もはや何も言うまい
サトシキラーは、虹の上をのーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっそりと進んでいた。
「もうちょっと早くても良いだろ、リル」
「だって重いんだもの」
そう、今サトシキラーに乗っているのは、ポケモンだけでも合計45㎏。さらに人間であるリルの体重…あえて伏せますけど、とにかくめちゃくちゃ重い。
「もういっそシンジが降りちゃえよ」
「そうね。アンタが降りれば30キロは減るわ」
(畜生ッ)
出来ることならさっさと飛び降りたいが、どっかの誰かさんのように不死身の体は持ってない。ここは地上から何メートル離れているのやら…おお怖い。
「あとどれくらいで着くのかしら?」
「さぁ。…とりあえず、お腹すいてきたなぁ」
「あ、オレも!!」
「相変わらず子供ねー。ま、あたしもだけど」
そろそろ腹ごしらえをしたいのだが、途中下車は無理だろう。それでもやろうというのなら、さっきのようにまっさかさま。そのまんま自殺行為である。
「シンジー、何か食いもんプリーズ」
「プリーズプリーズ」
サトシとヒカリの態度に、目つきの悪い黒猫は、
「お前らさっきから何なんだよ」
少々騒がしい向かい側に苦笑を送り、デントは進行方向を見つめた。
…おや、向こうに見えるのは…?
「着いたかも!!」
特徴的な口癖。赤いバンダナ。彼女は…
「親切なトレーナーさんのおかげで難なくこれてよかったぁ。でも、こんな無人島さながらのところに、わたしが人間に戻れるヒントなんてあるのかしら?」
あぁ私のセリフ…いやそれはともかく。
どうやら彼女も元人間のようだ。いまは、どこからどう見ても、キュートで愛らしいエネコだが。なんだか多いですね、被害者。
「さて、これからどうしよう…こんなときにサトシ達がいれば気も楽なんだけど…なんてね」
モハヤ何モ言ウマイ