アルセウスの支配

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

ルカリオ達が住んでいる村は、『カルダ』という親を無くした人(ポケモン)を世話をしている施設であり、村でもある。

ルカリオやバシャーモもその親の無くした子供であった。――アルセウスの攻撃で。跡形も無く。

「くそっ!いつになったらアルセウスの奴を倒せるんだ?まだまだ力不足か…?」

今から10年前、アルセウスは数々の町や村を力で支配していた。当然反対する人も数多くいた。
そして、ルカリオの家族が住んでいた『ラント』という村に、アルセウス率いる
『神の支配者』と呼ばれる者達がきた。
それが悪夢の始まりだった。




「これより我ら、『神の支配者』がラントを支配する。反抗する愚か者には裁きを下す。潔く降伏しろ」

感情が無いかのような、冷たい言葉でアルセウスは村人に話す。

「ふざけるなー!」
「そんな命令だれが聞くかよ!」

と村の人達が叫ぶ中、ルカリオの家族は、

「この村は恐らくアルセウス達に支配される。奴隷になるくらいなら私達も抵抗するまで!」

母はそう話すと、ルカリオとその兄、ガイラルに逃げるように指示する。

ルカリオは「そんなの嫌だ! 二人とも殺されちゃうよ!」そう言って逃げようとしない。

ガイラルは「さすがに俺も反対だ。殺されに行くのを黙って見られるか!」

そう言って剣を持ち、ガイラルも戦いに行こうとすると、呟(つぶや)くように冷たい声でアルセウスがこう言った。




「裁きの礫」




アルセウスの周りにある石板を上に打ち上げ、上空から白い光がラントに降り注ぐ―――――


あたりは全て焼け焦げ、生き残ったのはガイラルとルカリオだけであった。
その後、ガイラルはカルダにルカリオを置いて、何処かに行ってしまった。
ルカリオが使っている剣は、父の愛用していた『オーラブレード』という剣をガイラルがカルダに置いていったもので、ルカリオの家族に代々使われていた名剣である。

「…ここにいても強くはなれない。実質、戦えるのはバシャーモだけだし、モタモタしてたらアルセウスがまた村を支配するかもしれない…」

そういう気持ちが、ルカリオを焦らせていた。

「いっそこの村から出ていって、旅に出るか…?いや、でも今の俺だけの力じゃ、アルセウスは倒せない。ああ、くそ!情けないな…」

ルカリオは、自分の不甲斐なさを嘆いていた。
そこへバシャーモが歩いて来て、体の疲れより精神的に疲れていたルカリオを見て直ぐに、こう言った。

「お前、旅に出たいんだろ?アルセウスを倒す、いや、敵討ちの為に。」

「っ!」

バシャーモの勘は凄まじく当たる。ルカリオは動揺を隠せなかった。

「…ああ、そうだよ」

嘘はつけないと確信したので、諦め気味にルカリオは言った。

「ダーテングに話すのか?」

とルカリオは言った。
バシャーモは

「なら、俺も行くよ。」

ルカリオは確実にダーテングに報告すると思っていたので、驚きの返答に焦った。

「お前…。本当に良いのか?」

「ああ、まあな。早速、逃げるルートを考えようぜ」




ルカリオとバシャーモはある考えを思いついた。 『誰にも気づかれないように村から出る』という考えであった。至極容易な考えだが、丁度今は朝、起きているのはダーテングくらいだった。

「…行くか?」

バシャーモはルカリオに聞く。
ルカリオは迷わず、

「行こう、強くなるために!」


こうしてルカリオ達は村を気づかれないように出て、草原にたどり着いた。

ルカリオ達の冒険の始まりだった…。





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