第二十七話 必殺!波導弾!!

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

遅れました。第二十七話です。
[第二十七話 必殺!波導弾!!]

ズン…!

ダークライに自我を消された挙句、後ろから操られるパルキアは、腹に響くような音を立てて着地した。

「………………」

その目線の先には、ワイワイタウンの住民たちが集まる避難所がある。パルキアは両手にエネルギーを送り、紫色に光らせると、《亜空切断》を放とうとするが、

「撃たせるかぁっ!」

勢い良く飛び出してきたツバサが、技を繰り出そうとしたパルキアに猛烈にアタックをした。死角からの奇襲を受けたパルキアはよろめき、それがツバサだと確認すると後ろに飛び退いた。

「はぁっ……はぁっ……間に合ったぜ…!」

風を切って飛んできたツバサは汗だくになり肩で息をしているが、それでも余裕を見せ付けるようにニヤッと笑っている。

「ツバサ……キサマモケサネバ…!」

ツバサを睨み、低い声でパルキアはそう呟いた。その声にトーンは無く、まるで感情のこもっていないようでもあった。

「感情も消されているか……パルキアに言うのもおかしいが、可哀想なものだな……」

グルル……と唸るパルキアにツバサは同情的な視線を投げかけた。それはただ「可哀想」と思うものでは無く、何か別の感情もこもったようなものだったが、パルキアを除き、周りに誰もいないこの状況でそれに気付く者は居なかった。

「ツバサァ!」

無機質ながら、耳を劈くような大声を上げ、パルキアが飛び出した。

「パルキア……お前は俺たちが救ってやる……だから少しの事は許せよ…!」

そう言うとツバサは、ギラリ…!とパルキアを睨みつけた。本来パルキアから見ればただの睨みでしかないのだが……

「ウッ…!キサマ…!」

それに何かを感じたのか、パルキアは一瞬怯んだような素振りを見せると、じりじりと逃げるように後退し始めた。

「ツバサ!間に合ったか!」

そこにデンリュウたちを引き連れ、ハヤテが駆け込んできた。ブイゼルたちは先ほどのパルキアとの戦いに直面している為、パルキアへの恐怖心は薄れており、更に移動中にパルキアの様子をハヤテから聞き、現在のパルキアの状態の大方を予想していたお陰で、この場に着いてすぐ目に入ったパルキアに対し、驚く様子はあっても、怖気付く様子は無かった。

「グッ……ハヤテ!キサマモ……」

ハヤテの攻撃を受けた記憶があるのか、更に現れたハヤテを見て、パルキアは急いで背を向けようとしたが、

「グ……ガアアアアッ!!」

突如、頭を押さえて左右に大きく振り回すと、そのまま唸りながら(うずくま)った。

『逃げる事は許さんぞ……パルキア…!』

パルキアの脳内にダークライの声が響く。すると頭を押さえていたパルキアの手が落ち、だらりと垂れ下がった。パルキアは時折小さく唸りながら、真っ直ぐにハヤテを直視している。

「メイレイダ……オマエタチヲタオス…!」

先ほどまでの逃げようとしていた様子から一変し、その様子から今度はこちらがゾッとさせられる。最早意識せずとも、パルキアの体からは闇が溢れ、不気味に漂うようになっていた。パルキアはそれらを触手状にすると、不気味に揺らめかせながらゆっくりと歩み寄って来た。

「うっ……なんてオーラだ……」

じりじりと、今度はハヤテたちが後退している。ハヤテは棍棒に波導を込め、両手に持って前に構えた。

「マズハ……オマエダ…!」

パルキアは闇の触手を鞭のようにしならせ、次々にハヤテに向かい発射した。ハヤテは棍棒でそれらを弾くが、パルキアはあるタイミングで前に突き出した手をグッと握り締めた。

するとハヤテが弾いたばかりの一本の闇が、ハヤテの棍棒に絡みつくと、棍棒をパルキア向けて引っ張った。

「ぐっ…!強い…!」

棍棒ごと引っ張られたハヤテは、なんとか空中で棍棒から手を離し、地面をゴロゴロと転がった。棍棒はパルキアの元まで飛ばされて行き、ベキリとへし折られた。

「オマエモ……」

お前もこうなる、とでも言いたいのだろうか?パルキアは真っ直ぐにハヤテを指差した。

「ハヤテ、大丈夫か?」

様子を見たツバサとデンリュウが駆け寄って来た。ハヤテは大丈夫だと言うと、無表情のまま杭のように立つパルキアに視線を戻した。

「あの闇、少量の波導を含んでいるようだな。あまり不用意に触れない方がいいだろう。とすると、陽動や不意打ちで行くか?」

「そうだな、それで行こう。それと、私の波導はまだ、多少なりとも効くようだ。何とかしてパルキアを怯ませ、そこを一気に突く…!」

「分かった。じゃあ、まずは俺が…!」

ツバサが真っ先に、パルキアに向けて《火炎放射》を放つ。パルキアは闇で壁を作り、猛火はその壁に寸止めされた。

「まだまだ!」

ツバサは一瞬だけ火力を上げた。すると、壁に押し止められ渦巻いていた炎が、壁の周りに一気に広がったのだ。

「よし、後は…」

ツバサはあるタイミングで《火炎放射》を止めると、そのまま背を向け何処かへ消えた。

「ムダダ…!」

そのすぐ後に炎も消え、再び見通しが良くなった。が、そこにハヤテたちの姿は無かった。

「オノレ……ドコヘキエタ!」

辺りを見渡すが誰もいない。パルキアはぐるぐると見回しながら警戒する。

その時、前方の瓦礫の陰からデンリュウが回り込むように出てきた。デンリュウは側に落ちていた小石をパルキアに投げるなどしてパルキアを挑発。怒りに駆られたパルキアはデンリュウに《亜空切断》を放つが、デンリュウは軽やかな身のこなしでそれらを全て避けた。

デンリュウがパルキアの気を引いている間に、ツバサは空へ飛び上がり、パルキアのちょうど真上へと移動、空中で《エアスラッシュ》を放つと同時に、自身も直角に急降下しながら叫んだ。

「パルキア!」

名を呼ぶ声が聞こえ、パルキアは上を向いた。と、その瞬間、パルキアの顔面を白い斬撃が襲い、発生した風が地面の砂を巻き上げた。だがそれだけでは終わらない。斬撃に思わず目を閉じてしまったパルキアに、急降下してきたツバサの《鋼の翼》が直撃。パルキアはその勢いで後ろ向きに倒れた。

「今だ!ハヤテ!」

ツバサは足元の折れた棍棒を素早く取ると、両腕を大きく振ってハヤテへと投げ飛ばした。棍棒は回転しながら飛んでいき、飛び出したハヤテの両手に見事に収まった。

「オノレ!ツバサァ!」

怒り心頭のパルキアは起き上がりながらその木の幹と言ってもいいような太い腕を横に大振りし、その腕はツバサの大きな腹に沈み、ツバサを弾き飛ばした。

「よそ見をするな!」

ハヤテは棍棒を逆手持ちすると、その状態で回転しながら、パルキアに突撃した。パルキアは闇の壁で防御するが、棍棒には既に波導が纏わされていた。棍棒は壁を砕き、その後ろで怯んだ顔のパルキアを打ちつけた。

「いいぞ!ハヤテ!」

着地したハヤテ目掛け、手で顔を押さえたパルキアが勢いに任せた蹴りを入れようとする。だがハヤテは、そのパルキアの足に、自身の足をかけると、それを踏み台にしてジャンプし飛び上がると、もう片方の足でパルキアの顔に強烈な回し蹴りを叩き込んだ。パルキアは小さく悲鳴をあげると、顔の右側を押さえながら後退した。

(まだまだだ!闇を使う隙を与えるな!)

ハヤテは再びパルキアに急接近し、先ほどと同じ体勢で飛び上がった。顔をしかめながら、パルキアはハヤテを鋭く睨みつけるが、ハヤテは怯むことなく棍棒ごと体を回転させた。

しかし、流石にパルキアも同じ攻撃を二度も簡単には受けない。顔をそらしてそれを避け、棍棒はパルキアの鼻先をかすめた。その体勢から復帰する勢いに任せ、扇子のように開いた大きな手をハヤテに叩きつける。だがハヤテもそれをクロスさせた棍棒でガードし、押された勢いで後ろへ向かおうとする体を足で踏ん張って止めた。

パルキアは《ドラゴンクロー》で正面のハヤテを攻撃するが、ハヤテは横に飛び退くと、攻撃を地面に叩きつけ体勢を崩したパルキアの左足に回転しながら蹴りを入れ、次いで今度は後ろ向きにパルキアの腹部を蹴り込んだ。

「ウッ……」と呻き、二、三歩後退するパルキア。ハヤテは間も与えず、パルキアに力強く握り締めた棍棒を振るった。パルキアは左手で弾くが、それを見たハヤテは足で右手をも蹴り飛ばした。つまり今、パルキアの顔面は無防備な状態なのだ。

「もう一発行くぞ!」

ハヤテは逆手持ちした棍棒ごと、パルキアに突撃した。
一方のパルキアは、両手を弾かれ防御姿勢を取れない状態である。しかし、裏からダークライに操られた状態でもある。

『噛め…!』

…ガリッ…!

なんと、パルキアはハヤテの棍棒に噛み付いて止めたのである。いきなり棍棒が止まり、確実に攻撃を当てるためにハヤテも棍棒を強く握り締めていたので、ハヤテは棍棒を持ったまま、宙に吊るされた状態になっている。

「ウラアッ!」

パルキアは棍棒を口に咥えたまま、ハヤテをぶら下げたまま、首を大きく振り回し、ハヤテを空中へ放り投げた。

「うわっ!私を……首の力だけで…⁉︎」

「バカな!?ハヤテだって軽くはない…痛くないのか…?」

痛くないはずがない。体格差があるとはいえ、ハヤテの体重は50キロ以上ある。それを首の力だけで持ち上げ、更には投げ飛ばしたのだ。首にかかった負荷は相当のものだろう。

(痛みや…苦しみまで打ち消されているのか…?闇によって…!)

「ハヤテ!気をつけろ!」

ツバサに怒鳴られ、ハッとしたハヤテ。下を見ると、パルキアが奪った棍棒を折れた先を上向きに向けて構えていた。

「しまった…!」

戦闘に集中しなければいけないというのに、その最前線に立つ自分が考え事だなんて…!ハヤテは自らの行動を悔やんだが、それも一瞬。すぐに取るべき最良の行動を瞬時に判断し、実行した。左手に棍棒を持ち替え、その下で光るもう片方の棒の先を叩いた。どうやら少しでも刃先を潰すつもりのようだ。

だが、波導で固められた棍棒は、やはり簡単には砕けなかった。叩かれたことで棍棒の位置はずれ、落下するハヤテのわき腹に突き刺さった。

「くうっ…!」

素早くそれを弾き、傷が深くなることはなかったが、その痛みがハヤテの動きを鈍らせた。

「キエロ!」

着地すると同時にその場にしゃがみ込んだハヤテを、パルキアは無慈悲に蹴り飛ばした。

「ぐがっ…!」

「ハヤテ!」

ツバサやデンリュウたちが駆け寄ってくる。それを見たパルキアは触手状の闇を無数に作り出し、揺らめかせている。

「大丈夫か!?すぐに傷の手当を……」

「後でいい…!それよりパルキアを見ろ…!お前たちを狙っている…!」

それを聞き、皆が一斉にパルキアの方を見た。そしてその場から離れようとしたが、時すでに遅く、パルキアの放った無数の闇が、ツバサたちを襲った。

ズガガガガガッ!!

全身を闇に突かれ、皆が散り散りに突き飛ばされていく。それだけで体力を一気に奪い、更に連続して繰り返される、最悪の攻撃だった。

◆◆◆

(痛い…!身体が痛い!このままでは…死んでしまう…!だが…意識が……)

そのポケモンは、薄れる意識の中で自らの弱さを嘆いていた。

(…俺は…こんな所で死んでもよいのか…?)

そのポケモンの脳裏に、仲間たちの姿が映る。

(…そうだ…俺には守るべきものがある…。大切なものがある…!)

そのポケモンはぐっと拳を握り締めた。

(…死ねない…!俺は…ダークライを倒すまで…!死ねないんだ…!)

そのポケモンはカッと目を見開くと、血が滴るほどに歯を食いしばった。


「グハハハッ!オワリダァ!」

パルキアは止める事もなく、攻撃を繰り返している。その時、

「火炎放射!」

突如、舞い上がる土煙の中で巨大な炎が発生した。それは闇の影響を受けることなく、向かってくる闇の中を抜けるとパルキアを覆いかぶさるように包み込んだ。

「グアッ!ナンダッ!」

バッと炎を振り払うパルキア。視線の先にはふらつきながらも1匹のポケモンが立ち上がる様子があった。

「もう…誰も傷つけさせない!」

そのポケモン、ツバサは怒りの目を真っ直ぐにパルキアに向けた。

「チッ…!イイカゲンニ…アキラメロ!」

パルキアが再び闇を発射する。ツバサは両手をゆっくりと横に伸ばした。

「諦めるのは…お前たちだ!!」

ツバサはそう叫ぶと……

ガシッ!

その手で、パルキアの闇を掴み、握り潰した。

「ナン…ダトッ…!」

ツバサのその予想外の行動にあっけに取られるパルキア。その隙にツバサはパルキアのすぐ側に移動した。

「悪く思うな…パルキア。」

ツバサはトン……とパルキアに手を当てる。思わず目を見開くパルキア。そして、

「ブラストバーン。」


ツバサの体から溢れ出した炎は瞬く間にパルキアを包み込み、爆発、離散した。後に残ったパルキアの体には、至る所に焼き傷があり、かなりのダメージが入った様子である。どうやら闇でも防御しきれなかったらしい。

それと同時にツバサも崩れるようにその場に座り込んだ。《ブラストバーン》は威力は絶大だが、使用者への反動も大きく、ツバサも例外ではなかった。

だが勝負はもう決まった。パルキアはフラフラとしながらその場に倒れ……なかった。

「ツバサ…!キサマ…ヨクモ!」

ツバサは技の反動と蓄積されたダメージで荒い呼吸をしている。パルキアが倒れていないことに気づき、なんとか逃げようとするも、体が動かない。

「コンドコソ…チレ!」

パルキアは右手を振り上げるが、

「はああっ!」

陰からデンリュウが飛び出し、パルキアの右手に体当たりをした。更にはデンリュウに続き、調査団のポケモンたちも一斉にパルキアに掴みかかった。

「グッ……ドイツモコイツモ…!」

パルキアは自分に張り付くポケモンたちに、容赦なく殴る蹴るの暴力を加え、自分から突き放した。

「モウイチド……オナジメニアワセテヤロウ!」

闇を集結させ、再び無数の触手状にしたパルキア。と、その先には、

「待たせたな!準備出来たぞ!」

巨大な青い塊を手のひらに浮かせ、ハヤテが雄々しく立っていた。腹部の傷付近は痛々しく赤く染まっているが、最早ハヤテにはそれを気にしている様子も猶予もない。

(ぐ…やはりこの痛み…なかなか消えないか……だが、多くのポケモンたちの苦しみに比べれば…!)

ハヤテはツバサやデンリュウたちがパルキアの気を引いている隙に、自身が消滅する手前ギリギリの量の波導を使い、巨大な《波導弾》を作っていた。ハヤテは自分の傷の治癒に使える波導までもを注ぎ込んでいたので、波導弾は相当の大きさになっている。

「ソンナモノデ……オレヲタオセルト…!」

「倒してみせるさ。この攻撃をもってな。」

「…ナラバ…ヤッテミロオッ‼︎」

その言葉が引き金に、パルキアが闇を発射しハヤテは波導を前に突き出しながら飛び出した。

◆◆◆

ドォン!!

パルキアの闇とハヤテの《波導弾》、双方がぶつかり合った瞬間、その場にいる者たちは「心臓が破裂しそうな程」の強い衝撃波を感じたという。それは本当の衝撃波なのか、はたまた名をはせる二つの伝説が放つ、強大な威圧感なのか……今、それだけの力を持つ2匹のポケモンが、

「うおおおおっ!!」

「グオオオオオ!!」

互いに全身全霊をぶつけ合っていた。しかしパルキアの闇は波導を少々含んでいるため、ハヤテの波導弾を押し返している。更に力に関してはやや、パルキアの方が優ってもいた。

(ぐっ…強い…!)

状況はパルキアの方が有利だ。今のパルキアの攻撃を正面から受ければ、さすがのハヤテも助からないだろう。

(負ける…わけには…!)

自分と徒党を組んでくれた仲間たちが後ろにいる。自分たちを頼ってくれるポケモンたちがいる。だからこそ、どんなに負けそうな状況でも戦い抜いてこれた。

(ダメだ…!押される…!)

「ハヤテ!」

「ハヤテさん!」

なんとか足で踏ん張っていたハヤテだが、ズリズリと後ろに押されていき、巻き返そうと力を入れた瞬間、足を滑らせてしまった。

「くあっ!しまった…!」

ハヤテは自分の体が一瞬、浮くのを感じたが、

ドン…!

「何してんだハヤテ…!早く倒してしまおうぜ…!」

「ツバサ…!」

「そうですよ。貴方は幾度のピンチを乗り越えてきたのですから…!」

「デンリュウ…!みんな…!」

ツバサやデンリュウ、バシャーモやジュカイン、そしてブイゼルやアーケンたちポケモン調査団が、皆でハヤテの背中を押しているのだ。

「これだけいれば押されることはないぜ!行け!ハヤテ!」

(確かに…これなら…!)

背中に皆の温もりを感じる。自然と失いかけていた自信が戻ってきた気がした。

「ソコマデシテ……クルシムミチヲエラブカ…!テイコウシナケレバ、ラクニシネルモノヲ!」

意味が分からない、という顔をしながら、パルキアは闇を操る手を前に突き出す。それを聞いたハヤテは、ニヤッと勝ち誇ったような笑みを浮かべた。

「確かに私も苦しみを感じたくはない。痛みを感じたくはない。それは皆、同じことだ。だが、」

ハヤテは踏ん張る足を一歩、前に進めた。

「例え全身の骨が砕けようとも、血塗れになろうとも、この私の命が吹き飛ぶことになろうとも!」

力を入れる腕がミシ……と軋む。その痛みにハヤテは顔をしかめるが、ギリギリ…!と先ほど以上に力強く歯を食いしばり腕に更に力を入れた。

「私には守るものがある!だからこんなところで…倒れてるわけには…いかないんだああああっっ!!」

バキ…バキバキ…!闇が少しずつ砕けていく。波導への耐久力を持つ闇が、波導での攻撃に負けている。

「行けええっ!!ハヤテ!!」

皆が渾身の力でハヤテを押し飛ばす。勢いに乗ったハヤテはそのまま、腕に全力をかけた。

「必殺!波導弾!!」

ハヤテが投げた波導の塊は、パルキアの用意したいかなる闇の防御をも破壊していく。

「バッ…バカナ…!」

全ての闇が砕け散り、波導弾はたじろぐパルキアに正面から、

ドォン!!

突っ込んだ。

「ギッ…ギャアアアアァァァ!!」

パルキアの体が少しずつ後ろにずれていく。それを見たハヤテはパルキアの元に駆け出すと、自らが投げた波導の塊を掴んだ。

「ガァ…ナニヲ…!」

ハヤテは、自身を睨みつけるパルキアに一言、言い捨てた。

「死ぬなよ、パルキア。」

次の瞬間、ハヤテは波導弾を上空へ投げ上げた。飛んで逃げようとしたパルキアだったが、再びその波導弾にぶつかり、大空へ吹き飛ばされていく。そして、

ズズゥゥゥゥゥン!!!!

腹に響く爆発と衝撃波が巻き起こった。

「ぐっ…!何という衝撃だ!」

「全員伏せて!」

ツバサやデンリュウたちが伏せながらその衝撃波で揺れる大地や海を見渡している中、ハヤテはボロボロになって飛ばされていくパルキアを、その姿が見えなくなるまで目で追い続けていた。
いかがでしたでしょうか。今よりこれ書いた頃の方がいい発想できてる様な気がします。

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