第44話

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:11分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

ニビのポケモンセンターはなかなかの広さがあり、他の所よりも少々人が多いながらも狭いとか圧迫感を感じるとかはなかった。

タツミはまずは部屋を確保し、クラウンを洗うために外の水道へと向かう。ちなみに水道は限度を超えない限りは自由に使用できる。

タ「クラウン・・・洗うぞ。」

ク『べ・・・別に洗わなくていいんじゃ・・・』

タ「だめだめ、汚いままだから。もう全身汚れまくっているじゃん。ほらほら怖がってないで早くこっちに来る。」

ク『っででも・・・だだだだだ大丈夫なんじゃ・・・?』

タ「あー!もうじれったい!」

タツミは水道の蛇口を思いっきりひねり勢いよく飛び出してきた水をクラウンに容赦なくかけ始めた。

クラウンは逃げようとしていたが驚きによって体が硬直して上手く動けずその場に転んでしまった。倒れても最初ははいつくばってでも逃げようとしていたがじきに観念したのか大人しくなった。

ス『だから歩かないほうが良いって言ったのに・・・。』

タ「あれ?何時の間にスパイア、ボールから出たんだ?」

ス『ついさっき、タツミが部屋の予約していた時にね。』

タ「そうだったんだ、まったく気づかなかったよ。」

一通りクラウンに水をかけ終わると、ポケモンセンターから借りた石鹸でクラウンを洗う。すごく泡立つ。クラウンは一気に真っ白になった。

ク『・・・・・・・・・・。』

タ「あちゃー・・・気絶してる・・・。今のうちに洗っとこう。起きたら少々厄介ごとになりかねない。」

ス『僕もちょっとは手伝うよ。タツミ1人じゃやっぱりきついでしょ?』

タ「うん、まぁそうだけど・・。スパイア水大丈夫だっけ?」

ス『苦手だけれど手にちょっと触れるのは別に何ともないから。それにクラウンを起こさないと背中とかが洗えないでしょ?』

タ「それはそうだけど・・・。うん、じゃあスパイアよろしく頼むよ。」

ス『任せてよ!』

・・・・・・・
クラウンの体はやっぱり大きかった。スパイアがクラウンを持ち上げてタツミが素早く汚れを落としていくだけでも1時間30分は過ぎてしまった。

タ「よし、流そう。スパイアは離れていたほうが良いと思うよ。あっタマゴ離しといて。」

ス『わかった。よいしょ・・・。タツミ良いよー。』

タツミはスパイアの合図で水を勢いよく出してクラウンにかけ始めた。

ポケモンセンターから借りた石鹸は相当泡切れが良いのか真っ白だったクラウンが見る見るうちにクリーム色のいつもの色に戻って行った。

タ「この石鹸は相当泡切り良いなぁ・・。食器用洗剤とかに転用したらいいんじゃないかって程の泡切れだよ・・・。よし、いいな。スパイア、クラウン起こそうか。もう洗い終えたから。」

ス『それもそうだね。よーし・・・。えいっ!!』

スパイアがクラウンにひっかく(弱めに)を当てた。

ク『痛ったーーーー!!!!!!!』

タ「あっ、起きたね。もう終わったから拭き上げるよ。」

ク『あっ・・・いつの間にか気絶していたんだった・・・。もう終わったの?』

タ「終わったよ。もうこれで十分キレイキレイ。早く拭かないと風邪ひくからね。」

タツミはクラウンにバスタオルを渡すが・・・

ク『こんなの少し体を震わせれば・・・・・・・・・・。』





タ「・・・・大人しくバスタオルで拭いたが早いと思うよ・・・僕は・・・。」

ク『うん・・・そだね・・・。意味なしだった・・・。』

ス『まったくね・・・。』

タ「う~ん・・・ドライヤーで乾かすか・・・ちょっと待っててドライヤー借りてくる。」

タツミはドライヤーを借りに受付へと走って行った。その間残されたスパイアとクラウンは

ク『やっぱり水は苦手かな・・・。はぁ~・・・。』

ス『仕方ないよ、炎タイプなんだから。それにしても、タマゴ何が生まれてくるんだろうね。』

ク『そうだな・・・まったく予想がつかないからな。タツミもわからないって言ってたし・・・いつ生まれるのかも分からないからね、まぁ気長に待っておこうよ。』

ス『それもそうだね。でも楽しみだなぁ・・・。初めてタマゴというのを見たからね・・・。』

ク『僕もだね、そうそう見ないからなぁ~。』


ス『あっタツミが戻ってきた。案外早かったね。』

タ「うん、結構人いなくて空いていたからね。スムーズに借りれたよ。よし、クラウン乾かすぞ。」

タツミはドライヤーをコンセントにつなぎクラウンを乾かし始めた。


タ「・・・結構多いから乾きにくいかなと思ったけどそうでもないんだね。」

ク『まぁいろいろとね。う~ん・・・体震わせれば水滴飛ぶと思ったんだけどなぁ・・・。』

タ「震わすだけじゃダメでしょ。体全体を動かせば水滴飛ぶかもしれないけどね。」

ク『こうか?』

クラウンは思いっきり体を左右にひねった。すると水滴はどんどん飛び散っていく。

タ「・・・・滅茶苦茶かかってるんですけど・・。」

ク『あっ・・・・。』

タ「・・・・・・・・・・クラウン、時と場所を考えてやってくれ・・・。いきなり至近距離でやられたもんだから・・・。」

ク『ご・・ごめん・・・タツミ・・。』

タ「まぁ別に良いけどね・・・それよりも乾いたね。部屋に戻ろうか。」

ク『本当にごめん、タツミ・・・。』

タ「大丈夫大丈夫。そんなにびしょびしょじゃないからすぐ乾くよ。」

ク『う・・うん・・。』

ス『タツミ怒ったかな・・・。クラウンがいきなりやるから・・。』


・・・・・・・・・・
タ「全く・・・クラウンももうちょっと周りの事考えてくれたらあんなにずぶ濡れにならずに済んだのになぁ・・ん?あのポケモンどうしたんだろ・・?」

???『うぅ・・・・。』

タ「酷い怪我だ・・トレーナーは・・居ないな・・・君大丈夫かい?もう少し頑張れよ・・・すぐジョーイさんの所に連れて行ってあげるからな!」

タツミはそのポケモンを抱え1回の回復受付カウンターまで走る、途中エレベーターがあったがこういう時に限って行ってしまった後で時間が掛かりそうだった為階段を全速力で駆け下り、ジョーイさんの元へと辿り着く。

ジョーイ「どうしたの・・・・!酷い怪我じゃない!すぐに治療しないと・・でもこの子どこで・・・?」

タ「上の宿泊する部屋がある廊下で倒れていたんです!周りにトレーナーはいなくてどうしようもなかったので連れてきました!」

ジョーイ「分かったわ・・・でも・・こっちも丁度急患が入って・・そうだ!ハピナスと一緒に応急処置をしていてくれないかしら?すぐに戻るから!」

タ「・・わ・・分かりました!」

ハ『じゃあ治療していきましょう!・・・でもこの状態だと・急がないと!』



タ「これで何とか大丈夫ですかね・・・?」

ハ『えぇ、これでひとまずは安心ね・・・後はジョーイが診て必要ならば処置といった感じよ。』

タ「そうか・・良かったなぁ~お前。」

???『・・・・ありがとう・・・。』

タ「いや、良いよ良いよ。あっ、そうだ!お腹空いてるかもしれないから・・・これみんなにはこっそりと買ったラムネ菓子だけど良かったら食べてや!糖分も必要な栄養素だからね!じゃあ僕はポケモン達を待たせてるのでこれで。」

ハ『分かったわ!貴方のような人に見つけて貰ってこっちもとても助かったわ!ありがとう!』

タ「いえいえ、あっこれドライヤー返しておきます・・・それじゃ!」




あの後、ドライヤーをハピナスへと返して部屋へ戻ったタツミ達。

タ「さて、まだ時間もあるから町でも散策してみようか?」

ク『まぁ・・・タツミがそういうなら良いんじゃないかな?』

ス『でも、この町って何が見ものなの?』

タ「う~ん・・・博物館・・・だけかな?あとは普通の町みたいだね・・・。まぁココでこうしてるのも勿体ないし博物館に行ってみるか。」

ということでタツミ達はポケモンセンターからそれほど離れていない場所にある博物館に行ってみることにしたのだった。

道中はスパイアだけをボールから出しておいてクラウンは疲れている様子だったからボールに戻しておいた。当の本人は歩きたがっていたがそこはタツミが問答無用で戻した。

ス『結構人多いんだね、この町。』

タ「まぁ最初のジムがある町でもあるしここかディグダの穴を通らないと次の町に行けないからね。にしても本当新人トレーナーが多いな、あちこちでバトルしてるよ。」

ス『本当だ・・・でもなんか危なっかし気もする・・・。』

タ「・・・・何事も経験・・・。ああやって学んでいくんだからね・・・。」

ス『この中からポケモンリーグに挑戦する人がいるんだね・・・。』

タ「僕は出る気はないけど観戦だけはしようかなと考えてはいるよ。」

そうこうしているうちに博物館の前まで到着した。ポケモンセンターから大体徒歩10分くらいの場所だった。

タ「ここなんだね、やっぱり立派だなぁ・・・。」

ス『うん。』

タツミとスパイアは入口から入って行ったが・・・

受付「すいません、お客様。炎タイプのポケモンは貴重資料の焼損につながる恐れもありますのでご遠慮願いたいのですが・・・。」

タ「あっ、すいません・・・スパイアボールに戻っておいて。」

タツミはスパイアをボールに戻して受付へと向かった。

受付「ようこそ、ニビ博物館へ。入場料は50円になります。」

タ「50円でいいんだ・・・・。はい、50円。」

受付「ありがとうございます。ごゆっくりどうぞ。」

受付から少し過ぎた辺りから展示が始まった。いろいろと貴重な資料が保管・展示されているようだ。ポケモンの化石とかもあって力を入れていることが分かる。

暫くずっと歩いて行っていると展示スペースの端っこに着いた。ちなみに人の方はほんの少しだけいるというようにそれほど人気でもないような様子であった。

タ「う~ん・・・あんまり参考になりそうなものとか情報はなかったなぁ・・・。ポケモンセンターに帰ろうかな。」

特に情報を仕入れることも出来ずにタツミは博物館を後にした。

・・・・・・・
ポケモンセンターの前まで戻ってきたタツミ。現在時刻は17時。外はまだ太陽がやや高い位置にあり日没まではまだ時間が掛かりそうな感じだった。

タ「う~ん、今から部屋に戻ってもつまらないしなぁ・・・もうちょっと外を探索しておこうかな。」

タツミがそう思いながらどこ行こうかタウンマップを出そうとすると・・・

???「おっ、タツミじゃん。久しぶり。」

いきなり後ろから声を掛けられ、後ろを振り返ってみるとそこには・・・







タ「あれ?誰もいない・・・。気のせいだったのかな?疲れてるのかなぁ~僕。やっぱり今日はちょっともう休むか。」

タツミはそういいながらポケモンセンターの部屋へと帰って行った。

それを遠くから見ている影が一つ・・・

???「俺の姿を見たら驚くんだろうな・・・。」

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想