過去-②

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仕事したくねぇ(切実)

ルネシティにあるポケモンセンターに着いた僕達はすぐにその抱きかかえていたポケモンをジョーイさんに預ける。普段は忙しそうにしているジョーイさんが血相を変えて連れて行ったのを見るとあまり容態はよろしく無いようだ・・・。

「そもそもあの寺院は一体何だったんだろうか?ガイドマップにはそれらしき寺院は載ってないし、それに何故姉ちゃんがあの場所を指定してきたのか・・・連絡寄越してきた肝心な姉ちゃんは見つからず仕舞いだし、本当これどういう事なんだろうなぁ。姉さん、事件です(謎)」

ボー『それよりもあのポケモンなんて言うん?少なくともここホウエンには居ないポケモンだよね?それにこんな周りを海に囲まれた島のそれも町外れにある謎の寺院にたった1体だけで居たってのも不思議な話だし。そこ辺りももうちょっと調べる必要がありそうじゃない?僕達の管轄外だけど。』

ボーマンダの言う通りにあのポケモンは絶対にホウエン地方のポケモンではない。っとなると他所の地方か、はたまた海外のポケモンという事になるだろう・・・あの小ささだったら恐らく初心者用ポケモンという位置づけと思うしなぁ・・・そう思った僕はスマホを取り出し調べ始める。ホウエン以外にもこの国には8か9つの地方が存在していて、その地方それぞれに初心者用ポケモンとして認定されているポケモンが居る。まずは近くの地方から順に調べて行ってみようか・・・( ^ω^)おっ

「・・・・・・どうもこの国の他の地方のポケモンではないようだな・・・じゃあ次は海外で見つかっている初心者用ポケモンを見てみようか。ふむふむ・・・・むむ?これはさっきのポケモンになーんか似てるなぁ・・・名前はフォッコ、クリーム色ですし姿形がよーく似ている。どう?ボーマンダ?」

ボー『どれどれ・・・そうそう!こういう感じの容姿だった!!でもこのポケモンって海外のポケモンだよね?そんな海外のポケモンがどうしてこんな国内のしかも陸地から離れた周りを海に囲まれた島で?もしかして誘拐???そんな物騒な事がこんな小さな島で起こるものなの???』

「すぐに誘拐とか考えちゃうのはちょっと刑事ドラマの見すぎかなぁ。でもその点も考えられるし、一応警察の方にも連絡を入れていた方が良いかもしれないね?事案が事案なだけに相手にされないかもしれないけどさ。」







警察の方にも一応連絡すると、そういう事はこっちじゃなくて市役所のポケモン保護課に言ってくれって言われて何か凄く適当にあしらわれた気分になった。これだから田舎の警察官は・・・(偏見)しかしこのまま話を通さずにいるのはまずいので、警察に言われた通りに役所に電話してみると、こっちにすぐその保護課の職員を行かせると言ってくれたので取り合えずは話に進展がありそう。そうしている間にもそのポケモンの治療も終わったようで、ジョーイさんがカウンターの方へと出てきた。顔の表情からして凄い疲労困憊な様子なんですけどこれ如何に。

「あの・・・どうでした?」

「そうね・・・何か凄い強い力で押さえつけられたのか、それともなんか無理やり変形させられたのかは分からないんだけど、なんか体の外も中も至る部分が痣や傷だらけだったのよね。見つけた場所ってどの辺り?・・・あぁ、その寺院ね・・・でもあそこには何もないのに凄い薄気味悪いところで、近寄る人もポケモンもそうそういない場所だから不思議だけどね。そこで・・・なるほどね・・・もしかしたら外国から観光とかで来た人がここで捨てて行った可能性も考えられるわね・・・・。とりあえず今はぐっすりと眠っているから起きてから色々と話を聞いてみる事にするわ。運んできてくれてありがとうね?」

「いえいえ。それともうすぐ保護課の人達が来るようなのでそちらの方の対応もお願いします。それでは僕達はこれで失礼します。行こうかボーマンダ。」


ポケモンセンターを出る頃には辺り一面を暗闇が包み込んでいた。あのポケモンの事も気になるし、姉ちゃんがどこ行ったのかというのも気にはなるけど、真っ暗闇の中を探し回るには如何せんリスクが高すぎる。っという事で僕達は翌朝の明るくなってから帰るまでの時間探すことにして、今日の所は予約していたホテルへとチェックインする事にしたのだった。

「果たして姉ちゃんは何処に行ったのか・・・あの電話を最後に連絡も付かないし、携帯のGPSを探し出してあれしてもあの寺院の事しか出ないし。やっぱりあの寺院に居たのかなぁ・・・念の為もう一回GPSログを見てみるか。」

僕はパソコンを取り出し、姉ちゃんの携帯から発せられてるGPSを探してみる事にした。あれ?これって現在位置がポケモンセンターになってる・・・えっ?居たの??まさかね・・・ちょっと履歴を探ってみると、あ?なんかあの寺院からポケモンセンターに移動した時間と移動場所がほぼほぼ僕達と一致してしまうなぁ・・・これってもしかして??あの落ちてたバックが姉ちゃんのだった?あんな奇抜なデザインバックなんて持ってきてたんか・・・全く気付かんかったわ。

ボー『どうした?急にそんな深刻そうな顔して?・・・・・・えっ?あのバックがシンゴの姉ちゃんのだったって?でもその場に居たのはあのポケモンだけで周りには全く人の気配しなかったぞ?隠れるにはちょっと色々とあれだし、それに自分で呼んでいるんだから隠れる必要ないじゃないか?あの女ぞ?ヤバァイ感じ満載のあの教養無さそうな危ないような誰にでも着いて行っちゃうような女だからまた何時ものように馬鹿真似してんじゃないの?』

ボーマンダってやっぱり姉ちゃんの事大嫌いだよね?滅茶苦茶言いたい放題言ってくるやん。でもそうなんだよなぁ・・・自分でその場所を指定して呼んでいるから隠れる必要もないのにね~。もしかしてあのフォッコが姉ちゃんだったりするの?まさかねぇ・・・だってそもそも何の理由であのポケモンになるのよ。寺院・・・何かやらかして神隠し?祟り?にでもあったんじゃないかって?・・・幾らあれだとしてもおかしいでしょ~、でも怖くなってきたわ。ん?まだ人間からポケモンになったなんて決まったわけじゃないし、そもそもなんで僕はそんな事考えているんでしょうねぇ。






「・・・・・・・あれ多分姉ちゃんだわ・・・確証無いから知らんけど。」

ボー『はっ?いやだってシンゴの姉ちゃんって人間だったでしょ?変化の術でも使えるの?もしかして忍者だったりするの?そうじゃないなら人間からポケモンになるなんておかしい話でしょ~。それにまだあのフォッコって言うの?そのポケモンがシンゴの姉ちゃんと決まった訳じゃないし。』

「あのポケモンの近くに転がっていたバックはよくよく考えたら姉ちゃんが持っていたものだったし、それにあのポケモンの額に傷があったでしょ?・・・姉ちゃんも同じ場所にクソ親に付けられた傷があったような気がするんよ・・・まじまじと見た事無いから何とも言えないけどね。でもなんかちょっと気になってきちゃったなぁ。もう一回ポケモンセンター行ってこようかな・・・??」

ボー『・・・今日はもう休んだ方が良いと思うよ。明日また考えよ?今日は色々と仕事もあったし、ゴタゴタもあったから疲れてるだろうし。ご飯食べたらもう寝よ?その方が良いと思うよ?でもどうしても行くって言うなら明日の朝にした方が何もかも良いとは思うけどね??』

「でしょうなぁ。」


ひとまず片づけをしてから必要な書類を書いたりしてから僕はベッドの中に潜り込む。ただやっぱりその事が気になってしまって眠るに眠れない・・・ひとまずもう一回だけ姉ちゃんの携帯に掛けてみるか。流石に合流しないままカナズミに帰っても良い気分じゃないし、それに姉ちゃんお金持ってるのか分からないから飛行機代とか持ってるのか分からないし。携帯に掛けてみるけど残念な事にお留守番サービスにつながってしまうなぁ。とにかく今日の所は留守電に入れて僕は寝る事にしようそうしよう。

「ボーマンダの方はもう寝てるのか・・・今日カナズミからずーっと飛びっぱなしで、しかも僕の仕事中もずっと傍に居てくれたからなぁ。疲れが出たんだろうね・・・。」

僕はそっとボーマンダに寒くないようにと毛布を掛けてあげると、ベッドに戻り無理やり眠りに就いたのだった。







翌日、気になった僕は昨日行ったポケモンセンターに寄ってからカナズミへと帰る事にした。どうしても気になる事はさっさと対応してモヤモヤがない状態で帰りたいからね?でもボーマンダの方に至ってはもう姉ちゃんの事を乗せたくないようでさっさと帰ろうって表情してたけどさ。

「えっ?じゃあつまりはあの後に来た保護課の人達が来る前に姿を眩ましたのですか・・・?ん~、まぁ状況の捉え方としては元気になったと思って安心するべき所でしょうか・・・分かりました。それでは失礼します。」

居なくなった・・・か。うーん、気になる事が解決せずって感じだったけど、まぁ元気になってどこかに行ったって事でしょ?それなら僕の考えていた事は全く持って見当違いだったって事か・・・じゃあカナズミまで帰りますかな。僕はボーマンダに乗ると一気に空へと浮上した。

帰る前に一応警察署に行って捜索願を出してから帰る事にしよう。そうしておけば取り合えずは書類上は探している事になるだろうし、行方不明になったって言ったら親父達も少しは気にかけてくれるだろう・・・なーんかポケモンセンターの外が騒がしいな・・・っていうか明らかに着た時よりも騒がしくなってうわ!!!何か飛びかかってきた!!



野生のポケモンが飛び出してきた!



『誰が野生ポケモンじゃ!!ゴラァ!!・・・ってこんな場所で飛び出してきたってなったら野生ポケモンが飛び出してきた・・・ってしか言えないよねぇ。ほら!シンゴ!お姉ちゃんですよー!!」

「何言ってんだこのポケモンは。僕の姉はれっきとした人間であって、貴方みたいなポケモンではないんですよ?それに人違いではありませんかねぇ?はい~?シンゴと言う名前は結構居ますし、この島ではこんなスーツみたいなの来て仕事しに来た人なんて沢山いますし?」

ボー『なんかこのポケモン気味悪いから早いところ退散した方が良いと思うぞ?ちょっと急いで島の外に行こう?そうすればどうにかこうにかこのよくわからないポケモンからは逃げる事は出来ると思うから!!行こう!!シンゴ!!!』

『逃がさんぞゴラァ!!」

「なんかめっちゃヤバそうなポケモンだから急いで逃げるんだよー!!!」

僕達は周りの人達から白い目で見られながらも急いで空へと逃亡を図る。しかしそのフォッコも負けじと飛びかかってきたり軽く炎を吐いてきて威嚇してきていた。これなんなん??あぁ!なんか折角飛び上がったのにボーマンダの尻尾にしがみついてますよこのポケモン!!なんで仕事以外にもこんな忙しい目に遭わないといけないんでしょうかねぇ!!!







近くの休憩所を兼ねた場所に降り立った僕達は面と向かってそのフォッコに対し気になる事を色々と聞いてみる事にした。あっ、ちなみに返答内容によってはここで置いていきます(過激)

「それで僕の姉という証拠は?そもそも君はまだ小さなポケモンだし、初心者用ポケモンとして設定されている謂わば扱いやすいポケモンだよ?そんなポケモンが僕の姉だって言い張る理由が聞きたいし何故かなと思って。そもそも僕の姉ちゃんは人間なんですけどね(小声)」

『・・・・!!いやなんかあの神社行ったら近くに祠があって、たまたまバックがその祠に当たってバターンって倒しちゃった訳!やっば!と思って急いで直そうと思ったら急に首元が痛くなって!!そしたら急に眠くなって気づいたらこんな容姿だよ?本当あの時シンゴに見つけて貰ってなかったら今頃私この世に居なかったかもしれない!!そう考えたら奇跡と思わない??」

何言ってんだこのポケモン。うーん、このような状態ではちょっと僕の姉ちゃんというには物証がないから信用する訳にもいかないしな。神隠し?祟り?それとも何かしらの呪い???僕も記者の端くれだけどそんな話聞いた事も見た事も無いな・・・あれ程有名なキュウコンの祟りやユンゲラーの元人間説もただの迷信で科学的根拠がないってこの前何かの記者発表で証明されてしまったしな。

ボー『・・・シンゴ・・・でもこいつからは他のポケモンにありがちな匂いがしない気がする・・・そういう事も考えたらもしかしてこいつの言う事ももしかしたらあり得るんじゃないか・・・??信じたくも無いが。』

『さっすがボーマンダ!シンゴのポケモン!性格悪い割には良い事言うねー!!!」

ボー『・・・やっぱり前言撤回。こいつ典型的な性格最悪なポケモンだわ、初対面でこんな呼び捨てと他のポケモンを悪く言うなんてろくでもない奴だね。もうここに置いて帰ろう。』

『ちょちょちょちょちょ待って!!わかったから!私が悪かったから!お願いだからこんな大海原の中にある孤島に置いてかないで!!一緒に行かせて!!」

ボーマンダがそう言うならそういう事なんでしょう・・・それにこの性格の悪さと言い、悪びれた感じもなくそんな言動する様子を見てもやっぱり姉ちゃんなのかなぁ・・・知らんけど。まだ子供だからって言うのもありそうけど、姉ちゃんも似たような感じだったしなぁ知らんけど。でも怖いしなんかモヤモヤが取れないな・・・どうしようか・・・確かにここにこのまま放っておく訳にもいかないだろうし、何かしらの団体が滅茶苦茶怒ってきそうで面倒な事になりそうな予感もするし。しゃーない、暫くは僕の家に置いておいてあげる事にしますか??これから話をどうやりくりしていくかは分からないけどやっていきますか。

「取り合えず今の僕達は君を信用したわけじゃないからね??でもここに置いていくと言う訳にもいかないからひとまず僕の家に連れて帰る事にするよ?でも変な事したらすぐに海に落とすからね?」

『ムー・・・この弟は・・・。でもひとまずこれでカナズミまでは帰れそう・・・。」

僕はフォッコを取り合えず家に連れて帰った。ボールにはなんか入れるのが凄く気が引けたから入れずにそのままボーマンダの背中に固定して・・・んで、連れて帰ったら連れて帰ったで留守番中だった他のポケモン達が色々と取り乱した事になってしまってこれまたてんやわんやだったのはここだけの話ではある・・・。







それから早くも5年が過ぎた。あの時フォッコという小さなポケモンだった自称姉も、マフォクシーなんていう大きななんか魔法使いみたいな容姿のポケモンになって・・・相変わらず姉ちゃんが見つかったという連絡は警察から来てないからやっぱりこのポケモンが姉ちゃんなのかなぁ・・・と思ったりもしてる。人間がポケモンになるなんて今でも信じては無いけど、どうもなんかあれだなぁという感じであのねぇ・・・。あの後、その祠の事について色々な人や文献を探ってみたけど有力な情報は出てこず、マフォクシーがフォッコの時代に言ってたあの祠を倒して呪いでポケモンになるなんて事は一切立証できなかった。やっぱり姉ちゃんではないんじゃないのかなぁ・・・でもなんで僕の名前を知ってて僕達が帰ろうとしていた町の名前も知っていたのか・・・そういう所ももうちょっと調べてみる必要がありそうだ。

「ってか思ったのが、もう進化しちゃったから人間の姿に戻れないとかじゃないの???まっ、この話は今しなくても良いか。さーてと仕事しますかねぇ・・・結構色々と仕事溜まっちゃってる中でシーキンセツ並びにニューキンセツがらみの事件なんかに手出しちゃったからそれの記事も一応書いておかなければ・・・。」

進化したらもう人間の姿には戻れないという話は何処かのサイキッカーから取材ついでに聞いた話。でも信憑性が無かったから特に気にも留めてなかったけど、どうもその通りらしくて。結果、自称姉ちゃんは人間の姿にはもう二度と戻れなくなりましたとさ(半分面倒になりながら)めでたしめでたし。

ボー『まだ終わらないぞ???』

「ですよねー。」
先入観というものは恐ろしいもので(意味深)

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