第7話 お魚の捕まえ方

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 先ほどまで見えていた星達は闇へと消え、ほんのりと赤い朝日が見え始めた頃、僕とサルサはクロエ村付近を流れる小さな小川へと辿り着いた。
 川辺には様々な植物が生え揃い、水に流されて間もないのか、大きめの角張った岩石が無数に転がっている。
 見たところあまり深くは無く、流れも緩やかに思える。
 川幅は4mくらいで、助走をつければジャンプすれば余裕で飛び越えられそうだ。
 「んじゃさっさと食えそうなの捕まえるぞ。とりあえず、今から俺が手本を見せてやるから、よく見てな」
 隣から川を隅々まで見つめていたサルサは、ゆっくりと波を立て無いように、川の中へと入って行く。
 まだ日が上ってすぐのため、水はかなり冷たいと思うのだが全く気にしている感じはない。
 いや、気にすると言うより慣れてると言った方が正しいのかもしれない。
 動きに迷いがなく、完全に風景に溶け込んでいる。
 魚が隠れていそうな流木の溜り場に着くと、その場で動くのを止めてじっと水面に目を凝らし魚を探す。
 静寂。
 鳥ポケモン達の鳴き声や、水が流れる心地よい音ばかりが耳へと届けられる。
 ──が、突然その静寂は勢いよく水に突っ込んだ様な音によって邪魔された。
 「ほら、とれたぜ!」
 水の中から素早く持ち上げ、僕に見えるよう上に掲げる前足には、大きな魚が挟まっていた。
 普通なら跳ね回って逃げようと抵抗しそうなものなのだが、電磁波でも当てて麻痺させているのか大人しくサルサの前足に捕まっている。
 「おぉー、凄い大きな魚だね。・・・・・・と言うかどうやって捕まえたのか全然分からなかったんだけど・・・・・・、これ僕もやるの・・・・・・?」
 「当たり前だろ?コツは魚が驚かないように息を潜め、寄ってきた魚に素早く触れて麻痺させるくらいかな。あっ因みに、魚と間違えて水ポケモンに触れると襲われる事もあるから注意な」
 なんか最後に水ポケモンに襲われるとか、不穏な言葉が聞こえた気がする。
 水中を踊るように優雅に泳ぐ魚達を見ると、サルサの凄さがよく分かる。
 まだ川に入ってもいないというのに、危険を察知してか僕の回りには一匹たりとも魚がいないし、技の使い方も電気の操り方も分からない時点で捕まえても麻痺させられない。
 「ねぇサルサ、お土産なんだしそんなに沢山捕まえる必要無いんじゃない?さっき捕まえた魚が麻痺から治らないうちに、早くサハラさんの家に行こうよ」
 サルサが捕まえ、まだ痺れて動けない魚を指差し全力で説得に取りかかる。
 「確かに魚ばっかり持ってっても何か言われそうだな・・・・・・。よし、じゃあ魚の鮮度が落ちない内にとっとと行くか!」
 そうして魚の鷲掴みに抵抗した末、僕とサルサはクロエ村へと向かったのだった。




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