Abufessional~うちの子流儀~

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作者:TaKa
読了時間目安:6分
TaKaのもふ欲  全開ッ!!
僕には帰る家がある。あったかい我が家が待っている。
かーえりたーい♪かーえりたーい♪
あったかハウスが待っている~♪


サラリーマンな僕は仕事が終わって家に帰る。マンションの502号室が僕の家だ。7時半に仕事が終わり、上司に「今日は飲みに行かないか?」と誘われるがきっぱりと断る。僕の定時は7時半までだ。それより遅くなるなんて認めない。僕には帰る家があるからだ。
電車に揺られ、8時過ぎに家に帰ってくる。「ただいまー」と家のドアを開けると。

「きゃわ~ん!」
おかえりー!帰ってくるのまってたよー!とでも言うように飼っているメスのアブソルが全力ダッシュで僕の胸元に飛びついてくる。



挿絵画像






これが幸せなんだ。
この幸せが分かるか?
分かります分かります。よくわかります。
異論は認めない。
本当に幸せである。

2月の夜は寒い。セーターやコート。マフラーに手袋という超防寒対策をしていたとしても寒い。息は当たり前のように白くなる。あぁ、寒い。早く春になってほしい。僕の切実な思いである。

静電気でビリッとしそうな家のドアノブを開けるとアブソルが飛びついてくる。ほのかな体温とアブソルちゃんの胸元にある最強の“もふもふ”が僕の体も心も温かくしてくれる。その温かいアブソルちゃんをキュッと抱きしめる。仕事の疲れが一瞬で吹き飛んでしまうではないか。これが最高に幸せ♡
そして家の中も温かい!
なんと!いつも帰ってくる時間の少し前にアブソルが暖房のスイッチをつけてくれるのだ!

うちのアブソルはいいぞ。
うちのアブソルは賢いぞ。
うちのアブソルは可愛いぞ。



家に帰って、“もふもふ”を十分に堪能して散歩に出かける。うちの可愛い子を運動させずにずっと家にいさせるのは最低な行為である。動きやすいスポーツウェアに速攻で着替えて毎日必ず散歩に行くのが僕の流儀だ。

8時半という暗い夜道でさらに道路の交通量が多くて危険な時間帯だが大丈夫。街灯が明るいアーケード商店街が僕たちの散歩ルートだ。アーチ状の屋根があるから雨が降った時でも気にせず散歩できる。9時に閉店する食料品店にダッシュで駆け込み、晩御飯の具材を買う。「あら、いらっしゃい!アブソルちゃん今日も可愛いねぇ~!今日は何買うの?」と店のおばちゃんが話しかけてくれる。よくこの店に行く常連なので顔も覚えてもらっている。いつも可愛らしいうちの子をなでなでして褒めてくれる。アブソルは元気に尻尾を振って「きゃん♡」と嬉しそうにする。それを見ている飼い主の僕もうれしくなる。


9時半前に家に帰ってご飯を食べ、風呂に入る。体を洗ってシャワーを流してあげるとアブソルは思い切り体を振って水を切る姿が可愛い。この瞬間、アブソルちゃんは変顔をするのだ。目をきゅっとつぶって口が変になる。これが可愛くてしょうがない。もう一度だけ変顔が見たく、いたずら心で再びシャワーを浴びせると…すごい怒る。でも、ぷんすかしてるアブソルちゃんがこれまた可愛いのだ。
しかし、この可愛さに欠点がある。うちの子は意地っ張りなのだ。いたずらして怒らせてしまったら、そっぽを向いて言うことを全く聞いてくれない。だから極力、いたずらはしないようにしているが、ついついやってしまう。可愛いから。てへっ☆
ぷん!と怒っているアブソルちゃんが最高に可愛い。しかしそのあとは拗ねて全く言うことを聞かないので僕は「いたずらするべきじゃなかった!」と猛烈に後悔する。

うちの子は派手なスキンシップが嫌いだ。抱きしめて、もふもふしすぎて顔面を引っかかれたことが何度もある。くそぉ~。そして、うちの子は拗ねてから治るのに数日かかる。早い日で2日。遅い日じゃ一週間も口をきいてくれなかった。そして仕事の疲れがたまってしまう。そして僕は「くっそぉ~」と後悔をするのだった。


ある日、仕事で大事な会議があり、帰りが10時半になってしまった。終電には余裕で間に合うが家に着いた時には11時になってしまった。ふらつくようにマンションの階段をの場って家のドアを開け、僕は玄関で倒れこんでしまった。疲れた。体が動かない。するとうちの子はびっくりした顔で僕のそばに駆け寄り、僕のスーツの首の後ろ部分を噛んで寝室のベットのそばまで運んでくれた。しかし、僕は気を失っているかのように仰向けでベットのそばの床で寝落ちしてしまった。

深夜1時。目が覚めたらアブソルが僕の胸の上で包まってスヤスヤと眠っていた。足元が冷えないように毛布を掛けてくれたようだ。うちの子は意地っ張りで拗ねやすいけど優しい。僕は子の子を飼って本当に幸せだ。
「ありがとうね。」
と僕が彼女の頭を撫でた時、アブソルが目を覚ましてしまった。
しまった。起こしちゃってごめんね。
でもアブソルは「きにしなくていいのよ」と首を振る。

可愛い。

「あっ、散歩行ってないや今日。それとお腹空いてるでしょ?ご飯用意するから待っ…」
アブソルは首を横に振る。

無理しなくていいんだよと言っているのか。本当はお腹空いてるだろうに。ごめんよ。

そう思った矢先、アブソルは僕の頬をぺろぺろとなめる。
くすぐったいが幸せだ。

「今日は一緒に寝ようか。」
僕が言うとアブソルはにっこりと笑顔で頷いた。

翌朝になって体調はすっかり元気になった。昨日の疲れが嘘のように消えている。これも彼女の力なのだろう。

僕は幸せ者だ。

さて、今日も頑張りますか。
僕はスーツのネクタイをキツめに結んだ。

「それじゃぁいってきまーす!」
「きゃわん!」

僕は彼女の頭をなでで家のドアを開ける。日差しが眩しく、とても寒い。でも僕は今日も頑張る。

僕には帰る家があるから。
す ば ら し い 世 界
優 し い 世 界
可愛いぞ、アブソル。
うちの子をもっと推してくれ。オナシャス!なんでもしますから!

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