この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください
お待たせしました。第四話です。
[第四話 戦闘開始!]
「火炎放射!」
先に攻撃を仕掛けたのはツバサだった。相当の威力と規模を誇るツバサの『火炎放射』。それがツンベアーめがけ真っ直ぐに飛んだ。
ドオオオーン!!
轟音が鳴り響き、熱気が辺りに立ち込める。いかに強いツンベアーでもこの攻撃を受ければただでは済まないが……
「ふう〜、危ない危ない。当たってたらヤバかったぜ。」
「攻撃が効いていない…!?」
「しかしすげぇ火力だな。流石と言っていいところだ。だが、俺には効いてないぜ。」
(あれは俺の最大火力での攻撃。どうやってかわした……)
よく見てみるとツンベアーの周りには砕けた氷の欠片が散らばっている。
(なるほどな、俺の攻撃と同時に奴も攻撃を仕掛け、相殺したということか。しかし『火炎放射』は非常に威力の高い技、さらに奴が使ったのは氷タイプ、相性は俺に有利のはず。何故相殺できたんだ?)
「おいおい、戦闘中にボーッとするなよ。俺が攻撃しちまうぜ?」
ハヤテの隙を突き、ツンベアーが突っ込んできた。
(しまった!避けられない!)
ドガッ!
「うぐっ…!」
なんとか腕でガードしたツバサだが、後ろへ弾き飛ばされてしまった。
(何だ、今の力は?体重の差があるとはいえ、ここまで飛ばされるか?あまりにも力が強すぎる、考えられることといえば……)
「道具でも使って攻撃力を上げているのか?」
「ああ、猛撃の種を食った。」
(やはりそうか、だとすると厄介だな。奴が出す技の威力は通常の倍以上だぞ。一発喰らうだけでも危ない。奴の攻撃は何としても避けなければ……)
「いくぜ〜、『氷の息吹』!」
「ちっ、『火炎放射』!」
ドゴーン!!
またも凄まじい爆発、土煙が巻き起こり、お互いの前方の視界を封じた。
(見えるようになったら、一瞬で仕留める…!)
だが、土煙がおさまると、
「いない!?、どこへ消えた?」
ツンベアーの姿は忽然と消えていた。
(あの一瞬で消えるとは……ツンベアーはそう素早くはないはずだが……もしまた道具を使ったとすれば…俊足の種か……)
ツバサはツンベアーのいた所を睨む。そこには大きな足跡が何がを引きずったような跡と一緒に残っていた。それはツバサから見て左を向いていた。
(なるほど、つまり奴は今……)
その時物陰に隠れていたツンベアーとそれに気づいたツバサが攻撃を仕掛けたのは同時だった。
「火炎放射!」
「氷の息吹!」
ドガーン!!
激しい爆発、再び立ち込める土煙。
煙に紛れツンベアーが動く。素早くツバサの背後をとり、
「とどめだ〜!『冷凍パンチ』!」
バキッ!
鈍い音がした。
◆◆◆
「まずは一撃……」
一方ガブリアスと対峙するハヤテ。先にガブリアスが飛び出す。
「神速!」
ハヤテも高速で飛び出した。
ハヤテは足に力を込め、ガブリアスは尻尾に力を送り、
「はあっ!」
「ドラゴンテール!」
ハヤテは『神速』のスピードを利用し強力な蹴りを、ガブリアスは自らの長い尻尾を使い、『ドラゴンテール』を繰り出した。
ドゴォッ‼︎
「くっ……」
「おっと……」
威力は互いの技に打ち消され、その反動だけが伝わった。
「フッ、やはり強そうだ……」
「お互いにな。」
2匹はニヤリと笑うと…再び飛び出した。
「はあっ!」
「…見切れているぞ。」
ハヤテは連続での格闘攻撃を仕掛けたが、全て防がれてしまった。
「ならば…『神速』!」
ハヤテは『神速』で再び速度を上げると、地面を蹴って一瞬でガブリアスの真上に移動した。
「おらあっ!」
ハヤテはかかと落としの体勢でガブリアスを狙い、落下した。
「うおっ!」
ガブリアスはそれを辛うじて避けたが体のバランスを崩し、よろけてしまった。それをハヤテは見逃さなかった。しゃがんだ体勢からガブリアスの腹部めがけて、強烈なパンチを打ち込んだ。
ドゴッ!
「ガハッ…くっ……」
ガブリアスは腹部を押さえながら後退し、痛みに耐えていた。しばらくして、ガブリアスは顔を上げた。
「フッフッフッ……まともな戦いでダメージを受けたのは久しぶりだ……ここからは俺も本気でいくぞ…!」
そう言うとガブリアスは腕を広げ、構えた。
(何かしてくる…!)
ハヤテも体勢を低くし、格闘術の構えをとった。
しかし、ここでガブリアスが使ったのは、
「砂嵐。」
ゴオオオッ…!
辺りに砂嵐が発生する。だが、ハヤテはルカリオ、鋼タイプである。砂嵐は効果が無いのだ。
「私は鋼タイプだぞ!砂嵐は私には効かない!」
「別にダメージを与える為にやっているわけでは無い。」
ハヤテは波導で棍棒を作り、ガブリアスめがけて振り上げた。
「無駄だ。」
スカッ!
「くっ…もう一撃…!」
スカッ!
スカッ!
スカッ!
ハヤテの攻撃は…そこから全て当たらなかった。
「…はぁ、はぁ、はぁ……」
ハヤテの息は上がっていた。対するガブリアスは余裕の表情でハヤテを見下ろしている。その周りを砂嵐が吹き荒れている。
(何故だ、何故当たらない……回避率を上げているのか?…だが奴が道具を使うところは見ていない……だとすれば技で上げたのか……いや、『ドラゴンテール』も『砂嵐』も回避率を上げる技ではない……じゃあ一体どうやって……)
「今度はこちらの攻撃だ…!」
ガブリアスが構える。
「ドラゴンクロー!」
ブワッ!
(!、まずい!)
ガキィン!
ハヤテはなんとか棍棒でガードし、すぐに体勢を立て直し、棍棒をガブリアスめがけ、投げつけた。軌道は真っ直ぐ、確実にガブリアスに当たるはずだが、
「どうした、かすってすらいないぞ。」
(なっ、これでも当たらないのか!?)
ハヤテの投げた棍棒は、ガブリアスのずっと後ろに転がっている。
(道具でも技でもない……一体どうやって……いや、待てよ、確かガブリアスの特性は……)
「そういう…ことか…!だから『砂嵐』を…!」
何故攻撃が当たらないのか、ハヤテはようやくその理由を理解した。
「特性 『砂隠れ』、天気が砂嵐の時は回避率が上がり、砂嵐によるダメージを受けない…か、厄介だな……。」
「さらにこの砂嵐はお前の視界をも奪う。つまりお前は俺に攻撃を当てられない。勝負あったな。」
ガブリアスは完全に勝った気でいる。だがハヤテは首を振る。
「まだそうとは言えないな。」
「何だ?まだ諦めないのか?」
「砂嵐で視界を封じられている……普通ならそれで負けを認めるしかないが私は違う…!」
「ほう……立派だな、さすが有名探検隊のリーダーだ。だが、視覚は封じられた上に、砂嵐で嗅覚も聴覚も使えない。どうやって俺に攻撃を当てるつもりだ?」
「当てられるさ。とにかく来いよ……」
そう言うとハヤテはゆっくりと目を閉じた。
「んっ?あいつ俺の攻撃を受けるつもりか?いや、受けたと同時に反撃するのかもしれんな……だがそんなことはさせないさ……」
ブワッ!
「アイアンヘッド!」
ガブリアスは頭部に力を込め、ハヤテへ向かって突撃した。
「死ね!」
だが、
スカッ!
「なっ⁉︎」
ガブリアスが攻撃を仕掛けた先に…ハヤテはいなかった。
(バカな、この砂嵐で奴は俺が見えないはず、それでも俺の攻撃をかわしただと…!奴は今どこにっ!?)
「ここさ。」
「えっ……」
バキィッ!
ガブリアスの考える間も与えず、下からハヤテの強烈な蹴りがガブリアスの顎に入り、
「がはっ!」
ガブリアスはその勢いで後ろへと飛ばされた。
(あいつ、今俺の心を……)
「言っただろう、私には目潰しは効かないと。私は全てを見透かす波導使いだ!」
そこには青いオーラを放ち、真っ直ぐにガブリアスを睨む1匹のルカリオが立っていた。
いかがでしたでしょうか。タイトルは変えようと思いましたが代わりが思いつかなかったのでやめました。