第14話 こがね色会議

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そろそろ更新ペース上げます。
「第28回、こがね色会議を始めたいと思います。今回の議題はゆみお姉ちゃんがバクフーンに進化したと言うことについて。毎回恒例のルギア、屋根破壊に伴う瓦礫等による損壊罪では無いので悪しからず」
夕食が始まるとともに唐突に開かれたチャムちゃん進行の議会。なんでコモさん宅にいるかと言うとレンが私をコモさんの部屋に置いて出勤していってしまい、私はそのまま夕食を頂いているからである。
つか、なに? ルギアはそんなに屋根壊してるわけ? それで27回もこの議会やってたの? うわぁ~、金かかってるなぁ……。
「ほれでははにかはる人?」
チャムちゃんは里芋の煮物を口一杯に頬張りながら片手を上げた。
あ~チャムちゃんは可愛いなぁ……。
しかし、コモさんにちゃんと飲み込んでからしゃべりなさいと優しく諭される。慌ててモゴモゴと口を動かすと口の中の物を飲み込んで私を見ながら爛々と目を輝かせる。
これは乗らないと後でぐずるかな?
そう思った私は短い手を天高く突き上げた。それと共に体が曲がる。どうやら骨格上、手だけを上に持ち上げることはできないようだ。いつもと同じ行動ができそうでできないこのもどかしさ……わかるかぁ?
「はい!」
手を挙げながら体を曲げた私を見て、少しチャムちゃんの動作が静止し、何かを思い出したかのように
「どうぞ、ゆみお姉ちゃん」
と言った。あの小さな頭では(←オイッ!)私の姿と今のバクフーンの姿が重ならなかったのかもしれない。
「私はただ寝ていただけです! 変なものは食べていません!」
そう言うとチャムちゃんはふむと顎に手を添えて考え込んだ。しかし、その状況をコモさんはよく思っていないようで私に目配せで悪乗りはやめなさいと制す。
むむむ…、いったいどっちの肩を持てばいいのか。
「チャム、早く食べちゃいなさい。そのあとでもできるでしょ?」
「え~…今したいのにぃ~」
「ほら、ご飯食べてからでもゆみお姉ちゃんは逃げたりしないわよ。今したいなら、早く食べちゃいなさい」
言われるがまま、チャムちゃんはご飯を掻き込むとサンマをバリバリと骨ごと口に放り込み私の手を引いて自室に駆け上ろうとする。
「早く、お姉ちゃん早く!」
「ま、待って、サンマの骨が…」
「もう、バクフーンのくせに細かいんだから!」
いやいや私はバクフーンではないですよ(笑)と思ったが今はバクフーンなので言わなかった。
「早く、早く、早く!」
「あわわ、ま、待って、もう少し待って」
「ほら、早く!」
「あ~、私のサンマ~!」
ずるずるとチャムちゃんに引きずられる私。なんとも滑稽な様であろう。
あれ、でも今の私はバクフーンだから引っ張られてるのはバクフーンで引っ張ってるのはチャムちゃんで……ふふ、ちょっと萌えるかも。
「では、改めまして……おほん。第28回こがね色会議を再開したいと思います!」
「ぉ~……」
私はサンマが食べられなくて少しげんなり。その分、声も小さくなる。
「ではなぜ、ゆみお姉ちゃんはバクフーンになったのか? 一晩中疑問をぶつけてみたいと思います! 現場のゆみお姉ちゃん?」
「え、一晩中やるの?」
チャムちゃんに素朴な疑問をぶつけてみるとなんとも純粋に輝く瞳でそだよ?と一言。
おぅふ、こりゃ私に睡眠を採らせない気だな?
私は睡眠をエネルギーとして生きていると言っても過言ではないのだ。徹夜は避けたい。お肌にも悪いって言うし。バクフーンだけど。そもそもバクフーンに肌荒れとかあるのか?……まぁ、でも私は寝たい。
こうなったらあれしかない。あれをやるしかない。伝家の宝刀、秘技、子供あやし!
「くらえ、くすぐり攻撃~こちょこちょこちょこちょ~!」
「あははは! で、でたな、ヒァ、くすぐり怪人、うふふ、その手を、アハハッや、やめてよぉ~」
「くすぐり怪人だ、ガォー!」
「いやぁ~!」
あぁ~、可愛さ大爆発。ついでに私の親バカ大爆発。あ~、可愛すぎる。ギザカワユス。
なんでポケモンっていうのはこうも可愛いんだろ。愛されるために産まれてきたとしか思えない。
「ヒヒヒヒヒ、や、ヤメッ、ひぅッ、くすぐっ、たいよぉ~アハハハッ」
「フハハハ、プリティチャムよ! このまま大人しくしておるがよい!我がこの部屋を乗っ取ってくれようぞ!」
「な、なにぉう、イヒヒッ! そんなことは、クフッ、させるものかぁアハハハッ!」
「やってみよ、プリティチャムよ~~!」
アハハハ、アハハハ、アハハハ!
…………………………。
…………………。
…………。



「で、遊びすぎて筋肉痛と……ハイッおしまい」
「イダイッ!」
バシッと背中に塗った軟膏の上からレンは叩いた。毛があるから湿布は意味無いのだとか。
「う゛~~……」
「で、結局原因はなんだったのさ?」
「さっぱりわかりません。わかってたら戻ってる」
レンはそれもそうかと一言。
「これ、臭い強いね」
「そりゃそうさ。大型でも使えるような強力なやつだからね」
「あ゛~~痛たたた」
「…………オバサン」
「うるさい!」
ゴッという音ともにレンの体が少し宙を舞った。……この体も悪くないかもしれない。

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