポケモンたちにも可愛がられる。


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【マルーノシティ】

ミナミ・カナミ
15歳 シラナミ地方・マルーノシティ出身
 さっぱりはっきりした性格の、マルーノジムの訓練生。バトルが好きでジムリーダーの資格も持っている実力者。

ププ/プクリン♂
 きめの細かい毛皮が自慢のカナミの親友。ふわふわと自由な仕草のままの、何にも動じない性格の持ち主。

ルル/ガルーラ♀
 親の袋から出た若いガルーラ。カナミとは幼い頃から姉妹のように育った。お茶目でパワフルな性格。


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◇ シロクロタイムズ ◆


【vol.1 ポケモン図鑑 ―第2話】 2011.07.28.

 第1話で登場したアマサキ博士が研究している、ポケモン図鑑についてです。
 ポケモン図鑑はゲームやアニメ、漫画作品等で設定や扱いが異なっているため、どう取り上げるか考えました。
 ゲームでは、そもそもポケモンを集めて図鑑を完成させることが目的であるとされていました。そのためゲームでは出会って捕まえて初めてそのポケモンのことがわかる、主人公たちが「作り上げる」図鑑です。これはものすごく高度な機械で、捕まえたポケモンの姿、体長や体重、鳴き声などの情報を瞬時に認識、さらに生態や特徴を自動的に分析して文章として表現します。さらにすごいのは、出会った場所だけでなく全国的な分布をも推察(?)し、地図に表示することができる点です。研究者はこの機械を冒険者に託すことで、ポケモンのデータ収集から分析までをほぼ完全に委託することができるのです。
 一方アニメでは、ポケモン図鑑は名前の通りの「図鑑」であり、電子辞書ならぬ電子図鑑と呼べる機械です。初心者トレーナーが冒険に出る際にもらうことができ、その地方に生息するほぼすべてのポケモンの情報があらかじめ詰まっています。おそらくポケモン研究者たちが長年かけて完成させた、努力の結晶なのでしょう。

 シロクロ冒険記でのポケモン図鑑は、このアニメのイメージを参考にしました。ただし、シラナミ地方はド田舎で、このポケモン図鑑が未だ完成していません。つまりシラナミ地方では、アニメに登場するあの図鑑を、今まさに作っている最中なのです。
 アマサキ博士の娘、アマノをはじめとする協力者たちが各地を旅して、ポケモンたちの生態、分布をその足で調査。その目と耳で見聞きしたポケモンたちの姿を記録し、時にはポケモンそのものを捕獲して、アマサキ博士のもとに持ち帰ります。彼らから寄せられた情報をもとにアマサキ博士がさらに詳しい分析を行い、情報を集計、整理して、図鑑の形に編纂する。こういったアナログな作業が、日々おこなわれているのです。
 単純にゲームと同じ設定を用いてもよかったのですが、そうしなかったのは、ゲームのポケモン図鑑がちょっと便利すぎると思ってしまったからです。シラナミ地方には、アナログな努力が似合うのです。

 もしかしたらアニメでサトシたちが使うポケモン図鑑は、ゲームの主人公が「完成させた」後のポケモン図鑑なのかもしれない。そんな想像を膨らませつつ、今回はここまでにしたいと思います。


【vol.2 ポケモンたちのネーミング ―第3話】 2011.08.30.

 今回の話題は、サブタイトル通りポケモンに付ける名前についてです。
 この小説中では、「ニックネーム」という呼称を用いません。これはあくまで個人的なこだわりなのですが、ポケモンに付ける名前は、あくまで「名前」だと考えています。
 アニメのポケモンは、一部例外を除き、基本的にみんな種名のまま呼ばれています。アニメを見ている分にはそれに慣れていることもあってか、特に違和感を感じることはありません。
 ですが自分でストーリーを作ろうという段階になったとき、僕はこの呼び方に強烈な違和感を覚えました。だってこれを現実の動物に置き換えると、例えばペットの犬を「おい、イヌ!」とか呼んでいるのと同じことなんじゃ? そういうわけで、私は本小説中では野生のポケモンを除き基本的にすべてのポケモンに名前をつけています。
 一応断っておくと、ピカチュウを「ピカチュウ」と呼ぶことをよくないと思っているわけではありません。アニメはあの表現だからこそいいのだと考えています。このこだわりは、あくまで私の中のものということで。

 ただ、この名前というのが意外に悩みどころ。なぜなら、わかりにくくなるからです。
 小説は、文章で表現された世界です。もちろんその文章から情景をイメージしてもらえることが何よりですが、少なくとも実際の目に映るのは文字の並びだけ。
 そんな中で、登場人物の名前と、ポケモンの名前、はたまた地名、この小説の中独自の固有名詞が、あちこちうようよしています。

「あれ? シロってなんだっけ」
 ……前の文章を読み返し……
「あ、そっか、エーフィの名前だ」

 こんなことの繰り返しでは、読むのが疲れてしまいます。
 つまり本当なら、固有名詞はある程度控えた方が読み易い。「クゥってのはクチートの名前だったな、覚えとかなきゃ……」なんてことを考えながら読んだって、面白さは半減してしまうのではないでしょうか。

 こだわりと、読み易さ。両立させる道を模索しなくてはなりません。

 要は、名前なんてものはとにかく単純に、覚えやすく、作中でカブりにくく、かつ名が体を表すようにすればいいのです!

 ……難しい。

 とにかく、そんなことを意識して名前を付けるようにしています。
 シロは、体が白いからシロ。クゥは、クチートからとってクゥ。ウミベシティ、そのまんま、と。

 後はもう一つ、些細なことなのですが、ジムリーダーのスタンス。
 最初ツバキとユウトが町中で会ったとき、ホクトは彼のキノガッサを「キノン」と名前で呼んでいますが、バトル中は、「キノガッサ」と種名で呼んでいます。これは特にかっちり決めているわけではないのですが、作中ではジムリーダーのような役職のトレーナーは、基本的にバトル中はポケモンを名前で呼ばないことにしているという設定です。だってほら、バトル中は特に、固有名詞がいっぱい出てくるじゃないですか。対戦相手と読んでくださっている方々への、シラナミリーグの配慮ということでひとつ、よろしくお願いいたします。


【vol.3 ポケモンバトル ―第4話】 2011.10.10.

 ポケモンバトル。ポケモンを書く上では花形ともいえるテーマです。
 物語中でもジムリーダー・アズミさんが言っていますが、シロクロ冒険記の世界において、ポケモンバトルとは「競技」です。
 ポケモンリーグが定めたルールの中で行われ、勝利条件、敗北条件、反則行為、その他もろもろ存在する、「スポーツ」として私はポケモンバトルを位置づけています。
 各地のポケモンジムで指導しているのは、この競技としてのポケモンバトル。ジム戦もまた然り。ポケモンリーグとは、このポケモンバトルという競技を扱う団体です。もちろんそれだけではなく、治安維持をはじめポケモンリーグには様々な活動がありますが。

 そういうわけで、野性のポケモンとの戦闘やルールの絡まない闘争の類は、ポケモンバトルとは分けて考えることにしています。今回第4話ではいよいよ悪役的なヤツらが登場しましたが、あのヒトたちとの戦いはポケモンバトルではないということになる。なにが違うのと言えば、おおざっぱには目的の違いでしょうか。
 ポケモンバトルはあくまでスポーツとして、ポケモンとヒトが関係を深め、かつトレーナー同士切磋琢磨し鍛えた実力を競い合う、ざっくりまとめると「楽しむ」というのが目的です。一方ルールのない闘争は、野性のポケモンであれば自分や仲間の命や生活などを守るため、またいわゆるワルいヒトたちとの戦いでは、略奪などの行為やそれに対する防衛というのが目的になります。そして、目的が変われば手段も変わる。そんなこんなを私なりに解釈してみた結果、こんな感じになりました。

 ちなみにもうひとつ、「戦い」と「闘い」の違いについても、ちょっと考えてみたりしています。
 僕の携帯辞書さんによると、「戦い」とは戦争、試合、選挙戦などの具体的な戦いを指し、「闘い」とは比較的小規模な争いや、抽象的なものとの闘いを指すのだそうです。
 それをもとに物語中では、ポケモンバトルや野性のポケモン、ワルいヒトたちととの戦闘など、概ねは「戦い」の字を用いることにしました。その中でも特別に、私的な闘争や気持ち的な闘いには、「闘い」の字を用いることにしています。
 わかりにくいですが、具体的にはクゥ視点のときは「闘い」を使うことが多いです。ヤツは闘う漢なので。
 統一したほうが読みやすいのはもちろんですが、私自身できる限り色んな表現を使うことで勉強したいと思うので、温かく見てやっていただけると嬉しいです。


【vol.4 名前の由来 ―第5話】 2012.02.03.更新5

 今回は、キャラクターたちの名前の由来についてです。
 まず、タイトルにもなっているシロとクロ。
 以前ポケモンのネーミングについての話題でも少し触れましたが、彼らはそのまま、シンプルさを追求しました。
 シロ。エーフィ。白い。
 クロ。ブラッキー。黒い。
 シンプルイズベスト。
 でもここで一つ問題が。
 最近ポケットモンスターオフィシャルサイトのポケモン図鑑が好きで、ちょくちょく見てはほっこりしているのですが、そんなときにふとエーフィのイラストを見て気がついたことが。
 エーフィって、思いのほか、白くない。
 薄紫といえばいいのでしょうか。とにかく意外と白くない。困ったなあ。
 そこで作中のシロさんは、エーフィの中でも色白な子なんだということになりました。アルビノとかでなくて。あくまで、色白なんです、彼女は。

 続いて、主人公のツバキとユウト。
 そもそもこのシロクロ冒険記自体、構想が始まったのがダイヤモンド・パール発売頃。そして主人公のツバキとユウトに関しては、それ以前に書いていたものと関わって、いつか登場させられたらいいなーと思っていたキャラクターがもとになっていたりします。
 ツバキは漢字で書くとそのまま「椿」。植物の名称です。僕が育った家の狭い庭、その隅っこにこれの小さな木が植えられていて、幼いころは気にも留めていなかったのが、気付いたら二階にもらった自室の窓から手が届くまでになっていました。まるで太陽に手を伸ばすように。その光を目指すように。
 ユウトに難しい由来はありません。極めてシンプル。「優しい人」、「優人」になるようにと願ったからです。
 今ではふたりが「ツバキ」と「ユウト」であることが当たり前になりすぎて、当時の詳細な想いまでは思い出すことはできません。ですがふたりは、ツバキとユウトになるべくしてなったのだと思います。

 あとは、ジムリーダーのネーミングについて少々。
 彼らは全員あるコンセプトに沿って名前を付けています。ただこれは、せっかくなのでもうちょっとジムリーダーが出そろってから語りたい。いや、もう一人くらい登場したら、語るまでもなくわかっちゃいそうな単純なことなのですが。よかったら、予想してみたりとかしてもらえると、物語の楽しさが2割増くらいになるかも?

 おまけ、ゴクトー島こども3人組。
 年齢順(テツロウ、セキナ、コウタ)だとよくわかりませんが、ちょっと並び替えるとあら不思議。
 テツロウ、コウタ、セキナ
 テツ、コウ、セキ
 鉄鉱石
 そういう島の子たちですので。基本的にはどのキャラも、こういう単純なネーミングになっています。


【vol.5 ポケモンジム ―第6話】 2012.03.05.

 第3話から第6話にかけての大きなテーマとして、「ポケモンバトル」というのがありました。今回はそれを書くにあたっての舞台にもなった、ポケモンジムについて考えます。

 ポケモンジム。ポケモン世界には欠かせない重要施設。各地方を旅する中で各町のポケモンジムに立ち寄ることは、ひとつの節目だと考えてもいいのかもしれません。
 では、そのジムとはなんでしょう。“gym”というのはもともと「体育館、体操場」を指す言葉で、「スポーツクラブ」の意味でつかわれることもあるそうです。日本語としては、スポーツジム、フィットネスジム、ボクシングジムといった使われ方を耳にします。
 それじゃあ、ポケモンジムとは?

 概要としては、ポケモントレーナーの集まる場だと考えていいと思います。
 いくつか役割はあると思うのですが、ひとつは、ジムリーダーと戦い、勝利することでバッジを得ることができる場所。このバッジの果たす役割は物語によって様々で、ポケモンリーグ四天王への挑戦権であったり、ポケモンリーグ大会の出場資格であったり、同大会の無条件本選出場権であったりします。
 他のジムの役割としては、ポケモントレーナーたちが集い、日々の修練に励む場所。元々の言葉にいちばん近い役割が、これなんじゃないかと思います。
 そしてもうひとつ、各町や地方の治安維持活動をしている拠点。これも物語によって異なりますが、ジムリーダーたちが各地で起こる事件の解決に尽力する姿は様々な形で描かれています。警察とは別の、自警団的なものと考えていいかと思います。

 ポケモンジムがこうまでの役割を果たすようになったのは、それぞれのジムを率いるジムリーダーたちの魅力が大きいゆえだと思います。それぞれが個性的な実力者たち。負けないように、シロクロでも魅力的なジムリーダーを書いていきたい!

 シラナミ地方でのジムは、特にふたつ目「ポケモントレーナーたちの集いの場」としての側面を、大事に書いていけたらいいなと思っています。ポケモントレーナーになりたい人はたくさんいる。でもきっと、みんながみんな地方全土を巡る旅ができるわけじゃない。そんなトレーナーたちの居場所。修練と交流の場。旅をするのとはまた別の、トレーナーとしての選択肢。
 シロクロ冒険記の主人公が旅人なのであまりそこばかりに突っ込んでもいられませんが、そういうのを少しでも大事に表現しつつ、いずれ短編で本格的に書けたらいいなと考えています。

 ちょっと余談。
 今回アズミさんがバッジについて「これを七つ全て集めれば」と言うシーンがありますが、これは間違って書いたわけではありません。その辺りのことも、いずれ物語に絡んでくる予定です。


【vol.6 悪党 ―第8話】 2012.05.06.

 第7、8話と、2話連続で悪者いっぱい、追ったり追われたり大忙し。物語中にも続々登場してきた悪役たちに、今回はスポットを当ててみたいと思います。

 悪役って、楽しいですよね。楽しいんだけど、難しい。悪役のキャラづくりには悩みます。なぜなら油断して適当に考えると、すごく薄っぺらいキャラになっちゃうから。「イーッ!」とか言ってわらわら出てきてやられるだけのキャラは、できればあんまり書きたくない。「おうおうなめてんのかコラ」とか安く絡んできて「ひー、もうしませんーっ!」みたいに去っていくのも、いまいちよくわからない。「くっくっくっ、すべてを滅ぼしてくれるわ―!」みたいなのは、結局何がしたいんだよって感じで終わってしまいそう。
 もちろんこれらは、自分で書くとしたらの話です。どんなキャラも、ちゃんと意味を持って書かれるなら、きっと素敵なキャラになる。ザコ戦闘員もチンピラも大魔王も、物語の上で意味を持って登場し、鮮やかに戦って去っていくのなら、輝く。けれどただなんとなく登場して、なんとなくボコられて消えていくだけなら、それはひどく薄っぺらで、味気ない。

 一番難しいのは、主人公サイドでも悪役でもない、その他大勢。それに比べれば、悪役って輝きやすいところにいるはず。
 ときに愉快に、ときに悲しく、ときにおぞましく、ときに腹の底から憎らしく。
 それができれば、きっと薄っぺらにはならない。全てを表現できなくても、せめて意味は持たせていきたい。

 悪役には悪役なりの、事情があるはず。何のために悪いことをするのか。なぜ悪事へと至ったのか。はじめから好んで悪に手を染める人はいないんじゃないかと思います。そうせざるを得ない事情があるはず。本気で好き好んで悪へ走っているのなら、そうなるまでによほどの経緯があったハズだ。また、その人にとって悪ではないという場合もある。主人公サイドにとってそれがどれほど憎らしい悪でも、悪役自身にとってはそれが悪ではないというのはよくあることだ。
 そもそも「悪」とはなんだ。なにをもって「悪い」ことなんだ。……と、そこまでいくと話が長くなり過ぎてしまうので、とりあえず今回はここまでに。
 だんだん話がまとまりを失ってきました。「悪党論」、いずれがっつり考えてまとめてみたら面白そうです。いずれとか言ってるうちは、いつまでたってもやらないのですが。

 とりあえず現在登場している悪役たちや組織については、まだ本編中で明らかにしてない部分も多いので、詳しく取り上げるのはまたの機会に。キャラ紹介も、次に登場した後に載せます。楽しんでいただけるといいのですが……!


【vol.7 進化! ―第10話】 2012.09.24.

 第9、10話は、ハクという一匹のポケモンとの出会いから彼が新たないっぽを踏み出すまでを、がっつりと書いた回でした。ハクの物語は今後も本編で続いていきますが、今回の過程で出会い、登場した何人かのキャラクターたちにもまたそれぞれの物語があるので、いずれそれらも出していけたらなあと思っています。
 そんな今回のお話のテーマになったもののひとつが、「進化」です。

 ポケモンの物語を書いていく上では、花形のテーマのひとつ。ポケモンたちの不思議の一端。シンオウの博士の専門分野。それは肉体の構造がその形態から大きさから何もかもが根本的に変化する、超現象。かつてその影響か性格が大きく変わってしまったポケモンと、様々な苦難を越えて心を通わせたトレーナーの物語もありました。あれはホントに今でも思い出すだけでハートが熱くなる出来事で、あれを筆頭にして、進化というのはポケモンにとってもトレーナーにとってもでっかいイベントであることは間違いないと思います。

 その進化の物語を構想しようとした僕の中で、まず思い浮かんだのが、ゲームに度々登場する「謎の進化系ポケモンたち」でした。
 思い出せる中でその筆頭は、GB版ポケットモンスターピカチュウで登場した、トキワのもりのピジョンでしょうか。私もゲットして育てていましたが、確かヤツの野生でのレベルは9だったように思います。そう、普通にポッポから育てたとしたら、そんなに早く進化しているはずがないのです。他にもそんな野生のポケモンやトレーナーのポケモンはあちこちにいましたが、いくらなんでもLv. 9のピジョンは早かろう!と子どもながらにやたら気にしていたのを覚えています。

 ツバキたちの仲間に一匹、でっかいポケモンがいるといいなあというのは構想の初期にあった思いで、だったらもうカイリューだろうと、すんなり決まったのは覚えています。で、どうせだったら一発そこで進化を書こうと。そんなノリで出来上がったのが今回のお話なのですが、そこで長年の疑問だった不思議進化をやっちゃおう、というのは、当初は正直悪ノリでした。
 進化に至るための一般的な条件(=ゲームでの進化条件)を満たしているとは思えないのに、起きてしまう進化。それがどういったものか、自分なりに突き詰めた結果が第10話です。ポケモンというのは不思議な不思議な生き物だから、きっとゲーム的法則に従わない現象だっていっぱいあるに違いない。それをシロクロ冒険記では「まだ解明されない未知の要因」として扱いましたが、では今回のハクの急激な進化をもたらした要因とはいったいなんだったのかは、いずれまた本編で。

 さて、次回からは作者的に満を持して、いよいよマルーノシティの物語が始まります。シロクロ冒険記前半の盛り上げどころ。ちょこちょこ見せてたキャラクターたちや設定が本格的に動き出し、ますます書くのが楽しくなります。シロクロのサイドストーリーやそれとは違った短編もネタだけはたんまり溜め込んでいるので、その辺もそろそろ出していきたい。楽しんでいきましょう!


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