第16話 不思議な卵?

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~サキのトーク~
(作者)皆様!ご無沙汰しております!(サキ)更新が遅くなり申し訳ありません!(カエデ)なかなか更新する時間とネタがなくなってしまい、大変遅くなりました。作者!しっかりしろ!!!




「それじゃあ、行ってくるよ。」

「気を付けなさいね。」

カエデのお母さんとも和解し、私たちはカエデの家を後にする。

「ねえ!ちょっと待って!」

振り返るとサクラが手を振っていた。

「私も、一緒に旅しちゃダメかな?」

「サクラ、お前、母さんに了承貰ったのか?」

「もちろん!」

「じゃあ、サクラ!一緒に行こう!」

「やった!」

サクラは薄いピンク色のTシャツにジーパン、腰に灰色の上着を巻いていて、水色の帽子を被っていて、旅らしい格好だった。

「準備は大丈夫ですか?」

「うん。準備してきたよ。」

背中に背負っているピンク色のリュックが可愛らしい。

「それじゃあ改めて!出発!」

「「「おー!」」」

私たちは次のジムがある町、フエンタウンに向かって歩き出した。

「フエンタウンに行くには一回キンセツシティを通らないといけないんだ。」

「意外と遠回りね。」

「カエデ、フエンタウンってどこにあるの?」

「んー。少し遠いかな。」

「フエンタイプのジムリーダー、ヒノさんは燃えるような情熱を心に秘めていて、とてもお強い方なのです。」

「覚悟が必要そうだね。」

「サキとカエデって今までバッジ何個集めたの?」

「3つだよ。」

「じゃあキンセツジムまでって事?」

「そう。」

「私も1回ヒノさんと戦ったことあるけどすっごい強かったよ。」

「えー。そんな強いの?」

「ていうかサクラ、いつヒノさん?と戦ったんだ?」

「2年前のトレーナースクールでの大会だよ。カエデは確か休んでたのかな?」

「んー。よく覚えてないなぁ。」

私たちが117番道路の終わりに差し掛かった時、とある老人に声をかけられた。

「お嬢さんたち。」

「?は、はい。」

「少し、話を聞いてくれんかね?」

「あ、はい。何でしょうか?」

「わしは最近までここで育てやを経営しとったが、経営が難しくなってな、それで育て屋はやめたんだが、どうもこの卵の持ち主が見当たらないんだ。そこでお前さんたちにこの卵を預けたいんだが・・・。」

老人が差し出したのはポケモンの卵だった。

「私たち、ですか?」

「これは何の卵なんですか?」

「それがわしにもわからなくてな・・・。」

「・・・。いいですよ。」

私ははっきりと答える。

「さ、サキ、この卵がなんのポケモンかわからないんだぞ。」

「でもいいよ。おじいさん、その卵私が育てます。」

「おお!ありがとうございます。それではお渡しします。」

手渡された卵はほんのり温かく、ずっしりとしていた。

「う、うわ、重い・・・。」

「命の重みですね。」

「ありがとうござい・・・。」

老人にお礼を言おうと前を向くと、すでに老人はいなかった。

「?!」

「おじいさんは?!」

「・・・・。」

私たちは混乱して気が付けば走っていた。







「ど、どういう事だ?!」

「さ、さあ。でももうここまでくれば大丈夫でしょ。」

「あっ!卵!」

しっかり抱えていた卵はヒビも入らずなにも起きていなかった。

育て屋から逃げるようにして走ってきた私たちは、111番道路に来ていた。

「フエンタウンに行く道はこっちでいいのね?」

「うん。合ってる。」

「だけど・・・。」

「?サクラ、どうしたの?」

「いや、この先にね・・。」

「よし!気にせずいこう!」

「あ、サキさん、待ってください!」

「え?なん・・・。痛っ!」

よそ見をしていた私の前には大きな壁、いや、大きな石が置いてあった。

「な、なんだこれっ?!」

「111番道路を通るにはこの石をどかさないといけないんですよ。」

「厄介だよな。」

「この岩・・・。誰か、岩砕きを覚えているポケモンいない?」

「岩砕き?」

「ええ。こういう岩を砕く技。」

「僕はない。」

「私もありません。」

「サキは?」

「た、たぶんない。」

「困ったわね・・・。」

「お、サキさんにカエデさん!」

振り返るとコウヤさんが立っていた。

「コウヤさん!」

「コウヤさん、どうかされたですか?」

「ん?いや、僕もこの先に用があるからこっちに来たけど。もしかしてこの岩が邪魔で通れないのかな?」

「そうなんです。」

「そういう事なら僕に任せて。ちょっと待っててね。」

コウヤさんはクルっと戻り、シティ内に入っていく。

しばらくしてコウヤさんはコウタ君を連れてやってきた。

「なに?お兄ちゃん。」

「この岩が邪魔だからどかしてくれない?」

「あー。分かった。ポチエナ。岩砕き!」

ボールから出てきたポチエナが岩に向かって激突する。

すると岩はパカーンと割れ、通れるようになった。

「わ!ありがとう!」

「そうだ、サキさんたちにこれあげる。」

コウタ君はポケットから円盤のものを取り出した。

「あ、それ技マシン?」

「そうだよ。技マシン、岩砕き。はいどうぞ。」

私は手がふさがっているから代わりにカエデが受け取った。

「じゃーねー。」

コウタ君は踵を返して走っていった。

「じゃ、行こうか。僕もこっちに用があるから少しついていってもいいかい?」

「いいですよ。」

「あれ、その卵、どこで貰ったんだい?」

「キンセツシティ近くの育て屋さんのご主人さんみたいな人です。」

「あれ?あそこのご主人はもう3年前には亡くなっているはずだけど?」

「「「「・・・・・・・」」」」

しばらくの沈黙の後、悲鳴が上がった。

「「「「ぎゃーーーーーー!!!!!!!」」」」

「じゃ、じゃああれは・・・。」

「幽霊?!」

「ちょ、みんなどうしたんだ?」

「え、じゃあこの卵はなに?」

コウヤさんだけ話に付いていけていない。

しかし、私たちの事などお構いなしに卵は少しだけ揺れていた。


「・・・・。つまり、その卵は3年前に亡くなっているはずのご主人からもらったってことだね。」

「は、はい。」

私達の震えは止まらない。

「不思議な、卵だね・・・。」

「こ、この卵はじゃあ?」

「外見は普通の卵なんだよな・・・。重さもありそうだし・・・。揺れているよね?」

「はい。さっき少し揺れていました。」

「それじゃあその卵は正真正銘の普通の卵だよ。」

「よかった・・。」

「ただ、何が生まれて来るかは分かんないけど。」

コウヤさんは頭をポリポリとかく。

「何が生まれるのでしょうね!」

「んー?何だろう?」

「楽しみだな。」

本物の卵だとわかり少しほっとしていると頭上から声が聞こえてきた。

「その卵、渡してもらおうか。」

「!この声!サタン団の頭領だな!?」

「だ、誰?」

「サタン団。私たちを狙っている。」

「はは。笑わせちまうぜ。俺達はお前たちを狙っているんじゃあない。お前たちのポケモンを狙っているのさ。さあ、その卵を渡してもらおうか。」

「いやよ。渡さない。これは大事なポケモンの卵だから!あんた達なんかには渡さないわ!」

「へっ。冗談もここまでにしとけよ?野郎ども!」

頭領のクロナガが叫ぶと後ろからずらずらと下っ端たちが出てきた。

「あの卵を奪え―!」

「させないわ!ハガネール、ゴローニャ、ガチゴラス!」

「カイリキー、ルチャブル、エビワラー。ウォーグル!出て来てください!」

「カポエラー、オオスバメ、キルリア!頼んだぞ!」

「レアコイル、ジバコイル、ビリリダマ!みんなと応戦だ!」

「サキ、逃げるんだ!」

「分かったわ。」

私はサタン団の間をすり抜けて走っていく。

それに気が付いた頭領が私を追ってくる。

「まて、貴様!」

「はっ、はっ、やーだよ!ここまでおいで―!」

私は急いで小さなスペースに隠れる。そこは子供1人がやっとのスペースだ。

「ちっ。」

頭領は歩き出す。

しばらく息をひそめて、頭領が近くからいなくなったことを確認して外に出る。

「へ、引っかかったな。」

「!」

気配は感じなかったが、近くには頭領はまだいた。

頭領はゆっくり私に近づいてくる。

「っ!」

「嬢ちゃん。こういうのはどうだ?」

「な、なに。」

私は後ろに下がりながら頭領との間を保つ。

しかし、後ろは行き止まりだった。

「俺とお前でポケモンバトルをする。お前が勝てば今回は俺は引き下がる。だが、俺が勝てばその卵は貰う。どうだ?」

後ろには壁があり、もう逃げられない。しかし頭領は近づいてくる。

やがてお互いの距離が1m切った。

「さあどうする。お前はもう逃げられないぜ?」

「・・・・・・。わかった。」

頭領はニヤリと笑うと後ろに下がる。

「使用ポケモンは?」

「そうだな・・・。1体にしようか。」

「分かったわ。」

「でてこい!ヤミラミ!」

「今回はクチート、出番だよ!」

「それじゃあ行くぜ!ヤミラミ、穴を掘る!」

「クチート、注意して。ヤミラミが出てきたらそこにアイアンヘッド!」

クチートは辺りを見渡す。ヤミラミがクチートの真下に出てくる。クチートは見逃すことなくアイアンヘッドを繰り出す。

「クチート、ヤミラミをあごで捕まえて!」

「逃げろ、ヤミラミ、パワージェム!」

捕まえることに集中していたクチートはもろに攻撃を受けてしまった。

「クチート!」

「今だ!ヤミラミ、シャドーボール!」

「危ない!」

クチートは吹っ飛ぶ。

「クチート!」

クチートは倒れたまま動かない。

「そ、そんな・・・。」

「決着着いたな?」

「っ!!」

卵をぎゅっと抱きしめると卵が揺れ始めた。そして激しく卵はゆれるとピキ、ピキとひびが入り、眩しい光を放つ。思わず目を閉じてしまう。

目を開けると腕には白くモフモフとしたポケモンが座っていた。

「え、これは?」

急いでポケモン図鑑をかざすと

<イーブイ>

と映し出された。

<イーブイ>  
いま げんざいの ちょうさではなんと 8しゅるいもの ポケモンへしんかする かのうせいを もつ。

「イーブイって白かったっけ?」

「ほう。そのイーブイ色違いか。しかし生まれたなら仕方ない。・・・・。大事に育ててやれ。」

頭領はスタスタと歩いて行ってしまう。

「!クチート!」

私はクチートのもとに駆け寄る。

「ク、クトォ・・・。」

「ありがとう。ボロボロになったのに・・・。」

クチートをボールに戻し、イーブイを改めて見つめる。

「色違いか。」

「サキ!」

「サキさん!」

「サキ!」

遠くで戦っていたカエデたちが駆け寄ってくる。

「み、みんな・・・。」

「大丈夫か!」

「大丈夫よ。」

「あれ、そのイーブイもしかして?」  

「うん。さっき生まれたんだよ。」

「可愛いですね。それに色違い?」

「みたい。」

「頭領は?」

「なんかイーブイが生まれたら逃げた。」

「ふうん。」

「みんなー!お待たせ!」

「コウヤさん!」

「さっき、サタン団が逃げていったけど・・・。」

「あ、はい。大丈夫みたいです。」

「サキちゃん、ケガしてない?」

「はい。」

「サタン団は、生まれる前の卵がほしかったって事かしら。」

「そう、みたいだね。」

イーブイはキョトンとしたまま私を見つめていた。





とある事情により、ジムリーダーをの名前を変更しました。

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