第2話 森の中のジョーイさん

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

ドンドンドン─────!!!

月が上る頃、扉を強く叩く音に起こされた。
森深く奥にある小さな木の家に私は住んでいた。

「ニィ…」
「クゥーン…」

眠たそうな二人の頭を撫でながら、もう少し寝てていいと伝えベッドから下り玄関のドアを開けた。

「ラァ“ッタ、ラッタラタァ!!!」

勢いよく入って来たのは鼠ポケモン、ラッタだった。

『あたしの子を助けて!!!
人間にやられたの!!』

口に咥えたラッタの進化前のポケモン、コラッタを床に寝かした。

「ラッ…タ…」

傷だらけで痛々しいその姿に私は頷きそっと両手をコラッタに触れた。
手からコラッタを白い光が包み込み、シーナはただ治りますようにと祈る。
コラッタの傷はみるみる塞がり、コラッタの体は万全な状態となった。
目を開けたコラッタは、辺りを見渡し私を見る。

「ラァ“ッタ!!」
「ラーター!!」

頬を擦り寄せラッタにコラッタは私に向かって頭を下げる。

『シーナ、ありがとう』
『シーナちゃん、ありがとうね』

二匹はそうして家から出て行った。
幸せそうなその姿に心和み私はベッドにいるルキとニースの間に入り眠った。



私はポケモンではなく人間らしい。
見た事はないから自分しかしらないけれど、ポケモン達から人間とも少し違うと言われた。
ポケモンの言葉が理解出来る事と、傷を癒す事が出来る事が人間とは違うらしい。

「今日は何時にも増して傷付いたポケモン達が多い?」

午前中、傷付いたポケモン達が治して欲しくてやって来る事があるのだけど、今日は何時もよりも来るポケモン達の数が多い。

『今日この森に人間が来てるんだ。
うちの旦那そこでやられちゃってね、弱いったらあらしない』
『相手が強かったんだから仕方ないだろ!』

そんな会話をするオニドリル夫婦。
その割にしては傷は軽傷だ。
重症のポケモンと軽傷のポケモンで二つに別れている。
患者の中では皆が人間の話になっていた。
二人組の人間で強く容赦無い、そう話すポケモン達もいた。

『シーナちゃん助けて!! 
彼が私を庇ってやられちゃったの~』

そうバタフリーが窓からやって来て、痛々しそうな羽の傷ついたバタフリーは飛べなくなる程の傷であった。

「大丈夫。 
元気になるよ」
『うん、シーナちゃんお願い!』

目に涙を浮かべて私の回りをふわふわ飛び回る。
ポケモン達の会話に私は少し可笑しい事に気付いた。
容赦無いと言っていたポケモンがいたけど、軽傷だったポケモンは手加減してくれている事が分かる。
軽傷と重症、これを考えるに二人組の人間がもう一組いるという事にならない?
この森に人間が四人いる…私いれたら五人。
  
「フリーフリー」

元気になったバタフリーが飛び上がり頭を下げた。

『俺やられたんだけど、あのトレーナー達モンスターボール沢山持ってたんだ。
バタフリーなんか何処にでもいるからいけたけどさ、何か捕まえに来たんじゃないかな?』

そう告げられた言葉に私は目を見開き家から出た。
ルキとニースが危ない。
朝は二人森に遊びに行ったんだ。
ルカリオやリオル、ニャスパーって珍しいのかは分からないけれど、何か嫌な予感がする。

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