第32話 のらりくらり? 戦いに行く!?

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 ゴールドはニョロモ、ウソッキーの二体を新たに仲間に加えて現在、マグマラシ、エイパム、ヒマナッツ、ポケモンのタマゴで全部で六体のパーティ。
 マイはというと、ミニリュウ、ピカチュウ、エーフィ、ロコンの四体で可愛らしいパーティ。
 追いかけているコウは、サナギラス、ブラッキー、そして見たことのない飛行タイプのポケモンだが、きっとまだ持っているに違いないとマイは読んでいる。
 会ったばかりのアヤノはギャラドスを持っていたが、ベルトに付けているボールからいくとまだ持っていると思われる。

「うーん。わたしもポケモンゲットした方がいいのかなぁ」
「どうだろうな。俺が言うのもなんだが数打ちゃ当たるじゃないからなぁ。マイはマイでじっくりゆっくり育てていった方が合ってるかもな」

 悩むマイに頭を荒く撫でてやって、だからそんなに深刻そうな顔するな、と慰めてやる。その行為になんだか嬉しくて恥ずかしくて唇をきゅっと噛みしめた。
 ウソッキーを捕獲してからのんびり歩いているとエンジュシティのシンボルである塔が目に入ってきた。

「あれは何て名前の塔?」
「確か鈴の塔だ。もう一つあるんだけど昔焼けちまって今では焼けた塔なんて呼ばれてるぜ」
「そうなんだぁ。じゃあホントの名前はなんていうの?」

 ゴールドは眉を寄せて目をつむり考える、少しすると目を開き、手を叩いてマイに教えてくれた。

「鐘の塔!」
「カネの塔? なんだか変な名前だね」
「そうか? って、金じゃなくて鐘。ゴーンって鳴らすやつの鐘」

 なるほど、手をゴールドと同じように叩き理解するマイ。似た物同士だ。

「どっちも見てみたいかもー」
「いいぜ、俺も詳しくは知らねえんだ。興味あるな、焼けた塔」

 エンジュシティはコガネシティと同じくらいに観光客でいっぱいだ。
 コガネシティはワイワイガヤガヤと賑わっているが、こちらは反しておしとやかなのらりくらりな時間が過ぎている。

「わー、キレイな着物」
「舞妓さんって言うんだ。お、そうだ! 舞妓さんとポケモンバトルができる所もあったな」

 ポケモンバトルと聞いて黙っていられないマイは、塔よりも優先で舞妓さんとバトルをしたいと言い出した。
 こんなにもバトルが好きになるとはゴールドもマイ本人も思ってもみなかっただろう。それだけマイはワカバタウンで制限をされていたという事だ。

「わーってる。じゃ、早速行こうぜ。俺もこいつらの経験積んでおきたいしな」
「じゃっレッツゴー!」
「おー」

 マイが意気揚々に声を上げ、ゴールドも珍しくマイと同じくらいに意気込んでいた。負けていられないという感じか。

「あった! ここだ、歌舞練場。入ろうぜ」
「う、うん!」
「なんだなんだ、緊張してんのか?」
「えへへ、ちょっとね」

 ゴールドがポケギアで調べた歌舞練場に着くと、先程のトキメキに溢れていた表情から一転して、緊張感の漂う顔つきに変わっていたマイの緊張を解こうとしてやるゴールド。

「大丈夫さ、俺がいる」
「うん! だいじょうぶだね!」
「ま、根拠はねーけどな! はっはっはっ!」

 そんなこと言わないでよぅ、と困ったような笑顔が出来る。緊張はなくなった。後は信じるポケモンと戦うのみ。

「たーのもー!」
「え。ゴールド? なにそれ」
「お前がいつも言ってるやつ」

 そうだっけ? と首を傾げるマイ。もしかして気付いていないのか。それとも案外恥ずかしいと気付いたのかもしれない。
 どちらにせよマイにそんなことを言われて納得いかない様子で見ていたら声を掛けられた。

「あらあらあら、お元気なこと」

 扉を開ければ待ち構えていたかのように、黄色の着物をきた舞妓さんが。口元を手で隠しお上品に振舞っている。

「お客様、見学ですか?」
「挑戦だ」
「あらあら。ふふふ、ごめんなさい。貴方のような子供がさっき来たのでデジャブかと」
「全身真っ黒な男の子!?」

 色気のある動きで顎を下に動かす。コウだと思われる子供が挑戦しにここを訪れ、全ての舞妓さんを倒して出て行ったと話してくれた。

「コウちゃん、やっぱりすごいや。わたしも負けてられない!」
「俺も同じだ! なあ、さっさと通してくれよ!」

 グイグイと遠慮なしに迫る二人に汗を垂らして引き止める舞妓さんは、二人いるなら片方ずつです、そう説明してくれた。

「ならば私から、行きなはれ。イーブイ」
「イーブイ! よし、まずは俺のウーたろうだ! 行け! ウーたろう!」

 扉を開ければ大広間。ジムと同じ構造の歌舞練場でのバトルがはじまる。
 ノーマルタイプのイーブイにたいしてゴールドはゲットしたばかりのウソッキー。さっそくニックネームを付けて愛着が湧いているようだ。

「ウーたろう、けたぐりだ!」
「イーブイ、スピードスター!」

 ほぼ同時に技を出したが、イーブイの方が明らかにスピードは早い。駆け出したイーブイが動きの遅いウソッキーに真正面からぶつけようと近寄ってくる。

「遅いですわね、ほら攻撃が受けてしまいますよ? 避けろと指示をしませんこと?」
「避ける必要はねえ。近寄る必要もねえ。今だウーたろう!」

 イーブイがウソッキーまで駆け寄り首を大きく振り被る、これはスピードスターの前兆だ。
 だが、その首が元の位置に戻ることはなく……。

「な、なんですって! 足があんなに伸びるなんて!」
「分かっただろ! 俺のウーたろうは近寄る必要はねえ!」

 木の根っこのような足が伸びて間近でイーブイに当たる。ノーマルタイプは格闘技を最も苦手とする、イーブイは目を回していた。

「す、すごい! わたしだったら慌てちゃうよ」
「まーな! ウーたろうサンキュな! 戻って休んでくれ」

 ボールにウソッキーを戻すとジムのステージから立ち去るゴールド、マイにハイタッチを交わし次いでマイがステージに上がる。

「ほほほ、今度はワタクシがお相手しますわ」

 続いて出てきたのは青色の着物を着た舞妓さん。マイはどのポケモンで戦うのか?

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