いざないの灯

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作者:雪椿

あらすじ

風の悪戯で「それ」を実行しそうになった時、紫の灯が僕を助けてくれたんだ。

本文冒頭

 少し冷えた風が僕の頬を撫でる。風によって目にかかってしまった前髪をずらすと、僕はじっとその光景を見つめた。まばらに建ったビルにはいくつもの明かりが灯っており、その中で多くの人が働いていることが伺える。
 ビルはこの夜空の色を反射して一見すると何もないように見えるが、その明かりがそこにビルがあることを示していた。その明かりの上には無数の星々が瞬いており、うっすらと夜色の建物達を照らしている。
 都会なら街の明かりに負けて、星なんてものは見えないだろう。これは都会に近い田舎、と称されるようなここだからこそ見られる光景、と言っても過言ではない気がする。ビルがある時点で僕

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