第120話

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

登場ポケモン→ ・フィーロ→ルギア ・ルタ→ハヤシガメ ・ルディナ→ポッチャマ ・ポル→ミズゴロウ
        ・マーニ→イーブイ ・タツミ→キュウコン(元人間)       ・リオン→カイリュー
        ・セル→ブイゼル

タ「一応朝にはなったけど・・何故こんなにも寝れなかったのかが謎なんですよね・・・。」

フ『そうだよね・・・なんかこんだけ豪華だと全然落ち着かなくて全く寝た気がしないと・・・完全な寝不足モードに入っちゃったね・・・。』

マ『そうですか?私は凄くぐっすり寝れましたよ?このベッド凄くふかふかで寝心地も良かったですし。』

セ『フカフカだったけど寝心地良かったのかはおいら分からなかった。』

現在時刻は午前6時過ぎ、タツミ達は普段このような豪華なホテルに泊ったことがなかった為緊張からか眠る事が出来なかったようだ。しかし、タツミとフィーロ以外はぐっすりと眠れたようで大変爽快な目覚めを迎えていた。

タ「取り敢えず今日のご飯を食べてっと・・・次の町まで進んでいかないとね。あー・・眠い。」

マ『あれでしたら私が代わりにやっておきましょうか?その間タツミさん達は少しでも横になっていたらちょっとは変ってくると思いますし構いませんよ?』

タ「じゃあお願いするよ・・取り敢えず一通りあのバックの中に入ってるからね・・・。」

タツミとフィーロはマーニからの提案を受け入れベッドの中へと再び潜っていき、マーニは昨日仲間になったセルと一緒に不慣れながらも朝食の準備に掛かる。しかし、マーニは4足歩行の為か前足では中々うまく並べる事が出来ず、今回は手が自由に使えるセルに色々と指示をして動いて貰う事で何とか朝食を作る事が出来た。

マ『セルありがとう、お陰で助かったわ。』

セ『これ位ならお安いご用だよ!じゃあおいら先に食べよーっと・・いただきまーs痛ててててt!!!』

マ『だからといってみんなより先に食べて良いとは言ってないよ。みんなが起きてから食べましょう。』

セ『はーい・・・・凄い力でつねられたから痛かった・・・・。』

リ『うーーーーーん~・・・・凄く良い目覚め!やっぱり寝具は良いのに限るよね!・・・ってこの匂いは・・あれ?もう朝食の準備してたの?・・・タツミさんは・・・?』

マ『タツミさんとフィーロは緊張からあまり眠れなかったからもう一眠りするって言ってたよ、けど私としてはやっぱりみんなで食べるのが良いからこうやって静かに待ってるのよ。』

リ『まだすぐに食べないならラップくらい掛けといた方が良いよ?じゃあ僕は顔洗ってくるからね?』

セ『ラップ・・・ラップっと・・・・それでラップ掛ける?そうした方が少しはゴミが入らないから衛生的に良いと思うけど?』

マ『そうね・・・そこまでは気が回らなかったわ・・・じゃあ掛けておきましょ。それとセルも今の内に顔とか洗ってきたらどうかしら?』

セ『分かった!おいらも顔洗ってくるよ!・・・マーニも来れば良いのに?』

マ『私はご飯を見張らないといけないの・・・・だからご飯食べてからにする。それよりも早く行く!』

セ『はーい。』

そうこうしている内にルタやポルが起きてきてそれぞれ朝の身支度を済ませタツミ達が起きるのを待つ。その間、マーニはガイドマップと睨めっこをし今日通るであろうルートを再確認したりしていた。そして、そういう事をしている内にタツミ達は目を覚ます。

タ「少しは寝れたから良かった良かった・・・けどやっぱり庶民なんだろうなぁ~これ位の豪華さなだけで寝れなくなるなんて・・・。」

フ『僕もなんかずっと気を遣ってたのか分からないけど全然眠れなかった・・・僕はちょっと歩くのはパスすることにするよ、ごめんけど・・・。』

マ『大丈夫、私がサポートするように歩くから心配しないで。』

セ『じゃあおいらが歩いてみる-!』

タ「結構辛いけど大丈夫?今日もまた2時間程度歩きっぱなしって感じになるし・・・あっリオンの方はボールの中が良いんじゃないかしら?」

リ『流石ですね・・・私は体力温存という意味でボールの中に入っておきますね、何かあったらすぐ呼んでください。』

タ「よーし、じゃあ今日歩くのはマーニとセル・・・っでOK?」

フ『それで良いじゃないの?じゃあはやい所食べてから次の町に向けて歩きだそう?今日は一応次の町に着くような感じになるんでしょ?それにしてもこの地方は中々到着しない・・・。』

タ「一応そのつもりではいるけど、予定は未定って感じだからどうなるか分からない。だけどなるべく次の町に着けるように努力はするよ。それよりもはやい所食べてしまおう?」

マ『ん?でもガイドマップには次の町まで約70キロ程度って書いてあったよ?それって2時間で着けるの・???』

タ「70キロは・・・多分15時間程度掛かる・・・こりゃ到着は明日だな・・・次の休憩所までが大体50キロ程度だから今日はそこを目標に頑張ります!」



食事の後は片付けをし、チェックアウトする前に近くにあったコンビニで水や食料などをある程度購入、次の町までの70キロ越えを何とかこなすために回復系アイテムを多めに仕入れる事で先々の不安を少しでも減らすようだ。そして、部屋の中で荷物を分けバックにしまい込むとタツミ達はホテルをチェックアウトする。今日の天気は曇り、長い時間歩くにはとても良い季候だ。

タ「さて・・・ここから70キロ歩くので・・・時間的な意味合いが強いからけど、ちょっと急ぎ目に行きましょうか。」

マ『あまり無茶をしないようにね?それに疲れたらすぐに休憩取るようにしましょう、今日は多分あまり体力が無いセルが一緒なので特に。』

セ『あー!おいらを見下したなー!見てろー!』

タ「賑やかですなぁ・・・・。」

ポケモンセンターを出発し1時間程度歩き続けると二手に分かれる分岐点に到達する。特に何もないごく普通の分岐点ではあるが、案内看板によるとここを東側へと進むと今回のタツミ達が目的地としてあるナギサシティへ、逆に北上するルートをとるとトバリシティへと向かう事が出来る。ここまで来るとトレーナーと思われる人以外は殆ど見かけず、ただ聞こえてくるのは風の音だったりポケモンの鳴き声だけだったりと寂しい場所だ。

タ「なるほど・・・寂しい場所だなぁ・・・なんの音もしないって怖いね。」

マ『ここってこの地方では大分東側に位置しているからあまり人が来ないのかしら・・・でも周辺には色々な観光スポットがあるにもかかわらずにね・・・。』ガイドマップ読みながらマーニは答える。

セ『タツミ~おいら疲れた~おぶって~。』

タ「だから言わんこっちゃない・・・しゃーない、ほら背中に乗って!・・・って軽くない!?』

セ『そう?おいらってそこそこの重さだと思うけど・・・・。』

マ『もしかして・・タツミさんってもう大分重い物持つのになれたとかじゃないです?よく言うと力が付いた、悪く言うと麻痺したって事になりますけどね?でも力が付くことはとても良い事と思いますよ?』

タ「多分それだ!人間の時よりも重い物持てるようになるってのもなんかなぁって思うけど取り敢えず先に進みましょう。」

???『ちょっとあんさん、話しませんか?』

タ「はっ?誰?関西弁使い出した奴は・・・。」

???『こんちわ!僕ポケモン・・ちゃうわい!!人間やって!今は事情があってこの姿やけど元人間やったんや!それよりも兄ちゃんも元人間やったやろ!?匂いで分かるわ!』

タツミ達の後ろには相手にするには如何にも面倒くさそうな関西弁を使う1体の肩掛けバッグを身につけているウインディが笑顔で座っていた。

マ『うわー・・・・如何にも面倒な奴が来たわーだから早く行こうって言ったのに・・・自分の事人間って思い込んでるウインディってめっちゃくちゃ面倒じゃん。』

ウイン『ほんまやって!わいは元々人間で、変な黒づくめの集団に捕まったらこんな姿にされてしもうたんや!本当信じてー!』

タ「・・・・・・お手。」

ウイン『はい!・・・・・ああああああああああ!!!!!!ち・・違うねん!つい癖でやってしもうたんや!!わてはホンマに人間やって!!!ほら免許証もあるで!』

タツミはそのウインディから手渡された免許証を見ると目を丸くした。なんとその免許証はタツミが居た日本の公安委員会から発行された正真正銘の運転免許証だったのだ。そこの住所欄にも三重県と記載されていたり有効期限内だったり(緑色)した為、このウインディの話はどうやら本当のことであるようだ。

タ「・・・三重県は・・・ギリギリ関西圏ですが、あまり関西弁使う人見た事無いと思いますけどね~・・・ところでこの写真に写ってるのは貴方でOK?お名前は・・・」

ウイン『フミヒコって言うねん!良かった~・・・それがないと本当の事ちゃうって信じて貰えへんかったんや~・・・・ってなんで兄ちゃん、三重県って知っとるん!?もしかして・・兄ちゃんもこっちの世界の住人じゃないとか・・・?』

タ「・・・えぇ、実はと言うと長崎出身です。なので元々この世界の住人じゃありません。」

フミ『そうなん!?いや~・・・わいみたいな人おって良かったわ~・・・いきなりこの世界に来ちゃったからもうどうにもこうにも行かなくてなぁ~。それで兄ちゃんも探しとるん?奴らの基地を?』

セ『このウインディ相当面倒・・・。』

タ「(この人生年月日からすると若いはずなのに話し方癖あるなぁ)一応、そうですね~・・おーよしよし!良い子良い子!」

フミ『うーーーん!そこそこもっと・・・・って何犬と遊ぶみたいに遊んどるねん!こっちは真面目な話をしてるんや!』

タ「だって貴方・・・もう犬やん。その行動とか見た目とか。」

フミ『人間やって!!!!そういう兄ちゃんも狐やん!狐と犬ならまだ犬の方が親近感湧くやろ!?』

タ「それは人それぞれであって・・・それで、分かりましたから奴らのアジトと言うのは?」

リ『あいつらのアジトを知ってるのですか!??!?!?そ・・それはどこに!!!っで誰から聞いたのですか!!?!?その情報私でも入手できなかったのに!!』

フミ『なんやこの竜は。まぁええ、取り敢えずわいもその被害者の内の一人や。それで確かちょっと前に出会ったフライゴンって言う竜に乗った兄ちゃんみたいな感じの兄ちゃんにこの地方にアジトがあってその情報が知ってるなら教えて欲しいって同じような境遇の人に伝えて廻ってくれって頼まれたんや。』

リ『フライゴンに乗った男性・・・もしかして・・・・タツミさんの友達だったって言う・・・。』

タ「リュウセイか・・・・あいつも内部捜査する為にああいう事してたんやな・・・まぁ真相は分からんが。それで他に何か言ってませんでした?」

フミ『いや、それだけや。わいも何が何だか分からんが、取り敢えず同じような感じの元人間にはもう8人程度会うて話しとる。兄ちゃんも気いつけや。』

タ「はぁ・・・取り敢えず貴方はこれからどちらへ?お手。」

フミ『はい!!!・・・・・・・・だーかーらー・・・・犬ちゃうって!!!・・・まぁええ、わいはこれから南西に行くで。これがわいの携帯番号や、何か会ったら連絡しいや。じゃな!』

タ「あ・・ありがとう・・・ってもう行っちゃった・・・すんごく濃いウインディやったな。さて・・・それで、取り敢えずうーん・・・。」

リ『でも有力な情報は手に入れる事が出来ましたね・・・・ちょっと色々とまた精査しないといけないかな・・・。』

マ『なんかすんごく変な感じだったね~、取り敢えずタツミさん先に進みましょう?今ので大体30分くらいロスしましたよ?』

タ「ふぁー!!!急ごう!!」


不思議なウインディことフミヒコと別れた後、タツミ達はそれまでの遅れを取り戻すという意味合いでリオンの背中に乗って次の町を目指していた。ちなみに、今回は安全の為と時間的な理由という特例でリオンの背中に乗った。

タ「やっぱり空を飛ぶで移動出来ると楽だわ~リオンもありがとうね~。」

リ『いえいえ、お役に立てて光栄です~。それにこの地方だと歩きで廻ると時間ばっかり過ぎちゃって全然前が見えないですからね!・・・セル落ちないようにね?』

セ『うん!おいら空飛んだの初めて!凄い楽しい!』

タ「そんなにはしゃぐと落ちるぞー、落ちたら大変な事になるからね・・・・それにしてもさっきの犬・・・ウインディってなんか凄く焦った感じもあったけど結構切迫してる状態だったのかな?」

リ『恐らく奴らが動き出したとかかもしれませんね・・・私も随分と廻ってますがこんな短期間に2人のポケモンにされた人を見かけるなんて今まででは考えられませんでした・・・。』

タ「それもあるけど・・・次のポケモンセンターでちょっと何か情報が無いか調べてみる必要がありそうだ。」

セ『タツミ?後どれくらいで着くの?』

タ「そうだなぁ・・・後どれくらいかな・・大体今の速度が40キロ程度だから・・・この速度で行くとなると3時間程度・・・?」

リ『それ位になりますかね・・・60キロ定時走行で大体1時間から2時間程度ですのでやっぱり3,4時間は見ておいた方が良いでしょう。』

タ「・・・・ところでマーニとリオンに言うけど・・・敬語じゃ無くて良いからね?たまに敬語抜けている時もあるし、フィーロとかには普通に話して僕にだけ敬語って感じだと・・・ちょっと寂しい・・・。」

リ『えっ・・・そ・・・そんな・・・私はてっきり・・・やっぱり助けて頂いたのにタメ口じゃ・・と思ってて・・・すいません・・・・。』

マ『確かにそういう考えもあるね・・・分かった!じゃあタツミさんっていうさん付けは止めないけど普通に話す事にするね!・・・それよりもなんか寂しい思いさせてごめんね・・・全く分からなかったから・・・。』

セ『おいらは最初からタメ口だったよ?』

マ『あんたは少し黙ってて。』

リ『分かった!じゃあ私もマーニと同じくさん付け以外は普通に接する事にする!』

タ「なんか本当気を遣わせちゃってごめんけど・・お願いします・・・・。」



リ『見えてきたよ-!あれが次の町で良いの?』

タ「そうそう!あれあれ!ここで陸地は終了で、この先に行くには波乗りか何かで行かないと行けないからこの町がこの地方で陸路で行ける最東端の町だよ!」

マ『なんか凄く神秘的!・・・・時間もまだ午前中に来れたし折角だから町を見ていかない?タツミさん!』

タ「そうだね、まぁリオンも疲れたと思うし今日はここでゆっくりしてまた明日トバリに向けて出発するって感じで良いかな~よし!じゃあ観光しよう!」

タツミ達はポケモンセンター前へと降り立ち、リオンに括り付けていた荷物を一つ一つ降ろしていく。あらかた荷物を降ろし終えると今度はそれを両手いっぱいに持ち、センターの中に突撃、部屋を借りる。そして、借りた部屋のベッドの上に無造作に投げ込み町へと繰り出した。

マ『すんごく雑な説明だったけど取り敢えず町に到達することは出来たね!それで・・・ここで何する?』

タ「ここの有名スポットは~・・・っとその前になんかバトル大会みたいなのないかな~・・・もう費用が結構嵩んで今後が厳しくなってきた・・・。」

セ『やっぱりお金は大事だね!』

マ『その通り、うーん・・・多分ここに・・・あった!丁度良い大会あるけどそれだとどうかしら?』

タツミはマーニから一つのパンフレットを受け取る。それはポケモンセンターに設置されていたものだったが、そこにはビギナークラス専門の大会案内が記載されており優勝者には日本円で10万円を進呈すると書かれていた。

タ「10万は大きいよ・・・じゃあこれ出てみます・・・!・・・って僕今ポケモンの姿だから出れるのかしらね・・取り敢えず大会本部行ってみようか。」

大会本部までは大体ポケモンセンターから徒歩で10分程度の場所にあった。そして、大会本部には多数のトレーナーらしき人物がうようよとしていたがそこを構わずタツミ達は突き進む。大会本部に着くまでにポケモンだけのグループを何件か見かけた為か取り敢えずポケモンだけの参加も可能のようだ。

タ「・・・ええ、分かりました。ではお願いします・・・えっ?僕は出るのかって?僕は出ませんよ~じゃあ後はお願いします。」

マ『取り敢えず出れる事は出れるみたいだね・・・それで誰が出るの?それなりのトレーナーばかりだから私達みたいな感じだとすぐ負けちゃうかもしれないし・・・かと言ってフィーロを出すのも危険が伴いそう・・・。』

セ『じゃあおいらが出る!』

マ『あんたはまだ実戦経験が浅いから駄目!』

セ『ぬーん・・・。』

タ「取り敢えずリオンと・・・ルタと・・・・ポルで行くか・・・・でも明らかにリオンを先頭に出すとちょっと無双すぎるから一番最初はポルでお願いします。」

リ『私でも良いのに・・・そんなに無双しないよ・・・・。』

ポル『いきなりこんな強そうなの出てこられたら相手もびっくりするでしょ。まぁ最終兵器と言う事で。』

リ『兵器って・・・・(´・ω・`)』

タ「言い方言い方(汗)ま・・まぁ取り敢えず切り札としてね!うん!と・・取り敢えず急いで行きましょ!」


大会の規模としてはそれ程大きいものではないが、それでも大体15組が出場する事となった。勝負はトーナメント方式でAグループとBグループの2通りに分かれそれぞれで勝ち進んでいく。そして、最終的にはAグループとBグループそれぞれ勝ち進んでいった2組が決勝で対決するというオーソドックスな方式だ。互いのポケモンは3体、しかし先に2体倒された方が負けとなる特別ルールが設けられている。

タ「えーっと・・・取り敢えず僕達はBグループの3戦目だね~久し振りにこんな大会に出るからなんか緊張するなぁ~・・・。」

マ『まぁまぁそう緊張せずに。・・・あっ!もう始まってるけど意外と今戦ってるグループもポケモンだけで出場してる・・・本当この地方ってポケモンだけで行動するの多いね。』

セ『凄い行動家なんだろうね!なんか尊敬しちゃうな~!』

タ「へぇ~この出場グループ見ると・・・以外とポケモンだけで参加してる団体が僕達合わせて5グループある!良かった~これで奇異の目で見られる事も無いか~。」

マ『大丈夫と思うけどなぁ~それよりもちょっと準備体操とかしておかなくて大丈夫?いきなり身体を動かすと怪我の心配もあるけど・・・。』

リ『私はここに来るまでに空を飛んで身体動かしてたから全然大丈夫!』

ルタ「じゃあちょっと動かして来るよ~ポル行こう?」

ポル『ほーい。』

時間が経つのは早く、早くも次がタツミ達の番となってしまった。観客はそれ程多くはなく歓声もそれ程大きいものではないのだが、やはり人前に出るというのは慣れている慣れていない関係なしに緊張するものだ。タツミに至っては身体が小刻みに揺れ周りの誰が見てもガチガチに緊張していると分かる容姿だった。

マ『タ・・・タツミさん、そんなに震えなくても大丈夫だから!私も傍に居ますからそんなに緊張しなくても大丈夫ですって!』

タ「そ・・そういうのは分かってるけど・・身体の震えが止まりません。」

セ『本当に大丈夫なの・・・・?』

【えーっと・・・次の対決は・・・おーっと!またポケモンだけのグループか!しかも、両者ともポケモンだけの参加グループです!流石この地方ですね、これで4組目です!中々他所では見かける事が出来ないのですがこれはこの地方ならではの光景と言えるでしょうか!・・・っと世話話はここまでで、では登場していただきましょう!どうぞ!!】

タ「みんなよろしくね・・・!」

リ『任せておいて!』

ポル『全力尽くしますぜ。』

ルタ『大丈夫、絶対負けないから。』





『な・・・んだと・・・こんなに強かったとは・・・どういう事なんだ・・・。』

タ「あー・・・やっぱりリオンを最初に出したらこうなったわー・・・無双しすぎでしょ・・・。」

タツミは最初にポルを出す所を予定変更し、初戦と言う事もあり様子見でリオンを出した結果、あまり強そうな技を指示したわけではないにも関わらずあっさりと初戦を突破してしまったというオチである。

リ『全般的にちょっと弱いかなー、もうちょっと指示を的確に出したら良い勝負できたと思うけど・・まぁ勝てたからいいや~ね?タツミさん。』

タ「なんかやっぱり最初にはリオンは出さないでおこう・・・ちょっと色々と不味いことになりかねない・・。」

リ『そ・・そんなぁ・・・・(´・ω・`)』

マ『それは私も思う・・・強すぎるってのも問題よね・・・こういう大会だとそういう事するとすぐに目を付けられるし色々と大変よね・・・。』

その後、2回戦と3回戦はポルとルタの活躍により勝ち進むことが出来たが、リオンに至っては出る幕がなく少々暇そうにしていた。しかし、盛り上がり方や観客からの視線は明らかに変った事からタツミにとってはとても勝負しやすかったようである。そして、無事(?)に決勝戦まで辿り着いたタツミ達。決勝では相手も強そうな感じのトレーナーだった為気を引き締めて行かないと勝てなさそうであった。

「おい!お前らか?ったく人間のトレーナー軍団は何やってたんだよ・・・こんなキュウコン率いるポケモングループに負けたとはな~・・・でも俺はそこら辺のトレーナーとは違うからな・・優勝は俺達の物だ!!!」

タ「うわー・・・うざい・・・。」

ポル『じゃあ最初は僕が出るよ・・・なるべくルタとリオンの負担にならないように最低でも1体は倒してくる!』

タ「無理はしないようにね。」

【さぁー!!!決勝戦の始まりです!!よーいスタート!!】

「ふん!行ってこい!トリデプス!」

タ「おお・・・一応相性的にはポルの方が有利か・・・でも油断大敵・・ここまで勝ち上がってきたって事はそれなりの実力があるって事だろうし・・・ポル!ハイドロポンプ!」

ポル『分かった!』

「受け止めろ!!」

相手は水系の攻撃は効果抜群の筈なのだが、相手はそれを諸ともせずに水に勇敢に立ち向かう。やはり効いていない状態なのだろうか、トリデプスはキツそうな表情ではなく寧ろ余裕といった表情をしてるとも受け取れる。

タ「はっ?・・・まさかの水耐性ありな感じですか・・・それなら・・・ポルそのまま冷凍ビーム!!」

ルデ『えっ!?冷凍ビームなんて使えたっけ?』

ポル『ルディナと一緒にしないでほしいなー!冷凍ビームくらいなら僕だって使える!!』

「今だ!!げんしのちから!!!」

相手が地面を少し揺らしたと思うと幾つかの岩が浮かび上がり、それがポル目がけいくつも投げつけられた。ポルは最初の幾つかは避ける事が出来たのだが、あまりの数の多さに最後辺りは連続で当たってしまい幾らかダメージを負ってしまった。

タ「ポル大丈夫か!?」

ポル『・・・・まだやれる!!大丈夫!』

タ「よし・・・でもこれじゃあキリが無いな・・・どうにか出来ないか・・・相手は地面に着いたまま動かないな・・・何か秘策でもあるのだろうか・・・?それとも・・・?ポル!相手の周りを回りまくれ!」

ポル『えっ・・・・?わ・・分かった!けど・・どうするの・・?』

ポルはタツミに言われたとおりトリデプスの周りをぐるぐると回り始めた。相手はというと特段この行動に意味は無いと悟ったのかポルを追い掛ける事なくじっとその場で立ち止まったままだった。しかし、一つ気になる点がタツミにはあり

タ「・・やっぱりなんかその場から動かなくても顔を動かして身体をちょっと隠すようにしてる・・つまりは・・・正面からじゃ無理だから・・・ポル!!ぐるぐる回りながらハイドロポンプを打って!」

ポル『了解!』

「させるか!!!トリデプス、火炎放射で蒸発させろ!!」

タ「そんな事で蒸発する位の柔なハイドロポンプじゃない!!!」

ポルは周りながらハイドロポンプを打ち続け、そしてそれに対し相手も火炎放射をなるべく当てながら自分の身体へと水が到達するのを防いでいるように見えた。

ポル『うぉぉぉぉぉぉ!!!!』

「お・・おい!トリデプス何弱くなってるんだよ!!もっと火炎放射強くしろ!!」

相手のトレーナーには焦りが見え始めていた、それもそのはず。ポルの桁違いな体力に対してトリデプスには疲れが顕著に表れ始めたからである。そして、遂には火炎放射が途切れてしまいそのままハイドロポンプが当たり始めた。

「ちくしょう!!!お前・・・!!!いわなだれ!!!!早くしろよ!!!!」

タ「ポル!最後だ!そのまま冷凍ビームで凍らせて!!」

ポル『了解!』

ポルは即座にハイドロポンプから冷凍ビームに切り替える。しかし相手もそこまで柔じゃなくいわなだれでそれを防ごうとしていた・・・。

「急げ!!!おい!!!・・・・・ちっ・・・・。」

火炎放射を連続で打った後で疲れがたまっていた為かそのままトリデプスは冷凍ビームが直撃する形となった。そして・・・

タ「そのまま突進!」

ポル『はーい!!!』

ポルは氷付けされたトリデプスに突進を繰り出し、そのまま近くの壁へと飛ばし当てた。そして、そのまま目を回しこの勝負はポルの勝利となる。

ポル『よし!やったよ!タツミ!!』

タ「良くやったポル!凄かったよ!偉い!本当強くなったね!」

「ちっ・・・使えない奴め・・・この後覚悟しておけよ・・・今まで以上にキツいトレーニングだからな・・・・次だ!!行け!ブースタ-!」

タ「・・・なんかあいつイライラするなー。次は炎タイプ・・・まぁポルにとっては有利な相手だけど、どんな技をしてくるか分からないから油断できないね・・・ポルも気をつけて!」

ポル『分かった!』

「・・・・やれ。」

その言葉が聞こえた瞬間全員の視界からブースターが消えた、そして次の瞬間場内にはポルの悲鳴が聞こえる。

タ「!!どういう事だ・・・ポル大丈夫・・・か・・・・そんな・・・・。」

タツミが見た時には既にポルは倒れていた。そして、その傍にはまだ火の粉が身体の周りに舞っているブースターの姿があった。

「どうだ?キュウコンさんよ~?これが俺達が最も極めた超最速フレアドライブよ!この技ならそんな水タイプにも負けはしねぇ・・・さぁ次のポケモンを出しな?」

タ「・・・ポル・・お疲れ様、ゆっくり休んでいて。・・・・あいつ・・本当イライラするわ・・・。」

リ『タツミさん・・・今度は私が行く。あいつの行動や言動がイライラする・・・それにブースターのあの速さは到底ルタにはキツい・・・ここは私が行くよ。』

タ「・・・よろしく頼んだよ・・リオン。・・・けど、あいつは恐らく凄く強い技を覚えているような気がする・・それだけは気をつけて。」

リ『了解・・・・おい!!!お前!!今度は私が相手だ!!ポルの敵は取るからな!!!!』

「ほぉ・・やっと出てきやがったか・・そのカイリューと俺は勝負したかったんだよ!!!!ぜってぇ負けねぇ・・・・ブースタ-!!はかいこうせん!!!」

タ「・・・・ならこっちもはかいこうせん。」

リ『了解!!!!』

はかいこうせん同士がぶつかり合い場内には凄い爆風と爆音が響く。その光景を見た周りの大会関係者やアナウンサー、警備員などが総勢で観客を後ろの席に回したり出口へと一時的に誘導したりする光景が見られた。

タ「あっちゃー・・・こりゃ迷惑掛けてしまったかぁ・・・リオン、恐らく相手は動けない・・・・今の内にきりさく。」

リ『OK・・・こっちから行くよ!!!』

「こいつの速さを見くびって貰っちゃ困るな~。・・・ブースター・・・みきり。」

そういった瞬間、ブースターの周りに何か薄い膜のようなのが現れる、きりさくを繰り出したリオンだったがそれはガキンという甲高い音をして不発に終ってしまう。

タ「みきりが使えるのか・・・・そうだ・・!リオンって地球投げって使えたっけ?(あっあれスパイアの方だったか)」

リ『えぇ・・・見た事はあってもやった事無いから・・・使えなくはないけどやった事無いから出来ないかもよ・・・?』

タツミはリオンが通常では覚える事が無い技の一つである地球投げの事を話して相手の気を引く作戦に出た。その話は相手トレーナーには遠い為聞こえていないだが、ブースターには聞こえている為か何処か身構えている感じを受ける。そして、それをタツミが確認するとリオンに対し頷く、それを見たリオンもまた同じように頷いた。

「いい加減にしろよ!!!お前ら早く攻撃して来いよ!!!来ないならこっちから行ってやるz」

タ「はいはい、リオン・・・地球投げ・・・と見せかけてきりさく(ボソッ」

ブースターに勢いよく近づきそのまま持ち上げるような素振りを見せつつもそのまま相手の出方をリオンは伺っていた。もう少しでリオンの手がブースターに触れるといったその瞬間、持ち上げられまいと飛び上がり身体が後ろに動いたのをリオンは見逃さなかった。相手の横ががら空きになった所を狙いきりさくを繰り出す。当然ブースター側としては地球投げかそれに準じた技が来る物と思っていた為か初動が遅れそのまま横腹にきりさくが当たる、そしてそのまま数十メートルは飛ばされ地面へと叩きつけられた。

タ「油断してるとこうなりますよ?」

「ちっ・・・ちょこまかちょこまかと・・・・おい!ブースタ-!まだ行けるよな!?行けないとは言わせないからな!!!!」

リ『本当あっちのトレーナーってポケモンの事なんだと思ってるのか・・・あんな上から目線でしかも労るような気持ちもないのかよ・・・。』

マ『ちょっとあのトレーナームカつく・・・こう言っちゃなんだけど私の前のトレーナー思い出すわ・・・。』

タ「そうだな・・・取り敢えずはやい所終らせた方が双方共に丸く収まるか・・・リオン、そろそろ決着着けようか。」

リ『そうだね・・・。』



タツミ達ははやい所この勝負を終らせたかったのだが、相手もそう弱いわけではなくその後も押しつ押されつしながらも互いの体力を削ったり削られたりと平行線を進んでいった。そして、バトル開始から早くも1時間が過ぎようとしていた時遂にその時が訪れる。

タ「このままじゃリオンの体力ももう持たない・・・次が最後か・・・。」

マ『リオン・・・・。』

「ちっ・・・こいつめ・・・はやい所片付けておけば楽に出来たのによ・・・ブースタ-!フレアドライブ!!!!」

タ「・・・・今だ!!リオン!はかいこうs・・・・違う!!かみなりパンチ!!!」

リ『あまり打撃系はこっちが不利になるかな?って思ってたから使わなかったけど・・はかいこうせんが間に合わない・・・こうなったら・・・!』

フレアドライブとかみなりパンチがぶつかり合う、双方共に体力が限界と言う事もあった為これが最後の技になるだろう。炎と電気がぶつかり合ったこともあり、爆発しその拍子に辺り一面が砂埃に覆われ視界が一切効かなくなった。

タ「リオン・・・・。」

「負けんじゃねーぞ・・・負けたらあいつと一緒にお仕置きだからな・・・!!!」

セ『あっちのトレーナーってなんか自分勝手だな!おいらムカつくぞ!』

マ『ちょっと今大事なところだから黙ってて。』

ちょっと砂埃が晴れてきた。その中から薄い影が二つ見える、どうやらどちらとも立ち上がってはいるようで倒れ込んだ方はいないようだ。そして・・・・

リ『はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・。』

リオンは何とか立っていたがあまりにも体力の消耗が激しくその姿はとても今にも倒れそうであった。それに対し相手の方はというと・・・

「よし・・・・!よく受けても立ち上がってたな!これで終わりだ!!!止めで突進だ!!!」

しかし、その言葉の通りにはならなかった。ブースターは少し動いたところで地面へと倒れ込み目を回す、それを見たリオンもまた何かが切れたように地面へと倒れ込んだ。

「お・・・おい!!何やってるんだよ!!!!あと少し遅ければ俺の勝ちだったのによ!!!!」

タ「リオン!・・・お疲れ様・・・・。」

リ『いやいや・・・・でもタツミさんと一緒に戦えて本当楽しかった・・・何とか勝ったけど・・・あと少しで負けるところだった・・・。』

マ『十分強いじゃない!今はゆっくりと休んで体力を回復しなさいよ、後でポケモンセンターに連れていってあげるから!』

リ『うん・・・・。』

リオンの意識はそこで途絶えた。
9月が始まり今年も残すところあと3ヶ月・・・早いものですね。

ちなみに今回の話は書いてて何故か楽しかったです(笑)

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