ランプラーは町にある大きな鐘の音を聞くのが好き。力強い響きが何とも言えない魅力を放っているのだという。
実はランプラーは元々町にあったガス灯でした。今のように電気がいつもまばゆい時代ではなかったので、ガス灯は暗い町を優しく照らす大変重宝される物でした。
ランプラーはその頃から ゴーン ゴーンと時を知らせる鐘に憧れを抱いていたのかもしれません。平和な町でゆったりと過ぎていく日々が大好きでした。
時代は移り変わって、手入れが欠かせないガス灯は、便利で明るい電灯にとって代わられていきました。町にも工事の人がやってきて、ある日とうとうガス灯は撤去されてしまいました。
その時、時間でもないのに鐘が鳴りました。まるでガス灯との別れを惜しむような悲しい響きでしたが、人間には鐘の調子が悪いのだろうと理解されませんでした。
解体され打ち棄てられたガス灯は、もう町を見守ることも鐘の音を聞くことも出来なくなりました。もっと見ていたかったのに、もっと聞いていたかったのに。
それから長い年月が過ぎたある日、ガス灯はやけに自分の体が軽いこと、動けることに気が付きました。水溜まりを覗き込むと、なんとランプラーになっていたのです。
自由に動けるようになったので町へ行ってみると、鐘は相変わらずそこにありました。また時間でもないのに鐘が鳴り、まるでおかえりと言っているかのようでした。ランプラーは静かに涙を流していました。
この後鐘が解体されそうになったり、町を離れ洋館に住むことになったりするのだけれど、それはまた別のおはなし。
きょうのおはなしは、これでおしまい